はじめに
先日受賞者となった @soepy氏に早速Qiita記事にて紹介/自慢いただいた通り、弊社には「Best Qiita賞」という表彰の取り組みがあります。
(受賞記事はこちらです!)
なんとQiitaの中の方々にも反応いただきました!
https://twitter.com/xrxoxcxox/status/1461645573375676420
https://twitter.com/kyntk_1128/status/1461579048824422402
Best Qiita賞では毎月、その前の月に弊社Qiita Organizationで投稿された全てのQiita記事からいくつかノミネート記事を選出します。
さらに、ノミネート記事に対してSlack上で投票を行い、最も多くの票を得た記事をBest Qiita賞として表彰する、という取り組みです。
私は弊社Qiita Organizationの運営メンバーの一人であり、このBest Qiita賞もQiita Org運営メンバーが主催し、実施しております。
Best Qiita賞の「表彰」部分の取り組み自体は昨年の11月から実施をしていたのですが、せっかくいい記事を書いてくださった方により大きな還元をしたい、技術書籍などを提供してより学びのループに貢献したい、という考えのもと、今年7月の受賞者から賞品の提供を始めることにいたしました。
とはいえ、一口に賞品を提供する、と言っても、会社のお金を使ってモノを調達し、特定の人のもとに届ける、という事を実現するためには色々と考えねばならないこと、試行錯誤したことがありました。
本記事では「Best Qiita賞の裏側 ~プライズ提供プロジェクトにおける工夫と、プロジェクトの中で得た学び~」として、我々Qiita Org運営メンバーがBest Qiita賞のプライズ提供を実現するにあたり、プライズ選定やプライズ授受のフロー設計上工夫した点や、モノの調達や社員への提供におけるルールやその理由、新たに学んだ豆知識などについてご紹介します。
特にIT企業では表彰や書籍購入補助といった形で社員に還元したい、と考えている企業は多いかな、と思われますが、こと発案がエンジニア側だとググってみて「金券は課税対象」「人事との調整が必要」などなど情報が色々出てきて、めんどくさそう!となって断念する、といったようなケースもあるかと存じます。同じような取り組みを計画しておられるエンジニアの皆様の参考になれば幸いです!
購買、経理上の統制ルールなどはあくまで弊社における一例とはなりますが、どういうリスク想定や法的根拠の下その統制が敷かれているのか、という観点、考え方は参考にしていただけるかと思います。
Best Qiita賞プライズの詳細/運用について
どんなプライズを提供しているか
Best Qiita賞受賞者には、以下のいずれかのプライズを選んでいただき授与しています。
- Amazonギフト券 5000円分
- オライリー電子書籍 5000円分
ここで、「Amazonギフト券が選択肢にあるなら、オライリーの電子書籍もKindleで買ってもらえばいいのでは?」と思われた方もおられるかもしれません。
実は、後述のその他豆知識でも紹介する通り、Kindleではオライリーの電子書籍は取り扱っておりません。
オライリーは厚くて重い本が多いため電子書籍のメリットが活かせるところであり、また技術書と言えば……という部分もあるので、ぜひプライズで入手できるスコープに入れたく、今回対象といたしました。
(これまた後述しますが、そのために購買部門にオライリー・ジャパンに関する反社調査を実施いただきました)
プライズ授受のフロー
Amazonギフト券、オライリー電子書籍のプライズ授受のフローは以下の通りとなっています。
Amazonギフト券
Qiita Org運営
①受賞者決定
②受賞者に手続き開始を依頼。まずSlack上で受賞者に、Amazonギフト券とオライリーのどちらを選ぶか聞く。
受賞者
③Amazonギフト券を選択
Qiita Org運営
④物品調達依頼フォームより購買部門に対し、Amazonギフト券の調達を依頼
購買
⑤Amazonギフト券を調達
⑥物品調達依頼フォーム起票者にAmazonギフト券番号を送付
Qiita Org運営
⑦購買から受領したAmazonギフト券番号を受賞者にメールで送信。
CCに、Qiita Org運営のメーリス、購買部門のメーリス、購買部門のメーリスを入れる。
件名、内容は定義してあるテンプレートを使用。
⑧受賞者にSlackのスレッドで、メールを送信した旨を連絡。
受賞者
⑨受領から3営業日以内にAmazonギフト券を自身のアカウントに登録し、登録出来たらその旨を「全員に返信」の形で返信。
