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成功する「ハッカソン」のつくりかた ― 地方大学 × 学生向け 編 ―

Last updated at Posted at 2025-06-20

地方大学で学生向けハッカソンを開催し、参加者・大学・企業が一体となって地域を盛り上げる——そのために必要な準備と運営ポイントをまとめました。

1. 企画フェーズ:まずは“調査”と“目的”を固める

1-1. 世の中のハッカソンをリサーチ

観点 チェックポイント
開催形式 オンライン / オフライン / ハイブリッド
時期 平日 / 週末 / 長期休暇
対象者 大学生 / 高校生 / 高専生 / 未成年可否
賞金相場 金額帯・副賞の有無
交通費・宿泊費 全額支給 / 一部補助 / 自己負担
食事提供 回数・内容・アレルギー対応
成果物の知財 参加チーム帰属 / 主催者帰属 / 共同所有
規約・同意書 権利・免責・未成年同意欄
メディア取材 可否・撮影範囲・SNS拡散ポリシー
審査方法 点数方式 / 投票方式(例:Borda Count)

世の中には本当にたくさんのハッカソンが存在します。今回のテーマは「地方」と「学生」です。特に「学生」の場合、どこまで「教育」と絡めるのか、また、いかに、「就活」要素を排除していくのかが、ポイントになると思います。全体として企業のエゴが前面に出すぎないような配慮が必要になります。そのような観点をふまえ、まずは、どのようなハッカソンが開催されているのか調査することからスタートします。

1-2. ハッカソンの“目的”を言語化

  • 地方開催:地方都市にエンジニアを呼び込み、交流人口を増やす
  • 企業カルチャー発信:企業と学生が直接触れ合い、相互理解を深める
  • 地域課題の顕在化と解決:技術を通じて地元の悩みを学生が解決
  • 教育機関 × 企業 × 学生の連携:産学連携を体感し、将来のキャリアを考えるきっかけに

今は世界中がオンラインでつながり、どこにいてもオンラインイベントに参加できます。知りたい情報もほとんどが入手することができます。
情報格差はなくなってきていますが、一方で、体験格差 は広がってしまっていると思います。ハッカソンのリアルイベントもほとんどが主要都市、地方でも大都市に限られています。
私たちは「リアル」を体験できる場を地方の学生の届けたい、最新の技術だけでなく、社会人がどのように働いているのか、その人柄はどんな感じなのかを届ける場として「ハッカソン」を捉えています。

ハッカソンは、もちろん主役は学生、そして開催する自治体や大学、そして協賛する企業が揃って初めて成り立つイベントです。それぞれのプレイヤーがどのような課題を抱えて関係していくるのか、以下のようなキーワードを考えながら、共通のゴールを見つけていきます。

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2. ブランド設計:名前・ロゴ・タグで“世界観”をつくる

2-1. ハッカソン名

  • 例)HACK WITH
    • イベント感を高め、グッズやハッシュタグと連動
    • 商標取得を検討し、継続開催時にも使えるように

ハッカソンの名称はまず参加希望者が目にする大切な情報です。
アイキャッチな名称とともに、その名称に込められた想いをきちんと言語化します。

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2-2. ロゴ

  • 例)HACK-chan をモチーフにしたキャラクター+文字ロゴ
  • アイキャッチ効果が高く、SNS展開・グッズ化にも活用
  • 最終デザイン確定後に商標(意匠)登録手続き

ロゴやキャラクターも重要です。イベントに一体感を持たせるために、Tシャツなどを制作することがあると思います。その際にも、キャラクターがあると、とても可愛らしくなります。

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2-3. Web & SNS

コンテンツ 目的
LP(ランディングページ) イベント概要・FAQ・問い合わせ
ハッシュタグ 例:#HACKWITH——投稿を横串で可視化
公式SNSアカウント 告知・ライブ更新・アーカイブ共有

イベントの告知はとても重要です。そもそも学生が普段どこで情報を入手しているのか。ビジネスの世界とは異なるところも多いです。大学のキャンパス内の掲示板や、地域の教育機関の連絡網などがある場合がほとんどです。そのような、通常では知りえない媒体についても、ハッカソンの窓口となっている教育機関の方に聞いてみましょう。

