ヒット/スルー/ジャッジ!
「サイコロの運と推理力」「奇数・偶数でチャンスが変わる」「生成AIでジャッジ!」
この記事は「マナビDX Questで得たもの Advent Calendar 2025」 の17日目の記事です。
本日は自作したカードゲーム 『ヒット/スルー/ジャッジ!』 についてご紹介します。
記事の中でNotebookLMによる生成画像を使用しています
一部、文字変換が誤っている箇所がありますが、ご了承ください
1.ゲームの概要説明
1-1. 「連想ゲーム × 30秒推理 × 生成AI」
このゲームは、連想ゲームの楽しさに 「30秒のスピード推理」「生成AI」 を掛け合わせたものです。
親は短い時間でひらめきを重ね、子は「当てられそう/当てられにくそう」を考えて単語を用意します。
さらにサイコロの 奇数/偶数 によって、同じ「ヒット」でも得点者が切り替わるため、毎ターンの空気が変わります。
- 推理の気持ちよさ:お題を見た瞬間の連想を高速で回して当てにいく
- 駆け引きの面白さ:子は点数をどの単語に置くかで悩む
- 運のスパイス:奇数/偶数で得点者が反転し、立場が入れ替わる
- 安心の仕組み:判断が分かれやすい場面は、生成AIのジャッジで整える
※詳しいルールは2章で、こだわったポイントは3章で説明します
1-2. 作ろうと思ったきっかけ
「学びにつながり、誰でも簡単に遊べるカードゲームを作りたい」——これがきっかけでした。
ゲーム中に盛り上がるだけでなく、ゲームが終わったあとに
- 「その単語にそういう意味があるんだ」
- 「その単語、知らなかった」
- 「発想のしかたが人によって全然違うね」
といった会話や新しい発見につながることを目指しました。
1-3. ゲーム内の用語
- 親:このターンで当てにいくプレイヤー
- 子:単語カードを作る親以外のプレイヤー
- ゲームマスター(GM):進行役(タイマー管理、判定整理、AI操作など)
- ヒット:親の宣言が、誰かのカードと完全一致した状態
- スルー:誰のカードにも無い(または表記違いで一致しない)
- ジャッジ:生成AIで関連度を判定し、カードの扱いを決める仕組み
1-4. 人数・対象年齢(目安)
- 3〜6人推奨(ゲームマスターを含めて4人が遊びやすい)
- 小学校高学年〜大人
- 生成AIを使用する場合は、必ず保護者の方と一緒に行う(安全とトラブル防止のため)
1-5. 用意するもの
- サイコロ × 2
- ペン × プレイする人数分
- 付箋(宣言回数の管理に使用)
- 名刺サイズカード(または付箋でもOK)
- 点数シール(または点数を手書きでもOK)
- タイマー(時計でもOK)
- 生成AIの利用環境:ジャッジ用(操作はゲームマスター推奨)
- お題カード(難易度別:初級/中級/上級)
タイマー以外はすべてダイソーで購入しました。
何を買うか選んでいる中でゲームのいろんなアイディアが浮かんできて楽しい時間でした。
ダイソーさんに感謝です。ありがとうございます!
2.ゲームの詳細説明
2-1. 「1ターンの流れ」
このゲームは「1ターン」を親が交代しながら繰り返して遊びます。
ここでは、1ターンの流れを説明します。
- お題決め(親は目を閉じた状態で子が相談して決める/決まらなければゲームマスターがお題カードを引く)
- 子がカードを3枚作成(すべてカタカナ/4・3・2点のシールを1枚ずつ貼る)
- 親がサイコロ2個を振る(ゲームマスターが奇数or偶数を宣言)
- 親がお題を見る → 30秒スタート(ゲームマスターがカウント開始)
- 親は付箋に1語ずつ書く
- 親は付箋に書いた単語を1枚ずつ読み上げて宣言(宣言回数の上限=サイコロ合計回数) ※奇数/偶数で違いあり
- 子は宣言ごとに「ヒット/スルー」だけ返す
