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[AIX] mksysb 入門 - rootvg のバックアップ -

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Last updated at Posted at 2026-03-15

はじめに

この記事では、AIX を勉強し始めたばかりのエンジニアに向けて、AIX のシステムバックアップコマンド mksysb (エムケーシスビー) の基本から実践的な使い方をかんたんに解説します。


ご参考:


ご参考動画

(2026/3/17 動画を修正しました)


環境

HW: IBM Power
OS: AIX


AIX の mksysb とは?

mksysb (エムケーシスビー)は、AIX オペレーティングシステム自体(rootvg)を丸ごと保存し、ブート(インストール) 可能なファイルとして保管する強力なバックアップ・ツールです。

サーバーを稼働させたまま(オンラインで)バックアップの取得が可能です。

mksysb が守る領域・守らない領域

対象 ボリュームグループ 内容
✅ バックアップ対象 rootvg OS、設定ファイル、ソフトウェア
❌ 対象外 datavg など ユーザーデータ、データベース

ユーザーデータは savevg などの別の仕組みで保護します。


mksysb の 3 つの重要ファイル

mksysb イメージには、以下の 3 つの重要なファイルが含まれます。

  • /image.data
    ボリュームグループやファイルシステムの構造情報を記録するファイルです。-i オプションを付けることで常に最新化できます。リストア時の容量エラーを防ぐため、原則として -i は常に付与することを推奨します。


  • /bosinst.data
    リストア時のインストール手順や設定を制御するファイルです。存在しない場合は自動生成されます。


  • /etc/exclude.rootvg
    バックアップから除外したいファイルやディレクトリ(/tmp など一時ファイル)を指定するリストです。

mksysb 基本の使用方法

コマンドは非常にシンプルです。用途に合わせて出力先を指定するだけで、安全にバックアップが開始されます。

ファイルとして保存する場合

# 基本のコマンド(-i で構成情報を最新化)
mksysb -i /mnt/backup/myserver.mksysb

覚えておきたい mksysb コマンド・オプション

オプション 説明
-i /image.data を最新の状態に更新します。リストア時の容量エラーを防ぐため、原則として常に付与をおすすめします
-e /etc/exclude.rootvg に記載されたディレクトリやファイル(/tmp など)をバックアップから除外して軽量化します
-X バックアップ処理中に /tmp の空き容量が不足した場合、自動的にファイルシステムを拡張して処理の失敗を防ぎます
-p ソフトウェア圧縮を無効化します(後述)

稼働中のアプリを守る「-p」オプション

デフォルトではソフトウェア圧縮が行われますが、特定の環境では圧縮を無効にする -p オプションの利用が推奨されます。バックアップのサイズは大きくなりますが、より確実な保存が可能です。

-p を使うべき場面は次の 2 つです。

アプリケーションを停止せずに取得する場合

バックアップ中にファイルが更新されると圧縮エラーになることがあるため、-p でパッキングを無効化します。

ハードウェア圧縮対応のテープを使う場合
ドライブ側(rmtX)の圧縮機能と競合してリストア時にエラーになるのを防ぎます。


mksysb のバックアップ取得先パターン

mksysb は、システムの規模や復旧(リストア)のスピードに合わせて、いくつかの保存先を選択できます。
代表的な 3 つのパターンをご紹介します。

1. ローカルファイルシステム(ディスク)

同一サーバー内の別ディスクや、マウントした領域にイメージファイルとして保存します。

  • 特徴: 最も手軽で、バックアップ・リストア共に高速です。
  • 注意点: サーバー自体の故障に備え、取得後は別環境へコピーしておくのが一般的です。

2. NIM (Network Installation Management) サーバー

ネットワーク経由で管理サーバーにバックアップを集約する、エンタープライズ環境で最も推奨される方法です。

  • 特徴: 複数台の AIX を一元管理でき、リストアもネットワーク経由で一斉に実行可能です。物理メディアの入れ替え作業が発生しません。

3. 物理メディア(USB・テープ・DVD)

外付けUSBメモリ、LTO テープドライブや外付け DVD への書き出しです。

  • 特徴: ネットワークから切り離して保管(オフサイト保管)できるため、サイバー攻撃対策や物理的な災害対策(DR)に非常に有効です。

保存先による比較表

取得先 復旧スピード 管理のしやすさ 主な用途
ディスク 非常に速い 作業直前の簡易バックアップ
NIM サーバー 速い 高い(推奨) 日次の自動バックアップ、一括管理
DVD/USB/テープ 遅い 低い(手動) オフライン保管、災害対策

ISO イメージを作成する場合(AIX 7.3 以降)