問合わせはできる限り個人情報を取り扱わない方法を検討し、
もし個人情報を取り扱う場合は、その取り扱いを専門とする体制で実施します。


3. 日程 & 会場:いつ・どこで開催するか

3-1. 日程選定

  • 標準:金曜夕方〜日曜の3日間
  • 長期休暇:平日開催も可
  • 遠方参加者:前後泊を考慮し、ホテルを手配

大学によっては金曜日の午後に実験が行われていたりして夕方からの実施が難しかったり、会場となる(参加者の多くが在籍する)大学によって予定が大きく異なりますので、事前確認が必要です。
春休み、夏休み、秋休みなどの長期休暇のタイミングで実施する場合は、予定の自由度が高い一方、企業側のメンバーが参加しづらかったり、学生がバイトや旅行やインターンなどの予定を立ててしまっている可能性があります。
遠方からの参加者もいるため、さまざまな考慮が必要になりますが、一番参加して欲しいターゲットを明確にして、日程を決めましょう。
私たちの場合は、「会場を提供してくれる大学の学生に一番優先的に参加して欲しいが、その学生のみでなく、近隣の学生にも参加して欲しい」と決め、その条件を満たしやすい日程を選んでいます。

3-2. 会場選び(大学推奨)

基本的には協賛いただく大学を会場にするのがベストです。
ただし、大学の会場も用途によって、無償にできる場合、有償になってしまう場合がありますので、提供いただける大学側の条件に寄り添う形で、必要に応じて、企業色やリクルーティング色を薄めていく必要があります。
大学開催の場合は、その大学の学生はもちろん、他の地域から参加する学生にとっても、他の大学のキャンパスに入れるということで、安心感やモチベーションにも繋がります。

設備としては以下のような環境があるのか、事前確認します。
ハッカソン会場と食事・懇親会会場、運営の控室は別に分かれているのがベストです。

必須設備 補足
50人以上収容 & 可動テーブル 感染症対策なら実際の参加者の倍のキャパを持つ会場
大型モニタ + サブモニタ 参加者の全席から見える配置
マイク & スピーカー ピンマイクもあると便利
ゲストWi-Fi 同時接続数を確認
控え室・飲食可スペース 懇親会 / ランチセッション用
冷蔵庫・給湯器 ドリンク保管・カップ麺対策
脚立 集合写真用
その他 大量のごみの処理方法

ポイント:大学の教授(OB/OGがいるとベター)を窓口に、
稟議・空調・飲食許可などを早めに調整。

大学の会場を借りる場合は、学内の稟議が必要になるケースがほとんどですので、その作文を含めて、余裕をもって会場確保を進めます。学内稟議の実施タイミング(月1回などのケースもあります)を逃すと全体スケジュールが一気にスライドしてしまいますので、注意が必要です。

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実際のファシリティは現地確認しておくのがベストです。
リモート会議では、さまざまな認識違いがある可能性がありますので、
必ず現地の確認をするように心がけましょう。
また、実際に一度顔合わせをしておくと、その後の運営準備もスムーズになります。
人と人との繋がりを大切にするハッカソンなので、運営においても、その繋がりを大事にしましょう。


4. 協賛プランニング

4-1. 協賛形態

  • 会場提供金銭支援クラウド環境飲食/宿泊 など
  • 1業種1社ポリシーで調整しやすく
  • 教育機関名を明記 → 学生が安心して参加

協賛に大学名が入っていると、学生も「安心して参加できる」というアンケート結果があります。金銭面での支援だけでなく、会場や、飲食、宿泊のみなど、支援の形はさまざまです。特に地元の企業や、その地方に支社を持つ企業などに声掛けをしてみましょう。
また、主催&協賛という形式が良いのか、複数社の共催なのかにも注意をします。例えば地元新聞などに記事として掲載される場合、基本は文字数制限などから、名前が挙がるのは主催企業名だけになります。メディアへの企業名の露出を目論んでいる協賛企業については、連名の仕方には留意が必要です。
飲料や食品メーカーの場合は、ハッカソン期間中に自由に飲食できる商品を提供いただくこともあります。

