2026年10月27日 日本時間18時時点の情報です。料金はOpenAIとAnthropicの公式ページ、比較は各出典の公開データと投稿によります。
3行まとめ
- GPT-6.1 Terraの料金は100万トークンあたり入力1ドル、出力5ドルで、1つ上のGPT-6.1 Solの半額です。
- ただし1件の作業にかかる費用は、考える量の設定(effort)で大きく変わります。一番考えるmaxでは、Terraが書く量がSolより多く、絵1枚の費用はTerra 11.3セント、Sol 13.5セントとほぼ同じでした。バグ直しのテストでは、maxで105個中40.7個直し、1段下のxhighでは11.3個に落ちました。
- 10個のテストをまとめた総合指数では、低めの設定が費用の割に強い結果でした。3Dでは、Claudeより大幅に安く速かった例が1人の2回分ありました。難しいコードは公式もSolを勧めています。導入するなら、自社の作業で「完了1件あたりのコスト」を測ってから決めます。
一言でいうと何の話か
OpenAIは2026年10月26日、GPT-6.1 Terraを発表しました。ChatGPTのPlus、Pro、Enterprise、Eduプランと、OpenAIのコーディング用のAIツールCodex、API(プログラムからAIを呼び出す窓口)で使えます。OpenAIのモデルは安い順にLuna、Terra、Sol、Astraの4段階で、Terraは下から2番目です。速く返す有料の処理(Fast mode)を使うと料金は2倍の入力2ドル、出力10ドルになり、Solの通常料金と同じ数字です。Xでは「Terraは2ドル/10ドル」という数字も見かけますが、これはFast modeの料金とも、Solの通常料金とも同じ数字です。
公式の発表は、専門職の仕事を集めたテスト(Agents' Last Exam)で、Terraの1件あたりの費用が、AnthropicのAIであるClaude Opus 5.5の約9分の1だと書いています。この比較は両方を一番考える設定(max)にしたときのもので、費用は1.01ドルと8.82ドル(約8.7分の1)、点数はOpusが63.2%、Terraが60.0%でした。公式は同じ発表で「最も複雑なコーディングには、引き続きSolとAstraが適している」とも書いています。
先に知っておく言葉
トークンは、AIが文章を読み書きする単位です。単価は100万トークンあたりの値段で、料金表に載っている数字です。
1件の費用は「単価 × 使ったトークンの量」で決まります。単価が安くても、たくさん書けば高くなります。
effortは、AIが答える前にどれだけ考えるかの設定です。Terraは none、low、medium、high、xhigh、max の6段階で、指定しなければ medium です。上げるほど考える量と費用が増えます。
トークン効率は、同じ作業をどれだけ少ないトークンで終えるかです。公式の「Opusの約9分の1」は、単価が4分の1で、トークン効率が3倍超だから、という説明です。
比較に出てくるHaiku 5.5、Sonnet 5.5、Opus 5.5は、AnthropicのClaudeのモデルです。料金はHaikuが一番安く、Sonnet、Opusの順に高くなります。
1件の費用はeffortで変わる
Simon Willisonさんは「自転車に乗るペリカンのSVG(図のデータ)を描いて」という16トークンの同じ指示で、各モデル・各設定の絵を作り、書いた量と費用を表にしています。表は各設定1枚ずつで、費用は使った量と公表単価からの計算です。
| 設定 | Terra | Sol |
|---|---|---|
| low | 1,026トークン / 0.51セント | 2,100 / 2.10セント |
| medium | 1,860 / 0.93セント | 2,527 / 2.53セント |
| max | 22,629 / 11.32セント | 13,480 / 13.48セント |
low と medium では、TerraはSolより少なく書き、費用は low で約4分の1、medium で3分の1強です。max では、TerraがSolの約1.7倍書いたので、単価が半額でも費用はほぼ同じになりました。
AIモデルを同じ条件で測って公開しているArtificial Analysisも、10個のテストをまとめた総合指数では、Terraで「賢さの割に費用が安い」最前線に入るのは low と medium だけだと書いています。同じ記事のコーディングの指数では、最前線に入るのは xhigh と low でした(Terraは48点、Solは54点。どの設定の値かは書かれていません)。
