はじめに
2025 年現在、EC 市場は依然として成長を続けており、中でも Shopify を利用する事業者は増加の一途をたどっています。世界規模でのシェア拡大に伴い、日本国内でもショップ運営者が Shopify に注目し、オンラインビジネスをスピーディーに構築するケースが増えてきました。
そんな中、「顧客情報の管理」 はショップの売上を伸ばすうえで重要なテーマです。特に 「顧客タグ」 を活用すれば、細かいセグメンテーションやリピーター施策を実施しやすくなり、顧客体験の向上や離脱防止につながります。
しかし、残念ながら Shopify のデフォルト機能だけでは、顧客タグを自動付与する仕組みを整えることができません。 そのため、多くの事業者は アプリ を活用し、注文状況などのトリガーにあわせて顧客タグを自動付与できるように工夫しています。
この記事では、
- Shopify の顧客タグの基礎
- 自動付与するメリット・デメリット
- そして Shopify で 顧客タグを自動付与 できる 5 つ のアプリ
をまとめてご紹介します。特に最初にご紹介する 「シンプル特定の商品を購入した顧客にタグをつけるアプリ」 は、導入・設定ともにシンプルでわかりやすいため、約 5000 文字のボリュームで丁寧に解説します。ぜひ参考にしてみてください。
今回は、以下の記事を参考にしています。
- 【2025年】Shopify で特定の商品が購入された時に自動で顧客タグをつけることはできる?設定方法やおすすめアプリを紹介!
- Shopifyで特定の商品を購入した際に、自動で顧客タグ付けを行う方法について考察
- Shopifyで顧客タグを自動付与できるアプリ4選を徹底解説
- Shopifyで特定の商品を購入した顧客にタグをつけるアプリについて徹底解説|ご利用ガイド
Shopify の顧客タグとは?
「顧客タグ」 とは、Shopify の顧客情報に対して紐づけられるラベルのようなものです。タグを利用すると、以下のような管理や施策を行いやすくなります。
- 購入頻度や購入金額の高いお客様を「VIP」タグで区分 し、優待クーポンを送信する
- イベント開催時に「イベント参加者」タグ を付けておき、後日のアフターフォローを実施する
- 特定の商品を購入したお客様のみ に対し、関連商品のアップセルを促すメールを送る
- など
このように、タグを手動で付け替えていく だけでも顧客管理は可能ですが、注文件数が増えたり店舗が拡大してくると、手作業では手が回らなくなる ケースが多いでしょう。そこで威力を発揮するのが 「顧客タグの自動付与」 です。
Shopify で顧客タグを自動付与するメリットとデメリット
メリット
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工数削減とヒューマンエラー回避
一括でタグを付与・更新しなければいけない場面では、手動作業だとミスが起きやすいもの。自動化すれば 手間もかからず、入力ミスのリスクも軽減 できます。 -
高度な顧客セグメンテーションが容易
「特定の商品を購入したらタグを付ける」「一定回数以上購入したらタグを付ける」など、条件設定を行うことで、より精密な顧客分類が可能です。適切なセグメントごとにメール施策を行ったり、LTV(ライフタイムバリュー)向上を狙えます。 -
再購入・リピートを促しやすい
タグを活用して 特定の顧客層に向けたクーポン を発行したり、ステップメールを配信したりする仕組みを構築できれば、顧客とのエンゲージメントが高まりリピート率が上がります。 -
ショップ全体の運営効率が向上
顧客タグが整備されていれば、スタッフ間で「この顧客は何回目の購入なのか」「どのキャンペーンに反応しているのか」などを即座に把握でき、顧客対応の質を均一化しやすくなります。
デメリット
-
タグルールの設定ミスで混乱
自動付与のルールを誤って設定してしまうと、本来付与すべきではないお客様にもタグがついてしまう ことも。タグの定義やルールは、事前にしっかりと固めておく必要があります。 -
タグが増えすぎて管理が煩雑に
安易に新しいタグを乱立させると、どれが重要なタグでどれが不要か分からなくなることもあります。タグの運用ルールを作り、定期的にメンテナンスすることが大切です。 -
アプリ利用によるコスト
アプリによっては月額料金が発生します。導入時には費用対効果 をよく検討しつつ、無料トライアル期間や無料プランの有無を確認するのが良いでしょう。
Shopify のデフォルト機能では顧客タグを自動付与できない
Shopify はとても柔軟な EC プラットフォームですが、標準機能では顧客タグを「手動で」追加・編集することしかできません。たとえば、
- 注文が入るたびにフローを自動化
