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FNIRSI 2C53Tをレビュー!二番煎じ的ハンドヘルド機の実力とは?

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はじめに

こんにちは.遂にオシロスコープを買ってしまいました.某メーカーの二番煎じ的な製品ですが,それなりに使えるんじゃないかと期待しています.

参考程度に,過去に私はキットオシロスコープで痛い目にあっています.

また,この記事では私の個人ブログへのリンクを配置しています.そちらの方が辛辣に書いていたりするので興味のある方はぜひ.

2C53Tについて

項目 2C53T
メーカー FNIRSI
帯域幅 $50 MHz$
サンプリングレート $250 MSa/s$
垂直分解能 $8 bit$
メモリ長 $1 kpts$
垂直スケール $10 mV/div$ ~ $20 V/div$ (1-2-5ステップ)
水平スケール $10 ns$ ~ $20 s$ (1-2-5ステップ)
入力インピーダンス $1 MΩ$
入力結合 DC / AC
最大入力 $±400 V_{pk}$

基本的に,何の変哲もないオシロスコープのスペックをしています.しかも,ハンドヘルド機としては嬉しい機能まで搭載しています.

  • XY測定(リサージュ)
  • Cursor測定
  • 波形演算機能
  • 簡易FFT機能

最近は中華ハンドヘルド機にもMeasure機能(周波数や電圧などの各種パラメータを表示する機能)が搭載されているのでここにはあげませんでしたが表示内容をカスタムできるのは高評価です.

XY測定(チャネル1とチャネル2をそれぞれX軸、Y軸に取ってその座標の点を描画する測定方法)は,これがあるだけで位相差や微妙なひずみに気づきやすくなるので便利です.

Cursor測定(時間軸・電圧軸にそれぞれ2本の境界線を設定し,その間の時間・電位差を測定する機能)は非常に便利です.中華機としてこれを搭載している機種は少ないです.私が調べた限りだとこの機能を搭載している他のメーカーはOWONとZOYIくらいです.

波形演算機能は波形の絶対値を求めたり2つのチャネルの波形の加減などができます.たとえば$I^{2}C$通信のSCLとSDAを測定し引き算することで差動入力を実現できます.ただメモリが少ないので実用性は不明です.

簡易FFT機能は実用性不明ですが,簡単なスペクトル解析ができるかもしれません.ネット上で見つけた画像では2チャネル同時にFFTを有効にできるようです.しかし周波数を表示できず,周波数の目盛りすらないので微妙だと思います.歪みの有無くらいは調べれそうですが.

購入

正直,OWONのが欲しかったですが高くて買えないのでFNIRSIのを買ったわけです.

うまくセール中に滑り込んで買えたので,AliExpressで¥10,606でした.これ,すごいのはフルオプションのセットでこの値段で買えたことです.

内容物は以下の通りです.

  • 本体 [1個]
  • 受動プローブP6100 (BNC・$100 MHz$) 減衰比10:1 [2本]
  • テストリード(先長) [赤黒1組]
  • BNC↔︎ワニ口ケーブル 減衰なし [1本]
  • 充電・通信ケーブル A-C [1本]
  • ハードケース [1個]

これさえあればすぐに使える感じです.

10月18日にAliExpressで購入し,10月25日に届きました.

レビュー

開封・使用準備

到着したので,開けてみました.

IMG_0213.png

アクセサリの品質は正直微妙ですが,本体の品質は相当に良いので黙っておきます.

受動プローブなんかはまぁまぁ最悪でしたね.だからと言ってTektronixの高級プローブは買えない(1本で本体価格を超える),という困った状態です.OWONのプローブは安くて割と品質も良さそうだと思うので,お金があれば買おうと思います.

普通に付属品だけで使い始められるので楽で良いですね.

オシロスコープ

まず,触った感想です.

 「思ったよりオシロスコープだ!」

というのが$first$ $impression$でした.何を言ってんだ,と思うかもしれませんが,本当にそのままです.手持ちのオシロスコープとは思えないほど多機能でした.