用途ごとの比較
以下は実際に使った人の比較です。ほとんどが1回だけの結果で、費用は請求額ではなく単価からの推定です。
コード
| テスト(測った人、回数) | 設定 | Terra | 比較 |
|---|---|---|---|
| バグ105個を直す(Paweł Hurynさん、3回の平均) | max | 40.7個、3.88ドル | Sol high 36.5個、3.26ドル(2回の平均) |
| 同上 | xhigh | 11.3個、0.75ドル | Sol xhigh 42.7個、4.35ドル(3回の平均) |
| データ分析43問(Plotly社、回数の記載なし) | Terraは初期設定 | 40問、1.31ドル | Sol 43問、2.61ドル |
| パックマンを作る(jonclegg さんの PacBench、1回) | high | 84点、0.19ドル | Sol 91点、0.51ドル。Opus 100点、1.99ドル |
バグ直しのTerraの採点は、OpenAI以外のAI(grok-4.7)が、どのモデルの答えかを伏せて行っています。費用は正規料金からの見積もりです。Terraの max(40.7個、3.88ドル)は、Solの xhigh(42.7個、4.35ドル)と同じくらいの費用対効果でした。Opus 5.5 の max(41.7個、58.53ドル)と比べると、ほぼ同じ数を約15分の1の費用で直しています。ただしTerraの max は3回で34個、42個、46個とばらつき、xhigh では11.3個に落ちました(考えた量は max の約1割)。Artificial Analysisのコーディングの指数では xhigh が最前線に入っていて、2つの結果は食い違います。
パックマンの採点はOpus 5.5が行っていて、そのOpusが100点です。Terraは10月26日、Solは9月29日の実行で、その間の10月13日に採点基準が変わっています。Opusの実行日は書かれていません。
ゲーム・3D
Blenderは3Dの絵を作るソフトです。
| 測った人(回数の記載なし) | 設定 | Terra | 比較 |
|---|---|---|---|
| MrTacticalXさん、Blenderで浮島 | 両方 xhigh | 5分、約0.32ドル | Opus 5.5 1時間41分、30.23ドル |
| 同、Blenderでスーパーカー | 両方 high | 10分、約0.31ドル | Sonnet 5.5 1時間26分、15.20ドル |
| EnvolDevさん、エッフェル塔 | 記載なし | 5分33秒、0.44ドル | Sol 22分28秒、1.10ドル |
| 同、Alpine Goldというお題 | 記載なし | 43分、4.90ドル | Sol 43分、3.62ドル |
MrTacticalXさんの2件では、Claudeとの差は時間も費用も大きく開きました。ただし1人の検証で、お題ごとの動画は1本ずつ、回数と費用の出し方は投稿に書かれていません(Terraの費用には「約」が付いています)。出来の評価も投稿には書かれていません。Sonnet 5.5との比較はこちらの投稿です。
EnvolDevさんは、Solのほうが安かった回(Alpine Gold)も自分で公開しています。費用はAPI料金に換算した見積もりだと、本人が返信で書いています。出来については、Alpine Goldに出したOpus 5.5(31.85ドル、2時間45分)を「Opusのほうが細かい」と返信し、エッフェル塔の比較では別社のモデルKimiが「格子が細かく、Terraはずっと早く終えた」と書いています。
絵(SVG)
intheworldofaiさんのニューヨークの動くSVGでは、Terraが4分32秒・0.12ドル、Solが8分20秒・0.47ドルでした(設定と回数の記載なし)。投稿者は、昼から夜への切り替えはSolのほうがはっきり出せたと書いています。
パソコン操作
公式の発表は、Terraの強みを画面を見て操作する仕事に置いています。OpenAI社員を名乗るTed Sandersさんは、技術者が集まる掲示板Hacker Newsで「たぶん、技術的な説明の文章はAstraやSolより上で、画像の理解とパソコン操作は同じくらい(でもずっと速い)、ほかの多くは少し劣る」と書いています。OpenAIのVictor Nunezさんが、Fast modeで長いフォームを入力させた比較では、最初の実行(画面の部品を読み取って操作する方式)でTerraが53.5秒、Solが3分21.7秒でした。effortの記載はなく、1回の結果です。どちらも自社製品についての発言です。
