はじめに
みなさん、こんにちは。今回は、2025年11月に開催された技術書典19にて販売された『New Relicに詳しい人達が書いた本 〜Trailblazerたちの「好き」を集めてみた〜』という技術同人誌についてご紹介したいと思います。
本書は、New Relic Trailblazerなどの有志メンバーで執筆した技術書で、ありがたいことに私も第5章「SREチームから始めるFinOpsカルチャーシフト」の執筆を担当させていただきました。
第5章ではFinOpsを「クラウドから価値を引き出すゲーム」に例えて、某有名なゲームのセリフなどを交えながら親しみやすく解説しています。技術書なのにゲーム感覚で読める、そんな一風変わった章になっています。本記事では、そんな第5章の見どころについても紹介していきたいと思います。
『New Relicに詳しい人達が書いた本』について
本書は、New Relicの一通りの機能を網羅的に解説した入門書ではなく、各執筆者がそれぞれの専門分野について「書きたいネタ」を自由に書いた、いわば「好き」を集めた本となっています。
全6章で構成されており、それぞれ異なる切り口でNew Relicの活用方法を解説しています。明日すぐに役立つ話もあれば、そうではないものもあるかもしれません。しかし、読んでおくことで将来役に立つ知見が詰まっていると信じています。ぜひ気軽に読んでもらえれば嬉しいです^^
目次構成:
- 第1章 初期設定から一歩先へ、APMの詳細設定ガイド
- 第2章 JP1/AJSジョブ情報をNew Relicで可視化・分析する。
- 第3章 品質管理の考え方を基にした計測と可視化
- 第4章 NerdGraph APIによる監視業務の自動化と効率化
- 第5章 SREチームから始めるFinOpsカルチャーシフト ← 今回はココが主役!
- 第6章 Kubernetes環境におけるNew Relicを活用した運用について
第5章について
この章のメインテーマである FinOps は、クラウドコスト最適化やクラウド財務管理(CFM)とも呼ばれ、クラウドネイティブ時代のITガバナンスを実現する手法として今や欠かせない分野の1つとなっています。
私が執筆を担当した第5章「SREチームから始めるFinOpsカルチャーシフト」では、オブザーバビリティプラットフォームであるNew Relicを組み合わせることの重要性について解説するとともに、FinOpsの実践にNew Relicをどのように活用できるのかについて、実践例を交えて解説しています。
第5章の構成
第5章は以下の4つの大きな節で構成されています。この章では、FinOpsを「クラウドから価値を引き出すゲーム」に例えながら、SREチームという最強キャラを主人公に、New Relicという課金アイテムを装備して、簡単で小さなクエストから攻略していく、という親しみやすい表現で解説しています。
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クラウドから価値を引き出すゲームを始めよう
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FinOpsとは何か、なぜ必要なのか
- クラウドがもたらした光と影
- 生かすも殺すもエンジニアの腕次第
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ストーリーがサクサク進むオススメ主人公
- SREからFinOpsをはじめる企業が多い理由
- ゲームの序盤においてSREは無双状態
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ゲームを攻略する上で心がけること
- 大きなものに立ち向かう勇気と無謀は違う
- 小さな成功体験の積み重ねが一番の近道
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New Relicという強力なツールを持って旅立とう
- 新しいことをしようとするから三日坊主は生まれる
- スタートダッシュをさらに加速する強力なアイテム
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FinOpsとは何か、なぜ必要なのか
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Informフェーズ:コストの可視化と配賦
- まずは「何が知りたいか」を明確にする
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迷ったらこれを取っておけば大丈夫
- ステップ1. クラウドインテグレーションの設定
- ステップ2. Infrastructureエージェントの導入
- ステップ3. APMエージェントの導入
- ステップ4. AIモニタリングの設定
- ステップ5. Cloud Cost Intelligence(CCI)の設定
- コラム:見よ!これが課金の力だ!
