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システムアーキテクト試験(IPA)合格への道

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もうすぐ令和7年度・みんな大好き春の全国IPA試験選手権大会が開催ですね!笑

今回、私は申し込みタイミングを逃してしまったこともあり、出場が叶いませんでしたが、挑戦者の皆様のために、私が「システムアーキテクト」区分に合格した際の話を書いてみたいと思います。

当時の私の状況

学生時代に二種(第二種情報処理技術者、基本情報に相当?)とソフ開(ソフトウェア開発技術者、応用情報に相当?)に合格してからは、「高度」という単語に怯んでしまったこともあり、十数年間、IPA試験にはご無沙汰しておりました。(若いころは、申し込み -> 仕事がハードで勉強もできず試験欠席、というのを何回かしていた気がします。)

40歳という区切りが見えてきたこともあり、2018年、データベーススペシャリストに挑んで見事落選、2019年にリベンジで合格、2020年春は安全確保支援士合格、ということで、ネットワークは苦手(TCP/IPの話ならいけるけどBGPなどは未経験)、組み込み系は「高度」な実務経験もなく、 そういえば以前ディレクション(いわゆる上流工程のSE)もしてたな、ということで、2021年春に「システムアーキテクト」試験に挑戦したのでした。

それ以前に「デスぺをクリアしたら論文試験だ!」ということで左門先生の本などは積読&チラ見していたので、なんとなくイメージはしていたものの、論文試験は初めてなので結構気合をいれて準備した記憶があります。結果的にはそれがよかったのでしょうか…。以下、各「科目」に関しての対策等です。

午前I

免除でした。マルゴシ(丸腰、無勉強の意)でも60点は取れたかと思いますが、朝の余裕はうれしいものです。(高度は受験者のかなりの割合が午前I免除な印象です。)

午前II

午前IIは過去問さえ完マル(完全丸暗記)しておけば60点はいける!というのが高度の定石ですが、「過去問道場」さんがシステムアーキテクト区分に対応していないのが痛いところ。(もちろん「過去問道場」さんに非はありません。)

仕方なく過去数年分の問題をコンビニで片面縮小印刷、 初見で間違えた問題だけをハサミで切り取って厚紙に貼り付けカード化し、演習イテレート する、という何ともローテクな手法で乗り切りました。(結果を見ると92点も取れてしまっており、苦手意識があったからか、試験合格という観点からみるとちょっとパワーかけすぎですね。)

ちなみにそういった対策をしておくと、受験本番時、見直しを行っても「時間が余る」のが午前IIの特徴です。普段であれば「机に突っ伏して寝ておく」ところですが、余った時間で午後IIに向けて最後の「修行」 をここで行います。「修行」の内容は、この記事の、午後IIの部分に書きます。

それと、、、午前II終了直後、某掲示板に「俺の解答速報」を書き込むために、最終的なマークシートの塗りつぶし状況を

ア ア イ ウ エ   イ エ エ ア イ
イ ウ ウ イ ア   エ ア エ エ イ
...

のように、5問区切りで問題用紙「メモ」ページに控えておくのもよいでしょう(笑)

午後I

少し早いお昼を採って12:30、ここから長い午後フェーズが始まります。
戦意喪失した挑戦者たちは、昼休憩後、机に帰還することはありません。。。

「この試験の合格率は〇〇%くらいだから、この教室のうちで最終的な合格者は〇人くらいかー。で、そのうちの1名様が俺かー。」

のような妄想に浸ってモチベーションを上げたいところです。

本題のSA区分午後Iですが、私の感覚では時間が厳しいです。結構な集中力と慣れが必要となります。そのため、私の場合は過去問数年分の演習が必要でしたが、SA区分(他のスペシャリスト系ではない高度区分も)の午後Iに関しては、次のような考え方が重要になってくるかと思います。