- 30秒終了 → 得点処理(奇数/偶数ルールで獲得者が変わる)
- 公開タイム(必要ならジャッジ。ゲームマスターがAI操作)
2-2. ゲームマスターの役割
- 時間管理(30秒の開始/終了)
- 奇数/偶数の宣言
- 得点計算のサポート
- ジャッジのAI操作
- 質問対応も担当
2-3. 基本ルール
2-3-1. 表記ルール
- 子が書く単語は カタカナ固定
- ヒット判定は 完全一致(1文字でも違えばスルー)
例:「スマホ」と「スマートフォン」は別
完全一致の意図は、判定で止まらず、テンポを守るためです。
30秒勝負なので、判定で議論が長引くよりテンポを重視しました。
2-3-2. 点数
- 赤:4点、青:3点、黄:2点
- 子は毎ターン 4点/3点/2点 を1枚ずつ 必ず作ります
2-3-3. 宣言
- 親はお題を見た直後から 30秒で宣言します
- 付箋1枚=宣言1回(付箋がそのまま回数カウントになります)
- 宣言回数は「サイコロ2個の合計回数」です ※奇数は上限、偶数はノルマ
2-4. 特殊ルール
2-4-1. 奇数/偶数の得点者
-
奇数:ヒットしたカードは親が獲得(親の得点)
- 奇数の場合、宣言回数は上限(ノルマではない)
-
偶数:ヒットしたカードは子(持ち主)が獲得(子の得点)
- 偶数の場合、宣言回数はノルマとなる
2-4-2. 偶数の「全スルー達成」と「ノルマ未達」の違い
- 偶数ターンで、30秒終了時点に 親の宣言がすべてスルーだった場合「全スルー達成」
- 子のカード(裏向き)から どれか1枚 を親が獲得できる
- 偶数ターンで、30秒終了時点で 親の宣言が宣言回数に達していない場合「ノルマ未達」
- 子は自身の 未ヒットのカード から好きなものを 1枚、得点カードにできる
偶数ターンは“子がチャンス”ですが、状況によって親にも救済があり、また子にも「1枚守れる」余地がある、という風にしています。
2-4-3. ジャッジ(生成AI判定)
- 各プレイヤー 1ゲームに1回まで
- ターン終了後の「公開タイム」でのみ使用
- 閾値:関連度70%以上で成功
- 成功:ジャッジを行ったプレイヤーがカードを獲得できる
- 失敗:ペナルティなし
ジャッジ用プロンプト(テンプレ)
お題:{お題}
単語:{単語}
この2つの関連度は何%ですか?理由を一言で添えてください。
2-4. 得点計算
- 獲得カードを合計
- 4点×?枚 + 3点×?枚 + 2点×?枚 = ??点
- 合計点が最大のプレイヤーの勝利です
3.こだわったポイント
3-1. 偶数ルール:「当てる楽しさ」と「当ててはいけない緊張感」を共存させる
このゲームでいちばんこだわったのが、奇数/偶数で得点者が切り替わる仕組みです。
- 奇数:親は「当てるほど得点になる」ので、連続で当てると楽しい
- 偶数:当てられたカードは子の得点になるため、子は“当てられる側”の面白さを味わえる
つまり、偶数ターンでは「親が当てるほど、子がうれしい」。
この 立場の逆転 があることで、当てる楽しさと、ほどよい緊張感も生まれるように工夫しました。
3-2. ジャッジ:客観性+生成AIの“判断を見る楽しさ”
連想ゲームでは、単語とお題の結びつきが人によって異なることがあります。
そこで、客観的な判断を取り入れられるよう、生成AIを使うことにしました。
その結果、単なる判定に留まらず、以下の楽しさが生まれます。
- 生成AIの判断をみんなで確認する楽しさ(理由が一言あると、納得しやすい)
- プロンプトによる結果の違いを楽しむ(出力結果が毎回変化するという気づきが生まれる)
3-2-1. 実際に試してみる
「お題:ガジェット」に対して「単語:プレイヤー」は関連度85%(Geminiで実行)