購買
⑩⑨のメール返信受信を持って検収確認とする。
経理
⑪⑨のメール返信受信を持って、所得該当物の授与情報(誰に、いくらのギフト券を、いつ渡したか)確定とする。
※受賞者から、アマギフ登録できませんでした、のメールが来た際はQiita Org運営と購買で別途対応
オライリー電子書籍
Qiita Org運営
①受賞者決定
②受賞者に手続き開始を依頼。まずSlack上で受賞者に、Amazonギフト券とオライリーのどちらを選ぶか聞く。
受賞者
③オライリー電子書籍を選択
④自身でオライリー電子書籍を購入
⑤PayPal決済時の領収書をPDF化してダウンロード
⑥立替精算ワークフローから立替経費精算を申請
Qiita Org運営
⑦特定のQiita Org運営メンバー(1人目)が立替経費精算をワークフロー上で承認
受賞者の組織図上の上長
⑧上長が立替経費精算をワークフロー上で承認
Qiita Org運営
⑨特定のQiita Org運営メンバー(2人目)が立替経費精算をワークフロー上で承認
経理
⑩立替経費精算を承認
受賞者
⑪1か月以内に出社 or 郵送で、経理に対し紙に印刷した領収書メールを提出1
その後、受賞者の給与口座に立替分の金額が振り込まれる
プライズ授受オペレーション上の工夫
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とにかく受賞者のToDoを簡単にすることを目指してプロセスを構築した
- 必要事項をきちんと押さえたうえで、ステップを減らす、それぞれのステップでやる内容を簡単に、考える余地を減らす、とにかく書いてあることに従えば解決するように、などなど
- アマギフのフローでは、受賞者のToDoは「アマギフコードが記載されたメールを受け取り、それに返信する」だけ。ToDoは何なのか、どのアドレスからどういう件名でメールがくるのか、いつまでに、どういう内容で返信しなければならないのか、など、気にする余地がある部分はすべてGoogle Siteの案内やメール内に記載。
- オライリー電子書籍のフローでは、受賞者自身でオライリーを買っていただいた後は弊社標準の立替精算のワークフローを実施いただくだけ。後述の通り、立替精算ワークフローの操作で迷う余地のある部分はドキュメントでフォロー。
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受賞者だけでなく、Qiita Org運営、購買部門、経理部門といった、関わる部署すべての都合、やりやすさを考えた
- 受賞者からのアマギフの登録完了のメール返信を購買部門への検収確認連絡、経理部門への所得該当物の授与情報確定連絡と兼ねることで、フローのステップを削減した。
- 加えて、受賞者当人からの連絡であることで、購買部門も経理部門も、間違いなく受賞者当人にアマギフが届き、Amazonアカウントへのコード登録が完了したことを確認できる。
- 購買部門、経理部門の確認/後続作業を迅速に実施いただけるよう、受賞者に3営業日以内と明記する形でアマギフの登録とメール返信をいただけるよう協力を依頼。
- Qiita Org運営のToDoのステップは多少多くなっているが、工程管理用のGSSの整備と、実施すべき内容を詳細に記載したドキュメント整備によりオペレーションを補助。
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実際に利用してもらいやすい制度であることにこだわる
- オライリー電子書籍のフローの最後に、「受賞者自身が1か月以内に出社 or 郵送で、経理に対し紙に印刷した領収書メールを提出」というステップがあるが、これは後述の通り弊社の状況では「領収書電子データを印刷して経理に提出。それを経理側が保管」することが法的に必須であるため。
- しかし、弊社は在宅勤務を推進しており、特に開発部門はほとんどの社員が毎日在宅で業務を実施している状況である。せっかく受賞した人に、出社ないしは自身で領収書を発送してもらう手間をかけさせるのは忍びないし、そもそも「じゃあ面倒だからプライズはいいです」となるケースが頻発するであろうことが想像できた。
- プライズ提供を考え始めた当初、プライズとしてアマギフは案として出たが、「金券類は所得とみなされ、人事連携など処理が面倒である」という情報があったために一旦プライズ候補から外し、「受賞者自身で書籍を買ってもらい、立替精算をする」方法のみを進めていた。
- 経理とのやり取りの中で、立替精算の場合、立替申請者自身による領収書提出が避けられないと判明したため、受賞者の利便性を最優先に考え、アマギフの提供を実現できないか模索することにした。