  • IPAの試験は、私企業の採用試験等とは異なり、公共の試験である。
    • 問題作成や採点基準の策定、実際の採点にはかなりの「公平性」が求められる。
    • IPAや問題作成者にとっては、「大量の異議/不服申し立て」は避けたいリスクである。
  • スペシャリスト系に比べて、JIS や IEEE などの規格をバックグラウンドとした問題作成はしにくい。
    • 「背景となる業務知識」は、事業者や事業所によっても異なる。それを基準とした問題作成はできない。
  • つまり、試験問題として自己完結している必要の度合いが高い。
    • 「なぜこれが解答なのですか?」と聞かれて、「試験問題のここに書いてあるからです」という根拠を提示できるのが、一番(試験実施側にとって)安全な設問である。
    • 「※ 諸説あります」レベルの根拠(一部の業界や事業者での常識的な業務知識)では問題、解答を作成できない。
  • すなわち、 「解答用紙に記述すべき解答は、問題冊子に書いてあることである可能性が高い」

おそらくこれが、「SA午後Iは国語の試験」と言われる方もいらっしゃることの要因ではないかと思います。実際、何らかの特定の「業務知識」がないと解答の記述ができない、というのは極めて珍しい(60点取るためには捨ててもよい)問題だというふうに、個人的には感じています。

つまり過去問を流す際にも、「解く」というよりも、「とりあえず解答を書いてみて、公式『解答例』を見てみて、その『解答例』が問題文のどこに(直接的・間接的に)書いてあるのかを確認する」という学習方法を採るのが良いのではないかと思います。

ただ、何らかの実務経験がないと問題文を咀嚼するのが大変というのは感じることです。実際私も70点というギリギリな点数でしたので…(T-T)

まぁ、試験に関しては時間ギリギリまで粘り、かつ、解答用紙の大問選択のマークに間違いがないことを何回も確認し、かつ、裏面には受験番号などは書かなくてよいことも確認(※)して、提出(試験管に手渡し)することになるかと思います。

※ 試験当日の夜以降、「みんなは解答用紙裏面の受験番号もちゃんとマークしたかな?」というお約束のデマが拡散されることが多いため(笑)

午後II

論述試験のハイライトでもある午後II試験。午後Iまでは「午後IIの採点をしてもらうための門前払い試験」といっても過言ではないような気もします。(2時間かけて手書きした論述が「採点されない場合がある」というのも結構残酷な仕組みです。)

試験を受ける側の事前準備を中心に書いてみます。

私の目の黒いうちにCBT化は実現するのでしょうか…。

練習用原稿用紙の準備

業務の中心が「書類の手書き」という方は少数派なこのDX時代、「原稿用紙に手書き」というのは、この試験のかなりの特徴というか特異性かと思います。まずはその特異性に慣れるため、試験本番において使われるのに近い「原稿用紙」を準備するのがよいのではないかと思います。

「IPA 原稿用紙」でググれば、それらしいPDFも見つかりますし、A4横で400字詰(25字×16行)のマス目をWordかExcelなどで作成するのがよいかと思います。

章立て作法を身につける

これは「作法」というか、「試験問題にはそういった指示はないけど、ほとんどの参考書や参考サイトにはそう書かれていて、実際私もそうして受かった」というレベルの話ではあるのですが、論述をするにあたって、2レベルの章立て(「章」と「節」での章立て)をするのが良いようです。

「設問で聞かれたことに答えていない」論述が、IPA論述試験のアンチパターン であるようなので、自身への戒めとして「設問で聞かれたことを答えることに集中する」、という意義と、「設問で聞かれていることはここに書いてありますよ!」という採点者へのアッピールという面もあるのではないかと思います。(「採点者も人間だし、採点が楽なほうが心証よいのでは」という心遣い 笑)

例として、私が受験した2021年(令和2年)春期の午後II、実際に選択した「問2」の内容は次のようなものでした。

問2 情報システムの機能追加における業務要件の分析と設計について

[本文略]

