チャージバック アプリとは
Microsoft Fabric Chargeback アプリは、どのユーザー、アイテム、ワークスペース、ワークロードが容量(capacity)使用量を押し上げているかを把握するのに役立ちます。これにより、実際の消費量に基づいてコストを公平に配分するダッシュボードを構築できます。
容量管理者は、テナントポリシー、制限、操作名などの主要なパラメーターを確認し、組織内のどのアイテムがコストに影響しているかをレポートで確認できます。これにより、データに基づいた、透明性のあるコスト管理が可能になります。
つまり、情報システム部門やシステム子会社が一括で容量を管理し、使用実績に基づいて利用部門から料金を徴収する仕組みを作りやすくなります。
チャージバック アプリのインストールと設定
とっても簡単で、こちらのページの通り操作すればOKです。
前提条件として、少なくとも1つの容量の容量管理者である必要があります。
ポイントは、インストールしてアプリを開いたら、追加の設定が必要なことです。
黄色の帯部分に「サンプル データでこのアプリを表示しています。」と表示されるので、「データを接続」のリンクをクリックして設定をしていきます。
日本時間で表示するには、UTC Offset の値を「9」と入力します。
Days Ago to Start は、アプリに取得する履歴データの日数 (14 または 30) を選択します。
次の画面で OAuth での認証を済ますと、数秒でデータが読み込まれます。
チャージバック アプリの構成
- Power BI アプリとしてインストールされ、アプリの基となるワークスペースが存在します。ワークスペース名は「Microsoft Fabric Chargeback Reporting 2025/6/4 10:08:30」のように、インストールした日時付きです
このアプリ自体が容量のCU消費に影響しないように、ワークスペースの設定でライセンス モードを確認し、Pro もしくは PPU モードにすることが推奨されます。 - データは 1日単位で記録され、14日間または30日間の期間で表示されます(ユーザー設定による)
- 各ビジュアルには ヘルプツールチップがあり、ビジュアルの右上にある「?」アイコンにカーソルを合わせると、追加情報が表示されます
このツールチップが英語で書かれていて、字も小さいし、コピペもできないしで困ってしまうのですが、ここで役に立つのが Microsoft 365 の Copilot チャットです。最近画像を貼り付けられるようになったので、スクリーンショットを撮って Copilot チャットに貼りつけてお願いすれば、翻訳してくれて大変便利です。
というわけで、Copilot に手伝ってもらって各ビジュアルの説明をしていきます。
Help page
レポート右上のボタン をクリックすると、Chargeback report の説明ページが表示されます。
上段は、チャージバック レポートのナビゲーション構成を示しています。以下のような構成と操作フローが説明されています:
🔹 ナビゲーション概要
- Chargeback ページが最初に表示され、管理者のみがアクセス可能です。
- 管理者は、ビジュアル内の任意のフィールドを選択し、Drill Through to の右側にある 「Workspace details」 ボタンのどちらかをクリックするか、データポイントを右クリックすることで、「Workspace details」 ページにドリルスルーできます。
- セカンダリーレポートページ(例:「Workspace Details」「Item Details」など)は、すべてのフィルターをクリアして、個別のサマリーページとして表示することが可能です。
🔸 表示されるページの種類
-
Chargeback(チャージバック)
初期表示ページ。管理者専用 -
Workspace Details(ワークスペースの詳細)
通常非表示で、ドリルスルーで遷移可能 -
Item Details(アイテムの詳細)
通常非表示で、ドリルスルーで遷移可能 -
Export Data(データのエクスポート)
通常非表示の、データ出力用のページ
この構成により、管理者はチャージバックの概要から詳細なワークスペースやアイテムの情報まで、段階的に掘り下げて確認できるようになっています。
中段は、レポートにおける「ドリルアップ/ドリルダウン/ドリルスルー」の操作方法を説明しています。以下の2つの方法が紹介されています:
🔹 方法 1:ボタンを使ったドリルスルー
- ビジュアル上のディメンション(項目)を選択します。
- ドリルスルーが可能な場合、ボタンがハイライト表示されます。
- そのボタンをクリックすると、ドリルスルーが実行されます。
🔹 方法 2:ツールチップからの操作