- 特定条件で自動的にタグを更新
といった機能は、あらかじめ備わっていないのです。そのため、外部アプリ の力を借りて自動化を実現する必要があります。
Shopify で顧客タグを自動付与できるアプリ 5 選
ここからは、Shopify で顧客タグを自動付与できるアプリ を 5 つご紹介します。
最初に解説するアプリは、「シンプル特定の商品を購入した顧客にタグをつけるアプリ」 です。以下に約 5000 文字のボリュームで、インストール手順や設定方法を、画像とあわせて徹底解説していきます。
シンプル特定の商品を購入した顧客にタグをつけるアプリ
はじめに
今回ご紹介する「シンプル特定の商品を購入した顧客にタグをつけるアプリ」は、特定の商品を購入した顧客に対して自動でタグを付与する というシンプルな機能を持った Shopify アプリです。
Shopify というプラットフォームは、EC サイトを誰でも簡単に構築できる CMS ですが、その拡張機能(プラグイン)のような役割を果たすのが Shopify アプリ です。WordPress で例えるなら「プラグイン」を追加して機能を広げるイメージに近いでしょう。
「シンプル特定の商品を購入した顧客にタグをつけるアプリ」を導入すると、特定条件の商品を購入した段階で、自動的に顧客にタグが付与 されます。例えば「定期購買商品を購入したら“定期便顧客”タグを付ける」などの使い方が可能です。毎回、手動でタグを設定する必要がなくなるため、工数削減やミスの防止につながります。
「シンプル特定の商品を購入した顧客にタグをつけるアプリ」でできること
以下の画像のように、アプリをインストールすると “特定の商品を購入した顧客” に自動的にタグを付与 できる仕組みを設定できます。
購入時にタグを自動付与できるイメージは、こちらの画像のとおりです。
さらに、本アプリは 2 ステップ という簡単手順で設定が完了します。
複数の自動タグ付けルールを登録しておけば、管理画面から一覧で確認・編集・削除 が可能です。
アプリのインストール
それでは、実際にアプリのインストール方法を見ていきましょう。
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以下の URL へアクセスし、「シンプル特定の商品を購入した顧客にタグをつけるアプリ」のインストールを開始します。
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表示されたページで「インストール」ボタンをクリックし、ストアへのアクセス許可を行います。
マーチャント用アカウントで実際のストアに導入する場合は、月額 $9.99 で利用できます。初回インストール後 7 日間は無料で試用できるので、まずは気軽に試してみるとよいでしょう。
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「インストール」ボタンをクリックすると、アプリのインストール画面に遷移します。右下の「インストール」をクリックすれば、アプリのインストールが完了です。
アプリ設定
続いて、インストール完了後のアプリ設定方法を解説します。
顧客タグ付け商品設定を追加する
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遷移先の 「顧客タグ付け商品設定」 画面で、顧客タグ付与の対象商品を設定します。
- 「任意の商品」を選択すると、商品を 1 つずつ指定可能
- 「コレクション」を選択すると、コレクション単位で一括指定可能
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次に「顧客タグ設定」で、実際に付与したいタグを選びます。入力欄に既存タグが出てくるので選択してもいいですし、新しいタグを作る場合は打ち込み → 追加ボタン をクリックします。
これで顧客タグ付け設定が完了です。対象商品が購入された場合、自動的にその顧客に指定タグが付与 されるようになります。
顧客タグ付け商品設定の編集・削除
おわりに
このように「シンプル特定の商品を購入した顧客にタグをつけるアプリ」を使えば、非常にシンプルな手順 で必要な顧客タグ付けを自動化できます。複雑な操作やコーディングは一切不要なので、Shopify を始めたばかりの方でも迷わず使えるのが魅力です。
もし興味があれば、以下のリンクからアプリをインストールしてみてください。7 日間の無料利用があるため、まずはテスト感覚で導入し、使い勝手を確かめてみるのもおすすめです。
SCの顧客タグ付け
続いて、「SCの顧客タグ付け」というアプリです。Shop Circle が提供しており、多言語対応・多機能で、自動化ワークフローを柔軟に組めるのが特徴です。
