ようやく自宅環境をIPv6にしてみた初心者です。自分で試してみるまではIPv6ってただIPv4の32ビットのアドレス空間を128ビットにしただけでしょ、くらいに思っていたのですが、IPv6のアドレスにもいろいろな種類があることがわかりました。初心者ならではの視点で今回試す中で目にしたアドレスの数々を紹介したいと思います。
アドレスの表記
まずはアドレスの表記の仕方から。128ビットのアドレスを8分割し16ビットずつ区切ったものをコロン(:)でつなげます。a-fの英字小文字、コロンで区切られた各フィールドの先頭の0は省略します。たとえばこんな感じです。
2403:3a00:202:1104:219:94:245:35
ただし2つ以上連続する0のフィールドは省略して ::と書くことができます。連続する0が2箇所ある場合は長い方を省略します。同じ長さの場合左側を省略します。
図鑑
::1
種別：ループバックアドレス
レア度：-
ローカルのネットワークがIPv6対応になっていればどこでも見つけられます。各ノードが自分自身と通信するためのアドレスでIPv4でいうところの 127.0.0.1 です。
fe80:0:0:0:...
種別：リンクローカルアドレス
レア度: -
ループバックアドレス以上によく見かける種類です。リンクつまりルータの外に出ずに直にやりとりする範囲で有効なアドレスです。すべてのリンクごとに付与されてますが、このアドレスでリンクの外に出ることはできません。
このアドレスでやりとりするときにはそれだけで一意に宛先を決定できないのでどのリンクなのかを明示する必要があります。fe00::1%eth0 というように % のあとにインタフェースを付加します（Windowsの場合は %15のようにIDを付加する）。コマンドによってはこの書き方ができなくて例えばlinux の ping6 コマンドの場合は次のようにオプションでリンクを指定する必要があります。
% ping6 -I eth0 fe80::1
::
種別：文脈次第
レア度: -
すべて0のアドレスです。IPv4での0.0.0.0同様文脈に応じてデフォルトゲートウェイなどいくつかの意味を持ちます。
2001:db8:...
種別：文書記述用アドレス
レア度: ★
文書の中に生息する紙魚のようなアドレスです。例として使用します。最初、なんの説明もなくドキュメントの中に出てきて戸惑いました。ルーターで中継されないので実際に使ってしまっても害はないようですが……。
2xxx:... or 3xxx:...
種別：グローバルユニキャストアドレス(GUA)
レア度：★
インターネットに出られるアドレスです。プロバイダーからもらわないといけないので、レア度を★にしました。IPv4では基本的に1つずつしかもらえませんでしたが、IPv6ではまとめてこの範囲という感じで複数もらえることが多いです。LAN内の各機器やサーバー上のVMにそれぞれグローバルなアドレスをふることができます。
fcxx:... or fdxx:...
種別：ユニークローカルアドレス(ULA)
レア度：★★
インターネットには出ないけどリンクの外には出たいという中間的な用途のために用いられます。GUAは変化する可能性があるのでサイト内で固有のアドレスを付与したいときや付与されたGUAの数が足りないときに用いられます。
ffxx:...
種別：マルチキャストアドレス
レア度：★
これまで紹介したのは単一のノードに送信するためのユニキャストアドレスですが、これは複数のノードに送信するためのアドレスです。
よく使うものとしては ff02::1があります。これはリンク内のすべてのノードに対して送ります。リンク固有なのでリンクローカルアドレス同様リンクを明示する必要があります。
::ffff:a.b.c.d
種別：IPv4射影IPv6アドレス
レア度：★★★
a.b.c.d の部分にはIPv4のアドレスがそのまま入ります。これは実体をもったアドレスではなくIPv4のアドレスをIPv6のアドレス体系からみたときにこうあらわそうというものです。IPv4, IPv6両対応のサーバのログなどにあらわれます。
2002:...
種別：6to4アドレス
レア度：★★★
GUAの一種なのでインターネットに出られます。Apple AirMac Expressの設定でIPv6を有効にしたら付与されました。6to4という技術でIPv4のネットワークをトンネリングしてIPv6のパケットを流してくれるようです。ぼくの環境ではpingとsshは通信できましたが、http(s)は通らなかったです。調べるのも面倒なので放置してしまいました。
2001:0:...
種別：Teredoアドレス
レア度：★★
これも6to4同様トンネリング用です。Windows機に付与されてました。
おわりに
図鑑なのに図が一つもなかった。