- ビジュアル上のフィールド(ディメンション)にカーソルを合わせます。
- 数秒後にツールチップが表示され、追加の2つのオプションが現れます。
- そこから ドリルアップ/ドリルダウン/ドリルスルー のいずれかの操作を選択できます。
このように、直感的な操作で、データの階層を上下に移動したり、関連する詳細ページに遷移したりすることができます。
🔸 データのエクスポート
下段では、データのエクスポート操作について説明されています。
-
Chargeback ページに表示されているデータをエクスポートするには、右上隅にある 「Export Data(データのエクスポート)」 ボタンをクリックします。
-
クリック後、必要な操作を実行できるページに移動します。
-
「メモリ制限エラー」 を回避するために、以下のいずれかを行ってください:
- 複数の容量を同時にアイテムレベルまで展開しないようにする
- スライサーを使って表示データを絞り込む
ページ共通
- 画面左側にて絞り込み条件を設定できます。条件を選択してから、一番下の [Apply filters] ボタンをクリックすることで、適用されます。[Reset filters]でフィルターが解除されます。
- ボタンやドリルスルーでページを移動したあとは、
ボタンをクリックすることで遷移元のページに戻ります。
Chargeback ページ
Top N workspaces by Utilization (CU) %
ワークスペースごとにリソースの使用状況を把握し、効率的な容量管理やコスト配分に役立てるためのものです。
📘 列の定義
- Workspaces:指定された期間中に最も多くの Fabric アイテムがアクティブだったワークスペース名
- Utilization (CU):特定のワークスペースによって消費された秒単位の容量ユニット
- Utilization (CU) %:管理者が管理するすべてのワークスペースに対して、特定のワークスペースが消費した容量ユニットの割合
🖱️ 利用可能な操作
- ワークスペースを選択して、他のビジュアルをワークスペース単位でクロスフィルター
- 詳細を表示するために、ショーケースレベルの詳細をクリック
- ワークスペースフィールドにカーソルを合わせると、以下の情報が表示されます:
- 容量名
- ワークスペース名
- 利用率(CU%)
Top N items by Utilization (CU) %
どのアイテムが最も多くのリソースを消費しているかを把握し、リソース管理や最適化に役立てるためのものです。
📘 列の定義
- item:選択された期間中にアクティブだったトップ N の Fabric アイテム
- Utilization(CU):特定のアイテムによって消費された秒単位の容量ユニット
- Utilization(CU)%:ユーザーが管理者である容量内に存在するすべてのアイテムに対して、特定のアイテムが消費した容量ユニットの割合
🖱️ 利用可能な操作
- アイテムを選択して、他のビジュアルをアイテム単位でクロスフィルター
- ドリルスルーして、アイテムレベルの詳細を表示
- アイテムフィールドにカーソルを合わせると、以下の情報が表示されます:
- アイテムID
- ワークスペース名
- 容量名
- アイテムの種類
- 利用率(CU)
Utilization (CU) by date
ユーザーが管理するすべての容量(キャパシティ)において、各アイテムが消費した容量ユニット秒(CU秒)の日別トレンドを表示しています。
🖱️ 利用可能な操作
- 日付を選択すると、他のビジュアルがその日付に基づいてクロスフィルターされます
-
ビジュアル上にカーソルを合わせると、以下の情報が表示されます:
- 利用率(CU)
- 期間(秒)
- 操作内容
- ユーザー名
Utilization (CU) details
日別または週別の利用率(CU)とユーザーの使用状況を示しています。以下の指標が表示されます:
📘 列の定義
-
Utilization(CU):容量、ワークスペース、アイテム、アイテム種別、または課金タイプによって消費された容量ユニット(CU)の量
-
Utilization (CU) %:適用されたフィルターコンテキストに基づいて、特定の容量、ワークスペース、アイテム種別、または課金タイプが消費したCUの、(管理者である) 容量内のすべてのアイテムに対する割合
-
Users:特定の容量、ワークスペース、アイテム種別、または課金タイプを利用しているユニーク ユーザーの数
-
Users %:適用されたフィルターコンテキストに基づいて、特定の容量、ワークスペース、アイテム種別、または課金タイプに関連付けられたユーザーの、(管理者である) すべての容量に対する割合
📝 補足事項
