大容量化に成功して、HDDとの容量単価の差も無くなりつつあるSSD。近年は専用ストレージ機器の構成ドライブとしてだけではなく、サーバの内蔵ドライブ(データ保存用)にもSSDが使用されるケースが増えてきている。
HDDと比べて性能の高さはもちろん、電力の消費が小さく、振動や衝撃によるデータ損失回避にも強いため価格の差が無くなった場合はもうSSD一択という世界が近づいている感がある。
ただSSDにも懸念点はある。その懸念点の一つであるメモリセルの寿命について今回の投稿で触れていきたい。
メモリセル寿命とは
NANDフラッシュメモリは電子の出し入れによってデータの記録をしていく。
電子の注入でビットは0に、注入された電子を解放(消去)させることでビットは1に、という状態が作られる。この注入と解放の反復操作によってセルの絶縁体が劣化していき、データの保持能力が低下。結果として寿命を迎えるという形となる。
現在、大容量型SSDとして多くの機器で使われているQLC(Quad Level Cell)では、データの書き換え(注入と解放の反復操作)を最大で1,000回行なうと寿命がくると言われている。
データの上書きが多い使い方をする際はこのメモリセル寿命を考慮した使い方を検討しなければならない。
経年劣化はあり得るのか
では、あまりデータの書き込みをしないような使い方であれば、SSDの寿命が尽きることはないのかと言われたら、そうでもなく、いくつかのリスクがある。
まずは通電の必要性である。HDDも通電がなければデータが消えるリスクを抱えているが、企業向けの製品だと数十年の通電が無くても問題ないと言われている。
ただSSDの場合はHDDよりも数年間と短い間隔で通電をしないとデータが消えることがあるので注意を要するポイントである。
また設置場所の温度(高温)やファームウェアの故障なども劣化をもたらす要因となることも覚えておきたい。
寿命は延ばせるのか
SSDの寿命は工夫次第でいかようにもなる。
まずウェアレベリングという書き込みを均等に分散させる機能について。
特性のセルに書き換えが集中して書き換え回数制限を超えてしまうと、他に正常なセルが多く残っていたとしてもドライブとして使うことができなくなってしまう。
それを防ぐために特定のセルだけに書き換えが集中しないように全体を通して書き換えに使うセルを分散化。寿命を迎える際は全てのセルで同じ状態であることを目指している。
次にTRIMやUNMAPで、OSがSSDに「どのデータブロックの使用が無効になっているか」、「そのデータの消去が可能なのか」という情報を通知する機能もある。これによって硬質的なデータ消去が可能となる。WindowsやLinuxに標準搭載されているものだ。
またあらかじめ予備領域を確保しておき、その領域が何%使用されたのかを閾値として設定しておくことで利用者へのアラートを飛ばせれば、書き込み回数の上限になる前の把握ができる。
様々な選択肢を駆使して、SSDの寿命を最大限に使っていきたい。
ひとりごと
生命保険の控除証明書が出揃った。保険の中身を変えて、がん保険の保障を手厚めにした。
公的保険がかなり充実している日本。民間保険なんて金の無駄、なんて声はよく聞くが、何かあった時でも金銭部分は安心できる、という心の支えはけっこう自分にとっては大きかったりする。
トータルで払い損だったとしても仕方ないと思えるし、年末調整でいくらか戻ってくるし。なので今年もしっかり記載して、還付金の受け取りを楽しみにしたい。