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GSA 経由のみで Microsoft 365 / SaaS を許可する設計とそのメリット

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Last updated at Posted at 2026-05-18

GSA 経由でない通信はすべてブロックする 設計がなぜ必要なのか、その本質を解説します。
(ID やデバイスだけでは防げない“抜け道”が存在するためです)

はじめに

Microsoft Entra Global Secure Access(略:GSA)と 条件付きアクセス を組み合わせて
Microsoft 365 や SaaS への通信を「GSA 経由のみに制限する」——

この設計、実際にやってみるとこう思う方も多いのではないでしょうか?

これって何が嬉しいの?

本記事では、この疑問に対してシンプルに結論からお伝えします。

本記事は、条件付きアクセス の基本を理解しており、GSA を使った設計の「意味」を知りたい方向けです。

GSA についてわからない方は、以下の私の GSA ストックリスト を参照ください。

Microsoft Entra Global Secure Access (GSA) のストックリスト
https://qiita.com/carol0226/stocks/878e7bbc57b301e0deac

条件付きアクセス を初めて構成する方は、以下の私の記事を参照ください。

セキュリティの既定値群 と 条件付きアクセス の初回利用について
https://qiita.com/carol0226/items/51a70a561b78af567972

結論:条件付きアクセス が「通信経路」を強制できるようになる

従来の 条件付きアクセス は、主に以下のような観点でアクセスを制御していました。

  • ユーザー(誰か)
  • デバイス(どの端末か)
  • アプリ(どこにアクセスするか)
  • 場所(どこからアクセスしているか)

しかし、GSA を組み合わせることで、ここに新たな制御軸が追加されます。

「どの経路で通信しているか(=GSA を経由しているかどうか)」

つまり、以下のようなポリシーが実現可能になります。

GSA を経由していない通信は、すべてブロックする

※ 本制御は、Microsoft Entra ID で認証される SaaS アプリに対して有効です。
(IDベースで制御できないアプリには適用されません)

これは単なる制御の追加ではなく、

アクセス制御のレイヤーが “アプリ” から “ネットワークトラフィック全体” に拡張される

ことを意味します。

何がうれしいのか?

このアーキテクチャによって得られる価値は、大きく分けて次の通りです。

① ゼロトラストの強化(抜け道の排除)

  • 正規ユーザーでも
  • 準拠デバイスでも

GSA を通らない通信は許可しない

これにより、

  • 直接アクセス(Bypass)
  • 非管理ネットワーク経由のアクセス
  • セキュリティ未適用の通信

といった「抜け道」を排除できます。

言い換えると、ID やデバイスが正しくても「経路が信用できない場合は拒否する」という制御が可能になります。

これは「信頼されたネットワークは存在しない」というゼロトラストの前提を、通信経路レベルで適用している形です。

② すべての通信をセキュリティチェック下に置ける

GSA(Internet Access)は、いわゆる クラウド型プロキシ(Secure Web Gateway) として動作します。

そのため通信は必ず以下の経路になります。

端末 → GSA(Microsoft Edge Network) → Internet / SaaS

この構成により:

  • 悪性サイトのブロック
  • Web カテゴリフィルタリング
  • SaaS 利用制御
  • トラフィックログの可視化

強制的に適用される状態 になります。
(=ユーザーが意識しなくても、必ずセキュリティを経由する)

③ ポリシーの一元化(IDベース統制)

GSA は Entra ID と統合されているため、

  • ネットワーク制御
  • アクセス制御(条件付きアクセス)

同じポリシー基盤で管理 できます。

「ネットワーク制御」と「認証制御」が分断されない

従来は、プロキシ・FW・CASB などでポリシーが分断されがちでしたが、これにより、

  • 管理の一貫性向上
  • ポリシーの重複排除
  • 運用のシンプル化

が実現できます。

④ 「どこからでも同じセキュリティ」を実現

従来のオンプレ前提のプロキシでは:

  • 社内ネットワーク → セキュア
  • 自宅・外出先 → バラバラ

になりがちでした。

しかし GSA では:

ユーザーの場所に関係なく、同じセキュリティを適用

できます。

  • 在宅勤務
  • 出張先
  • モバイル回線

すべて同一ポリシーで制御可能です。

GSA 経由であることを制御するための設定内容

ここまでの内容を踏まえ、実際に「GSA 経由のみ」を強制するための設定を見ていきます。
以下の公開情報で説明されている手順を キャプチャ付きで紹介していきます。

公開情報:条件付きアクセスによる準拠しているネットワークのチェックを有効にする
https://learn.microsoft.com/ja-jp/entra/global-secure-access/how-to-compliant-network?wt.mc_id=MVP_407731

基本設定

Microsoft Entra ID 用に条件付きアクセス シグナルを有効にする を ON にします。
※既定値は、OFF
image.png

この設定により、ネームドロケーション 上に All Compliant Network Locations という場所が追加されます(場所の種類=ネットワークアクセス)
image.png

公開情報:条件付きアクセスの Global Secure Access シグナリングを有効にする
https://learn.microsoft.com/ja-jp/entra/global-secure-access/how-to-compliant-network?wt.mc_id=MVP_407731#enable-global-secure-access-signaling-for-conditional-access

