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【AI開発】脳の疲弊を減らすためにやったこと 〜魔法の言葉「平易な日本語」〜

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Last updated at Posted at 2026-07-15

はじめに

平易な日本語とは・・・難しい専門用語や英語(カタカナ語)を使わず、わかりやすい言葉で話すこと

結論から言うと、AIにこの平易な日本語で話させるようにしたら、認知負荷がはっきり下がった、という話です。

エンジニアに転職して、AIを本格的に開発へ組み込みはじめて5ヶ月目になった。いろいろ試してきたが、この一手が今のところいちばん便利で、いちばん効いている。

最初の頃は「とにかくAIに実装させて、出された生のコードや解説をそのまま読む」というやり方だった。ただ、並列で走らせる作業が増えてくると、このやり方が急にしんどくなってきた。

明確なルールを決めたわけではない。ただ、気づいたら私はAIに対して同じ言葉を何度も投げていた。その中心にあるのが「平易な日本語で!」で、あわせてよく使うのがこの4つだ。

  • 平易な日本語で!
  • シンプルに!
  • 根拠は?
  • 本当に解決したいことは?

書き出してみると、この4つを口癖のように繰り返していたことに気づく。今回はそれぞれが何のための問いかけなのかを整理してみる。

なぜ同じ言葉を繰り返すようになったのか

一番の理由は、並列作業が増えたからだ。

AIに任せられるようになると、同時に走らせるタスクが自然と増える。片方でリファクタ、片方で新機能、その裏で調査。そうなると、頭の中で考慮しなきゃいけないことが一気に増える。

この状態で認知負荷の高い返事が飛んでくると、脳がすぐ疲れる。1タスクごとの理解に余計なエネルギーを使うと、複数を回しきれなくなる。

だから、最初に入ってくる情報はできるだけ軽くしたい。上の4つは、意図して作ったルールというより、その必要に迫られて自然と口から出るようになった問いかけだ。

「平易な日本語で!」で、使う言葉を変えさせる

一番よく投げているのがこれ。狙いは、難しい言葉で話させないこと。

私が「これは負荷が高い」と感じるのは、無駄に関数名や英語(カタカナ語)を使ってくる説明だ。

例1:日本語で言えることを英語で言う

この logic を utility に extract して reusable にします

日本語で言えばいいところが、わざわざ英語(カタカナ語)に置き換わっている。ことわざを「藪からスティック」「寝耳にウォーター」と言い換えるのと同じで、意味は通っているのに、頭に入るまでワンテンポ遅れる。

このワンテンポが、こちらの解読作業になる。何を言っているかを訳す工程が先に挟まって、肝心の「で、結局どうなるの?」にすぐたどり着けない。

「平易な日本語で!」と一言投げると、こう変わる。

この処理を共通の部品として切り出して、他からも使えるようにします

内容は同じだ。でも入ってくる速度がまるで違う。

例2:関数名をそのまま会話に持ち込む

もう一つ多いのがこれ。

現在 fetchUserProfileWithSettings がこうなっているので……

名前だけでは中身がすぐ浮かばない関数を、そのまま会話の主語にしてくるパターンだ。こちらはまず関数名を読み下し、それが何をするものかを思い出してから、やっと話の本題に入ることになる。

これも一言投げれば済む。

今は、ユーザーの基本情報と設定を、一つの処理でまとめて取ってきています

会話の中では、関数名ではなく「その関数が何をしているか」で話してもらう。関数名が必要になるのは、後でコードを直接見にいくときだけだ。

この段階で欲しいのは「方向性の合意」であって「コードの正しさ」ではない。だからまず言葉のレベルを下げさせる。

「シンプルに!」で、情報の量を減らさせる

「平易な日本語で!」と似ているが、狙いは別だ。あちらが使う言葉の話なら、こちらは一度に渡ってくる情報の量の話。

平易な日本語でも、だらだら長ければ結局しんどい。だから「シンプルに!」で、情報の量そのものを削らせる。

私が一番よくやるのは実装前の壁打ちだ。ここで聞くことは、状況によって少しだけ変わる。

まだ設計が固まっておらず、AIと一緒に考えていくときは、この2つ。

  • 解決したいことは何なのか
  • それに対して、何を・どう実装するべきなのか

一方、すでに自分の頭の中に設計があって、それをAIに実装させるときは、問い方を変える。

  • あなたの実装は、私の要件を満たしているのか
  • なぜ、その実装で満たせていると言えるのか

聞くのは基本これだけだ。それ以外の枝葉は、この段階ではいらない。「シンプルに!」と投げると、この問いに絞った答えが返ってくる。

ここで誤解されがちなのは、「シンプル=浅い」ではないということ。1回のやり取りをシンプルに保つだけで、深掘りはむしろどんどんやっていく。

たとえば方向性が見えてきたら、

では、この要件を満たすことは想定されているのか?