4-2. 協賛メリット資料

切り口 具体例
露出 プレスリリース・会場バナー・SNS投稿
採用 優秀学生へのアプローチ、ランチセッション
事業連携 学生のアイデア/プロトタイプを事業化
働き方 運営への参加による従業員のモチベーション向上

協賛の呼びかけ用の資料を作成します。ハッカソンのビジョンはもちろん、協賛企業のメリットをまとめます。ハッカソン運営に協賛企業の方にも入っていただき、学生との交流を通じて、企業へのエンゲージメント向上や従業員のモチベーション向上に繋げていただくことも可としています。(実際に、一緒に運営に入っていいただくケースが多く、アンケート結果でも、ハッカソンに参加して良かったという声を多くいただいています。)

開催期間中、ランチセッションとして、参加学生にはお弁当を食べてもらいながら、協賛いただいた各企業が20分枠で自由に話をできる枠を設けています。企業紹介やリクルーティングなど、内容は自由で、また、セッションの後に、その企業から自由にノベルティを提供できる形式としています。


5. 参加者ガイドライン

5-1. 参加資格 & チーム編成

  • 対象:大学院生・大学生・高専生・高校生
  • チーム:2〜5名(個人応募者は運営でマッチング)
  • 上限:最大10チーム(発表時間を考慮)

私たちのハッカソンでは、「仲間と一緒にプロダクト開発する」ことを大事にしているため、個人で開発することは認めていません。そのあたりは、ハッカソンの理念に合わせたルール設定が必要です。一方で、個人で参加することは認めていて、個人で参加する学生は、同じように個人で参加する学生どうしを運営側でマッチングしています。

また、参加総人数ではなく、参加チーム数で上限を決めています。発表時間は1チーム5分でも、10チームで50分となり、ハッカソン全体の時間に占める割合が大きくなります。
賞金については、チーム人数に関わらず同額としています。(例えば10万円の場合、2名でも10万円、5名でも10万円)

欠員発生時の対応例

ケース 例示対応
1〜2名に減少 そのまま挑戦 or 他チームと統合
統合時の賞金減少 取り分保証のため運営が追加賞金を用意

さまざまな理由で、当日学生が参加できなくなる場合があります。
特に個人参加者の連合チームの場合、結果として1名になってしまうケースがあります。
その場合は、他のチームに統合する形をとります。その際、どうしても、1チームが6名以上になってしまうこともあります。その場合、そのチームが受賞した場合は、最低取り分の金額を保証するために増額をしています。(例えば10万円の場合、5名であれば1人2万円もらえたことになります。そのため、そのチームが受賞した場合は、12万円に増額し、1人2万円もらえるように調整をします。)

5-2. 交通費・宿泊

  • 交通費:原則自己負担
  • 宿泊:市外参加者は運営がホテル手配・朝晩引率

交通費については自己負担をお願いしています。結果として交通費の方が高くなるケースもありますが、遠方から参加する学生も、その地域の旅行を兼ねていたり、企業や地元大学との交流に価値を見出して参加しているケースがほとんどです。

一方で、宿泊施設の宿泊代は運営側で負担しています。
開催会場の学生でも市外からの通学など、地方は時間をかけて通学している人も多いため、希望者には宿泊施設を提供しています。
また、地方は車で通学というケースもあるため、一律に市内・市外という条件で宿泊場所を提供するのではなく、募集時にアンケートで意思を確認します。

なお地方大学の場合、大学近郊の宿泊施設が限られていることがあります。また、宿泊者の人数も募集開始前ではわからないため、宿泊施設に個別に連絡し、運営分を含めて、まとまった規模で部屋を確保しておく必要があります。

5-3. 保険 & 緊急対応

  • 食事提供・怪我・災害に対応した保険へ加入
  • 近隣医療機関をリスト化、学生に保険証携帯を周知
  • 大規模災害時の中止/延期基準を明記

ハッカソンイベント期間中にはさまざまなトラブルが考えられます。大学施設の一部を汚したり壊してしまったり、提供した食べ物が原因で食中毒を起こしてしまったり、宿泊場所と会場との間の移動での交通事故など、考慮しなければならないことはたくさんあります。
万が一に備えて、イベント保険に加入します。一日単位で入れますので、期間中全日程分の加入をお勧めします。補償内容についても、事前にしっかりと確認しておきましょう。

