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【徹底比較】Azureの「サーバー」vs「サーバーレス」:ありそうなサイト構成で検討してみた

Last updated at Posted at 2025-09-27

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はじめに

会社のコーポレートサイトに、IRやホワイトペーパーの配布、問い合わせフォームを足したいと上司から問い合わせがあったら、「サーバー」と「サーバーレス」のどちらを選びますか。
どちらもメリットデメリットがあり、用途や状況に応じて変化します。
今回は Azure を参考に、「サーバー」と「サーバーレス」の比較を Web サイトの観点から見ていきましょう。


1.要件を整理して前提とゴールを設定

  • コンテンツ:静的な会社紹介ページ+IR資料+ホワイトペーパー
  • ダウンロード前に名前やメールの登録を受け付ける
  • 問い合わせフォーム個人情報を扱う
  • 必要な非機能:安全性見られる速さ運用が楽費用が無理のない範囲

2.サーバーとサーバーレスの基本構成

サーバー(IaaS)

  • 仮想マシンを自分で持つイメージ
  • WebサーバーやOSの更新は自分側の仕事
  • 前段にWAF、裏側にデータベースストレージ
  • 強み:自由度が高い、特殊なソフトも入れやすい

サーバーレス(PaaS/FaaS)

  • Static Web Appsでサイト表示、Functionsでフォームや登録の処理
  • IR/ホワイトペーパーはBlob Storageに保存
  • 認証はEntra External IDなどの出来合いを使う
  • 強み:運用が軽い自動で伸縮、小さく始めやすい

3.機能とセキュリティ

先に結論速さはCDN/守りはWAF。どちらの方式でも前段にWAFを置くのが基本。WAFは速くしないが、フォームやAPIを守る門番として必須。

観点 サーバー(IaaS) サーバーレス(SWA+Functions)
表示の速さ Azure Front Door などの
CDNで配信を最適化。
キャッシュエッジ配信
体感を上げる。
同左。Static Web
Apps
Front Door
近い拠点から配る
守り(WAF) Application Gateway WAF
または Front Door WAF
前段に。
入力検査/ボット対策/
レート制限
をここで実施。
Front Door WAF
前段に。Functions/Blob
背面に置き、Private
Endpoint
で内側接続。
ユーザー登録/認証 外部IDや自作を選択。
秘密情報は Key Vault
保護。
Entra External ID 等の
組み込み認証を利用。
秘密情報は Key Vault
問い合わせ送信 常駐アプリで処理し、
メールAPI を利用。
Azure Functions で処理し、
メールAPI を呼び出す。
保管 VM内/Blob Storage Blob Storage
Private Endpoint 推奨)。
監視と記録 Azure Monitor/App InsightsWAFログ
長期保管
同左。誤検知はWAFの検知
モードで学習→段階的に
ブロック

補足(用語の役割)

  • CDN:世界中の拠点にコピーを置き、近い場所から配る仕組み。速さの担当。
  • WAF:不正なリクエストをふるい落とす仕組み。守りの担当。速くはしない
  • 実装のコツ:まず WAFを検知モードで開始→誤検知を調整ブロックへ移行reCAPTCHA/レート制限/入力検証も併用。
  • 個人情報必要最小限だけ保存削除手順/保管期間を先に決める。

4.お金の考え方をざっくり比較

前提WAFの費用は前段サービスの費用で、サーバー/サーバーレスとは独立。どちらでもWAFを使えばWAF分の費用が上乗せされる。速さのためのCDN費用も別途かかる。

サーバー(IaaS)の主な内訳

  • VM台数×時間ディスクFront Door(CDN)WAF(Front Door WAF または App Gateway WAF)外向き通信(Outbound)監視/ログ
  • 特徴:固定費が大きめ常時高負荷なら予約割引で下げやすい。

サーバーレス(SWA+Functions)の主な内訳

  • Static Web Appsの時間Functionsの実行分だけBlob保管Front Door(CDN)WAF(Front Door WAF)外向き通信
  • 特徴:少ない月は安く、増えても自動で伸縮。ただしPDF配布の通信量が増えるとどちらでも費用が伸びる

まとめ(費用の見方)

  • 速さのためにCDNを入れるCDN費用が乗る。
  • 守りのためにWAFを入れるWAF費用が乗る(方式に関係なく発生)。
  • 最終的な支配要因は、外向き通信量(PDF配布など)とアクセスの山
  • 進め方は、小さく開始→1〜3か月の実測Outbound/WAFヒット率/誤検知 を確認し、WAFルールとCDNの有効化レベルを調整するのが安全。

5.設計/構築/運用の比較で実務がラクな方を見極め

観点 サーバー サーバーレス
速さ OS準備が必要 Git連携で公開が速い
運用 パッチ監視の手作業が多め 基盤側で自動管理
柔軟性 変わったソフトや細かい設定も可能 標準的な会社サイト程度であれば十分

現行オンプレから移す時のチェック

  • [ ] ドメイン証明書の管理が自社でできるか
  • [ ] 301リダイレクトの表を作る(旧URL→新URL)
  • [ ] 画像/PDFの権利再配布可否を確認
  • [ ] SPF/DKIM/DMARCを整えてメール到達性を確保
  • [ ] WAFの例外ルール監査ログの保管期間を先に決める
  • [ ] Outbound(外向き通信)の見込みをメモ(PDF配布は通信量が効く)

どちらを選ぶかのまとめ

  • サーバーレス:小さく始めて伸ばしたい、運用を軽くしたい、会社サイト+登録+問い合わせの定番構成に向く。
  • サーバー:いつも高負荷、特殊なソフトが必須、細かいOS設定が必要なら有利。
  • まずはサーバーレスで小さく試す実測の通信量と実行回数を見て最終判断、が無理のない進め方。

おわりに

結論はシンプルです。
標準的な会社サイトならサーバーレスが第一候補
ずっと重い負荷特殊要件があるならサーバーも検討。
どちらでもWAF/HTTPS/監査ログ/最小権限は外さない――ここだけは共通です。

ここをベースに考えて、機能や移行、ボリュームやコストといった要素を加えつつ、最適な環境を選択していきましょう。

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