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データを可視化することで見えてくる世界
- 其の1:優先順位の明確化
- 其の2:「思い込み」からの脱却
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Optimizeフェーズ:最適化機会の特定
- 理解できなければ十分な効果は発揮しない
- ローハンギングフルーツの探索から始める
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信頼性とコスト効率の両立のバランスを追求する
- New Relicによるスケーリング調整の検証
- スケーリングにまつわる悲しい事例
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アプリケーションへディープダイブしてからが本番
- 過剰な品質や性能に注目してみよう
- 非効率な処理に注目してみよう
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労力対効果に見合わないアクションを防ぐ
- 節約可能額の最低ラインを設定しよう
- 労力対効果(ROI)を定義しよう
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Operateフェーズ:継続的な改善の実行
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つまらない作業は自動化してしまうに限る
- アタッチされていないEBSボリュームの自動削除
- EBSボリュームをgp2からgp3へ変換
- 営業時間外のEC2インスタンスの自動停止
- タグ付けが準拠されていないEC2リソースの自動検出
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「義務」から「楽しいチャレンジ」への転換
- 成功事例の可視化とポジティブなフィードバック
- ベンチマークやハッカソンによる競争の創出
- 日常の改善活動のクエスト化
- 結局のところ楽しんだもの勝ち
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つまらない作業は自動化してしまうに限る
第5章の見どころ
それでは、各節のポイントを見ていきましょう。
クラウドから価値を引き出すゲームを始めよう
「おお、勇者よ! はやく魔王(技術負債)を倒し、この世に光(お金)を取り戻しておくれ!」
もしかすると低レベルの主人公に対して、エライ人が無邪気にこんな願いを投げかけてくるかもしれません。でも、いきなり魔王城へと乗り込むのは無謀です。万が一、運よく倒せたとしても、残念なことに群衆の心はついてこず、人々の行動が変わることもないでしょう。実は人々の心無い行動が、結果として魔王を生み出していることにも気づかないまま…。
この節では、SREチームという最強キャラを主人公に選び、ゲームの序盤において無双状態を発揮しながら、小さなクエストの攻略を繰り返しながら徐々にスキルや装備、仲間を充実させていく方法を解説しています。
「武器や防具は装備しなきゃ意味がないぞ!」
そして、かの有名なゲームのセリフを引用しながら、New Relicという 課金アイテム を持って冒険へと旅立つ重要性を伝えています。
▲図 5.1 クラウドを使い続けるなら、いずれは FinOps の導入につながる
Informフェーズ:コストの可視化と配賦
「コンテキストのないデータは無意味」
——データ分析の世界でよく言われる言葉です。まずは「何が知りたいか」を明確にすることから始めることが重要です。この節では、New Relicを使ってデータを収集・可視化することで見えてくる 優先順位の明確化 と 思い込みからの脱却 という2つの世界について紹介しています。
「見よ!これが課金の力だ!」
また、最初の一手目でFinOpsというゲームにおけるグローバルのハイパフォーマーたちと同じレベルの環境が整う、という圧倒的な手軽さと素早さをもたらす課金アイテムの優位性についてもコラムという形で解説しています。
▲図 5.8 Cloud Cost Intelligence 画面
Optimizeフェーズ:最適化機会の特定
木の低いところにぶらさがっている果物(ローハンギングフルーツ) から始めて、徐々に高いところへ。この節では、簡単な最適化から始めて、最終的には アプリケーションへディープダイブしてからが本番 として、New Relicを活用した高難易度な最適化に挑戦していく方法を解説しています。
また、本節では スケーリングにまつわる悲しい事例 を交えながら、トラフィック量とリソース使用量、支出といった複数の異なるデータを 1 つのグラフに重ねることの重要性についても紹介しています。
▲図 5.14 AI モニタリング詳細画面(出典:New Relic 公式ドキュメント)
Operateフェーズ:継続的な改善の実行
「つまらない作業は自動化してしまうに限る」
——この節では、EBSボリュームの自動削除やEC2インスタンスの自動停止など、具体的な自動化の実例としてCloud CustodianというニッチなOSSを活用した方法について紹介しています。そして、「義務」から「楽しいチャレンジ」への転換を目指し、小さなサイクルを繰り返しながら組織全体を仲間へと引き込んでいく方法を解説しています。
「結局のところ楽しんだもの勝ち!」
——成功事例の可視化とポジティブなフィードバック、ベンチマークやハッカソンによる競争の創出、日常の改善活動のクエスト化など、ゲーミフィケーションの要素を取り入れ、全力で楽しみながら取り組める工夫を紹介しています。
終わりに
本書は、New Relicをすでに利用されている方はもちろん、これからNew Relicの導入を検討されている方にとっても、実践的な知見が詰まった一冊となっています。
とくに第5章では、FinOpsを「ゲーム」に例えながら、SREチームという最強キャラを主人公に、New Relicという課金アイテムを装備して、小さなクエストから攻略していく、という親しみやすい表現で解説しています。技術書なのにゲーム感覚で読める、そんな一風変わった章になっていますので、SREチームの方々やクラウドコスト最適化に課題を感じている方々にぜひ読んでいただきたいと思います。
技術書典19で販売された本書ですが、引き続き電子版は入手できるようになっていますので、興味を持たれた方はぜひチェックしてみてください。クラウドから価値を引き出しに、あなたも一緒にひと狩りいきませんか? 以上、「New Relicに詳しい人達が書いた本」のご紹介でした。
- New Relic は、New Relic, Inc. の登録商標です。
- その他、記載されている会社名および商品・製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。


