ECモールにおいて一番効果があるデータ施策は何かと自分なりに考えたことがある。それはデータベースの理想図と現状データベースの差分を検証することとマスタデータの統一がある。
理由はプロモーションやクーポン、ポイント施策などマーケティング施策の評価が適切に出来る状況を作り、次の施策に生かす。つまりPDCAを回せる環境を作ることが最重要のためだ。
データベースの理想図については若干触れてはいけない情報も書きそうなので、一旦マスタについて考察してみる。
#考察すべきMDMの効果
今社内で決まったマスタデータが多く不足している。それによる弊害を自分の業務観点で考えてみた。
※一旦データの取得不足は考慮しない。
1,集計時にめっちゃ困る
例えば、クーポン施策やポイントキャンペーンその他にもモール内販売広告効果等を計測する際に基準にすべきマスタがないという状況は本当に困る。
2,効果計測がにめっちゃ困る
集計ができないということは、効果計測できないということで振り返りもできず費用対効果もわからず新しい施策を勘と経験で続けることになる。**『効果計測できないものは制御も改善もできない』**この状況はデータドリブンには程遠く競争していく上で大きなハンデになる。
つまり、社内・外部へのマーケティング施策に非常に大きなボトルネックをもたらすため、マスタデータの統一は非常に重要である。
#MDMを進める順序
##1,統合対象の明確化
弊社の場合既にモール事業を進めている以上最低限のマスタはあるが、大きな軸で考えてみたところ特に施策面のマスタがないことが結構な問題となっていること分かった。これは他のサービスも結構あるんじゃないだろうか。
※本当はもっとありますが敢えて大きな粒度で書いてます。
大項目 | 有無 | 備考 |
---|---|---|
商品 | ○ | 商品 |
顧客 | ○ | 店舗とユーザー |
施策 | × | クーポンとか |
##2,ロールの整理
各部署により顧客との向き合い方が異なる。よって対象ロールの整理が必要となる。例を挙げると。
※B to B to C
部署 | 顧客定義 |
---|---|
経理 | 請求先 |
営業 | 店舗 |
マーケ | モールユーザー |
この辺を踏まえて各ロールごとのユーザーに対する施策をまとめ、それぞれの担当者からマスタに絞った情報を収集する。
##3,目的の整理
非常に重要なのだが、何を目的とした可視化をすべきなのかは設計上事前に決めておく必要がありそれに応じて項目設計をすべきである。
具体的には以下の様なことを決めて私の場合BIツール(Tableau)を利用してどう可視化するかを基に要件を決める。
・マーケティングコストの最適化のためのユーザー状況可視化(RFMやコホート等)
・マーケティング施策評価(クーポンやポイント及びプロモーション等)と費用対効果の管理
・サイト流入経路とそのトラフィック量の把握による流入経路最適化
##4,テーブルと項目の定義
仮にクーポンを例に考える。ざっと考えただけでも以下のような項目が必要となる。
※オーダー1件に対して使用可能なクーポンは1枚のみで、同一ユーザーIDによる
同一クーポン複数使用は不可
■クーポンマスタ
・クーポン識別ID
・クーポン名
・クーポン対象店舗数
・設定金額
・割引金額
・使用可能枚数
■クーポン使用トランザクション
※購入トランザクションにクーポン識別IDが付与されていれば不要
・オーダーID(購入トランザクションと紐付け用)
・クーポン識別ID
・使用日時
・ユーザーID
■クーポン取得ログ
※クーポン取得したけど使わないこともあるので必要
・クーポン識別ID
・取得日時
・ユーザーID
##6,可視化例
購入トランザクションデータとクーポンマスタを繋げて使うことで
使用枚数が分かる
■可視化用データイメージ
以下最低限項目のみで作成(T:トランザクション、M:マスタ)
注文ID(購入T) | 購入日時(購入T) | クーポンID(クーポンM) | クーポン名(クーポンM) | 会員ID(会員M) | 商品名(商品M) | 価格(商品M) | 個数 | コスト(クーポンM) | 利益 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9月10日 15:35 | 001 | Open記念 | 001 | たわし | ¥100 | 1 | ¥30 | -¥30 |
2 | 9月11日 16:00 | NULL | NULL | 001 | 洗剤 | ¥200 | NULL | NULL | NULL |
3 | 9月11日 17:45 | 003 | 還元祭 | 002 | 水 | ¥50 | 4 | ¥50 | 1 |
上記のマスタ情報をさらに追加及び入れ替えればその購入自体の利益が分かるため
施策評価が可能となる。
以下の様な可視化となる。※茶色っぽい部分はマイナス利益
##7,最後に
商品レベルの原価や利益管理ができているところは多いと思うが、
施策レベルのマスタや各種管理が出来ている企業は肌感ではまだまだ少ない。
この施策が利益に貢献しているか?もしくは貢献していない場合はその原因追及が
可能である環境づくりは非常にマーケティング上重要である。
ちょっと個人的に走り書きで書いたのですべて言いたいことが網羅されていない気もするが
MDMの重要性とそれがもたらす威力が少しでも伝えられたらと思う。
マスタって当り前の様ですごい。