1
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

第3回|ストレージ逼迫・ディスク高負荷でIBM iが遅いときの切り分けについて

1
Last updated at Posted at 2026-09-13

はじめに

IBM iの性能障害では、CPUやプールだけでなく、ストレージ容量とディスクI/Oも重要な確認ポイントです。ただし、『システム ASP使用率が高い』ことと『ディスクI/Oが高い』ことは別の問題です。容量の余裕とI/O性能を分けて考えないと、不要な削除や誤った原因判断につながります。
本記事では、システム ASP逼迫時に何を調べるか、WRKDSKSTS でディスク高負荷を見つけた後にどう原因ジョブへつなげるか、さらにハードウェア側まで疑う場合の流れを整理します。


1. 容量逼迫とI/O高負荷は別物

WRKSYSSTS

まずシステム ASP使用率を確認します。システム ASPは保存領域の使用状況を見る指標です。一方、ディスクがどれだけ忙しく動いているかは WRKDSKSTS などで確認します。

  • 容量の問題:システム ASP 95%に近づいている
  • I/Oの問題:システム ASP 70%でもDisk I/Oが集中している

つまり、ASPに空きがあるからディスク性能に問題がないとは言えませんし、ASP使用率が高いから必ず性能が悪いとも限りません。最初にこの二つを分けることが重要です。


2. システム ASP逼迫時は『何を消すか』より『なぜ増えたか』

運用上は80%を超えたら増加傾向を確認、90%を超えたら容量確保を具体的に検討、95%付近では緊急度を高める、といった社内基準を設定すると監視しやすくなります。ただし、これらは一律のIBM公式障害判定値ではなく、調査開始の目安です。
例えば先週70%だったASPが今週85%になった場合、85%という現在値よりも、短期間で15ポイント増えたことの方が重要です。削除して空きを作っても、増加原因が残っていれば再び逼迫します。


3. ジャーナルレシーバーを確認する

WRKJRNRCV JRNRCV(*ALL/*ALL)

3-1.png

ジャーナルを利用しているシステムでは、ジャーナルレシーバーが容量を大きく使用することがあります。ただし、レシーバーはバックアップ、監査、レプリケーション、リカバリーなどの運用要件と関係するため、古いという理由だけで削除してはいけません。
容量逼迫時ほど『消せそうなもの』を探したくなりますが、ジャーナル運用を確認し、保存期間や削除手順に従って対応することが重要です。


5. IFSの増加を確認する

RTVDIRINF
PRTDIRINF
SBMJOB CMD(CALL PGM(QSRSRV) PARM("METRICS" '/' "EPFS"))

IFSを利用するアプリケーションでは、ログ、PDF、CSV、連携ファイル、一時ファイルなどが蓄積することがあります。ディレクトリー情報を取得し、どの階層が大きいかを段階的に絞り込みます。
例えば /app/log だけが急増している場合は、ログを削除して終わりではなく、ログローテーションの失敗、アプリケーションエラーによる大量出力など、増加した理由まで確認します。


6. ASPに余裕があるのに遅いならWRKDSKSTS

WRKDSKSTS

システム ASPに十分な空きがあるにもかかわらず処理が遅い場合は、ディスクI/Oを確認します。WRKDSKSTS では、装置ごとのBusy状況やRead/Write活動を確認し、全体が高いのか、一部装置だけが突出しているのかを見ます。
例えば多くの装置が20~30%程度なのに、一部だけ80%前後で推移している場合は、その偏りを調査対象にします。ただし瞬間的な値だけで判断せず、処理時間帯、バックアップ、大量バッチなどとの関係を確認します。


7. 『誰がI/Oを出しているか』を追う

WRKACTJOB
WRKSYSACT SEQ(*IO)
WRKJOB JOB(123456/USER/JOBNAME)

WRKDSKSTS でI/O高負荷が分かっても、原因ジョブまでは分かりません。WRKACTJOB で長時間ジョブや大量処理を確認し、利用可能な環境では WRKSYSACT SEQ(*IO) でI/O活動の大きいジョブ/タスクを絞ります。
候補を見つけたら WRKJOB でコールスタック、オープンファイル、ジョブログを確認します。CPU使用率が低いジョブでも、大量I/OやI/O待ちによって処理時間が長くなることがあるため、CPUだけで候補から外さないことが重要です。


9. ハードウェア障害の場合

DSPMSG QSYSOPR
WRKPRB
STRSST

3-2.png

一部装置だけが継続的に異常な挙動を示す、装置関連メッセージがある、ソフトウェア側の処理だけでは説明できない、といった場合はハードウェア側へ調査範囲を広げます。
QSYSOPR、問題ログを確認し、必要に応じて STRSST からプロダクト活動ログ(Product activity log)を確認します。性能低下時刻とPALのエントリー時刻、対象リソースが一致しているかを見ることで、ストレージ/ハードウェア側の問題を切り分けます。


10. 復旧済みならCollection Services

CHKPFRCOL
CRTPFRDTA FROMMGTCOL(ライブラリー/収集オブジェクト)

問い合わせ時に正常に戻っている場合、現在の WRKDSKSTS だけでは障害時のI/O状況は分かりません。Collection Servicesから障害時刻のCPU、Disk I/O、プール、ジョブ活動を確認し、平常時と比較します。


11. やってはいけない対応

  • 容量を空けるためだけに、用途不明のオブジェクトやIFSファイルを削除する
  • 古いという理由だけでジャーナルレシーバーを削除する
  • システム ASP使用率が高いことだけで性能低下の原因と断定する
  • WRKDSKSTS の瞬間値だけでディスク障害と判断する
  • CPU使用率が低いから性能問題ではないと結論付ける
  • STRSST で調査中に、確認目的ではない構成変更・初期化・回復操作を行う

第3回まとめ|現場での切り分けフロー

ストレージ関連の性能障害では、『容量』『I/O』『ハードウェア』を分けて考えることが重要です。最終的には、単に空き容量を作る、Busyを確認するだけでなく、なぜ容量が増えたのか、どの処理がI/Oを発生させたのかまで説明できる状態を目指します。


IBM i 運用・パフォーマンス障害切り分けチェックポイント(全4回)

第1回|パフォーマンス低下発生時の初動切り分けについて
第2回|メモリー・プールに起因するパフォーマンス低下の切り分けについて
第3回|ストレージ逼迫・ディスク高負荷でIBM iが遅いときの切り分けについて
第4回|パフォーマンス障害の事後分析と情報収集方法

1
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?