また、震災や感染症など、いつ何が起こるかわからないため、中止や判断基準は事前に明確にしておき、参加者にも連絡をしておきます。まず何より参加者の安全が第一となりますので、少しでもリスクがある場合には、中止する、延期する決断をしましょう。

6. 課題設定 & 事前勉強会

  1. 地域課題ヒアリング:地元教授や農家・商工会へ依頼
  2. 課題公開タイミング:概要は事前、詳細は当日発表
  3. 事前勉強会
    • 採用クラウドのハンズオン×2回
    • e-Learning 環境を協賛企業が提供
  4. 課題体験バスツアー:実際に地元の課題を目で見て感じる

ハッカソンの課題設定がもっとも大事です。AIを使えば何でもよい、社会課題を解決すればなんでも良い、という形にすると、いわゆる「プロのハッカソンチーム」がいて、すでに普段から取り組んでいるアプリを持ち込むケースがあります。
また、「社会課題」をテーマにします、というのは聞こえが良いですが、高齢者見守りや、場所とコトとのマッチングや、ごみの分別、インバウンド招致による地域活性化など、よくあるテーマで開発をするチームばかりになります。なぜその地域でハッカソンを実施するのか。 テーマについても地産地消であるべきです。

私たちは課題設定をする場合、以下のようなアプローチをとっています。

  • 会場提供大学の中で地域課題に詳しい教職員を紹介していただく
  • その教職員を通じて地元で課題に直面している人の紹介をしていただく

何度か事前打ち合わせを実施して、より解像度の高い「その地域の社会課題」を明確にしていきます。大学教授の講義を聴講させていただくこともあります。

ハッカソンでは情報の公平性も重要になります。おおまかなテーマは事前に発表しますが、具体的な課題はハッカソン当日に発表します。また、その課題について参加者は詳細を知らないわけですから、実際に目で見て感じてもらうため、私たちのハッカソンでは「課題体験バスツアー」を実施します。実際に会場の大学からスタートして、いくかの課題の現場を見学し、その当事者とコミュニケーションをします。遠方から参加する学生にとっても、せっかくハッカソンに参加したのに大学の教室とホテルだけ過ごしていました、というのはもったいないです。その地域の景色や空気を感じてもらう意味も兼ねて、ハッカソンの一番最初にバスツアー(フィールドサーチ)を企画しています。
また、ハッカソン期間中は、これらの課題を抱える関係者にslackなどSNSを通じて自由に質問できるようにしています。最終発表には、これらの関係者にも可能であれば参加いただきます。

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バスツアーのバスについても、地元の観光協会などに依頼して手配してもらいます。

ハッカソンでは何らかのクラウド環境を利用すると思います。初めてクラウドサービスを利用する人もいると思いますので、オンラインで1h~2h程度の勉強会を開催します。特定のクラウドに限定して開催する場合は、そのクラウド事業者に声掛けをして勉強会を実施してもらい、スポンサーにもなっていただくのも良いかも知れません。

あくまで運営側としてクラウド環境を提供するのであって、参加者が環境を持ち込む場合はそれを認めています。そのあたりのルール(環境提供の有無、環境を持ち込んだ場合の利用費は参加者負担であること、等)もしっかり決めておく必要があります。

