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Windows 365 Enterprise の デプロイ手順

Last updated at Posted at 2025-08-14

はじめに

Windows 365 Enterprise は、クラウド上に Cloud PC がデプロイされ、任意の 物理デバイス(Windows , Mac , iOS , Android 等)から自由にリモート接続して利用することが出来る DaaS サービスです。

この Cloud PC は、物理デバイスの Windows PC と同じように、ブラウザでインターネットアクセスをしたり、アプリをインストールして、業務やゲームなどを楽しむことができます。

本記事では、既に 所持しているテナント上に Windows 365 Enterprise をサインアップする手順を紹介しています。

その他のエディションとの比較
Windows 365 Enterprise と、その他のエディション との比較などは、以下の記事を参考にしてください。

1. 前提事項

以下を手配して、臨みましょう

  • インターネット回線
  • Microsoft Entra テナント(課金アカウントをサインアップ済み = ライセンスを購入可能な状態)
  • 上記テナントの管理者アカウント
  • ブラウザ(Edge , Chrome 推奨)
  • 上記を利用可能なデバイス

テナントを所持していない場合
テナントの 新規サインアップ と同時に、Windows 365 Business をデプロイする場合の流れは、以下の手順を参照してください。このテナントに Windows 365 Enterprise もデプロイすることも可能です。

2. Windows 365 Enterprise ライセンスの購入

Windows 365 Enterprise を利用するためには、ライセンスの購入 が必要です。
本手順では、試用版 をサインアップした際の 画面キャプチャ で説明しています。

試用版の注意点
試用版は テナントごとに Business / Enterprise の各エディションを1回ずつ デプロイし 無料で試すことができます。
該当の試用版をサインアップしたテナントは、以後は 有料版しか使えません。

前章の Business 試用版の 新規サインアップ手順で手配した テナント 上に、本記事の手順で Windows 365 Enterprise をデプロイすることも可能です(Business と Enterprise 双方の評価版の共存も可能です)

1.Microsoft 365 管理センター (https://admin.microsoft.com) に、管理者アカウントでサインインします。

2.左ペインから マーケットプレース を選び、すべての製品 のタブを表示し、Windows のカテゴリを選択します。表示された一覧の中から、Windows 365 Enterprise を見つけて 詳細 を押します。
image.png

テナントの状態によっては、一覧に表示されない場合があります。
私の Microsoft 365 Developer では表示されませんでした。

3.プランを選択 のリストボックスを開き、一覧の中から 任意のスペック を選択します。
スペックが高いほど、単価も高額になっていきますので、バランスを考えて選択します。
※下図では、2 vCPU 8 GB メモリ(試用版) を選択しています。
image.png

スペック選択のポイント
メモリの下限は、4GB から提供されており、安価ですが あまりお勧めはしません。
そこそこ利用できる速度を想定すると、メモリは 8GB 以上から選択することをお勧めします。
そういう理由もあってか、試用版 のメモリも 8GB で提供されているようです。

以下のサイトで スペックごとの単価 を確認できます。
https://www.microsoft.com/ja-jp/windows-365/enterprise/all-pricing
※都度 単価を計算しているからか、表示には時間が掛かるようです。

4.以下の画面で 請求額 を確認して、問題がなければ 次へ を押します。

試用版の場合
以下の画面で 試用期間が終了した後の利用状況を設定します。
試用期間が終了したら、課金を発生させないためには いいえ を選択します。

はい を選択した場合は、以下のような画面になります。この場合は、試用期間終了後も 継続して Cloud PC を利用することができ、通常のサービス料金が課金されます。

5.以下の画面が表示されるため 新しいサブスクリプションを管理する を押します。

6.左ペインの お使いの製品 を開くと サインアップされたライセンス 状態を確認できます。
image.png

この章で行った操作は、以下の記事で紹介している Microsoft 365 の 試用版 をサインアップする記事と基本的には同じことを行っています。
Microsoft Entra テナントで ライセンスを購入して利用を開始する
https://qiita.com/carol0226/items/efbeb78c93d903403676

3. ライセンスの割り当て

本章では、購入した Windows 365 Enterprise ライセンスを 利用させたいユーザー に割り当てを行います。

左ペインの アクティブなユーザー で、Cloud PC を利用させたいユーザーを選び ライセンスとアプリ タブから サインアップしたライセンスにチェックを入れて 変更の保存 を押します。
image.png

