はじめに
みなさん、こんにちは。FinOpsしてますか?今回は「クラウド移行に失敗して会社が破産しないようにチームで連携しながらFinOpsを推進する」というシミュレーションを、安全な机の上で体験できるFinOps Foundationが公認する異色のボードゲーム「FinOps the Board Game」について紹介します。
実はまだ現物は持っておらず、ぼっち(1人)では遊べないし、どうしようかなと悶々としながら、YouTubeの公式プレイ動画などで予習(妄想)を深めてしまいました。とはいえ、調べれば調べるほど「これ、エンジニアこそやるべきゲームでは?」という思いが強くなっており、稀有な仲間を増やせないかと思ってこの記事の執筆をさせていただきました。
ゲームの概要:敵は「クラウド請求額」
まずは基本スペックについて、このゲームの最大の特徴は、プレイヤー同士で争う対戦ゲームではなく全員で勝利を目指す協力型ゲームだという点です。
- プレイ人数:3~7人
- プレイ時間:60~90分
- 勝利条件:アプリケーションをクラウドに移行し、FinOpsの成熟度を高め、ビジネス価値を最大化すること
- ゲームオーバー条件:予算が尽きること
ゲーム内通貨として100ドル札と20ドル札が用意されていますが、このゲームの恐ろしいところは、ターンごとに容赦なく「クラウドプロバイダーへの支払い」が発生する点です。
FinOpsは単なる節約ではなく、お金を稼ぐことが目的ですが、このゲームでも稼ぐのが先か予算が尽きるのが先か……このハラハラするバランス感覚をチーム全員で養うのがこのゲームの真髄です。
画像引用:FinOps the Board Game by FinOps Foundation (CC BY 4.0)
ブラックジョークあふれるリアルなゲームシステム
「手持ち資金(予算)」はたっぷりある状態でスタートしますが、「毎月の収支(キャッシュフロー)」はいきなり大赤字になるように設計されています。
FinOps Foundationが作っただけあって、エンジニアや財務担当者が「うわぁ……」と頭を抱えるようなブラックジョークや、リアリティのあるトラブルがそのままカードになっていたりします。
クラウドリフト&シフトがもたらす光と影
ゲーム開始時、チームは 14,000ドル という潤沢な予算を持ってスタートします。最初の「アプリケーションカード」を引き、クラウドへ移行させます。アプリケーションを移行すると、毎ターン収益(20ドル)を生み出すようになります。
しかし、生み出すのは収益だけではありません。サイコロ2個を振って出た目の数だけ、黒い布袋の中から小さな木製の「無駄キューブ(Waste Cubes)」をランダムで取り出し、アプリケーションカードの上に置く必要があります。このキューブ1個につき、毎ターン20ドルの維持費がかかってくるようになります。出目の最低値が2なので、クラウド移行した瞬間から赤字スタート確定で、ひどい移行(高い出目)をすればするほど抱える技術負債が大きい状態となります。
最初は移行すればするほど赤字が膨らみます。予算を切り崩して「最適化(無駄の削除)」を行いながらゲームをうまく展開していけば、どこかのタイミングで収入がコストを上回るようになり、手持ち資金が増え始めるようになります。
まさに、スタートアップ企業や新規事業の立ち上げに近い状態で「調達した資金(14,000ドル)を食いつぶしながら、黒字化を目指して開発とリファクタリングを続けるゲーム」となっています。
新しいことをはじめようとすると異常が起きる
無駄キューブはいくつかの色分けがあり、それぞれが異なるドメインの無駄を表しています。これらの無駄を排除するためには、対応する色のFinOpsケイパビリティを持っていないと効率的に除去できないというルールがあります。
プレイヤーは手札の「ケイパビリティカード」を配置して組織を強化していきますが、新しいツールやプロセスを導入した直後が一番トラブルが起こりやすい ため、プレーヤーは組織の強化と引き換えに「アノマリーカード」を引く必要があります。アノマリーカードは次のような内容で、よくありがちなトラブルが書かれています。
- 「休暇前にテスト環境を切り忘れた(200ドルの支払い)」
- 「アーキテクチャの試行錯誤で無駄が出た」
- 「RI(リザーブドインスタンス)を買いすぎて余らせた」
こうしたトラブルに対し、チームで協力して対処していく必要があります。なお、「FinOps認定者」などの特定のペルソナ(役割)や、特殊カードの効果によっては、このアノマリーによるペナルティ(支払い)をスキップしたり、引くカードを操作したりすることが可能となっているようです。
実際の現場でも有識者がいれば、ハマりやすい落とし穴を回避できたりするので、現実に沿った凝った作りになっているように思います。
プレーヤーごとに異なる役割でチームを救う
プレイヤーはそれぞれ異なる役割を担当し、個々のペルソナが持つ固有の「特殊能力」を駆使しながらチームを救っていきます。
同じ役割のプレーヤーは一人としていません。そのため、プレーヤー個々ができることを最大限活かし、協力していくことが重要です。
- エンジニア:アプリケーション移行時に発生する「無駄キューブ」を即座に削除することが可能な特殊能力を持っています。とにかく、技術負債(=無駄キューブ)を消していき、運用コストを下げる役割を担います。
- 調達:クラウドプロバイダーとの関係値を使って、特定のターンの支払いをスキップ(0ドル)にするという超強力な特殊能力を持っており、資金ショート寸前の危機的状況に陥ったチームを救うことができます。
- 認定FinOpsプラクティショナー:組織のFinOps成熟度を一気に2段階引き上げたり、異常検知によるペナルティを無効化したりする特殊能力を持っています。
- エグゼクティブ:お金(予算)をどこからともなく調達したり、特定の分野(組織連携など)の成熟度を安く上げたりする特殊能力を持っています。
プレーヤーの人数は最大7名で、その役割も7つ用意されています。ここでは4つしか紹介しませんでしたが、気になった方はどんな役割があって、それぞれがどんな特殊能力を持っているかぜひチェックしてみてください。
「FinOps the Board Game」の入手方法
ここまで読んでみた方で中には「面白そう!次のチームビルディングでやりたい!」と思った方もいるかもしれません。
ここで重要な注意点があります。このゲームは、Amazonなどの大手ECサイトでは買えません。ボードゲームのオンデマンド販売サイト「TheGameCrafter」から購入する必要があり、日本に届くまでかなり時間がかかるようです。
- 販売サイト: TheGameCrafter
- 価格: 142.99米ドル(※別途、日本への送料や関税がかかる場合があります)
- 納期: 受注生産っぽいため数週間(※12/17に購入画面に行った際は1/8に到着予定と出ました)
ということで、今年のクリスマスまでには届きませんし、カルタ大会(?)のような新年行事としてやることもできません。くぅー残念💦
終わりに
「FinOps the Board Game」は、FinOpsの実践を「チームで攻略する戦略ゲーム」として遊びながら学ぶことのできる一見変わったツールとなっています。マニュアル含めてすべて英語ですが、出てくる単語は「Showback」「Commitment-based discounts」など、FinOps実践者からすると馴染みのあるものばかりとなっています。
旧バージョンのFinOpsフレームワークを元にして作られているため、最新のフレームワークの学習には対応できていませんが基本的なケイパビリティはカバーできていますので、ぜひ気になった方はチェックしてみてください。
個人的には、Japan FinOps Meetupなどのローカルイベントでゲーム大会とかできると面白いと思うんだけどな、と思ってたりします。以上、FinOps Foundationが公認するボードゲーム「FinOps the Board Game」のご紹介でした。