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立替精算におけるワークフロー設計の工夫
- 立替精算の承認者は基本申請者の上長を指定するルールになっている(一定以上の職位の場合、自分自身を承認者として指定する)
- これは、基本立替精算は業務に紐づくものであり、部内、課内で立替申請が妥当なものか、を判断できる、ということから
- 一方、Best Qiita賞の場合は、立替申請の内容が妥当であるか(申請内容がBest Qiita賞の授賞運用ルールに沿っているかどうか)を、受賞者である申請者の組織図上の上長が判断することはできない
- これは、基本立替精算は業務に紐づくものであり、部内、課内で立替申請が妥当なものか、を判断できる、ということから
- 経理とのコミュニケーションの結果、経理の要求事項は「適格性を判断できる者が立替申請の内容精査をすること」と分かった
- 運用の最終的な建付け
- 承認ワークフローにQiita Org運営メンバーを「承認者以外の確認者」として入れてもらい、そこで立替申請の適格性を判断する
- 承認者は「適格性を判断できる者が内容精査を実施したこと」を持って承認操作を行う
- 立替精算の承認者は基本申請者の上長を指定するルールになっている(一定以上の職位の場合、自分自身を承認者として指定する)
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受賞者にやってもらうことをまとめたGoogle Siteを作成
- オライリー電子書籍をKindleで扱っていないことを記載
- その事実を知らずに、オライリーでほしい本あるけどKindle使ってるからアマギフでいいや!でもらった後にあれ?扱ってなかったんだ……となってしまうケースを回避してもらえる
- やってもらうことや、設けている制約について理由を記載。なぜそういうルールなのかを納得してもらうことで気持ちよく協力していただける
- Q: なんで3営業日以内に、経理、購買を含めた全員に返信の形で登録完了の旨を返信しなければいけないんだろう?
- A: 商品券支給が給与所得に該当する関係上、経理部門に対する連絡/購買部門に対する検収確認連絡を兼ねております。
関連部署に対する連絡/関連部署における後続処理を間違いなく、迅速に実施いただくため、ご協力をお願いたします。
- A: 商品券支給が給与所得に該当する関係上、経理部門に対する連絡/購買部門に対する検収確認連絡を兼ねております。
- Q: 立替精算ならオライリー電子書籍に限定しなくてもいいじゃん?なんで制限しているんだろう?
- A: これは、物品の調達先について、購買部門側で予め反社調査が済んでいなければならない、という統制によるものです。
- Q: なんで3営業日以内に、経理、購買を含めた全員に返信の形で登録完了の旨を返信しなければいけないんだろう?
- 立替精算ワークフローシステム上で立替精算する際に、どの項目に何を入力すればいいか、をスクショへの加工の形で細かく記載したドキュメントを作成
- 項目が結構多く、項目名も少し難しかったりするので、既存の立替精算の汎用マニュアルだけだと何を記入しなければならないか、少し頭を使う必要がある
- 業務上必要な立替申請ならそれでも業務としてでもやるが、自分が賞品をもらうプラスアルファの申請、だととりあえず後回しでいいか……自分のお金だし、どうせ本は手に入っているしとなりがち
- 頭を使わず、書いてあることに従うだけで申請が完了するレベルで落とし込んだ、「Best Qiita賞オライリー申請」に特化したドキュメントとした
- 業務上必要な立替申請ならそれでも業務としてでもやるが、自分が賞品をもらうプラスアルファの申請、だととりあえず後回しでいいか……自分のお金だし、どうせ本は手に入っているしとなりがち
- 項目が結構多く、項目名も少し難しかったりするので、既存の立替精算の汎用マニュアルだけだと何を記入しなければならないか、少し頭を使う必要がある
- オライリー電子書籍をKindleで扱っていないことを記載
プライズやインセンティブ授与を検討する際に持っておくとよい観点/知識
確認しておくべき点
- 立替精算の場合にお金を受け取る方法
- 給与口座振り込みなのか、別の方法なのか
- 補助上限を超える場合の、差分を「自腹で出す」のやり方が認められるか否か
- 立替で書籍などを買う場合、補助上限より高い本が欲しい場合などがある