7. 告知〜申し込みフロー

いよいよイベントの告知です。

  1. 告知開始(申込開始日時の告知)
  2. フォーム公開&申込開始
  3. 定員到達 or 申込期間終了
  4. 参加者確定通知・同意書ダウンロード

申込のフォームには、個人情報ポリシーを明示します。
また、「申込されていますか?」という問い合わせを防止するため、確認メールは自動送信にします。
参加者を先着にするのか、抽選にするのかも悩みどころですが、私たちは抽選にしています。
実際、全国の学生が参加応募することもありますし、ハッカソン告知してから、学生は仲間に声掛けをしてチーム編成をしていきます。その準備期間が短かったり、申込開始時間がちょうど講義の時間だったりすると、申し込みができないケースがあります。
先着にした回では、1時間ほどですべての参加者枠が埋まってしまいました。そうすると、「追加応募はありますか?」とか、「仮メンバーで申し込んだのでメンバー変更できますか?」といった問い合わせに忙殺されてしまいます。
参加者にとっても、運営側にとっても、抽選で決定するのが良いと思います。会場大学にもよりますが、自分たちの大学の学生の参加を半分くらいにしたい、といった意向を持っている場合もありますので、応募者の状況を見ながら、参加確定者を決めていくことも大事です。

また、参加者にはイベント当日同意書にサインをしてもらいます。具体的には、アウトプットの権利や、イベントで撮影した内容がメディアや自社媒体、外部セミナーなどで公開される可能性があることへの同意。保険加入についても言及します。また、高校生や高専生を参加者に加える場合、学生が未成年の場合がありますので、その場合は保護者のサインを求めます。

8. グッズ & 物品手配

参加者も確定したら、当日に向けて手配をしていきます。

アイテム 目的
Tシャツ 一体感演出(サイズ M/L/LL)
トートバッグ 物品持ち帰り+宣伝効果
景品 ギフトカード+ラッピング箱
ノベルティ 協賛企業からの各種ノベルティ
アイスブレイク用小物 文具・メジャー 等
飲食 懇親会・昼食弁当・お菓子・ドリンク
エナジードリンク 眠気対策

一体感演出のために、Tシャツやトートバックなどは欠かせません。
ハッカソンイベント会場内の移動や、協賛企業のノベルティを持ち帰るためにもトートバックはとても便利です。
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会場でのドリンクや、昼食や懇親会では、地元の有名なお弁当屋さんなどを教えていただき、遠方から来た学生も、地元の名産が食べられるように工夫をします。

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ハッカソン期間中はチームによっては徹夜をしながら、開発をする場合もあります。
眠気と闘いながらプロダクトアウトしている学生を、100%支援しましょう。

協賛各社からのノベルティや、ハッカソン運営に必要な小物については、大学に迷惑がかからないように担当窓口に数日前に届くよう、配慮しましょう。
参加人数にもよりますが、段ボールで10箱を超えるような規模になります。

9. 当日運営チェックリスト

ハッカソン当日、開始までに必要な準備です。

アイテム 目的
荷物受け取り 事前発送分を大学で受領
案内掲示 大学入口〜会場まで誘導ポスター
受付 1時間前オープン、同意書回収・予備紙用意
進行スライド SNS・Wi-Fi情報・緊急連絡先を明示
タイムキーパー 発表・セッション全てでベル運用
写真・動画撮影 広報素材と振り返り用に必須
ゴミ分別 地域ルールを事前確認、業者手配

当日、会場の大学の学生は問題ありませんが、遠方から参加する学生にとっては、知らない大学は迷宮そのものです。入口からイベント会場までの案内を丁寧にしましょう。

また、あくまで大学は教育機関です。他の学生に迷惑をかけないように配慮するのはもちろんのこと、学長などの責任者に挨拶ができる場合は、イベント前にぜひコミュニケーションをとっておきましょう。

10.ハッカソンスケジュール例

実際のハッカソンのスケジュール例です。(※時間は参加学生の拘束時間)
条件によって全く異なりますので、あくまで参考の1つとなります。

9-1. Day 1(15:00-21:00)

時間 コンテンツ
14:00 受付開始
15:00 開会・概要説明
15:20 アイスブレイク(ペーパータワー)
15:50 地域課題発表・フィールドリサーチ
19:00 価値探索セッション(デザインリサーチとは?)
20:00 懇親会 & スポンサー紹介
21:00 宿泊学生引率 → ホテルチェックイン

9-2. Day 2(09:00-18:00)

時間 コンテンツ
09:00 朝礼・流れ確認
11:00 アイデア発表(5分×各チーム)
12:00 ランチセッション(20min × 3社)
13:00 開発ワーク
15:00 おやつタイム(エナジードリンク)
17:00 中間発表(5分×各チーム)
18:00 終礼・ホテル引率