条件付きアクセスポリシーの構成

以下の公開情報で説明されている手順を キャプチャ付きで紹介していきます。

公開情報:準拠ネットワークの内部にあるリソースを保護する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/entra/global-secure-access/how-to-compliant-network?wt.mc_id=MVP_407731#protect-your-resources-behind-the-compliant-network

1.割り当て:ユーザーとグループ
対象 = すべてのユーザー
対象外 = サービスアカウント、ブレイクグラスアカウント、、ゲストユーザー、Explicit Forward Proxy (EFP) の利用者
 

対象外に入れるべきユーザーとは
以下の公開情報で説明されています。

公開情報:ユーザーの除外
https://learn.microsoft.com/ja-jp/entra/global-secure-access/how-to-compliant-network?wt.mc_id=MVP_407731#user-exclusions

1. サービスアカウント
EntraConnect などのサービスアカウントを除外に追加しておきます。

2. ブレイクグラスアカウント
「緊急アクセス用アカウント」のことです。
緊急時や障害時に備えて用意しておく「例外的に強い制御を受けない管理者アカウント」のことです。
GSA や 条件付きアクセス の設定ミスにより全ユーザーがロックアウトされるリスクを回避するため、必ず対象外としておくことが推奨されます。

公開情報:Microsoft Entra ID で緊急アクセス用アカウントを管理する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/entra/identity/role-based-access-control/security-emergency-access?wt.mc_id=MVP_407731

3. ゲストユーザー ★私独自の視点(検証した結果、除外しておかないとダメです)
招待したゲストユーザーも、GSA の外からのアクセスとなるため、許可しておきます。
除外しておかないと、お客様を Teams に招待しても 会議に参加ができません。

4. EFP を使った通信
以下の私の記事で紹介している EFP を使った通信は、信頼されたネットワーク に含まれていないため、該当するユーザーを除外しておきます。

[GSA : Internet] Explicit Forward Proxy (Preview) の構成手順と検証レポート
https://qiita.com/carol0226/items/1ea6d0608c177923a667

[GSA: Internet] Explicit Forward Proxy (Preview) + Intune MAM BYOD シナリオを試す
https://qiita.com/carol0226/items/36a440963bbb63a8f328

2.ターゲットリソース:リソースの選択
GSA でネットワーク制御したいサービスを選択します。
ターゲットリソース(対象)= 全てのリソース
ターゲットリソース(対象外)= Microsoft Intune , Microsoft Intune Enrollment
 

3.ネットワーク
ネットワーク(対象)= 任意のネットワークまたは場所
ネットワーク(対象外)= すべての準拠しているネットワークの場所** ← ★これがポイント
 

4.条件
デバイスプラットフォーム(対象) = 任意のデバイス
デバイスプラットフォーム(対象外) = Android , iOS

デバイスプラットフォーム の選択は、必須ではありません。
私の場合は、他に iOS や Android も所持しており、それらは まだ GSA 経由の構成を行っていないからです。ここで対象外にしておかないと、スマホ経由の Outlook や Teams がブロックされてしまいます。近い将来には スマホも GSA 経由にして検証してみたいと思います・・・

5.許可 = アクセスのブロック

6.セッション
継続的アクセス評価をカスタマイズする(場所ポリシーを厳密に適用する)= OFF
※Microsoft 365 のサービスに限定している場合には ON にすることも可能です。

継続的アクセス評価をカスタマイズする(場所ポリシーを厳密に使用する)
GSA を利用中に、この設定を有効にした場合、デバイスの場所(インターネット上のアクセス元)が変更された際に、迅速に評価されるようになりますが、Microsoft 365 以外のサービスは対応していないため、ブロック対象になってしまうようです。そのような場合は、CAE は無効化してください。

公開情報:ユーザーの小さなサブセットでポリシーをテストする
https://learn.microsoft.com/ja-jp/entra/identity/conditional-access/concept-continuous-access-evaluation-strict-enforcement#step-2---test-policy-on-a-small-subset-of-users

7.ポリシーを有効化して 保存 します。

8.クラウドアプリへの接続をテストしてください。
GSA が有効な場合 = 通信が許可されます。
GSA が無効な場合 = ブロックされます。

GSA が無効時のブロック動作
以下のようにブロックされます。

公開情報:準拠しているネットワークのポリシーを試す
https://learn.microsoft.com/ja-jp/entra/global-secure-access/how-to-compliant-network?wt.mc_id=MVP_407731#try-your-compliant-network-policy

まとめ

GSA + 条件付きアクセスで「GSA 経由のみ」に制限する本質は、

通信の“入口”を強制的に一本化すること

です。

そしてその結果として:

  • ゼロトラストの徹底
  • トラフィックの可視化と制御
  • ポリシーの一元管理
  • 場所に依存しないセキュリティ

が実現されます。

つまり、「GSAを通らない通信は存在させない」ことが最大の価値です。

これは極端に言えば、「ネットワーク境界をIDベースで再定義する」 ということです。

この設計は「便利にするため」ではなく、「例外を作らないため」のものです。

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