MCPとA2Aは、それぞれ異なる目的を持つプロトコルです。
しかし、仕様を比較すると、非同期処理やタスク管理など、共通する機能が存在します。
この記事では、2026年10月時点の仕様をもとに、両者の違いと使い分けを整理します。
1. MCPとA2Aの基本的な違い
| 項目 | MCP | A2A |
|---|---|---|
| 主な対象 | Tool・Resource | 独立したAgent |
| 能力の公開 |
tools/listなど |
Agent Card |
| 主な呼び出し | tools/call |
SendMessage |
| 非同期処理 | Tasks拡張 | Task Lifecycle |
| 複数回のやり取り | 対応可能 | 標準的に想定 |
| 主目的 | 外部機能の利用 | Agent間の協調 |
※A2AのSendMessageはv1.0の操作名です。旧バージョンではmessage/sendと呼ばれています。
2. 同じ処理をMCPとA2Aで実装すると?
例として、AIから市場調査を実行するケースを考えます。
MCPの場合
処理の流れは次のようになります。
- MCP Clientが利用可能なToolを取得する
-
research_marketToolを呼び出す - Tool内部で調査を実行する
- 結果をMCP Clientに返す
Tool内部でLLMや外部Agentを利用する設計も可能です。
A2Aの場合
- A2A ClientがAgent Cardを取得する
- Agentの能力や接続先を確認する
-
SendMessageで調査を依頼する - 必要に応じてTaskの状態を追跡する
- 結果やArtifactを取得する
同じ市場調査でも、A2Aは相手を独立したAgentとして扱います。
なお、A2Aでも単純なリクエストに対してはTaskを作らずMessageを返せます。
3. 最も重複しているのは非同期タスク
以前は、長時間実行されるタスクの管理がA2Aの大きな特徴の一つでした。
しかし、MCPの2026-07-28仕様ではTasks拡張が整備されています。
MCP Tasks拡張
-
tasks/get:状態・結果の取得 -
tasks/update:追加情報への回答 -
tasks/cancel:キャンセル要求 -
notifications/tasks:状態変更通知
Tasks拡張に対応したToolは、処理完了を待たずにTask IDを返すことができます。
A2A Task
A2AではTaskがAgent間の処理を表現します。
- Task IDによる処理の追跡
- Context IDによる会話の継続
- 入力待ち状態での追加メッセージ
- Artifactによる成果物の取得
- Streamingによる進捗通知
ここで注目したいのは、両者が非同期処理をサポートしていることです。
非同期処理の有無だけでは、MCPとA2Aを区別できません。
ただし、MCP Tasksは拡張であり、各実装の対応状況を確認する必要があります。
4. では、どちらを選ぶべきか?
実装する目的によって判断するのがよいと思います。
| 要件 | 選択候補 |
|---|---|
| AIからDB検索を実行 | MCP |
| AIからRailsの業務処理を呼ぶ | MCP |
| 長時間実行する単純なTool | MCP Tasks |
| 外部の独立Agentに仕事を委任 | A2A |
| Agent間で継続的に対話 | A2A |
| Agent間で成果物を交換 | A2A |
| 両方の利用者に機能を提供 | MCPとA2Aの併用 |
これはあくまで設計上の目安です。
MCPでAgentを呼び出す実装も可能であり、A2Aで単純な処理を実行することもできます。
また、認証・認可や委任権限の検証は、プロトコルの選択とは別に設計が必要です。
5. 将来的にはどうなる?
私は、次の3つの可能性を考えています。
- 共存: MCPはTool、A2AはAgent協調を中心に発展する
- 部分的な集約: 単純なAgent呼び出しはMCPだけで十分になる
- 相互接続: 同じサービスをMCPとA2Aの両方で公開する
2026年9月のA2A公式ロードマップでは、双方向Streamingや複数ターンのワークフローが今後の重点として挙げられています。
一方、MCPもTasks拡張などによって対応領域を広げています。
現時点では、どれが主流になるかは判断できません。
6. まとめ
- MCPとA2Aには、技術的に重複する部分が存在する
- MCPでも非同期処理やAgent呼び出しを実現できる
- A2Aは独立したAgent間の協調を標準化することに重点がある
- 将来は共存しながら、一部の用途で競合する可能性がある
Rails向けA2A Integration Gem a2a-railsを開発している立場としても、この違いを意識した設計が重要だと感じています。
特に、今後はMCPとA2Aの両方を使った実装を比較し、A2Aである必要性を具体的に検証していきたいと考えています。
