JavaScriptのif文に変数を直接突っ込むのは危険？他言語と比較して考える

はじめに

JavaScriptを書いていると、次のようなコードをよく目にします。

const arr = [];

if (case1) {
  arr.push("hoge");
}

if (case2) {
  arr.push("huga");
}

if (arr) {
  console.log("配列の要素は存在する");
}

一見すると、

「case1 と case2 がどちらも満たされない場合は、arr が空配列のままなので false になるのでは？」

と思いますよね。

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ところが実際には、この if (arr) は true と判定されます。

なぜなら、JavaScriptには暗黙の型変換があり、
配列やオブジェクトは「空であっても truthy」 と扱われるからです。

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この記事では、

• JavaScriptにおける暗黙の型変換の落とし穴
• 空配列・空オブジェクト・空文字など直感的に分かりにくいケース
• 他の言語（Python, PHP, Ruby）との比較
  を整理し、「可読性を重視して明示的に書きましょう」 という提案をします。

JavaScriptにおけるtruthy / falsy

JavaScriptでは、if (...) に渡された値が 真偽値へ暗黙的に変換 されます。

falsy として扱われる値

• false
• 0, -0, 0n
• ""（空文字）
• null
• undefined
• NaN

truthy として扱われる値

上記以外はすべてtruthyです。
例えば：

if ([]) console.log("空配列はtruthy"); // 出力される
if ({}) console.log("空オブジェクトもtruthy"); // 出力される
if ("0") console.log("文字列'0'もtruthy"); // 出力される

直感と異なるポイント

• [] や {} が true 扱いになる
• "0" は true 扱いになる（数値の 0 は false）

明示的に書いた方が良い例

意図を明確にするためには、次のように プロパティや長さを確認する条件式 を書くのがおすすめです。

// 悪い例（読み手が意図を誤解する可能性あり）
if (arr) { ... }

// 良い例
if (arr.length > 0) { ... }

if (obj && Object.keys(obj).length > 0) { ... }

if (str !== "") { ... }

これなら「空配列は除外したいんだな」「空文字を弾きたいんだな」と意図が読み取れます。

他言語との比較

言語	空配列	空オブジェクト/辞書	空文字	特徴
JavaScript	true	true	false	空配列/空オブジェクトがtruthy
Python	false	false	false	「空=false」が基本
PHP	false	false	false	Pythonに近い
Ruby	true	true	true	nilとfalse以外はtruthy

Python

arr = []
if arr:
    print("空配列でもtrue")  # ← 出力されない

Pythonユーザーは「空ならFalse」と考えるので、JavaScriptとのギャップに戸惑いやすいです。

PHP

$arr = [];
if ($arr) {
    echo "true";
} else {
    echo "false"; // 出力される
}

こちらも「空ならfalse」が自然。

Ruby

arr = []
if arr
  puts "true" # 出力される
end

RubyはJavaScriptと似ており、「空配列はtrue」。ただし空文字もtrueなのでさらに独特。

まとめ

• JavaScriptでは「空配列・空オブジェクト」がtruthyになるため、直感に反する挙動をすることがある
• PythonやPHPでは「空はfalse」扱いが一般的で、JavaScriptに特有の落とし穴
• RubyはJavaScriptに似ているが、空文字までtrue扱いになる点でさらに注意が必要
• 読みやすさと意図の明確さを優先して、arr.length > 0 や Object.keys(obj).length > 0 など 明示的に条件を書くことを推奨

最後に

暗黙の型変換は便利ですが、他言語の習熟度が高い人は反対の理解をしてしまうケースがあり、メンテナンス性が下がる一面もあります。
「if文に変数を直接入れるのはやめよう」 を習慣化すると安全だと考えております。