O'Reilly Japan - ユニコーン企業のひみつ
「アジャイルサムライ」 の著者、Jonathan Rasmusssonの本である。
「会社の文化を変えるのはてごわい仕事だ」。という。
感想
- アジャイルは今や普通。アジャイルの「とりあえず」次のステップ。
- ユニコーン企業 = Spotify、Amazon、Google など
- どうやってスケールさせているか
- どうやって組織化しているか
- どうやって権限を与えているか
- どうやって信頼しているか
- エンタープライズ企業 = 我らが勤め先、巨大で、動きが鈍く、変化の遅い企業。最も改善しがいのある存在
- ユニコーン企業にできて、あなたにできないことなんてない。
- Amazon書評の以下が印象的...
その中でも興味深いのは、Spotifyはスウェーデン企業であるために従来のアメリカのスタートアップとはカルチャーで異なる点に言及されていることです。合意形成を重んじるのは、より日本的なカルチャーであるように感じます。一方「ラーゴム」は明らかに日本ともアメリカとも異なります。とてもヨーロッパらしい文化ですね。
ともあれ、問題はプラクティスではなくカルチャーです。中途入社の人間をOJTと称して放置する日本企業にカルチャーもへったくれもないのが現状です。日本では教えてくれると思うな、いずれ慣れる、の自己責任論が主流ですが、欧米企業では入社後から手厚い教育・カルチャーフィットがあります。まずはカルチャーを定義するところから始めてみてはいかがでしょうか。
要点
1章 スタートアップはどこが違うのか
- スタートアップは「火星」から来た
- 存在が保証されていない
- 生か死か
- 未知
- 「学習する機械」
- エンタープライズ企業は「金星」から来た
- つまり別世界
- プロダクトの領域で競おうとしているのに、エンタープライズ企業がおかしがちな大きな過ちがある
- プロダクト開発を社内業務システム開発と同じように扱ってしまう
- チームに十分な自律性と信頼を与えない
エンタープライズ | スタートアップ |
---|---|
内向き | 外向き |
計画に従う | 学習する |
既存業務の自動化 | 新規プロダクト開発 |
未知が少ない | 未知が多い |
プロジェクト駆動 | プロダクト駆動 |
一回限り | リリースを重ねていく |
納期と予算 | 顧客とインパクト |
トップダウン | ボトムアップ |
弱い権限と信頼 | 強い権限と信頼 |
計画に忠実 | 計画を生み出す |
- 「期待に応じる機械」
- つまり、こういうことだ
-
- 成功を再定義する
-
- 学習とは何であるかを心得る
-
- 未知の状況でもうまくやっていける人材を探す
-
- 失敗してはいけないという思い込みを払拭する
-
- 権限を与え、信頼することで仕事をやり遂げる
-
- つまり、こういうことだ
- もしもプロジェクトがなかったら、あなたのソフトウェアのデリバリープロセスはどうなりますか?
- チームは、開発するプロダクトをどれくらい自由にできますか?
- チームが開発したプロダクトに戻って改善を加える頻度は?
- チームが開発したソフトウェアは誰がメンテナンスしますか?
- "Think Different"
2章 ミッションで目的を与える
- プロジェクトの問題点
- 帰還があまりにも短い
- フィードバックの機会がない
- あまりにも融通が利かない
- 力を奪う
- 間違ったことにフォーカスしている
- これが「ミッション」だ
- チームに与えられる抽象度の高い目標
- 仕事の方向づけ
- 目的の提供
- 長期的な視野
- どうやって果たすかはチームが決める
- チームに与えられる抽象度の高い目標
- ミッションはチームの自発性を高める
- ミッションは目的を意識させる
- ミッションは仕事そのものにフォーカスさせる
プロジェクト | ミッション |
---|---|
予算がある | チームの人数が予算 |
終わりがある | 期間に定めがない |
短期間 | 長期間 |
プロジェクトマネージャーがいる | プロジェクトマネージャーがいない |
開発だけして引き継ぐ | 開発もメンテナンスもする |
完成したら解散する | チームは一緒のまま |
計画にフォーカス | 顧客にフォーカス |
期待に応じることが価値 | インパクトが価値 |
トップダウン | ボトムアップ |
- ミッションの例
- 目的を与えよう
- あなたのチームにはミッションがありますか?
- もしあるなら、どんなミッションなのか把握していますか?
- ミッションは、チームの仕事のガイドとして重要な役割を担っていますか?
- 会社のみなさんが仕事について考える視点は長期的?短期的?
3章 スクワッドに権限を与える
- スクワッドとは?
- デリバリーするプロダクトの隅々まで全てに責任を持つメンバーが揃ったチーム
- スクワッドはどこが違うのか?
