はじめに
ChatGPTなどのLLMと一緒に開発を進める「AI協調開発」が普及し始めていますが、こんな課題に直面していないでしょうか?
- 昨日何を頼んだか忘れた
- ターミナルやブラウザを閉じたらコンテキストが失われた
- どこまで進んだかをAIから一から聞き出すのがつらい
このような「進捗が見えなくなる現象」に陥りがちな原因は、AIに仕事を任せたことではなく、記録を残していないことにあります。
本記事では、AI駆動開発をキャッチアップ中の PjM が試行錯誤しながらたどり着いた、Markdownベースの軽量進捗管理法を紹介します。
なぜAIに丸投げすると進捗が見えなくなるのか
1. 何を頼んだか忘れる
- AIとのやり取りは会話ベースなので、指示内容がどんどん流れていきます
- 結果、何を・どこまで頼んだのかを忘れ、再依頼する羽目に
2. コンテキストが切れる
- セッションが終了すると、AIは過去の記憶を持ちません
- 前提や中間成果を毎回説明し直す必要が出てくる
解決策:3つのMarkdownファイルで文脈を保存する
1. PROGRESS.md: 作業ログとTODOの記録
- その日やったこと、次にやること、つまずいていることをメモ
- 一言コメントでもいいので、とにかく毎回何か残す
2. DEVELOPMENT_ROADMAP.md: 全体像の確認
- 今どのフェーズにいて、次にどこを目指しているのか
- チームでもAIでも迷子にならないようにするための「地図」
3. CLAUDE.md(任意): ルール・制約の共有
- 使用技術、設計方針、ドキュメントの書き方など
- セッションが切れても、AIが読み直せば復帰できる
テンプレート例
PROGRESS.md
# 開発進捗レポート
## Phase 2: 認証・API基盤 (70%)
- ✅ Next.js プロジェクト作成
- ✅ TailwindCSS + TypeScript 設定
- [ ] Cognito デプロイ準備
### ブロッカー
- AWS SSO の一時認証情報が期限切れ
DEVELOPMENT_ROADMAP.md
# 開発ロードマップ
### ✅ Phase 1: MVP構築(完了)
- 期間: 2025/04 - 2025/05
- 成果物: 初期UI / API設計
### 🚧 Phase 2: 認証・API基盤(進行中)
- 目標: 認証統合とユーザー登録
- 優先度: HIGH
それ GitHub Issue でよくない?
PROGRESS.md に記載する内容は、issue として管理するほうがよいかもしれません。
Claude Code であれば gh コマンドを利用して issue にもアクセス容易です。
とはいえ気軽に始めるならファイルベースで良いかなと思います。
| 観点 | GitHub Issue | PROGRESS.md |
|---|---|---|
| AIとの連携 | 認証/API制限あり | 直接読み書き可能 |
| 情報の俯瞰 | 分散しがち | 一画面で全体把握 |
| 書きやすさ | タスク粒度が細かい | 適当でOK |
markdown であればタスクの依存関係を mermaid 形式で表現できるので
初期開発においては有益かなと思います。
実際に運用して感じたメリット
- セッションが切れてもAIに「PROGRESS.mdを読んで」と言えば再開できる
- 人間側も「どこまでやったか」が数行で振り返れる
- 完璧である必要はなく、「思い出せる状態」だけでも十分役立つ
結論
AIと開発を進める上での一番の敵は、「忘れること」と「文脈の断絶」です。
そこで提案するのが:
- とりあえず
PROGRESS.mdを置いてみる - 毎回少しでも追記してみる
- セッションが切れたら「このファイル読んで」でOK
という ゆるいMarkdown運用です。
GitHubテンプレート
関連タグ
#ChatGPT #AI開発 #Markdown #PM #プロジェクト管理 #GitHub
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