IMG_0805.png

※オシロスコープから取り込んだ画像は高240px,幅320pxの.bmp形式ファイルです.本記事ではAFFINITY PHOTOを用いて高480px,幅640pxの.png形式ファイルに変換した画像を用いています.そのため無理やり画素拡張をした状態となり画質が低く見えます.

こんな測定もできてしまいます.いかにもデジタルオシロスコープって感じがします.このオシロでできる,重要な機能のほぼ全てをこの画像に詰め込んでいます.

しかし,計測パラメータの表示のフォントがドット感丸出し,かつ明朝系のフォントですよね.これは見にくいのです.ここで,FNIRSIという素晴らしいメーカーに期待をしてWebページを開きます.すると,新しいバージョンのファームウェアが公開されていました.

手持ちのバージョンは1.0.7ですが,最新版は1.2.0ですので,zipファイルを落とします.それを解凍すると,中にバイナリファイルがあるのでソレを用います.このときフォルダごと使用するとうまくいかないので注意が必要です.

ということで,そのアップデートを適用すると,結構UIが変わってました.

IMG_0804.png
↑アップデート前

due_inputInterval6.png
↑アップデート後

はっきりと文字の太さが変わりました.カーソル測定や波形パラメータの表示がものすごく見やすくなったのでありがたいです.

機能は申し分ないと思います.アップデート後は波形の取り込み後にズームできるようになったのでいいですね.ただ,左右方向は取り込んだ波形の範囲で好きに動かせるものの上下方向は0Vラインの目印が表示域内に収まる範囲でしか調節できません.残念に感じます.

とはいえ思ったよりも操作がゴチャゴチャしていなくて,割とすんなり使える印象でした.オシロスコープ機能は,自身を持っておすすめできそうです.そうCSVで波形を書き出せない点を除けば.

デジタルマルチメータ

デジタルマルチメータ機能は以下の測定に対応しています.

  • 直流電圧
  • 交流電圧・周波数
  • 導通テスト
  • ダイオードテスト
  • 抵抗
  • 静電容量
  • 温度
  • 直流電流
  • 交流電流

また,直流電圧・交流電圧・抵抗・導通はAutoモードで自動検出できます.とりあえず繋げば値が出てきます.つなぐものがもはや何なのか分かっていないときは便利かもしれませんが,普通に矢印キーで測定対象を切り替えたほうがレスポンスもいいですし楽な気がします.

あと表示される値のフォントはアップデートで変更されました.アップデート前は例によって明朝系のフォントで表示されていましたが,アップデート後は7セグメントライクなフォントで表示されるようになりました.多少見やすくなったと思います.普通にHIOKI 3244-60の方が見やすいとは感じますが測定速度がまぁまぁ早いので良しとします.

1000μFの電解コンデンサも数秒で表示できて大きな差もなかったので結構優秀だとは思います.

ただ,レンジの手動切替だけはできるようにしてほしかったかな.

ファンクションジェネレータ

$50 kHz$までの波形を出力できます.ですが,出力される波形は擬似波形であるため,そこは割り切って使う必要があります.

出力できる波形の数はそこそこ多く、対抗のHDS200Sシリーズよりも多い13種類です.

  • 正弦波
  • 矩形波
  • 三角波
  • 半坡整流波
  • 全波整流波
  • 階段波(上昇)
  • 階段波(下降)
  • 指数波(上昇)
  • 指数波(下降)
  • 直流
  • マルチオーディオ波
  • ジンク波
  • ローレンツ波

すべて3Vまでの出力ですが,テスト用途なら案外使えた印象です.

一応書いておくと,波形は表示されているものがそのまま出力されてしまうので注意しないと対象回路に誤った電圧や周波数,また形の波を流してしまうので,波を変更する際は一度決定キー(?)を長押しして出力を切ってから操作するほうが安全です.

ビクビク怯えながら商用電源に繋ぐ

IMG_0862.png

安全でした!

おわりに

総合的に見て,よくできているガジェットだったと思います.電圧軸精度は何とも言えませんが時間軸精度は十分に良いと思います.興味があれば買ってみてください.

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