デフエンジニアの会アドベントカレンダーの記事です。
LeetCodeとは?コーディングのスキルアップから外資系面接対策まで
はじめに
最近、LeetCodeというプログラミング学習プラットフォームを知りました。
この記事では、LeetCodeとは何か、どうやって使うのか、そして効果的な活用方法について、初心者の視点からまとめてみます。
もし何か補足などあれば遠慮なく教えてください。
そして、皆さんがAtCorderとともにLeetCodeにも興味を持っていただけると幸いです。
LeetCodeとは?
LeetCodeは、アルゴリズムとデータ構造を学べるオンラインプラットフォームです。2011年に米シリコンバレーで誕生し、元々はコーディング面接対策として作られましたが、現在ではプログラミングスキル向上の総合的な学習ツールとして世界中で100万人以上のユーザーが利用しています。
主な特徴
- 2,500問以上の問題が用意されている
- 体系的にデータ構造とアルゴリズムを学べる構成
- 20種類以上のプログラミング言語に対応(Python、Java、C++、JavaScript、Rubyなど)
- 問題の難易度はEasy / Medium / Hardの3段階
- 実行速度とメモリ使用量が可視化され、他のユーザーとの比較が可能
- コードの効率性(時間計算量・空間計算量)を意識する訓練ができる
どんな人におすすめ?
| 対象 | 目的 |
|---|---|
| 現役エンジニア | 業務で効率的なコードを書けるようになりたい |
| アルゴリズム学習者 | データ構造とアルゴリズムを体系的に学びたい |
| 非情報系出身者 | コンピュータサイエンスの基礎知識を補いたい |
| プログラミング力を磨きたい方 | 言語の特性を深く理解したい |
| 頭の体操がしたい方 | 楽しみながらロジカルシンキングを鍛えたい |
| 面接対策をしたい方 | 外資系IT企業などの就職・転職を目指している |
(※1面接対策がしたい方、の詳細は下記に書いてあります。)
どうやって始めるの?登録から問題選択まで
アカウント登録
- LeetCode公式サイトにアクセス
- 以下のいずれかでアカウント作成
- メールアドレス、ユーザー名、パスワードで登録
- Google / GitHub / Facebook / LinkedInアカウントで連携登録
登録は完全無料で、約8割の問題が無料で利用できます。
最初の問題を選ぶ
初心者におすすめの問題選択方法:
方法1: 難易度でフィルター
- 「Problems」ページを開く
- 検索ボックスの右にある**フィルターアイコン(漏斗マーク)**をクリック
- 「Difficulty」で「Easy」を選択
- 必要に応じて「Status」で「Todo」(未解答)を選択
- 問題リストの上部で「Acceptance」(正答率)が高い順にソート
- 上から順に解いていく
方法2: 公式の学習プランを使う
-
LeetCode 75
- 75問の厳選問題
- 基礎から応用まで体系的に学べる
-
Top Interview 150
- 頻出問題150問
- ジャンル別に整理されている
問題を解く
問題画面の構成
| エリア | 内容 |
|---|---|
| 左側 | 問題文、制約条件、入出力例、ヒント |
| 右側 | コードエディタ(シンタックスハイライト対応) |
| 下部 | 「Run」(テスト実行)と「Submit」(提出)ボタン |
LeetCodeの大きな特徴
LeetCodeでは、標準入力を扱う必要がありません。関数が既に定義されていて、その中身を実装するだけで完結します。
# 例:2つの数値を足す問題
def twoSum(nums: List[int], target: int) -> List[int]:
# ここに実装を書く
pass
「面接対策」ってどういうこと?(※1)
LeetCodeが面接対策として使われる理由を話す前に、まずコーディング面接について説明します。
コーディング面接とは
多くの海外テック企業(Google、Amazon、Meta、Microsoftなど)や、国内のメガベンチャー企業では、採用選考の一環としてコーディング面接を実施しているところも多いです。
典型的なコーディング面接の流れ
-
面接官が問題を出題
- 例:「2つの配列から共通要素を見つけてください」
-
応募者が質問・確認
- 入力の範囲、重複の扱いなど
-
解法をホワイトボードやPC上でコーディング
- 面接官とコミュニケーションを取りながら
- コードを実行・デバッグ
-
計算量(時間・空間)を分析
- より効率的な解法があれば改善
面接時間は通常30〜60分程度で、この間に問題を理解し、解法を考え、コードを書き、説明する必要があります。
なぜLeetCodeが面接対策になるのか
1. 実際の面接問題が収録されている
LeetCodeには、GAFAMなどの企業で実際に出題された問題やそれに類似した問題が1,000問以上あります。有料プランでは企業別の頻出問題リストも確認できます。
2. 面接で問われるスキルが鍛えられる
- データ構造とアルゴリズムの知識
- 効率的な解法を考える力
- 計算量(O記法)の理解と分析
- 制限時間内に問題を解く力
3. 面接環境に近い形式
- 関数を実装する形式(標準入力の処理が不要)
- テストケースで動作確認
- 実行速度とメモリ使用量の可視化
日本の面接とは違うの?
