はじめに
LaravelとRailsは、それぞれPHPとRubyを代表するWebフレームワークであり、どちらもメール送信の仕組みを提供しています。しかし、両者にはいくつかの設計思想や実装方法の違いがあります。本記事では、Laravelのメール送信方法を解説しながら、RailsのAction Mailerとの違いにも触れていきます。
前提条件
Laravelのバージョンは10以上を想定。
Railsのバージョンは7以上を想定。
メールサーバーとしてSMTPを使用。
Laravelでのメール送信
1. 環境設定
Laravelでは、.env
ファイルでメールサーバーの設定を行います。
MAIL_MAILER=smtp
MAIL_HOST=smtp.example.com
MAIL_PORT=587
MAIL_USERNAME=your_username
MAIL_PASSWORD=your_password
MAIL_ENCRYPTION=tls
MAIL_FROM_ADDRESS=your_email@example.com
MAIL_FROM_NAME="Example Name"
これらの設定は、config/mail.php
にマッピングされ、アプリケーション全体で使用されます。
2. Mailableクラスの作成
メール送信ロジックは、php artisan make:mail
コマンドでMailableクラスとして作成します。
php artisan make:mail SampleMail
以下のようなクラスが生成されます。
<?php
namespace App\Mail;
use Illuminate\Bus\Queueable;
use Illuminate\Mail\Mailable;
use Illuminate\Queue\SerializesModels;
class SampleMail extends Mailable
{
use Queueable, SerializesModels;
public function __construct()
{
// 必要なデータを渡す
}
public function build()
{
return $this->view('emails.sample')
->subject('サンプルメールの件名');
}
}
3. メールテンプレートの作成
ビューをresources/views/emails/sample.blade.php
に作成します。
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>サンプルメール</title>
</head>
<body>
<h1>こんにちは!</h1>
<p>これはサンプルメールです。</p>
</body>
</html>
4. メール送信
コントローラーやその他の場所でMailableクラスを使用してメールを送信します。
use App\Mail\SampleMail;
use Illuminate\Support\Facades\Mail;
Mail::to('recipient@example.com')->send(new SampleMail());
特徴
直感的なAPI:Mail::to()->send()のように簡単に利用可能。
テンプレートエンジン:Bladeを使用して柔軟にメールのレイアウトを設計可能。
Railsでのメール送信
1. 環境設定
Railsでは、config/environments/development.rb
やproduction.rb
で設定します。
config.action_mailer.delivery_method = :smtp
config.action_mailer.smtp_settings = {
address: "smtp.example.com",
port: 587,
user_name: "your_username",
password: "your_password",
authentication: :plain,
enable_starttls_auto: true
}
2. メールクラスの作成
rails generate mailer
コマンドでメールクラスを作成します。
rails generate mailer SampleMailer
以下のようなクラスが生成されます。
class SampleMailer < ApplicationMailer
def sample_email
@greeting = "こんにちは"
mail(to: "recipient@example.com", subject: "サンプルメールの件名")
end
end
3. メールテンプレートの作成
ビューをapp/views/sample_mailer/sample_email.html.erb
に作成します。
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>サンプルメール</title>
</head>
<body>
<h1><%= @greeting %></h1>
<p>これはサンプルメールです。</p>
</body>
</html>
4. メール送信
コントローラーやジョブから以下のように送信します。
SampleMailer.sample_email.deliver_now
特徴
Active Recordとの統合:Railsならではのシームレスなデータ操作。
設定の柔軟性:環境ごとに簡単にメール設定を切り替え可能。
LaravelとRailsの比較
項目 | Laravel | Rails |
---|---|---|
メールクラスの作成 | artisanコマンドでMailable生成 | generatorコマンドでMailer生成 |
テンプレートエンジン | Blade | ERB |
メール送信方法 | Facade(Mailクラス)を利用 | メールクラスのインスタンスから送信 |
環境設定の場所 |
.env + config/mail.php
|
config/environments/*.rb |
まとめ
LaravelとRailsのメール送信機能には多くの類似点があり、どちらも強力で柔軟なフレームワークです。LaravelはFacadeによる直感的なAPIを提供し、RailsはActive Recordとの統合が強みとなっています。