- スクワッドは自分たちで仕事を生み出す
- 自分たちで作ったものをメンテナンスする
- 自分たちで優先順位をつける
- 計画よりもインパクトを重視する
- 準備ができ次第リリースする
- 自立している
- 手を動かす人だけで編成される
- プロダクトマネージャー
- データサイエンティスト
- 分離されたアーキテクチャ
- 自律、権限、信頼
- 経営リーダーのためのヒント
- チームに発憤興起してもらおう
- チームに間違えてもらおう
- 「間違い」に備えよう
- 楽しい名前を選んでもらおう
- Q&A
- 独り立ちしている
- 責任をもつことを楽しめる
- 率先して行動する
- 自分の運命をコントトールしたい
- マイクロマネジメントが嫌い
- 継続的に学習している
- 失敗を恐れない
- 他人とのコラボレーションを好む
- 良きチームプレイヤーである
- 権限を与える
4章 トライブでスケールさせる
- スケーリングの課題
- スケーリングの原則
- Tribe トライブ、Chapter チャプター、Guild ギルド
- トライブ
- チャプター
- ギルド
- どこで働きたい?
- 意思決定をできるだけ現場に任せる
- Q&A
- 本来は、あなたのチームが定期的にやり取りすべきなのに、今現在そうしていないグループは?
- 社内の人達はどうやってレベルアップしたり、スキルを向上させたりしていますか?
- もし魔法の杖があって、いますぐ社内の部署もチームもまるごと再編成できるとしたら、どんな組織編成にしますか?
- スケールは大きく、チームは小さく
5章 ベットで方向を揃える
- しおれた百の花
- カンパニーベットとは
- カンパニーベットの仕組み
- TOP BETS 例 (Spotifyの場合)
- Sony Playstation ← これを達成する
- Google Chromecast
- にっぽんじょうりく
- GDPR
- じょうじょうじゅんび
- TOP BETS 例 (Spotifyの場合)
- この働き方の見事なところ
- やり抜くためのコツ
- ベットに賭けろ
- あなたの会社ではどうやって優先事項を決めていますか?
- 何を優先すべきなのかを会社のみんなは把握していますか?
- あなたの会社での次四半期の優先事項トップ3は?
- 優先事項はメンバーにどうやって伝わりますか?
- あなたのチームが一丸となって協力することを拒んでいるものは?
6章 テック企業で働くということ
- フラット化する世界
- 「何をすべきかを指示するつもりはないよ」
- お金の使い方が違う
- 「信頼してないの?」
- 自分のマシンに管理者権限でアクセスできない
- 特定のウェブサイトの閲覧がブロックされている
- ソーシャルメディアへのアクセスが拒否される
- 自己裁量で使える経費がない
- 開発作業中にウイルススキャンが強制実行されて生産性が無になる
- すべての情報は基本的にオープン
- 「手伝おうか?」
- テック企業流の人の動かし方
- とても自律している
- とても自由度が高い
- 責任は重い
- 何をすべきかを直接指示する人はいない
- すべての情報は基本的にオープン
7章 生産性向上に投資する
- プロダクティビティスクワッドを編成する
- セルフサービスモデルを採用する
- ハックウィークを開催する
- ちょうどMercari社の記事: Mercari HACK WEEKのつくり方 | メルカリエンジニアリング
- 技術に明るいプロダクトオーナーを活用する
- 品質に高い期待を持つ
- 社内オープンソースを活用する
- あらゆるレベルでの継続的な改善
- フィーチャーフラグを活用する
- リリーストレインでリリースする
- 技術を「一級市民」として扱う
8章 データから学ぶ
- どこにでもデータがある
- プロダクトを計測する
- A/Bテストで実験する
- データを活用する
9章 文化によって強くなる
- 会社が違えば文化も違う
- Apple
- Google
- エンジニアリング
- facebook
- プロダクトのリリース
- Amazon
- 顧客第一
- Spotify
- 音楽
- Netflix
- スポーツチーム
- Pixar
- 物語
- Spotifyの文化
- 慎重で思慮深い要件収集よりも、学習と実行のスピードを重視する
- 良い文化ってどんな感じ?
- 核となる信念
- 行動は言葉に勝る
- スウェーデンっぽさ
- 文化が重要
10章 レベルを上げる:ゆきてかえりし物語
- 目的で動機づける
- 私がここで働いている理由は、
- 我々が取り組んでいるのは、
- この仕事が重要な理由は、
- 「このまま一生、砂糖水を売って過ごすのか?」
- 思考は戦略的に、行動は局所的に
- プロジェクトではなくチームに投資する
- 技術を「一級市民」として扱う
- もっとスタートアップみたいに振る舞う
- 自律した小さなチームとともに
- コンテキストもあわせて取り入れる
- 率先垂範のリーダーシップ
- 権限を与え、信頼する
- 「言い訳」を取り除く
- すごい仕事をしていない「言い訳」は何?
- その「言い訳」をなくすのに必要なものは?
- もし「言い訳」が取り除かれたとしたら、あなたやあなたのチームはどうしますか?
参考
[読書記録]ユニコーン企業の秘密 | KZK_MAEDA's Blog
世界は進んでる、勇気が出てくる「ユニコーン企業のひみつ」 - Qiita
「ユニコーン企業のひみつ」を知った人たち - Qiita
Spotifyの開発文化とスクラムの比較 - Qiita
以上です~