序
Power Automate で「メールを受信したら SharePoint リストに登録する」というフローは、字面だけを見れば簡単そうに見えます。しかし、実際は、箇条書きや問い合わせ内容、期日など、欲しい情報だけをきれいに取り出してくれる標準機能は、現時点では用意されていません。
そこで登場するのが AI Builder のカスタムプロンプトです。AI に必要な情報だけを取り出すようあらかじめ設定しておくことで、標準機能では分解しきれなかったメール本文を「リストとして扱える粒度」に変換できます。
この記事では、「標準機能だけだとメール本文の扱いに限界がある」というところから出発し、AI Builder のカスタムプロンプトを Power Automate から呼び出して、メール本文をリスト化する仕組みを作る手順を紹介していきます。
フロー全体図
AI Builder の作成
Power Automate から、プロンプトタブを開き、独自のプロンプトを作成する というパネルをクリックします。
次の画像を参考に、①名前を変更したら、②コンテンツを追加し、③テキストを選択します。
テキストをクリックしたら、次の画像のように「名前」を付けて「サンプルデータ」にメール本文を貼り付けます。
サンプルデータを貼り付けたら、どのような情報を抽出するのか指示文を書きます。箇条書きで項目を指定すると安定する傾向があります。
指示文を書き終えたら、画面右手の「出力」と書かれている場所をクリックし、{ } JSON をクリックします。この設定を行うことでリストにデータを保存しやすくなります。
以上の設定を終えたら、テストをクリックします。この時、必要なデータが抽出できない場合は適宜指示文を書き換えて対応します。
SharePoint リスト作成
データを保存しておく SharePoint リストを作成します。今回はすべて「一行テキスト」で作成しています。
Power Automate のフロー作成
自動化したクラウドフローを構築する から、新しいメールが届いた時(V3)をトリガーにしたフローを作成します。
トリガーの設定が完了したら、リスト化する対象のメールを受信しているフォルダを選択します。あらかじめ振り分けをしておくことが重要です。
あらかじめ作成しておいた AI Builder を呼び出します。「プロンプトを実行する」 アクションを選択し、次の画像を参考に設定します。
最後に、SharePoint リストにデータを保存するために 「項目の作成」 アクションを配置し、次の画像のように設定することで作業完了です。
SharePoint リスト側の列のデータ型と、AI Builder で抽出した値のデータ型が一致していない場合、エラーを吐く場合があります。データ型を変換した上でリストへの保存を行うか、あるいは(直接 SharePoint リストを編集したり追加入力したりすることがなければ)そもそもリストの列の設定時に「選択肢」や「ユーザー」といった特殊な列を使用せず「文字列」や「数値」にしておくことでフローを単純化できます。
結
AI Builder のカスタムプロンプトを Power Automate に組み込み、本文から欲しい情報だけを抽出して SharePoint リストに落とし込めるようになれば;
- 問い合わせ管理
- 社内依頼のトラッキング
- 対応履歴の見える化
- 定型的なメール配信
といった業務を自動化できるようになります。「メール本文をどう扱うか」でこれまで妥協していたフローも、アクションを1つ挟むだけで簡単に作成できます。当記事がそういった業務改善の手助けとなれば幸いです。