設問ア

あなたが携わった情報システムの機能追加について、対象の業務と情報システ
ムの概要、環境の変化などの機能追加が必要となった背景、対応が求められた
業務要件を、800字以内で述べよ。

設問イ

設問アで述べた機能追加において、あなたは業務要件をどのような視点でどの
ように分析したか。またその結果どのような設計をしたか。800字以上1,600字
以内で具体的に述べよ。

設問ウ

設問イで述べた機能追加における設計において、どのような目的でどのような
工夫をしたか。600字以上1200字以内で具体的に述べよ。


出典:令和2年度 春期 システムアーキテクト試験 午後II 問2 (一部省略・レイアウト改変)

つまり、「何を聞かれているか」という点をハイライトして箇条書きにしてみると、

image.png

ということになります。これらの「問い」に関して、各章/節できちんと論述していますよ、ということを、言ってみれば原稿用紙中で「マークアップ」する必要があるということです。

例えば上記の「設問ア」に関する解答(論述)の章/節を仮に書いてみるとすると、

image.png

というような形になります。

RFPに対する提案書の作成みたいな話ですね!

書いてみる

実際に手書きで設問ア~設問ウまでを、自力で休憩なしの形で書いてみます。はっきり言って大変だと思います。(私の能力的な問題かもしれませんが…)

各設問に600文字づつ論述したとして1,800文字、試験時間は2時間(=7,200秒)なので、4秒に一文字というペースで文字を書き続けなくてはいけません。実際には問題読解や構想、アンケートの回答などもあるので、それ以上のペースで手書きをしていく必要があります。

正直、2時間は厳しい…。

そこで、ネックとなっている部分を取り除いていく必要があります。

漢字の練習(笑)

これは私だけの話かもしれませんが、普段QWERTYキーボードとIMEというハイテクノロジーな文字入力方式で文章を書いているため、「漢字が書けない」問題が発生する場合があります(笑)書けたとしても、時間がかかってしまう。

これは地道に練習しておくしかないのではないでしょうか。

私の場合、例えば「存在」という単語を書こうとすると、「存」と「在」のどちらが先かに迷ってしまうという課題が見つかりましたので、正直言って小学生レベルに戻った感じで記憶をし直しました。

存在は
子供がサキで
ツチはアト

そんなレベルです(笑)

論文設計の必要性に目覚める

例えば「プログラミング」を考えてみます。

上司やSEから「要件」をもらって、即座に Emacs (今だとサクラエディタ?VS Code?Eclipce?) を立ち上げ、コーディングに取りかかかる人というのは、よほどの天才か、アマチュアではないかと私は感じます。

そして、私は自分が天才でないことはわかっているので、そうはしません。

おもむろにノートを開き、ペンを持ち、プログラム全体のアウトライン(構成)をブロック図風に書き出し、各ブロックでどんなことを書くのか、どんな注意が必要そうか、といった構想を練ってから(場合によっては誰かにレビューしていただいた後、)コーディングに取りかかる、というのがなんとなくのイメージです。

例えば・・・(笑)
image.png

※ もちろん一定規模のシステム構築ではもっと厳密な設計フェーズを経ます。

なぜそうするのかというと、コーディング中、難しく言えば「自身の関心の局所化」ができる、簡単に言うと「頭がこんがらなくて済む」からです。結果として、コーディング作業はスムーズにいくことが多いです。

IPA高度の論述試験に関しても、このように「アウトラインの記述」を行ってから、実際に「原稿用紙」に「コーディング」するという、段階的詳細化手法が有効と感じます。なのでまずは問題冊子の「メモ用紙」に、想定される章/節を書き出し、そこに具体的に書く内容や注意ポイントなどをメモしていきます。2時間のうち、だいたい10分程度はこの作業に充てるイメージでしょうか。