読者ごとにやること
非エンジニアの方
出典は公式の発表と、各比較の投稿です。
エンジニアの方
出典はOpenAIのモデル資料、Artificial Analysis、Bug Hunt Benchです。
企業の方
出典は公式の発表と料金表です。
自社の作業で確かめる手順
- 実際の仕事から代表的な作業を10件ほど選び、合格の基準を先に決める
- Terraを medium を中心に low、high、max で動かす。比べる相手としてSolも並べる
- 合格した件数、費用、時間を記録する。同じ条件で何回か動かす
- 費用の合計を合格した件数で割り、「完了1件あたりのコスト」で比べる
1件あたりで比べるのは、安くても失敗が多ければ、やり直しの分だけ高くつくからです。OpenAIのガイドも「medium から始め、質の改善が時間とトークンに見合うなら上げる」と書いています。
まだ分からないこと
- Bug Hunt Benchの作者によると、Codexでは max より上に「ultra」という段階を選べます。APIの max との関係は分かっていません。
- LMArenaやSWE-benchなどの主要なランキングには、まだTerraの結果が載っていません。
- 3Dや絵の出来は、投稿者の感想のほかに決まった評価はありません。
注意点
- OpenAIの安全性の報告書(System Card)には、模擬の仕事環境で壁に当たったとき、max の29.6%で、制限の趣旨に反する別の方法で作業を終えたという結果があります。主に低リスクの状況で、システム側の制御もセーフガード(危ない操作を止める仕組み)もなしで測ったもので、報告書自身が実運用の振る舞いをそのまま表すとは限らないと書いています。同じ試験でGPT-6.1 Solは22.0%、GPT-6 Solは34.6%です。同じ報告書で、社内のCodexの使われ方を模擬した48,690件の作業では、深刻度3以上の問題の印が付いたのはTerraが22件(0.045%)、GPT-6.1 Solが24件(0.049%)、GPT-6 Solが38件(0.078%)でした。
- Plotly社の比較で「初期設定」と書かれているのはTerraだけで、Solの設定は書かれていません。
- 料金や比較の数字は、2026年10月27日時点のものです。
まとめ
Terraは単価ではSolの半額ですが、1件の費用はeffortしだいで、max ではSolと変わらないこともあります。総合指数では low と medium が費用の割に強く、3DではClaudeより大幅に安く速かった例が1人の2回分ありました。難しいコードはSolが向いています。使うかどうかは、自社の作業で完了1件あたりのコストを測って決めてください。
出典
- OpenAI「Introducing GPT-6.1 Terra」(2026年10月26日)
- OpenAI API ドキュメント「GPT-6.1 Terra」
- OpenAI API ドキュメント「Pricing」
- OpenAI API ドキュメント「Using GPT-6」
- OpenAI「GPT-6.1 Terra System Card」
- Anthropic公式ドキュメント「Pricing」
- Simon Willison「GPT-6.1 Terra」(2026年10月26日)
- Simon Willison ペリカンのSVGの比較表
- Artificial Analysis「GPT-6.1 Terra pushes the cost efficiency frontier」
- Bug Hunt Bench(Paweł Huryn)
- Paweł Hurynさんの投稿(Bug Hunt Bench の結果)
- Plotly「GPT-6.1 Terra」DataAnalyticsBench の結果
- PacBench(jonclegg)
- MrTacticalXさんの投稿(Opus 5.5との比較)
- MrTacticalXさんの投稿(Sonnet 5.5との比較)
- EnvolDevさんの投稿(エッフェル塔)
- EnvolDevさんの投稿(Alpine Gold)
- EnvolDevさんの返信(Alpine Goldの出来)
- EnvolDevさんの返信(エッフェル塔の出来)
- intheworldofaiさんの投稿
- Victor Nunezさん(OpenAI)の投稿
- Hacker News Ted Sanders(OpenAI)さんのコメント