アプリ概要
項目 | 内容 |
---|---|
アプリ名 | SCの顧客タグ付け |
開発者 | Shop Circle |
価格設定 | - 無料インストール(無料体験あり) - Starterプラン: $5.99/月 - Growthプラン: $19.99/月 - Professionalプラン: $49.99/月 |
主な機能・特徴 | - トリガーと条件を設定して顧客タグを自動付与 - タグの有効期限設定が可能 - 適用したタグ・ルールの履歴追跡 - 多条件のワークフロー管理 - Zapier や Shopify Flow 連携 |
対応言語 | 英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、日本語など多数 |
評価(執筆時点) | ★★★★★ (5.0 / 74 レビュー) |
連携対象システム・アプリ | Shopify Flow、Zapier、Segment、Shop Circle の他アプリ |
ワンポイント解説
SCの顧客タグ付けは、多条件トリガーでのタグ付与 をフレキシブルに行えるのが強みです。たとえば「一定金額以上の注文」「特定地域への配送」「過去の購入回数」などを複数組み合わせてワークフローを作成できるため、セグメントが複雑になりがちな店舗にも対応しやすいでしょう。また、Zapier を経由して外部サービスへデータを連携できる点も大きな魅力。Shopify Flow や Segment を活用して マーケティングオートメーション を高度化したい事業者におすすめです。
O: Auto Tag & Flow Automation
3 つ目は、Flowise が提供する「O: Auto Tag & Flow Automation」。こちらも 「Built for Shopify」 アプリで、無制限のタグ設定や高機能なワークフロー構築に定評があります。
アプリ概要
項目 | 内容 |
---|---|
アプリ名 | O: Auto Tag & Flow Automation |
開発者 | Flowise |
価格設定 | - 無料インストール(無料体験あり) - Basic: $7.99/月 - Standard: $13.99/月 - Pro: $16.99/月 |
主な機能・特徴 | - Order, Customer, Product に対して自動タグ付与 - リアルタイムタグ付与や過去注文のタグ再処理機能 - Dynamic Tag による柔軟な条件設定 - Shopify Flow 連携 |
対応言語 | 英語 |
評価(執筆時点) | ★★★★☆ (4.6 / 91 レビュー) |
特徴的なポイント | バックデート機能で 過去の注文 へ遡ってタグ付与が可能。フローオートメーションで大量注文にも対応。 |
ワンポイント解説
O: Auto Tag & Flow Automation の魅力は、過去注文へのタグ付与(バックデート処理) を簡単に行える点です。通常、タグ自動付与は導入以降の注文にしか適用しないアプリも多いですが、本アプリなら 導入前に受注した注文にもタグ付けをさかのぼって行える のが便利。過去データとの一貫性を保ちたい店舗や、後から大規模な顧客分析を行いたい場合に重宝します。また、Shopify Flow と連携したワークフローはノーコードで組みやすいのも嬉しいところです。
Sami B2B Wholesale Pricing
4 つ目は少し毛色が異なり、卸売(B2B)向け機能 が充実した「Sami B2B Wholesale Pricing」です。無料で使える点も魅力ですが、顧客タグ付け機能を活用することで B2B 顧客の管理を最適化しやすくなります。
アプリ概要
項目 | 内容 |
---|---|
アプリ名 | Sami B2B Wholesale Pricing |
開発者 | samita.io |
価格設定 | - 無料 |
主な機能・特徴 | - 卸価格やボリュームディスカウントなどを設定 - 複数レベルのカスタム価格設定 - 卸専用の登録フォーム - クイックオーダーフォームによるまとめ買い促進 |
対応言語 | 英語、デンマーク語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、日本語など |
評価(執筆時点) | ★★★★☆ (4.9 / 326 レビュー) |
特徴的なポイント | 無料でB2B向けの機能を拡張でき、顧客タグによる価格設定 も実装可能。 |
ワンポイント解説