9-3. Day 3(09:00-16:00)

時間 コンテンツ
09:00 朝礼・最終追い込み
12:00 ランチセッション(20min × 3社)
14:00 最終発表(7分+質疑3分)
15:30 集計・表彰・記念撮影
16:00 解散・撤収開始
17:00 運営完全撤収

11.終了後のフォローアップ

ハッカソンが無事終了。その後のフォローアップも大事です。

メディア向け資料

地元紙などから取材を受ける場合、優勝作品や優勝チームの写真などを新聞社に提供します。個別インタビューをしたい、という新聞社もありますので、その場合は優勝チームに対して取材がある旨を連絡します。(新聞社には代表者の連絡先を、本人合意の上、伝えます。)
イベント概要の資料も準備しておき、取材があった場合にはすぐに手渡しできるようにします。
特に優勝チームが地元大学の場合、地元紙や地方版で記事になる可能性は高くなりますので、しかりと宣伝してもらいましょう。

協賛企業へ御礼 & インタビュー

協賛企業には速報ベースでイベントの報告と、アンケート結果をフィードバックします。ランチセッションや運営で参加していただいた方がいた場合は、その感想についてインタビューし、次回以降のイベント改善に繋げます。
協賛企業内でも出資をしているので、成果としてのレポートを必要としているケースがほとんどです。社内報告に使える素材はすぐに共有しましょう。

アンケート集計 → KPT振り返り

イベントの振り返り(KPT)は必須です。「Keep(成果が出ているので継続すること)」「Problem(問題があり改善が必要なこと)」「Try(新しく取り組むべきこと)」を整理し、改善に繋げましょう。また、参加学生からの声は宝の山です。企業側とは異なる視点で、率直な意見がたくさん得られますので、イベントの事後でも良いのでアンケートをしっかりと実施しましょう。

実施報告書:収支・成果・次回改善点を経営層へ

イベントの収支や効果(記事掲載や実際のアウトプット)について経営層に報告します。決して少なくない投資となりますので、期待値に合った活動となっているのか、毎回実施後に話し合う必要があります。その際、ハッカソンの主目的を忘れることなく、視座高く報告、議論しましょう。

参考(ハッカソンの役割)

ロール 主なタスク
PM 企画全体・ステークホルダー調整
協賛営業 企業交渉・資料作成
財務 請求・支払・収支管理
大学OB/OG 教授窓口・会場調整
進行リーダー 当日スケジュール統括
タイムキーパー 進行時間管理
技術サポーター クラウド・開発相談対応
飲食&交通 食事・お菓子・タクシー手配
宿泊リーダー 学生ホテル手配・引率
企業セッションMC ランチセッション司会

技術サポーターの存在は重要です。
私たちのハッカソンでは、ハッカソン期間中、エンジニアが会場に常駐していて、質問があればいつでも聞けるようにしています。ただし、開発行為に加わることはありません。あくまでアドバイスです。
技術サポーターは企業のエンジニアの顔にもなります。その人となりや振る舞いは、学生にとっては、将来の自分の姿をイメージするものになり得ます。また、企業風土がわかる上でも学生にとって貴重な経験になります。技術サポーターは、積極的に学生に声掛けをして、コミュニケーションをしています。

まとめ

今回は、「学生向け」×「地方開催」というハッカソンを、どういう観点で準備しているかをまとめました。
ハッカソンの形式はオンラインであったり、技術テーマだったり、エンジニア向けであったり、さまざまな形式があります。
それぞれのハッカソンには、それぞれの良さがあります。

私たちが実践する、地方大学での学生向けハッカソンは、地域活性化・学生成長・企業PR の三方良しを目指しています。そして何より学生が主役で、3日間を存分に楽しんでもらっています。
本記事のフレームワークを土台に、大学のキャンパスがある街や地域課題のテーマに合わせてアレンジして、ぜひオリジナルのハッカソンを実現させてください。

まだまだ私たちも発展途上ではありますが、みなさまの活動の参考になれば幸いです。
疑問・フィードバックがあればコメントお待ちしています!

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