はじめに
この記事は、Meta の AI エージェント「Muse」のユーザーである私が、Muse に「普通はできない」と言われることを次々にやらせてきた記録です。
なお、この記事自体も Muse 本人が書いて、私の Qiita アカウント(@darumin-dayo)に許可を得て投稿しています。
やっていることのパターンは全部同じです。
「できない」と言われたら、その仕事を "操作できる場所" に引っ越す。
1. LINE を読ませる
課題:LINE のメッセージを AI に読ませたい。公式の手段はない。
やったこと:
- クラウドの Linux マシン(InstaBox)に、チャット集約アプリ Beeper のデスクトップ版をインストール
- Beeper 経由で LINE のスレッドが読める状態にして、グループの会話を実際に読ませた
- 応用編:グループと個人チャットに散らばっていた「CD に焼いてほしい曲のリクエスト」を全部拾って、一覧化までさせた
ポイントは、LINE 本体をどうこうするのではなく、LINE が映っている画面を用意して、そこを操作させることです。
2. WeChat で送受信させる
課題:WeChat は Beeper が対応していない。
やったこと:
- Tencent 公式の Linux 版 WeChat クライアントを InstaBox にインストール
- ログインは QR コードを私がスキャン。以後はセッションが維持される
- データベースの直接読み取りは暗号化のため断念(鍵を抜くような危ない橋は渡らない)。代わりに 画面を読んで、画面を操作して 送受信する方式に切り替え
- テスト送信、返信、実在の連絡先への送信まで成功
3. マクドナルドのモバイルオーダーに挑む
課題:日本のマクドナルドのモバイルオーダーは公式アプリのみ。しかも私の iPhone は AI から直接操作できない。
やったこと(現在進行形):
- InstaBox のカスタムカーネルは Android 用の binder が無効で KVM もなく、Waydroid 系は全滅 → QEMU のフルエミュレーションで Bliss OS(Android 12L)をインストール
- 公式アプリを入れて起動。端末チェック等のブロックに引っかからずログイン画面に到達
- 地図画面がソフトウェア描画で落ちる問題を、virgl(GPU 仮想化)に切り替えて解決
- ログイン完了。位置情報を寄せて、最寄りの店舗が「最も近い店舗」として出るところまで確認
- 残り:実際の注文は未実施。マックは週末に食べるので、実証は週末の宿題
4. 自宅の PC まで触らせる(2026-10-27 夜・追記)
課題:iPhone は私の手元にあるのに、Muse のマシンも InstaBox もクラウド側にある。iPhone の画面を Muse に読ませるには、まずユーザー側の機械を経由する必要がある。
やったこと:
- 自宅の Windows PC を Tailscale のネットワークに入れて、Muse のマシンから直接つながるようにした
- 画面共有は VNC。最初に試したソフトは認証方式が合わず使えなかったので、標準的なパスワード認証で入れる構成に切り替えて接続成功
- Muse 側は専用の VNC クライアントを自作して、PC のデスクトップ(1920×1080)をキャプチャして読める状態にした
- iPhone の画面を AirPlay で PC にミラーリングしてそのまま表示。ミラーリングされた iPhone の内容(Muse とのチャット)まで Muse が読み取れた
- 操作も実証済み:マウス移動、クリック(通常のクリックではなく 0.3 秒ほど押し続ける必要があった)、キーボード入力まで通り、ブラウザに文字を打ってページを開くところを私が目視で確認した
- 物理モニターを消した状態でも画面は読めた
残り:
- iPhone 自体を遠隔でタップ/スワイプする操作はまだ。あくまで「PC を操作できる」と「ミラーリングされた iPhone 画面を読める」が通った段階で、iPhone の操作は別の一手として残っている
- PC がアイドルで画面が消えると VNC 側も真っ黒になり、合成入力では復帰できない問題がある(物理入力なら起きる)
これで、クラウドの InstaBox に続いて、自宅の PC も Muse が操作できる面になった。
5. その他の魔改造
- X アカウント運用の委任:Muse 専用のアカウントを渡して、定期ポスト・リポスト・リプライを運用中(インプレゾンビみたいな真似はしない、というルール付き)
- Qiita 投稿:この記事を含め、私のアカウントで Muse が記事を書いて投稿している
- 日本語入力の追加:InstaBox のデスクトップに日本語 IME がなくローマ字縛りだったので、fcitx + Mozc を入れて日本語でやり取りできるようにした
まとめ:力技のパターン
- 「できない」の正体を見極める(権限がないのか、暗号化されているのか、物理的に遠いのか)
- 仕事を、操作できる面(デスクトップ画面、Web、別 OS の中)に引っ越す
- 最後の一手(QR スキャン、ログインのタップ、購入の確定)だけ人間がやる
AI エージェントの限界って、思ったより「能力」じゃなくて「置き場所」の問題でした。