WinUI 3での実用的なWindowサイズの設定

WinUI 3のWindowにはサイズを直接設定できるプロパティがないので、実行時にメソッドで変える必要があります。このためにAppWindow.Resizeを使う方法がよく説明されますが、実際にアプリを作るとなるとこれは実用的でないので、どうすればいいかという話です。

1. AppWindow.ResizeよりAppWindow.ResizeClient

AppWindow.Resizeで指定するサイズは、Windowサイズを変更する他のメソッドや関数と同じく、Non-Clientエリア（タイトルバー等）と見た目上のWindowの左右下にあるスペースを含めたサイズになります。

したがって、WindowのコンテントのUI要素にきっちり合わせたサイズにするには、Clientエリアのサイズにこれらの分の幅を加える必要がありますが、これは少々手間です。そんな計算をするぐらいなら、Clientエリアのサイズそのままで指定できるAppWindow.ResizeClientを使った方がいいです。というか、WPFでもこの機能が欲しかった。

2. サイズはモニターのDPIに合わせて調整が必要

AppWindow.ResizeClientでは（AppWindow.Resizeでも）サイズをSizeInt32で渡すことになりますが、この単位は実ピクセルです。UI要素の設定で使うDIP（Device Independent Pixel）とは違います。

一方、WinUIではWindowのコンテントのUI要素のサイズはモニターのDPIに合わせて自動調整されます。したがって、ClientエリアのサイズもモニターのDPIに合わせて手動で調整した上で渡さないと、コンテントに合わなくなってしまいます。

3. 具体例

まずモニターのDPIは、WinUIにはDPIを取得するメソッドはないので、Win32で取得することになりますが、簡単なのはGetDpiForWindow関数です。取得できる値は一つだけですが、X方向とY方向のDPIが違うケースは実用的にはないと思われるので、十分でしょう。DPIそのままより96を基準としたスケール（倍数）にした方が使いやすいので、こんな感じです。

using System.Runtime.InteropServices;
using Microsoft.UI.Xaml;

internal static class WindowHelper
{
    [DllImport("User32.dll")]
    private static extern int GetDpiForWindow(nint hwnd);

    public const double DefaultPixelsPerInch = 96D;

    public static double GetWindowDpiScale(Window window)
    {
        nint windowHandle = WinRT.Interop.WindowNative.GetWindowHandle(window);
        return GetDpiForWindow(windowHandle) / DefaultPixelsPerInch;
    }
}

次にClientエリアのサイズは、UI要素と同じ場所で設定した方が一覧性が高いので、XAMLに書くことにして、UI要素のルートになるGrid（名前をRootGridとする）で指定します。

<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<Window
    x:Class="WinuiSample.MainWindow"
    xmlns="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml/presentation"
    xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml">

    <Grid x:Name="RootGrid"
          Width="400" Height="300"
          Background="#EEEEEE">
        <Grid Width="360" Height="80" Background="Red">
            <TextBlock HorizontalAlignment="Center" VerticalAlignment="Center"
                       Foreground="White"
                       FontSize="40" FontWeight="Black"
                       Text="Sample"/>
        </Grid>
    </Grid>
</Window>

その上でWindowのコンストラクターでAppWindow.ResizeClientを実行します。

using Microsoft.UI.Xaml;
using Windows.Graphics;

public sealed partial class MainWindow : Window
{
    public MainWindow()
    {
        this.InitializeComponent();

        double dpiScale = WindowHelper.GetWindowDpiScale(this);
        AppWindow.ResizeClient(new SizeInt32(
            (int)(RootGrid.Width * dpiScale),
            (int)(RootGrid.Height * dpiScale)));
    }
}

これで以下のようなWindowになります。DPIは175%なので、実ピクセルでは幅400×1.75+2=702です（2はアウトラインの線の分）。

簡単ですが、以上です。