30年ぶりに基本情報技術者試験を受けてきました。
──大人になってから受ける基本情報は、意外と楽しく良い刺激になりました。
2025年、IPAが高度試験までCBT方式へ移行する──
そんなニュースを見て、ふと思いました。
「IPAのCBT受験ってどんな感じなんだろう……?」
実は私、ここ数年IPA高度試験を受け続けています。
来年もまたチャレンジしようと考えているのですが、
その際、最初のCBT試験が高度区分試験というのは
少々リスキーなのではないかと思いました。
さらに、評価面談(する側)ではよくこんな話もします。
「自己研鑽として、基本情報試験を受けてみるのはどうでしょう」
にもかかわらず、自分は基本情報を持っていません。
(学生の頃に1回受けて落ちてそれっきり。当時はCASLで受けました…)。
さすがにこれは説得力がないし、何より胸が痛い。
AIだDXだと語る前に、そろそろ基礎を棚卸しする時期かもしれない──
そう思い立ち、30年ぶりに基本情報技術者試験を受験することにしました。
受験後、その話をメンバに話したところ、
「え、持ってなかったんですね」
と、非常にシンプルなリアクションをいただきました。
“今さら”とは言われませんでしたが、たぶん思われていた気がします。
科目Aの勉強方法:過去問道場一択(と思っていた)
ちなみに申し込みから試験までの期間は1週間にしました。
直前までシステム監査試験の勉強をやっていたので、
もうこれ以上勉強したくないという、非常に後ろ向きな理由です。
科目Aについては、王道の「過去問道場」を使って勉強しました。
過去5年分を解いてみたところ── 正答率 8 割ほど。
「あ、これはいけそう。科目Bの対策に入ろう」
と、完全に油断しました。
この油断は試験当日に見事ブーメランしてくるのですが、
科目AはITの基礎知識問題なので、正直、これ以上は
やりようがなかった(やりたくなかった)のかなと思います。
逆に7-8割取れない場合は、参考書なりシラバスなりを
追いかけるなど、真面目に勉強するしかないかなと。
なので、たまに言われる
「そこそこキャリアのあるITエンジニアなら科目Aは“ほぼノー勉”でも通る」
という話は、ある意味“真”なのかなと思います。過去の自分を信じろ!
科目Bの勉強方法:サンプル問題だけで何とかなりました
科目Bでは、まずIPAが公開している
サンプル問題(アルゴリズム+セキュリティ)
を一通り解きました。
久しく(本当に久しく)コードを書いていなかったので
不安はあったものの、実際に問題を解いてみると、
配列走査や条件分岐などの基本処理は案外スッと入ってきました。
要はトレース能力を問う問題ですよね。登竜門として良い塩梅かと
思いました(思いのほかできたので、ちょっと上から目線)。
ちなみに難問は ChatGPT に助けてもらいました。
対話形式で丁寧に説明してもらえると理解が一気に進みます。
セキュリティ4問は実務感覚で取りこぼさない
科目B後半は必ず セキュリティの4問 が出題されます。
内容としては、
- マルウェア感染時の初動対応
- 権限設定の妥当性
- ログ・アクセス制御の扱い
- 情報漏えい防止のための運用設計
など、どちらかというと 実務寄りの“状況判断系”問題 が中心です。
ここは確実に取りたい領域です。
回答に若干クセがあるものの、サンプル問題で傾向はつかめると思うので、
ここも(過去の自分を信じて)全問正解を狙いたいところです。
ここまで勉強してみて
- 科目Aは過去問8割だったからいけるだろう
- 科目Bのアルゴリズムの基本は意外と覚えている
- 科目Bのセキュリティ4問で確実に得点できそう
──よし、いけるな!
気が付くと1週間が経過、そのまま試験当日を迎えました。
少しだけ昔語り
私が学生時代に基本情報技術者試験(当時は第二種情報処理技術者試験と
呼ばれていました)を勉強していた頃は、いわゆる専門の参考書は
ほとんど存在していなかった気がします。
もちろん当時はインターネットもなく、
勉強するための情報源やツールが、今とは比べものにならないほど限られていました。
ちなみに、CASLについては
ポケットコンピュータ(確か SHARP 製だったと思います)を使って、
実際にコードを打ち込みながら勉強していました。
今思うと、なかなか原始的な学習環境です(たのしかったけどね)。
試験当日の様子:科目Aで爆死、科目Bで立て直す
試験開始は10:00 だったのですが、少し早めに到着。
9:30 に開場され、受付・本人確認・受験の説明を受ける。
ひととおり説明を終えたところで試験官から一言。
「まだ開始時刻じゃないですが、もう試験受けますか?」
せっかくなのでそのまま 前倒しで試験開始。
配られたのは紙1枚とペンのみ。
「必要になれば呼び出しボタンで言ってください」とのこと。
ちなみに私が受けた会場ですが、端末はデスクトップ、
隣の席の間隔もまあまあ広く、非常に受けやすかったです。
科目A:初見問題ばかりで普通に焦る
科目Aですが、まずはパッと見て分かる問題の回答を記入、
2周目から飛ばした問題をじっくり見るという、
お約束の解き方をしました。
1周した後、回答未回答の一覧画面を見たところ
あれ? 未回答の問題が多くないか?