と、さらに一段踏み込む。ただ、この追撃の問いも、返ってくる答えも、シンプルで平易な日本語のままにさせる。1問1答を軽くしておくからこそ、息切れせずに何段でも掘り進められる。深さは、1回のやり取りの複雑さではなく、やり取りの回数で稼ぐイメージだ。

そうすると、

  • すんなり頭に入ってくる
  • プロジェクトや機能の方向性を、自分の言葉で理解できる
  • 次に何を聞くべきかが自分で判断できる

という状態になる。

「根拠は?」で、結論の裏を最後に出させる

ここまでで「平易・シンプル」を徹底すると、当然こう思う。「それ、中身が雑になるだけでは?」と。

そうならないための一言が「根拠は?」だ。順番をこう固定している。

  1. まず結論・方向性を、平易な日本語で受け取る
  2. その根拠を、最後に「理由」として出させる
  3. 根拠の部分を、私が目視で確認する

根拠として出させるのは、該当のコードと、そのコードが適切だと言える出典元(公式ドキュメントや記事)だ。AIは出典そのものをでっち上げることがあるので、貼られたリンクは自分でも開いて確かめる。

大事なのは順番のほう。関数がどう動くかは結論を支える証拠であって、最初に浴びせるものではない。まず日本語で結論、あとから根拠。この順番にしてから、平易にしたせいでレビューが甘くなったと感じたことはない。

「本当に解決したいことは?」で、目的に立ち返らせる

AIは投げた依頼をそのまま実装しようとする。だが、私の依頼が的外れなときもある。表面的な要望に忠実に応えられても、そもそも解きたかった課題からずれていたら意味がない。

「本当に解決したいことは?」と投げると、AIが実装に走る前に一度立ち止まって、目的そのものを確認しにくる。ここで自分の依頼の言葉足らずに気づくことも多い。

この一言を挟むようになってから、実装後の「そうじゃなかった」が明らかに減った。

ただ、この問いを毎回自分の口で投げ続けるのは、案外骨が折れる。そこで最近は grill-me というスキルを使っている。

これは、AIが実装に走り出す前に、逆にこちらを質問攻めにしてくるスキルだ。設計の決定を一つずつ潰しながら、認識が揃うまで聞いてくる。

「本当に解決したいことは?」を私が毎回手で聞く代わりに、grill-me が構造化して、1問ずつ(=シンプルに)進めてくれる。手で問いかけるときと同じ効果を、より抜け漏れなく得られている。

なお、飛んでくる質問にカタカナ語が多いと感じたら、ここでも「平易な日本語で!」と指示すればいい。ツールに任せている場面でも、認知負荷は同じように下げられる。

まとめ

5ヶ月目の今、私がAIに繰り返し投げている言葉は、この4つだ。

  • 「平易な日本語で!」…使う言葉を変えさせる(語彙)
  • 「シンプルに!」…情報の量を減らさせる(分量)
  • 「根拠は?」…結論の裏を、出典元つきで最後に出させる(検証)
  • 「本当に解決したいことは?」…目的に立ち返らせる(方向)

決めたルールではなく、必要に迫られて自然と口癖になったものだ。

効果として一番大きいのは、複数タスクを同時に回していても、脳の疲れが減ったことだ。1タスクごとの理解に使うエネルギーが減った分、並列で走らせても頭がもたなくなる感覚がなくなった。

認知負荷は有限のリソースだ。それを技術用語の解読に浪費せず、「方向は合っているか」「本当に解きたいのは何か」の判断に回したい。

そのために必要なのは、新しいツールでも凝ったプロンプトでもなかった。もしAIの回答を読むのに疲れを感じているなら、一度「平易な日本語で」と足して指示してみてほしい。それだけで、返ってくる説明の入り方が変わるはずだ。

まずはそこから。あとの3つは、必要になったときに足せばいい。

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