- 稟議で認められた補助上限を超えた金額の領収書の提出し、差分は自腹で払いました、が認められるのか。また認められるとしたら、立替申請の書類に何か備考などを記載する必要があるか
- 稟議決裁で認められた予算枠/購買への商品調達依頼について
- 複数回に分けて申請できるのか
- 30000円の予算を申請し、1か月おきに5000円のものを調達してもらう、など
- 複数回に分けて調達する場合、いつからいつの期間で申請できるのか
- 稟議で認められたその予算枠が有効な期間と、調達依頼の終盤の回のタイミングがずれていないか
- 複数回に分けて申請できるのか
- 購買部門経由での調達とする場合、調達に何営業日かかるのか
- 会社の購買部門経由で書籍等を調達する場合、所有権が誰になるのかを確認する
- 確認しないと、「会社の持ち物として調達し、貸し出す」建付けになってしまう可能性がある
経理に関わる観点
- Amazonギフト券、全国百貨店共通商品券といった換金性の高いものの提供は給与所得と見なされるため、経理部門との調整が必要
- 換金性の低いもの(今回のケースであればオライリー電子書籍の立替)であれば給与所得と見なされない
- 立替精算の場合、電子帳簿保存法に対応した経費精算システムが導入されていない場合は、現時点では「領収書電子データを印刷して経理に提出。それを経理側が保管」することが必要
- 2022年1月から施行の改正電子帳簿保存法では「電子データを印刷して提出/保管」が認められなくなり、電子データで受領した領収書は電子データのまま扱うことが義務付けられる
- 12/6追記: 改正電子帳簿保存法について、政府・与党が2年間の猶予期間を設ける方針、と日経新聞が報じた。
- 2022年1月から施行の改正電子帳簿保存法では「電子データを印刷して提出/保管」が認められなくなり、電子データで受領した領収書は電子データのまま扱うことが義務付けられる
- 「いつ、だれに、いくら分の、所得に該当する物が提供されたのか」の把握
- Amazonギフト券が所得に該当する物であることからの理由。
- 人事部門が給与控除に必要な情報のため、以下の事実を確認し、証跡を取る。
- いつ時点で誰がいくらの所得対象物を得たのか
- その対象物は所得として機能したのか
- コピペミスで実は機能するアマギフとして受賞者の手元に届いていませんでした、が給与控除処理の後に発覚したら大変
- ※弊社では経理から人事に給与控除に必要な情報を共有しているため、現場担当者は経理に対し情報を提出している
購買(モノの調達)に関わる観点
- 現場担当者や受賞者自身が買って立替申請、の形より、会社の購買部門が調達して対象者に引き渡し、の形の方が認められやすい。前者の形をとるときは理由付けを求められる。
- 購買活動における統制上の観点の一つである「職務の分離」。
- 「発注依頼者」と「発注実施者」の相互牽制により不正の発生を未然に防ぐ。
- 「発注を行いたい者」と「発注を実施する者」が同一の場合、例えば特定の取引先との個人的な関係などで便宜を図る可能性が出てくる。
- 購買活動における統制上の観点の一つである「職務の分離」。
- 特定の購入先から、一定の期間、複数回(すなわち継続的に)モノを調達する場合、調達先の反社調査が必要になる。これはすべての調達先について、1社1社行うもの。
- Amazonやヨドバシなどの大手であれば、会社の購買部門が過去反社調査を済ませている可能性が高い
- 今回オライリー電子書籍を対象にしたかったので、オライリー・ジャパンの反社調査を新たにしてもらった
- 「検収確認」の実施
- 購買活動における統制上の観点の一つ。
- 購買部門が、「発注した内容通りのサービス/モノが、適切な対象者に届き、また機能していること」を確認し、証跡を取る。
- また、発注担当者以外の検収手続きにより、支払における不正を防ぐ。
その他豆知識
- Kindle(電子書籍)では、オライリーの電子書籍は扱っていない
- オライリー電子書籍は、購入ページなどからの領収書ダウンロードができない
- オライリー・ジャパン発行の領収書が欲しい場合は、オライリー・ジャパンのメールアドレス(japan@oreilly.co.jp)に問い合わせて発行してもらう必要がある
- オライリー電子書籍の決済方法は、2021/12/4時点でPayPalのみであるが、PayPal決済時に、登録メールアドレスにPayPal発行の購入先が記載された領収書が届く
- オライリー電子書籍は規約上、個人アカウントでの本人による購入になるため、必然的に立替精算となる。
メールで問い合わせて発行してもらうのは面倒なため、オライリー電子書籍をインセンティブとしたい場合、PayPal発行の領収書が精算に使えないか経理と相談するとよい。
