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AIネイティブ開発についての面白いセッションがあったのでまとめた【AWS re:Invent 2025】

Last updated at Posted at 2025-12-03

re:Invent2025のセッションで、面白い話があったのでまとめます。
特に、AWSのエコシステムでAIを使うとなるとこういう感じになるんだな、というのがよくわかる話でした。

ちなみにセッションはこんな感じの会場でした。image-1.png
100名くらい入れる会場に、2つ大きな画面がある状態です。(写真の右側に登壇者がいます)

セッション:[DEV323] AI Native Development:Strategies and Impact across Amazon and AWS

概要

ソフトウェア開発サイクルの中で、どのようにしてAIネイティブな開発ができるかという話。

AIネイティブ開発とは

① AI Assisted(2024年までのAIの使い方)

  • タスクごとのアドホックなツールを使い分ける

  • オートコンプリートやチャットの活用に留まる

  • 人が都度コンテキストを切り替えながら作業

  • 生産性は「個人単位」「タスク単位」で限定的

これらをAmazonQを使って実現していました。
つまり、「AI を使ってはいるが、開発プロセスに統合されていない状態」 でした。

② AI Native(AIが前提の開発)

AIが完全にワークフローに組み込まれ、各ステップを代理で進める状態のことです。
例えば...

  • AI がワークフロー全体に自然に組み込まれている
  • エージェントが複数ステップのタスクを自律実行
  • コンテキストがエンドツーエンドで共有される
  • 生産性は個人ではなく「組織全体」で向上

→キーワードは 「エージェント化」「コンテキスト共有」 です。

AI Native開発を組織に根付かせるための基本

AIシニシズム(失望の悪循環)

AI導入で失敗する企業にありがちなサイクルとして、以下が挙げられていました。
image-4.png

好奇心/期待
 ↓↓↓
試してみる
 ↓↓↓
期待外れ・失望
 ↓↓↓
懐疑的になる
→ 再び期待せず使わない

AIネイティブ開発を根付かせるためには、この「失望サイクル」を抜け出す必要があります。

AI Native Learning Flywheel(健全な成長サイクル)

成功するチームは、以下の正の循環を回しているということです。
image-5.png

好奇心/期待
 ↓↓↓
試してみる
 ↓↓↓
期待外れ・失望
 ↓↓↓
懐疑的になる
→ 再び好奇心へ

個人の意見ですが、「AIは実務では(まだ)使えない」、と判断するだけでなく
「他に方法やサービスはないのか?新しいアップデートはどうか?」と積極的に調べていく気持ちが、AIを根付かせる上で大事、という風に受け取りました。

AIが関与する開発プロセス(AI across SDLC)

現在AIは SDLC(要件 → 設計 → 開発 → テスト → デプロイ → 運用 → 学習)
の全工程に入ってきている。
AWSのサービスで対応すると以下のようになる。
image-2.png

工程 役職(人) AIサービス
Idea(企画) PM/全員 Kiro, Quick Suite, AIライティングアシスタント
Design(設計) UXデザイナー/エンジニア Kiro, AmazonQ Developer, 設計AIツール
Code(開発) エンジニア/データサイエンティスト Kiro, AmazonQ Developer, AIコードレビューエージェント
Test(テスト) エンジニア/品質管理者 Kiro, AmazonQ Developer, AIテストエージェント
Deploy(デプロイ) エンジニア/品質管理者 Kiro, デプロイエージェント
Operate(運用) エンジニア/運用者 Kiro, AIオペレーションエージェント
Learn(学び・分析) データサイエンティスト/PM Kiro, QuickSuite

※各AIサービスの概要は以下

AIサービス 説明
Kiro 開発者向けAIエージェントプラットフォーム(IDE)。Claude Codeとかと同じカテゴリ

要件定義から設計までを、質問に回答していきながら作成することができる
また、作成した設計書をもとにコードを作成することができる。

さらに、re:Invent2025 で以下のアップデートがあった。
"各サービスがライブラリをどのように使用しているかを分析し、パターンに従ってコードを更新し、テストを実行し、プルリクエストまで作ってくれる
プルリクエストにフィードバックすると、それをずっとコンテキストとして覚えており、以降のコード作成などに役立ててくれる"、Kiro Autonomous Agent が誕生した
https://kiro.dev/blog/introducing-kiro-autonomous-agent/
AmazonQ Developer 生成AIを活用したAIアシスタントサービス。コード生成、コードレビュー、テスト作成、バグ修正、ドキュメント生成など幅広く行うことができるAIツール
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/amazonq/latest/qdeveloper-ug/what-is.html
QuickSuite データ分析、レポート生成、ダッシュボード作成など、従来のQuickSightに生成 AI を融合させた、包括的なデータプラットフォーム
https://aws.amazon.com/jp/quicksuite/

また、これらを下支えする基盤として
MCP、Knowledge base(RAG)、Bedrock(AI) モデル & エージェントがあります。

AI活用のスタック

企業がAWSを使用してAIネイティブ化するための、4層アーキテクチャについて解説しています。

image-6.png

1. Foundational Infrastructure(基盤)

AIが安全・安定して動く土台で、以下のようなサービスが挙げられます。

  • AWS コンピューティング系(例:EC2, ECS, Lambda)
  • IAM
  • オブザーバビリティ系のサービス(例:CloudWatch, X-Ray)

2. AI Model & Capability Layer(モデル層)

AIモデルとエージェントの能力を提供するサービスについて、以下が挙げられます。

  • Bedrock(Nova, Claude等)

  • SageMaker

  • AgentCore

3. Shared Context Layer(文脈共有層)

全エージェントと人が同じ情報を共有するレイヤーです。
大企業で「AIが正しく働くための最重要レイヤー」になります。
ポリシー・アクセス制御・データリネージもこの層です。

  • MCPエコシステム

  • ナレッジベース

  • プロンプトテンプレート

  • コンテキストファイル

4. Experience & Tool Layer(体験層)

開発者・PM・Opsが日常で触るUI/UX層です。

  • Kiro CLI
  • チームごとのカスタムエージェント
  • AIアシスタント

また、全体としては 認証、ガードレール、監査、容量管理 が統合されている状態が前提です。

ニュースレターサービス の、AI活用による Before/After による変化

例えばということで、このような事例が挙げられていました。

Before

・世の中のAI関連情報を検索

・手動で下書きし、編集

・合計 2〜3 時間かかっていた

After

・QuickSuite が世の中のAI関連情報を自動取得

・Kiro のエージェントが記事執筆、HTML生成まで自動で行う

・人が最終レビューするだけ(30分)
image-7.png

Upskilling Everyone(開発者だけでなく全社員がAIを使う時代へ)

組織全員が AI でスケールする世界観では、以下のような状態になります。
image-8.png

役職(人) 役割
エンジニア Spec駆動開発(Kiroで設計書を作成する)
エージェントによるエンドツーエンド自動化
MCPでDev/Opsデータを統合
PM & デザイナー AIプロトタイピング、生成的探索、顧客理解のためのMCP活用
データ管理/運用者 AIダッシュボード生成、root cause分析のAI支援、MCPの調整
リーダ AIによる意思決定支援、目標管理の自動化、戦略ドキュメントのMCP自動生成

まとめ

AIネイティブ開発とは…

  • AI がタスクを補助するのではなく、タスクを "主体的に遂行" する世界

  • コンテキストが組織全体で共有され、AIエージェントが連携して働く

  • すべての職種(PM, エンジニア, 運用者, デザイナー, リーダ)がAIで強化される

  • AI活用の成功は、技術より 「学びの循環」 を作れるかで決まる

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