はじめに
この記事は Qiita Advent Calendar 2025 / ひとりアドベントカレンダー 分野 における ふぐおの配信関係多めひとり Advent Calendar 2025 の22日目記事となります。
こんにちは! AI Tuber などの開発をしているふぐおです。
今日は、私が作っているパートナー AI Tuber はどのようなことを考えて市場調査をしたかについてお見せします。
Vtuberさんの市場調査
上のサイトのように人気のある Vtuber さんのランキングを上位200人以上見て回りました。
その結果以下のようなことが分かりました。
- 大手の事務所に所属しているVtuberさんがほとんど
- 個人勢の
Vtuberさんは以下の傾向がある。 - イラストレーターさんであり、大手の
Vtuberさんの**ママ(担当絵師)**さん -
Vtuberとか関係なくYouTuberとしてすごい人 - 麻雀の役満リアクション動画(ショート)で有名な人
- プロ並みにゲームが上手い人
- マイクラ界隈で有名
- etc...
個人勢として戦うなら、「ただ可愛い」だけでは人気を得るのが難しいと感じました。
「Vtuberだから売れる」という甘い世界ではなく、「面白いコンテンツを提供できるか」が勝負どころなのだと思います。
これは AI Tuber も同様で、何か突出した特徴がないと厳しいでしょう。
「技術力がすごい!」「人間みたい!」というのも一つの特徴ではありますが、一般層に「何回でも見に行きたい」と思わせる魅力として伝わるかというと、少し弱い気がします。
あの Neuro-sama も、「AIなのに人間を超えるくらいゲームが上手い」というキャッチーな要素があったからこそ注目された経緯がありますよね。
数多くの Vtuber さんがいる中で埋もれずに AI Tuber が勝ち抜くには、人間の Vtuber さんに負けないくらいの明確な魅力(コンテンツ)が必要だと感じました。
例えば、AI Tuber の「シロハナ」さんは、中の開発者さんのバリューも活かしてAIなどのテック系の話題を紹介していました。
Vtuber という枠組みを超えて、テック系の話題は刺さる層が多く、非常に上手い戦略だなと感じて見ていました。
配信サイトごとの市場調査
トップページのコンテンツとアルゴリズム
YouTube
開いたときのトップページには生放送が出てこないのかなという印象があります。
さらにアルゴリズムが高度に個人に特化してしまい、アルゴリズムに乗らないと新規の人に見つけてもらうことが難しい印象があります。
Twitch
Twitch はトップページを開くと、すぐに生放送が表示されます。
しかし、上部に表示されるのは日本でトップレベルに視聴者を集めている配信者さんがほとんど、という印象です。
一方で Twitch は他の配信サイトと比べて、「カテゴリー(ゲームタイトルなど)」で分けられている文化が根付いています。
そのため、新しい配信を探そうとする視聴者は、カテゴリーから検索することが多いと思います。
こちらはカテゴリーのページですが、やはり人気のある人が上位に来てしまっている印象があります。
また、カテゴリーに設定されるようなゲームの配信をしなければ、構造的に視聴者にリーチしにくいという側面もあります。
AI Tuber でゲーム配信をするなら良いサイトだと思いますが、それ以外のジャンルだと少し懸念が残ります。
YouTubeとTwitchのまとめ
どちらの配信サイトにしても、視聴者0人の状態から伸ばしていくには工夫が必要です。
おそらく視聴者が0人だと、アルゴリズム的にも「どんな層におすすめすればいいか」が判断できないため、おすすめ欄に出てきづらいのではないかと考えています。
よって、外部SNS(Twitter など)を利用して視聴者を呼び込む、営業活動のような動きが必要になります。
その点、AI Tuber 界隈はお互いの配信をおすすめし合う文化があるので、コミュニティの力は借りやすいと思います。
ニコニコ生放送
私が配信しているサイトである、ニコニコ生放送 はどうでしょうか。
確かに、ページ上部には公式放送や人気配信者さんが表示されています。
しかし、ページの中腹までスクロールすると、視聴者数が一桁の配信もたくさん表示されています。
ニコ生は「同時接続数」ではなく 「累計来場者数」を表示する仕様 なので、これらは実際の同時接続数が0〜1人の配信である可能性も高いです。
実際に利用している感覚として、小規模なコミュニティであっても、他サイトと比べて一番コメントがつきやすいサイトだと感じています。
ニコニコ生放送の欠点
このように「0人から始める」にはニコニコが良いサイトだと考えていますが、もちろん弱点もあります。
Twitterや他の配信サイトからの流入は厳しい
ニコニコのアカウントを持っており、かつ現在もアクティブに利用している層は、他サイトと比べて少ないです。
YouTube であれば「アカウントがなくて見に行けない」という人はほとんどいませんが、ユーザー規模がそこまで大きくない配信サイトでは、こうした 「ログインの壁」 が起こります。
そのため、Twitter で宣伝しても「ニコ生だから見に行かない(行けない)」となってしまうことが多いです。
YouTubeのようなVtuberっぽい配信はそこまで需要が高くない
ニコニコのランキングを見るとかわいい Vtuber さんより寝っ転がっているおじさんのほうが明らかに多いです。
YouTube で受けるようなコンテンツをそのまま持ってきても通用しづらく、ニコ生の文化や空気に合わせたコンテンツ作りが必要になります。
どういう判断をしたか
提供するコンテンツ
数多くの人間の Vtuber さんに対して AI Tuber が勝っていくには、 「動画生成」 というアプローチも良いのかなと感じました。
技術的な難易度は高いですが、人間とは違って「実体がない」ことを逆手に取れるのも AI Tuber の武器の一つだからです。
実際にこれを逆手に取ったコンテンツを出されているのが幕末志士さんだと思います。AI Tuberではないかもしれませんが。
しかし、私は 「対話」 にこだわりたかったため、動画生成には手を出しませんでした。私は LLM を使って、面白いことをしたいと思っています。
あくまで LLM が主役であり、音声合成AIや動画生成AIといった他の技術を主軸にするつもりはありませんでした。
例えば、動画生成なら動画生成AIを、歌なら音声合成技術を、将棋なら将棋AIを突き詰めなければなりません。
私は「対話」にこだわりたい。ここは譲れなかったので、あえて修羅の道を選びました。
ビジネスでやるなら選ばない選択肢かもしれませんが、個人開発は自分の「好き」を貫けるのが良いところですから。
配信サイト
結果として、ニコニコ を選びました。
既存のリスナーさんもいますし、私が目指す 「対話重視」のスタイルであれば、ニコニコのコメント文化との相性が良い と考えたからです。
まとめ
個人開発は好きなように市場調査をし、好きなようにターゲティングできるのが良いところ