- オライリー電子書籍は規約上、個人アカウントでの本人による購入になるため、必然的に立替精算となる。
- Amazonギフト券には、皆さんご存じの、Amazonの買い物すべてに利用できる一般的なものの他に、本カテゴリのみなど、特定カテゴリの決済のみに利用可能なAmazon種類別商品券が存在する
- これはAmazonインセンティブという法人向けプログラムの中の取り扱いのため、個人でAmazon種類別商品券を購入することはできない
- 今回のBest Qiita賞のようなインセンティブ目的では活用できるケースも多いかも
- 我々の場合は、プライズを書籍だけでなく、例えばラズパイであったりキーボードであったり、書籍以外での技術習得や生産性向上など、ご自身のためになる目的に広く利用してほしかったため通常のアマギフのプレゼントとしている
- Pマークを取得している企業は、受賞者宅の住所を聞いて配送を行う場合、JIS Q 15001に定義されている対応が必要
- 「個人情報取り扱いに関する同意書」(明示して同意を得るための書面)を会社が定める個人情報保護方針に基づき定義し、対象者に同意/提出してもらう必要がある
- 弊社のようにGoogle Workspaceを導入している場合、Googleフォームで同意書兼住所入力フォームを提供するのが方法の一つ
- 同意書の一例
- 事前に個人情報保護管理者から、新規の種類の個人情報を対象者から直接書面によって取得する旨の承認と、「個人情報取り扱いに関する同意書」の内容に関する承認を得る必要がある
- ※参考: 弊社の個人情報保護方針
- 「個人情報取り扱いに関する同意書」(明示して同意を得るための書面)を会社が定める個人情報保護方針に基づき定義し、対象者に同意/提出してもらう必要がある
最後に
組織内で何か物事を実施したいときに、必ず何らかのルールが登場します。
このルール、得てして邪魔なもの、面倒くさいもの、と見られがちですし、実際「この決まりさえなければスムーズに進むのに……」と感じることもあったりしますよね。
しかし本来ルールとは、その物事の実現において邪魔な障壁では決してなく、むしろ武器として活用しうるものであります。
ルールのベースにあるのは要求事項であり、要求事項とは、そもそもミスや悪意などのリスクから自分たちを含めたステークホルダを守るためのものです。
すなわちルールを使いこなすことにより、一定以上のクオリティを常に実現できる堅牢さと、ステップの少なさやプロセスのスピードを兼ね備えた仕組みを迅速に構築できるようになります。
ルールが具体的なToDoになっていて、どうも自分たちにフィットしない部分があるぞ、と感じたり、明らかに非効率な運用を「ルールだから」と実施しているケースがあったりします。
しかし先述の通り、ルールのベースには要求事項があります。ルールを定めた人とコミュニケーションを取り、抽象化することで要求事項が見えてきます。 (もしくは、ルールを定めた張本人であれば、要求事項レベルですでに整理していて教えてくれたりします)
そして要求事項が見えたら、それをベースに自分たちにフィットしたプロセスを(もともとルールを定めた人とコミュニケーションしながら)作っていくことも可能です。
総務や法務、財務、経理といった部署に苦手意識を持っている方もいるかもしれません。
ただ、そもそも大前提として会社の利益になる活動をしよう、というのは皆共通の思いで、エンジニアやコンサル、営業といった会社の利益を生む職種が本業に集中して成果を出せるようにするため、専門領域からサポートする、という思いで仕事をしてくださっているのが彼ら彼女らです。
皆さん、話してみると大抵の場合協力的で、積極的に相談に乗ってくれる人が多かったりします。
お互いに相手をリスペクトする気持ちを忘れず、「なぜ相手はこういっているのだろう」「なぜこういう決まり、ルールがあるのだろう」「ただただ邪魔にしか見えないこの決まりも、理由があって作られたもののはず」という思いで現状を読み解き、コミュニケーションを図ることで、結果的に双方にとってより納得感があり、よりよい仕組みづくりに繋がると信じています。
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2022年1月より、弊社でも領収書の電子保存に対応した関係で、立替経費精算が全てワークフロー上で完結するようになり、出社 or 郵送での提出が不要になりました。
電子保存の義務化対応及び利便性の向上、という観点から提出の電子化に迅速に対応くださった、経理をはじめとしたバックオフィスの方々に感謝です。 ↩