- Utilization (CU) % および Users % の値は、現在適用されているフィルター(選択された日付、他のビジュアルとの相互作用など)に基づいて計算されます。したがって、選択されたコンテキストに関連するデータのみが反映されます。
- Utilization (CU) および Users の値は、追加のディメンションとして表示されます。個別の日付やカテゴリごとの利用率を合計すると、選択された期間やカテゴリ全体の Utilization % と一致します。
- Users および Users % は、日付や他のディメンションをまたいで加算できません。これらの値を合計すると、同じユーザーが複数のグループや期間に含まれるため、二重カウントが発生する可能性があります。
🖱️ 利用可能な操作
- 集計単位として週や日付を選択 (表の右下の「Week」「Day」ボタン)
- 「+」「−」をクリックしてビューを展開・折りたたみ
Capacity > Workspace > Item > Item kind > Billing type と展開 (ドリルダウン) 可能 - 列にカーソルを合わせて、Utilization (CU) の詳細を確認
- レポートの詳細にドリルスルー
- ユーザー数をドリルダウンして、アイテム種別や課金タイプレベルを表示
- 他の列にカーソルを合わせて、容量やSKUを表示
Workspace details ページ (ドリルスルー先)
もう一つのドリルスルー先である Item details ページは Workspace details と同じ構成なので、適宜読み替えてください。
Top N items by Utilization (CU) %
アイテムごとの使用率を、アイテム タイプごとに色を変えて横棒グラフで表します。
📘 指標の定義
- Items:ワークスペース内で選択された期間中にアクティブだった上位 N の Fabric アイテム
- Utilization (CU):項目によって消費された合計容量ユニット (CU)
- Utilization (CU) %:ワークスペース内のすべての項目に対する、特定の項目が消費した CU の割合
- Item kind:セマンティック モデル、レポート、ページ分割されたレポートなど、Fabric アイテムのタイプの詳細
🖱️ 利用可能な操作
- アイテムを選択して、他のビジュアルをアイテムでクロスフィルター
- ドリルスルーしてアイテムレベルの詳細を表示
- 棒グラフにカーソルを合わせて、利用率(CU)を確認
Top N item by Utilization (CU)% and date
このビジュアルは、選択された期間中の上位 N アイテムの 利用率(CU)% の日次トレンドを示しています。各線は、ワークスペース内のすべてのアイテムに対する、個々のアイテムの利用率の割合を表しています。線の色はアイテムの種類とは無関係 (単に区別するためだけ) です。
🖱️ 利用可能な操作
- 特定の日付のすべてのアイテムの 利用率(CU)% を確認するには、ポイントにカーソルを合わせます。
- データポイントを選択すると、他のビジュアルがそれに応じてクロスフィルターされます。
Utilization (CU) details by items
📘 列の定義:
- Utilization (CU):アイテム、アイテム種別、または課金タイプによって消費された容量ユニット(CU)の量
- Utilization (CU) %:ワークスペース内の総消費量に対する、特定のアイテムなどによる消費割合
- Users:そのアイテムなどを利用したユニーク ユーザーの数
- Users %:ワークスペース全体に対する、特定のアイテムなどに関連するユーザーの割合
📝 注意事項:
- Utilization (CU) % および Users % は、現在のフィルター(選択された日付や項目)に基づいて計算されます。
- Utilization (CU) と Utilization (CU) % は、日付や他の次元間で加算可能です。
- Users と Users % は加算できません。同じユーザーが複数回カウントされる可能性があります。
🖱️ 利用可能な操作:
- 集計単位(週または日)を選択
- 表示の展開/折りたたみ
- 項目種別や課金タイプごとの詳細な内訳へのドリルダウン
- Item detail ページへのドリルスルー
まとめ
実際の使用量に基づいて料金を請求すると言っても、Power BI Premium per Capacity だったり、Fabric 容量を予約で購入していたりする場合は、月額料金は固定されています。使用した割合で請求すると毎月の一貫性がなくなってしまうし、使用量で請求すると過不足が発生する可能性があります。
Chargeback レポートが用意されても、公平に課金する仕組みの構築は悩ましいものかもしれません。