「お題:ガジェット」に対して「単語:コノミ」は関連度50%(Geminiで実行)

3-3. サイコロの運要素が、場の温度を変える
奇数/偶数の切り替えは、運の要素でもあります。
そのおかげで「今は攻める」「今は守る」といった空気が生まれ、ゲームが単調になりにくくなりました。
3-4. ゲーム後の振り返りで会話が広がる
プレイ後に「なぜその単語を書いたか」「どう連想したか」を話すと、面白さが深まります。
知らない単語の意味を教え合ったり、世代や経験の違いが見えたりして、自然に会話が広がります。
4.実際に遊んでみた(試行錯誤と学び)
4-1. 想像通りにいかなかったこと→改善
最初は「このルールならきっと盛り上がる」と思っていたのですが、実際に遊ぶと想定通りにいかない点が多くありました。
たとえば、こんなことが起きました。
- 宣言時間が10秒なので、書くのも読むのも間に合わず、テンポが崩れる
- ルールを詰め込みすぎて、覚えることが多く、ゲームに集中しづらい
- 得点計算が煩雑な為、盛り上がりが止まる
- お題で「サッカーチーム」はありか? それとも「サッカー」or「チーム」のどちらかにすべきか?
4-2. フィードバックの重要性
テストプレイでは、率直な意見を数多くいただきました。
これらのアドバイスが、ゲームの改善に活かされました。
作って終わりではなく、遊んでもらい、意見をもらい、改善する。
このサイクルがあって初めて「初めて遊ぶ方でも遊べる形」に近づけたと感じています。
まだ改善の余地はたくさんありますが、協力してくれた皆さまに感謝いたします。
4-3. 生成AIでゲーム進行をシミュレーション
いろんなお題やプレイヤーを設定して、生成AIでゲームをシミュレーションしてみました。
お題:DX(ディーエックス)に対して、いろんな読み合いが発生し、結果楽しんでくれたので「これはこれで面白い」と思いました。
また、何度でも嫌がらずに“テストプレイ”してくれるので、事前に気づいた点は修正することができました。
5.まとめ
5-1. とにかく楽しかった!!
- いろんな単語が飛び交ったり、ハプニングが起きたりして、とにかく楽しかった
【お題:ネコ】ではいろんな単語が飛び交いました。並べ方にも個性が出ています

【お題:12月】では、子の考えた3つの単語を、親が完璧に言い当てる場面がありました!

【お題:マジック】では、マジックのマッキーに対して、ジャッジが発動!

結果は「関連度:0%」でした。50%くらいと思ったのですが、厳しい結果に…

5-2. 学び
- フィードバックは、ゲームを育てる為の一番の近道
- 面白さを足すよりも、「初めての方でも遊べる」ために削る判断が難しい
- 仕組みの良し悪しは、実際に遊ぶとすぐに分かる(改善点がたくさん見つかる)
5-3. 今後の取り組み
- テストプレイ回数を増やして“ゲームバランス”を探る
- 難易度別(初級/中級/上級)に追加ルールを考える
- 例:親がサイコロでゾロ目を出した場合、当てたカードの得点が倍になる
- スマホのカメラと生成AIを活用して得点計算する仕組みを作る
- ブラウザで遊べる版も、小さく作って試してみるのも面白そう
- 社内研修の一環で実際に遊んでみる
5-4. 最後に
改めて、テストプレイに協力してくださった皆さま、ありがとうございました。
盛り上げてくれたり、率直なフィードバックをくれたり、大変ありがたかったです。
特に、親が子の単語を次々に当てたときに言われた 「あなたはエスパーですか?」 という一言は、 笑いと同時に大切な気づきをくれました。
何より、遊んだ方から「面白かった」との言葉を頂けたことが本当に嬉しかったです。
ここまで読んでくださった皆さまにも感謝いたします。
今回作ったカードゲーム が皆様の中で何か学びにつながれば幸いです。