つまり、最初に ↓ みたいなものを書き出して、
image.png

↓こんな感じで肉付けをしていきます。
image.png

「1.1 情報システムの概要と特徴」の丸暗記

前節の「アウトラインの記述」において、「1.1対象業務と情報システムの概要」部分に、「いつものやつ」という記述があったことにお気づきの方がいらっしゃるのではないかと思います。

そうです。「1.1対象業務と情報システムの概要」に関しては、(多少バリエーションの変化があることはあるものの)このところほぼ毎回書く必要があるので、「事前にテンプレを作成して丸暗記」が有効 です。

つまり、論述する「情報システム」「対象業務」に関しては事前に絞っておく という戦略を私はとりました。そして、試験開始されるや否や、お題を確認し、「1.1対象業務と情報システムの概要」 に関しては(忘却しないうちに)凄い勢いで書き始める、という戦略です。

その「情報システム」では経験していないお題が出題されたとしても、「お題に合わせて架空の話を論述する」 気でいました。(例えば Internationalization や Localization、いわゆる多国語対応などは実際には行っていませんが、おこなったテイで論述するという覚悟)

ちなみに、むしろ、「1.1対象業務と情報システムの概要」すら、架空の話を事前に練っておく、という戦略も、一部の参考書では示されています。

イメージとしては↓のような感じです。(記事化のために、一部ボカして書いています。)

第1章 情報システムと対象業務・システム変更の概要 
1.1 情報システムと対象業務の概要 
 論述の対象は、インターネットを経由して店舗経理シ
ステムをサービスとして提供するSaaS(以下、「本
システム」)である。 
 本システムの利用者である店舗は、汎用のタブレット
端末を用意し、タブレット端末上で動作する専用アプリ
ケーション(以下、「アプリ」)を、店舗の閉店時にお
ける経理システムとして利用する。アプリは他の端末と
連動して動作し、会計等のデータはサーバに送信される。
利用者は、Webブラウザ等を用いて、サーバに記録さ
れたデータの参照や、他SaaSとの連携などを行うこ
とができる。 
 本システムを用いて、利用者は主に、経理(財務会計)
業務や管理会計業務を行う。〇〇な店舗では、...[以下略]

ネタ論文の作成と記憶

といった形で、「情報システム」「対象業務」を固定し、あとは過去n年分の「お題」を確認しつつ、実際に論述を書いてみる、というようなことをすると、SA午後IIの対策となるのではないでしょうか。(私の場合は n=5とし、この作業に関しては手書きではなくQWERTY+IMEで行いました。)

image.png

当日

前日から十分に睡眠をとり、鋭気に満ちた目で会場に向かいましょう(笑)

前述の、「午前IIで余った時間にどんな『修行』をするか」 ですが、「事前に用意し、暗記した『対象業務と情報システムの概要』論述内容を、ひたすら問題用紙『メモ用紙』ページにアウトプットする」 ということを私はしていました。そのレベルになれば勝てるのではないかと思いますw

IPAさんにお願いしたいところ

※ こんなチラ裏に書いたところで私の願いがIPA様に届かないことは承知の上ですが(笑)

  • 「机の上におけるもの」記載に「メガネ」 を追加して欲しい。
    • ローガンのため受験中は「メガネ」を外すのですが、「メガネ」を机に置くために、念のため、毎回一応試験官の許可を得るのがマンドイ です。
  • 「問題冊子の切り離し禁止」を周知&取り締まり してほしい。もしくは禁止じゃなくしてほしい。
    • SA区分だと大したことはないですが、DB区分の午後IIなどは切り離ししたほうが有利な気がします。不公平じゃん! イズントゥイット?

ただ、受けるだけでも勉強になるような資格試験を4桁台円で受けられるということにはIPA様をはじめとする試験運営、問題作成や採点にかかわる方に感謝申し上げます。
※ そういえば学生時代にスーツ着て試験官役のバイトしたなー(遠い目)

以上。今秋はまたなんか受けようかと思います!

おしまい

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