日本の多くの企業では、従来型の面接(経歴確認、志望動機など)が中心ですが、技術力を重視する企業では以下のような選考があります。
| 選考形式 | 日本でよくあるパターン | 海外でよくあるパターン |
|---|---|---|
| コーディング | 事前課題として実装を提出もしくはその場でライブコーディング | その場でライブコーディング |
| 重視ポイント | 過去の開発経験について深掘り | 思考プロセスを説明しながら進める |
| 求められる水準 | 動作するコードの実装 | 動くだけでなく、効率的な解法を |
つまり、海外企業や外資系企業を目指す場合は、LeetCodeでの対策がほぼ必須となります。一方、日本企業でも技術力を重視する企業(メルカリ、LINEなど)では、類似の選考を行うことがあります。
面接対策をしない人にとっても意味がある理由
ここまで読んで「面接を受ける予定がないから関係ないかも」と思った方へ。実は面接問題として良質な問題が集まっているということは、エンジニアに必要な基礎力を効率的に学べるということでもあります。
面接で問われる内容 = 実務で役立つ基礎的なスキル
- 配列の効率的な操作
- データの検索・ソート
- グラフやツリー構造の理解
- 計算量を意識したコーディング
これらは面接だけでなく、日々の業務でも確実に活きてくるスキルです。
どんなことをするの?実際の学習内容
学べるアルゴリズムとデータ構造
LeetCodeで扱われる主なトピック:
| カテゴリ | 内容 |
|---|---|
| 基本データ構造 | 配列、文字列、スタック、キュー、連結リスト |
| 探索アルゴリズム | 線形探索、二分探索、幅優先探索(BFS)、深さ優先探索(DFS) |
| ソートアルゴリズム | クイックソート、マージソートなど |
| 高度なデータ構造 | 木構造、グラフ、ヒープ、トライ |
| 計算技法 | 動的計画法(DP)、貪欲法、バックトラック、ビット操作 |
| その他 | Two Pointers、スライディングウィンドウ、ハッシュテーブル、データベース問題 |
継続をサポートする仕組み
LeetCodeには、学習を続けやすくする様々な機能があります。
デイリーチャレンジ
- 毎日1問出題される
- 達成するとバッジやコインがもらえる
- 1ヶ月フルコンプリートすると特別なバッジが獲得できる
進捗の可視化
- GitHubのように、継続日数が可視化される
- 解いた問題数が難易度別に記録される
- 自分の成長が一目でわかる
コンテスト
- Weekly Contest:毎週開催
- Biweekly Contest:隔週開催
- ランキング戦でモチベーションアップ
AtCoderやほかのプラットフォームとの違いは?
AtCoderとの主な違い
| 項目 | LeetCode | AtCoder |
|---|---|---|
| 言語 | 英語(日本語なし) | 日本語 |
| 主な用途 | アルゴリズム学習・面接対策・スキルアップ | 競技プログラミング・アルゴリズム学習・スキルアップ |
| 入力方式 | 関数実装のみ(標準入力不要) | 標準入力を読み取って処理 |
| 問題の性質 | アルゴリズム問題 | アルゴリズム問題に加え、数学的・パズル的要素も強い |
| 難易度設定 | Easy / Medium / Hard | A〜F問題(ABCの場合) |
| コミュニティ | 世界中(中国人が約半数) | 日本人が中心 |
| 解説 | 英語・中国語が中心 | 日本語の解説記事が豊富 |
| レーティング | 問題数と正答数ベース | コンテストの成績でレート付与 |
どちらを選ぶべき?
LeetCodeがおすすめの人
- 外資系企業を目指している
- 英語のドキュメントに慣れたい
- データ構造とアルゴリズムを体系的に学びたい
- 標準入力の処理を書くのが面倒
AtCoderがおすすめの人
- 日本語で学習したい
- 競技プログラミング自体を楽しみたい
- レーティングシステムでモチベーションを維持したい
- 数学的思考力を鍛えたい
両方使うのもアリ!