ポイント
Windows 365 Business の場合は、ライセンスを割り当てるだけで Cloud PC のデプロイが開始されますが、Windows 365 Enterprise の場合は、そうではありません。次章の手順で プロビジョニングポリシー を構成すると Cloud PC のデプロイが開始されます。

4. Cloud PC の展開

1.Intune 管理センター (https://intune.microsoft.com) にサインインします。
左ペイン で デバイス を選択し、Windows 365 のページを開きます。
image.png

現時点の Cloud PC の状態
下図の通り、すべてのクラウド PC のタブを開くと、下図の通り プロビジョニングされていません と表示されています。
image.png

2.プロビジョニングポリシー のタブを開き、+ポリシーの作成 を押します。
image.png

公開情報:プロビジョニング ポリシーを作成する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-365/enterprise/create-provisioning-policy?wt.mc_id=MVP_407731

3.全般 タブ では、各項目に対して、以下の設定を行います。

  • 名前 は、任意の名称 を入力します(ポリシーの名称になります)
    image.png

  • ライセンスの種類Enterprise を選択します。
    image.png

公開情報:ライセンスを割り当てる
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-365/enterprise/assign-licenses?wt.mc_id=MVP_407731

"ライセンスの種類" で、Frontline を選択した場合
以下のエラーになります。Frontline のライセンスを所持している必要があります。

  • 結合の種類 は、Microsoft Entra に参加 を選択します。
    image.png

公開情報:Windows 365 ネットワーク展開オプション
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-365/enterprise/deployment-options?wt.mc_id=MVP_407731

「ハイブリッド Microsoft Entra 参加」の場合は、事前に「Azure ネットワーク接続」を構成し、オンプレミスのドメインコントローラーと疎通できるようにしておく必要があります。以下の画面で 事前構成した Azure ネットワーク接続 のネットワーク名を選択します。
image.png

  • ネットワーク は、Microsoft がホストしているネットワーク を選択します。
    image.png

「Azure ネットワーク接続」は、別途 Azure サブスクリプション が必要で、事前に 構成しておく必要があります。
image.png

  • 地理リージョン は、Cloud PC を動作させる場所を選択します。日本 を選択した場合は、下図の通り リージョン の指定も可能です。
    image.png
    上記の選択肢は「Microsoft がホストしているネットワーク」を選択している場合に表示されます。「Azure ネットワーク接続」の場合は、ネットワークと同一のリージョンに割り当てられます。
     
  • Microsoft Entra シングルサインオン には、チェック を入れておきましょう。
    image.png

上記の (i) にマウスをポイントすると、以下の説明が書かれています。
「1 つのプロンプトを使って Windows 365とそのクラウド PC のユーザーを認証します。」
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-365/enterprise/identity-authentication?wt.mc_id=MVP_407731#single-sign-on-sso

Frontline や、結合の種類、ネットワーク については、以下の 比較記事を参照してみてください。どのように違うのか詳細に説明しています。
Windows 365 と Azure Virtual Desktop の徹底比較
https://qiita.com/carol0226/items/c6d6becdfa91e94d5415

4.全般 タブ で設定を行った全体像です。問題がなければ 次へ を押します。

5.イメージ タブ では、イメージの種類 を選択します。
「ギャラリーイメージ」を選択すると、さらに 下図のように 用意されたイメージから選択することができます。
image.png

別の選択肢として カスタムイメージ があります。
image.png
この場合は、別途 Azure サブスクリプション が必要で、あらかじめ 以下の手順で イメージを用意しておく必要があります。
公開情報:カスタム デバイス イメージを追加または削除する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-365/enterprise/add-device-images?wt.mc_id=MVP_407731

6.構成 タブ では、以下の設定を行います。

  • 言語と地域 で OS の既定の言語を指定できます。
    image.png

公開情報:クラウド PC に既定の表示言語を設定する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-365/enterprise/use-provisioning-policy-default-display-language?wt.mc_id=MVP_407731

設定のみで OS の言語を指定できるのは、Windows 365 Enterprise の特長です。
Windows 365 Business や Azure Virtual Desktop には このような機能は無く、管理者が別の仕組みで 言語を構成する必要があります。