Sami B2B Wholesale Pricing は卸売り用の価格設定や割引設定が中心ですが、顧客タグと組み合わせることで B2B 顧客だけに特別価格を表示 したり、特定の法人顧客にはさらに追加割引を適用するなど、柔軟な価格戦略 を立てることができます。無料ながら機能が充実しているので、個人・法人合わせて展開する店舗や、大口購入者を優遇したい事業者に最適です。タグを活用すれば B2B と B2C 顧客の区分管理もしやすくなるため、運用工数の削減にも役立つでしょう。
Leap Auto Tags | All‑in‑1 Tags
最後は Leapsoft が提供する「Leap Auto Tags | All-in-1 Tags」です。Order, Product, Customer の 3 つを一元管理でき、かつ 無料プラン からスタートできるのが大きな魅力。小規模なストアでも試しやすいアプリです。
アプリ概要
項目 | 内容 |
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アプリ名 | Leap Auto Tags | All‑in‑1 Tags |
開発者 | Leapsoft |
価格設定 | - Free Plan(無料) - Basic Plan: $8/月 - Professional Plan: $15/月 - Business Plan: $30/月 |
主な機能・特徴 | - 受注(Order), 商品(Product), 顧客(Customer) へのタグを自動付与 - 無制限ワークフロー - リアルタイムタグ付与 & 過去データへの適用 - Dynamic Tag & Tag Expiry |
対応言語 | 英語 |
評価(執筆時点) | ★★★★☆ (4.9 / 225 レビュー) |
特徴的なポイント | スマートなワークフローを自由に作り、無料プランから本格的に使い始められる。 |
ワンポイント解説
Leap Auto Tags は、注文・商品・顧客を一元管理できるオールインワン型 です。タグを自動付与する際、単に「この商品を購入したからタグを付ける」だけでなく、複数の条件(AND・OR) を組み合わせて、きめ細やかなワークフローを作成できます。さらに 無料プランでも機能制限が少なく、テスト感覚で始めやすいのが嬉しいポイント。店舗規模に合わせて上位プランへ移行しながら、より複雑な顧客セグメント管理 に挑戦するのも一案です。
まとめ
ここまで、「Shopify で顧客タグを自動付与する 5 つのアプリ」 をご紹介してきました。特に最初に解説した 「シンプル特定の商品を購入した顧客にタグをつけるアプリ」 は、商品単位でのタグ管理がとてもわかりやすく、Shopify を始めたばかりの方でもスムーズに導入できる点が魅力です。
一方で、ワークフローの条件分岐や他サービスとの連携、B2B 顧客管理など、より高度な機能 を求める場合は、SCの顧客タグ付けや O: Auto Tag & Flow Automation、Sami B2B Wholesale Pricing、Leap Auto Tags のようなアプリが頼りになります。自社の運用体制や販売戦略に合ったツールをうまく組み合わせると、顧客管理の生産性が格段にアップするでしょう。
顧客タグ自動化による運営効率向上
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セグメントごとの施策 が打ちやすくなる
例:VIP 顧客に限定クーポン、自社イベント参加者にアフターフォロー -
顧客体験 が向上
適切なタイミングでのフォローやオファーができ、LTV が高まる -
スタッフ間の情報共有 がスムーズに
タグを見れば、その顧客の来歴や購入履歴の傾向をすぐ把握できる
これからの Shopify 運営に向けて
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タグの乱立に注意
自動付与が可能になると、ついタグを増やしがち。運用ルールを明確化しましょう。 -
無料トライアル期間を活用
紹介したアプリの多くは無料期間や無料プランがあります。まずは実店舗の受注状況でしっかりテストしてみるのがおすすめです。 -
定期的なメンテナンス
一度ルールを設定して終わりではなく、タグ付与ルールが業務フローに合っているか定期的に見直すことが大切です。
顧客タグの自動付与は、Shopify ストアの成長とともに加速する顧客管理の課題 を一気に解決してくれる強力な手段です。ぜひ、アプリの活用を検討してみてください。きっと、より効率的かつ戦略的 なストア運営を実現できるはずです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。今後の Shopify 運営にお役立ていただけますと幸いです。
参考記事
今回は、以下の記事を参考にしています。