実際、エンジニアの中には「基礎はLeetCode、応用はAtCoder」と使い分けている方もいるようです。LeetCodeでアルゴリズムの使い方を学び、AtCoderで問題解決力を磨くという組み合わせも効果的かもしれません。
LeetCodeの日本人ユーザー数は?
正確な統計は公開されていませんが、いくつかの情報から推測できます。
- コンテスト参加者のうち、**日本人は約3%**程度
- 半数以上が中国人、その他は世界中からの参加
- Qiitaの記事数で比較すると、AtCoder関連が圧倒的に多く、LeetCodeはまだニッチ
- 日本語の解説記事は少ないが、徐々に増えてきている
つまり、日本ではまだマイナーなプラットフォームです。しかし、だからこそ差別化要素になる可能性もあります。外資系企業を目指すなら、LeetCodeの経験は大きなアドバンテージになるでしょう。
LeetCodeの使いこなし方
初心者向けの学習ステップ
以下、初心者向けとして紹介されている学習ステップをまとめました。
Phase 1: 基礎固め(最初の1〜2週間)
| 目標 | 内容 |
|---|---|
| 問題数 | Easyの問題を20〜30問解く |
| 姿勢 | 分からなければ解説を見てもOK |
| 復習 | 同じ問題を後日もう一度解く |
Phase 2: パターン学習(1〜2ヶ月)
| 目標 | 内容 |
|---|---|
| 問題セット | 「LeetCode 75」や「Top Interview 150」を中心に解く |
| 学習方法 | トピック別に学習(例:今週はTwo Pointers集中) |
| 習得内容 | 各パターンの定石を身につける |
Phase 3: レベルアップ(3ヶ月〜)
| 目標 | 内容 |
|---|---|
| 難易度 | Mediumの問題に挑戦 |
| 時間管理 | 時間を計って解く(面接を想定) |
| コードレビュー | 他人のコードを読んで、より効率的な解法を学ぶ |
効率的な学習のコツ
1. 時間制限を設ける
- 分からない問題は20〜30分で見切りをつける
- 解説を読んで理解する方が効率的
- 無駄に悩む時間を減らす
2. 解説とディスカッションを活用
- 「Solution」タブで公式解説を読む
- 「Discuss」タブでコミュニティの解法を参照
- 複数の解法を比較して理解を深める
3. コードを書いて手を動かす
- 解説を読むだけでなく、必ず自分で実装する
- 言語の特性を活かした書き方を学ぶ
- 写経だけでなく、理解してから書く
4. 継続が力
- デイリーチャレンジを活用して習慣化
- 1日1問でも続けることが重要
- 完璧を目指さず、継続を優先
5. 計算量を意識する
- 実行速度とメモリ使用量の結果を確認
- O(n)、O(log n)などの時間計算量を考える癖をつける
- より効率的なアルゴリズムを常に探す
おすすめリソース
公式コンテンツ
- Explore / Learn:トピック別の体系的な学習コース
- LeetCode 75:厳選された75問
- Top Interview 150:頻出問題150問
外部リソース
- 「世界一流エンジニアの思考法」(牛尾剛著)
- MITのAlgorithm講座(YouTubeで無料公開)
- 「プログラミングコンテスト攻略のためのアルゴリズムとデータ構造」
有料プランは必要?
基本的には無料で十分です。有料プラン(Premium)の内容:
| プラン | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| Premium | 約4,000円 | 約19,000円 |
Premiumで使える機能
- 約2割の限定問題へのアクセス
- 企業別の頻出問題リスト
- 高速なジャッジ機能
- 模擬面接機能
まずは無料で始めて、本格的に使うなら検討しましょう。
まとめ:LeetCodeで得られるもの
LeetCodeを継続することで、面接対策に限らず、以下のような実践的なスキルアップが期待できます:
- アルゴリズムとデータ構造の理解が深まる
- 効率的なコードを書く習慣がつく(スパゲッティコードを減らせるかも!)
- 計算量を意識したコーディングができるようになる
- 業務コードの品質が向上する(より最適な解法を考える癖がつく)
- 英語の技術文書を読む力がつく
- プログラミング言語の理解が深まる(知らなかった機能や書き方を発見できる)
- 論理的思考力が鍛えられる
まとめ
LeetCodeはコーディング演習や外資系企業の面接対策だけでなく、AtCorderと同じく 「頭の体操」「スキルアップ」「楽しみながら学習」 といった目的で使っている人も多いようです。
実際の業務では使わないような高度なアルゴリズムでも、問題を解く過程で培われる 「効率的な解法を探す思考」 は、日々のコーディングに確実に活きてきます。
私もこれからLeetCode試してみるので、皆さんもぜひぜひいかがですか?
AtCorderも同時に!