  • クラウド PC の名前付け は 未チェック のままでも構いません。
    image.png

「クラウド PC の名前付け」にチェックを入れると
プロビジョニングの際にデバイスに名前を追加するカスタム名前付けテンプレートを作成することができます。
image.png
以下の公開情報の章の No.6 に名前付けの規則が記載されています。

公開情報:プロビジョニング ポリシーの作成を続行する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-365/enterprise/create-provisioning-policy?wt.mc_id=MVP_407731#continue-creating-a-provisioning-policy

  • 追加のサービス 欄の サービスの選択 では None を選択します。
    image.png

Windows Autopatch を使う場合
Windows Autopatch を使うと Cloud PC の更新プログラム適用を管理することが可能になりますが、ライセンス要件などを 事前に満たしておく必要があります。
image.png

公開情報:Windows Autopatch の 前提条件
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/windows-autopatch/prepare/windows-autopatch-prerequisites?wt.mc_id=MVP_407731

公開情報:Windows Autopatch とは?
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/windows-autopatch/overview/windows-autopatch-overview?wt.mc_id=MVP_407731

7.構成 タブ で設定を行った全体像です。問題がなければ 次へ を押します。

8.スコープ タグ では、既定値のまま 次へ を押します。

9.割り当て タブ では、プロビジョニングポリシー を割り当てる ユーザー のグループを指定します。
image.png

公開情報によると、入れ子になったグループは サポートされていないとの説明があります(2025/8/14 時点)

10.グループを指定したら 次へ を押します。
image.png

11.確認と作成 タブで 指定した設定値の最終確認を行い 作成 を押します。

12.下図の通り、プロビジョニングポリシー が作成されました。
image.png

13.すべてのクラウド PC のタブへ移動すると、Cloud PC のプロビジョニングが開始されたことを確認できます。約1時間ほど経過すると、接続ができるようになります。
image.png

エラー例
下図は、Intune のライセンスが不足しているのに、プロビジョニングポリシー を割り当てて 展開を開始した際の画面です。必要な要件を再確認して 展開を実施してください。
image.png

5. Cloud PC への接続

5-1. ブラウザから 初回接続

1.以下の表示(接続準備完了)になると、Cloud PC へリモート接続できる状態になっています。
Cloud PC へ リモート接続 するためには 接続 ボタンを押します。

参考: 右下の ・・・ ボタンを押すと、上記の通り、メニューが表示されます。

2.以下の通り、リモート接続時のリダイレクト可否を変更できます。
既定値のまま、接続 を押して構いません。

3.以下のウィンドウで 同じアカウントで認証し サインイン を押します。

4.以下の通り、リモート接続 が行われました。
image.png

image.png

5-2. 2回目以降の接続

5-2-1. ブラウザ版 Windows App での接続

初回のサインアップ時は、ブラウザ版の Windows App へ 自動的に遷移されて利用ができました。
2回目以降は、以下の URL からアクセスすることで、ブラウザ版 の Windows App を利用できます。

ブラウザ版 Windows App の URL
https://windows365.microsoft.com

5-2-2. アプリ版 Windows App の アクセス方法

各 OS のアプリストアで Windows App を検索すれば見つかると思いますが、以下のように、ブラウザ版で サインインした画面の左下に ダウンロード のアイコンがあるため、ここから ダウンロードすることもできます。
image.png

以下の通り、OS の種類ごとに リンクが表示されているため、ここから ダウンロードが可能です。
image.png

ダウンロードした Windows App アプリの 各 OS ごとの操作方法は、以下を参照してください。
タブで、OS の種類を選択できるようになっています。

6. iPad 版 Windows App についての詳細記事

iPad 版 Windows App からの接続については、以下の記事で 詳細にレビューしていますので こちらもあわせて ご覧ください。
※記事は、Windows App + AVD の組み合わせになっていますが、iPad で Windows 365 (Cloud PC) にも ちゃんと接続できます。

7. トラブルシューティング・FAQ

Windows 365 のトラブルシューティングは、複数の箇所に分散されて記載されていました。
うまくいかない場合などは、これらの記事を参照してみてください。

  • Windows 365 ドキュメント配下の トラブルシューティング 記事

  • Windows 365 トラブルシューティング としてまとめられた 記事
    以下の記事を開くと、さらに 左ペイン でさまざまなタイトルの FAQ を参照できます。

  • Windows 365 製品情報ページ の FAQ

  • Support Blog の FAQ

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