# 直接ブート可能な ISO を作成
mksysb_iso -m /testvm_mksysb -o /myserver.iso

Tips: AIX 7.2 以前では mkdvd コマンドが利用可能です。


実行前のチェックポイント:ファイルサイズ制限

バックアップファイルのサイズが数 GB になることはよくあります。途中で止まらないよう、事前に 2 つの設定を確認しておくと安心です。

ファイルシステムの属性

lsfs -q コマンドで対象ディレクトリの bf(Large File Enabled)属性が true であるか確認します。false の場合は 2GB 以上のファイルが作成できません

lsfs -q /mnt/backup

JFS(Journal File System) の制約であるため、遭遇するケースは少ないと考えられます。

参考:Support of Large Files in AIX

ユーザーの fsize 制限

lsuser -a fsize コマンドで上限を確認します。制限なし(-1)になっていることが理想です。最小値のままだとエラーになることがあります。

lsuser -a fsize root

スパース(疎)ファイル

スパースファイルとは、データが書き込まれていない「空の領域」を持つファイルです。mksysb はこの空き領域を認識し、賢くバックアップとリストアを行います。

たとえば、ls コマンドで 16MB と表示されるファイルが、実際の使用量(du コマンド)では 4KB だったりします。

コマンド スパースファイルの扱い
tar コマンド 空き領域を「0」で埋めてしまうため、リストア時にファイルサイズが肥大化します
mksysb コマンド リストア時に連続した「0」を空き領域として正しく復元します(※バックアップイメージ自体は0で埋められるため、取得時は想定よりサイズが大きくなることがあります)

NIM によるバックアップ

サーバーの台数が多い環境では、NIM(Network Installation Manager) を活用することで、ネットワーク経由で複数台の mksysb を一括管理できます。

nim -o define -t mksysb -a source=client01 ...

NIM を使うことで、ポリシーの一元管理やリストアの自動化が可能になります。


mksysb 取得後の確認

lsmksysb コマンドで、mksysb の中身を確認することが可能です。

# ヘッダー情報と整合性を確認
lsmksysb -lf /path/to/my_mksysb

取得した mksysb ファイルから個別ファイル抽出

設定ファイルを誤って上書きしてしまった場合でも、システム全体をリストアする必要はありません。
mksysb イメージから、特定のファイルだけをピンポイントで抽出できます。

# /etc/hosts ファイルだけを現在のディレクトリに抽出
restore -xvqf /path/to/mksysb ./etc/hosts

Note: mksysb は相対パスでバックアップを取得するため、抽出時は必ずパスの先頭にドット(.)を付けることで、カレント・ディレクトリ下での展開を行い、既存ファイルへの上書きを防ぎます。


リストア手法

mksysb は障害復旧だけでなく、新しい環境への展開時にも活躍します。状況に応じて最適なリストア方法を選択できます。

標準リストア(障害復旧)

ブートメディアや NIM から起動し、SMS メニューからリストアします。

代替ディスクへのリストア(ダウンタイム最小化)

alt_disk_mksysb コマンドを使用します。現在のシステムを稼働させたまま、別の空きディスクに展開・検証が可能です。

iso 化ファイルの利用

mksysb_iso コマンドで mksysb から作成した iso ファイルで VIOS 仮想メディア・リポジトリを使用してリストアが可能です。


異なるハードウェアへの移行(クローニング)

古いサーバーから新しいサーバーへシステムを移行する場合も、1 つの設定を変更するだけでスムーズに対応できます。

/bosinst.data ファイル内の RECOVER_DEVICES=no に設定してバックアップを取得します。これにより、旧ハードウェアのデバイス情報(MAC アドレスやディスク構成)を引き継がず、新しいハードウェア上でデバイスをクリーンに再認識させることができます。

Note: NIM を使用する場合は、NIM 側のリソース設定で上書き可能なため、バックアップイメージ自体の編集は不要です。

また、プロンプト付きのリストアの場合には、インストール・メニューの「Recover Devices」でも指定できます。


まとめ

AIX の mksysb は、シンプルなコマンドで強力なシステム・バックアップを実現するツールです。

  • rootvg(OS 領域)を丸ごとオンラインでバックアップできる
  • -i オプションで構成情報を常に最新化する
  • -e オプションで不要ファイルを除外して軽量化する
  • 実行前に ファイルサイズ制限lsfs -qlsuser -a fsize)を確認する
  • バックアップ後は lsmksysb -lf で整合性を検証する
  • 個別ファイルの救出には restore -xvqf が使える
  • 大規模環境では NIM で一括管理できる

ご参考 Technote

以上です。

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