2周目で多少じっくり見てみても、やはり回答が埋まらない。
とりあえず、無理矢理回答は埋めたものの、
正直、
あ、これ爆死したな
と思いました。
3周目を終えた後、30分ほど時間が余りましたが、
ここで変に粘っても脳が疲れるだけなので、
潔く科目Aを終了し、科目Bに全リソースを回す
という判断をしました。
今思えば、この判断がよかったのかもしれません。
科目B:戦略と集中で何とか乗り切る
科目Bは 100 分。
まず科目Aと同じく、ざっと問題全体を眺め、
パッと見で解けそうな問題から埋めていく戦略で1周。
この時点での手応えは──
アルゴリズム問題は、3割くらいしか解けていない。
しかし、サンプル問題を解いた時も同じくらいだったので、
むしろ安心しました。
あとは残り時間を使ってじっくり解くだけです。
■ セキュリティ4問で“心を落ち着かせる”
科目Bの最後に出てくるセキュリティ問題は、
日頃の実務に近い “状況判断型” の問題。
- マルウェア感染が起きた時の初動対応
- 権限設定の妥当性
- 運用上の制御
など、比較的 “読めばわかる” 内容が多いです。
難易度もサンプル問題と同じくらいだと感じました。
ここで、確実に得点できた(と自分に言い聞かせて)
気持ちをさらに落ち着かせました。
■ 2周目から本番:力業で解ける問題は力業でいく
2周目はトレースのフル活用。
昔、dbx(古いUNIX系のデバッガ)と戯れた日を思い出しつつ、
- 変数追跡
- 手書きで状態遷移
- 再帰処理の展開
など、とにかくメモ用紙を使って丁寧に潰していく
スタイルに切り替えました。
気づけばメモ用紙は 3 枚使っていました。
(呼び出しボタンを押せば紙を持った係員の方が来てくれるので、
メモ用紙は気にせずガンガン使いましょう)。
■ 科目Bは最後は時間いっぱいまで使い切った
アルゴリズム問題のほとんどは初見でしたが、
難易度や問われ方の観点はサンプル問題と共通していると感じました。
そのため、「科目Bはサンプル問題一択」は“真”なのかなと思います。
結果、時間ギリギリまで使って全問埋めきり、
やり切った状態で試験を終えました。
試験終了後:その場で点数が出る緊張感
科目Bをすべて解き終え、
画面の 「試験終了」ボタン(正確なボタン名は忘れましたが) を押すと──
その場で点数が表示されます。
心臓に悪い仕様です。
結果は以下の通り:
- 科目A:615点
- 科目B:640点
「何もそこまでギリギリを狙わなくても…」と思った瞬間、
画面が自動(何か押下したかも)で次ページへ遷移。
──あ、戻れない!?
得点画面は一度閉じると二度と見られません。
メモ用紙とペンを返却し、
ロッカーから荷物を回収してそのまま終了。
その時は一瞬焦りましたが、数時間後、IPAのマイページを見ると
スコアが無事反映されていました(ので、当日に結果は分かります)。
ただ、正式な合格発表は月に1回の発表日まで待たないといけないです。
(合格発表日にマイページを見てみたら「結果公開前→合格」に変わってました)。
受けてみた感想:基礎力を測る良問揃い
総合的な感想としては──
「ITの基礎力を測るという意味では非常によくできた試験」
に尽きます。
科目Aも(ギリギリのお前が言うなと言われそうですが)エンジニアとして
最低限知らないといけない問題ばかりでしたし、
科目Bのアルゴリズムは、
単なる暗記ではなく“理解”が問われる良質な問題が多く、
久しぶりに脳がフル稼働しました。
あと、(ギリギリだったとはいえ)
ほぼノー勉で受けて何とか形になったのは正直うれしい。
これから受ける人へ:とても良い刺激になります
基本情報は「若い人が最初に取る試験」というイメージが強いですが、
実は経験者にとっても良い刺激になる試験だと感じました。
- 昔取った知識の棚卸し
- 基礎アルゴリズムの再確認
- セキュリティの実務感覚の整理
- CBT受験の慣れ
こういった効果は確実にあります。
まだ持っていない人は、一度受けてみるといい刺激になります。
みんなも受けよう!
あとがき
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事がどなたかの受験のヒントになればうれしいです。
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