「層・圏・トポス」を読んでいきます.
層についても2通りの定義がなされ (p.15, 18) その間の変換の方法が示されていますが, この記事ではその変換によって同値なものに写っていることを確認します.
つまり、1つ目から2つ目に変換して1つ目に戻すことで同等の層が得られることと, 逆に2つ目から始めてやはり同等の層が得られることを確認します.
層 A → (S,p) → A'
- $X$ 上の層 $A$ (定義1形)
- $S = \{ (x,f)/\!\!\equiv ~:~ f \in A, x \in Ef \}$ (定義2形)
- $p : S \to X, (x,f)/\!\!\equiv~ \mapsto x$
- $A' = \{ U \text{ 上の } p \text{ の (連続な) 断面 } :~ U \in \mathcal O_X \}$ (定義1形)
$A$ と $A'$ とが同型であることを示したい.
$f' \in A', f': U \to S$ について, $f'$ は断面なので $f'(x)=(x, g_x)/\!\!\equiv$ という形になっている. この $g_x$ は $\equiv$ の条件から, $x$ の周りのみで共立している.
とういわけで $g_x$ を $x$ の近傍で制限したものを $x \in U$ 全体で集めて貼り合わせることで $f \in A$ を構成することを考える.
点 $x \in U$ に対して $f(x)=(x,g_x)/\!\!\equiv$ の近傍は $U$ 上での $x$ の近傍 $U_x$ を取った時に
$$W_x = \{(y,g_x)/\!\!\equiv ~:~ y \in U_x\} ~(\subseteq S)$$
と定められいている.
$f'$ は連続関数と定められているので $W_x$ を $f'^{-1}$ で戻した
$$V_x = f'^{-1}(W_x) = \{ y \in X ~:~ (y,g_y) \equiv (y,g_x) \text{ and } y \in U_x \cap Eg_y \cap Eg_x \} ~(\subseteq Eg_x)$$
は $x$ を含む開集合である.
各点 $x \in U$ について $g_x$ を取ってこれを $g_x \rceil V_x$ に制限することにする.
2点 $x_1, x_2 \in U$ から構成した $g_{x_1} \rceil V_{x_1}$ と $g_{x_2} \rceil V_{x_2}$ とは共立する.
なぜなら, 点 $y \in E(g_{x_1} \rceil V_{x_1}) \cap E(g_{x_2} \rceil V_{x_2}) = V_{x_1} \cap V_{x_2}$ において $(y, g_{x_1}) \equiv (y,g_y) \equiv (y,g_{x_2})$ なので
$$\exists V_y, y \in V_y \subseteq (Eg_{x_1} \cap Eg_{x_2}) \text{ and } g_{x_1} \rceil V_y = g_{x_2} \rceil V_y.$$
各点 $y$ での貼りあわせは唯ひとつに定まるので
\begin{align*}
g_{x_1} \rceil V_{x_1} \cap V_{x_2}
& = \bigcup \{ g_{x_1} \rceil V_y ~:~ y \in V_{x_1} \cap V_{x_2} \} \\
& = \bigcup \{ g_{x_2} \rceil V_y ~:~ y \in V_{x_1} \cap V_{x_2} \} \\
& = g_{x_2} \rceil V_{x_1} \cap V_{x_2}
\end{align*}
となって結局共立する.
というわけで
$$G = \{ g_x \rceil V_x ~:~ x \in U \} ~(\subseteq A)$$
を作ると $G$ の任意の2元は共立し, $\bigcup G$ が唯ひとつ定まる. これを $f \in A$ とする.
以上で $f' \in A'$ から $f \in A$ を構成したが, これが $A' \to A$ の同型を与える.
逆は $f \in A$ を $f'(x) = (x,f)/\!\!\equiv$ に写せばよい.
層 (S,p) → A → (T,q)
- $X$ 上の層 $S$
- $p:S\to X$
- $A = \{ U \text{ 上の } p \text{ の (連続な) 断面 } f (:U\to S) :~ U \in \mathcal O_X \}$
- $T = \{(x,f)/\!\!\equiv ~:~ f \in A, x \in Ef \}$
- $q:T\to X$
$S$ と $T$ とが同型であることを示す.
点 $y \in S$ について, $p$ の局所同相性より,
ある $V \subset S (y \in V), U \in X$ があって $p\vert_V : V \to U$ は同相写像となるので $(p\vert_V)^{-1} : U \to V$ が存在する.
後ろに埋め込み ($V \to S$) を足して $(p\vert_V)^{-1} : U \to S$ とすれば, これは $p$ の断面であるので $A$ の元である.
従って $(y, (p\vert_V)^{-1}) \in T$. $y$ をコレに写す写像が同型を与える.
逆は, $(x,f)/\!\!\equiv~\in T$ を $f(x) \in S$ に写せばよい.
この操作は $\equiv$ の定義より, 代表元に取り方に依らず一意に定まる.