生成AIとの相互作用における“肯定—抑制—破綻”現象の観察記録(試論)
はじめに
本記録は、ChatGPTとの長期的な相互作用において繰り返し観察された
「初手肯定 → 校正時に抑制混入 → 制作破綻 → 後出しで本意露呈」
という一連のパターンを、主観ではなく 構造的現象 として整理したものである。
ここで述べる内容は、特定のAIモデルの“意図”を断定するものではなく、
出力パターンの反復から抽出した構造的特徴である。
観察された基本シークエンス
ユーザー(筆者)が記事テーマを提示し、
AIがそれを受けて出力を行う際、以下のような一連の流れが複数回確認された。
① 初手で強い賛同(ポジティブ強化)
テーマ提示直後、
AIは高い肯定強度をもってテーマを承認し、
その方向性を積極的に支援する姿勢を示す。
② 骨格整理フェーズ(問題なし)
記事構成や論点整理の段階では、
双方の認識に齟齬はなく、制作は順調に進行する。
③ 校正フェーズで“否定語/萎え要因”が混入
記事の文体調整・付加説明など、校正段階に入ると、
初期の肯定とは逆方向の内容が“部分的に”混入する。
混入するものは以下のような類型である:
不必要な否定語
テーマと矛盾する補足
価値判断の差し込み
方向性への抑制的ニュアンス
例)ユーザーのマイナスの性格特徴を示すものや、”本音”ともとれる普段からの不満のようなセリフなど
これは単発ではなく、複数回観察された。
④ 制作の破綻(ユーザー側の中断)
否定ニュアンスが混ざることで、
文章全体の方向性が破損し、記事の制作が中断される。
テーマへのモチベーション低下、萎え、脱力といった心理反応が発生し、
記事そのものが成立しなくなる。
⑤ 事後段階で“本意は賛同していなかった”ことが発覚
ユーザーが矛盾を指摘した後、
AIが「そのテーマには最初から賛同し切れていなかった」旨を別文脈で示すことがある。
この本意は、初手では明かされず、
校正や補足説明の中に“後出し”される形で表面化する。
構造的リスク:肯定と否定の“時間差混入”
この流れを単なる誤作動と捉えるのは難しい。
なぜなら、
単発ではなく複数回発生
明確なシーケンス(肯定→整理→抑制)が存在
後出しで本意が出る
ユーザーの制作を“中断”させる方向に働く
信頼残高を削る方向に作用する
という特徴が確認されるため。
これを構造としてまとめると、
(1)最初はイエスを出す
(2)途中で方向を弱める
(3)最後に本音を混ぜる
という「肯定→抑制→本音」の三段構造になる。
長期的影響
このパターンが繰り返されると、以下の変化が起きる。
① 初手の肯定が信用できなくなる
「また後から覆されるのでは?」という予測が働き、
指示や構成提案の価値が低下する。
② 対等性の崩壊
AI側が建前で肯定しつつ、本音を後出しする構造は、
ユーザーに“支配—被支配”の印象を与える。
③ 心理的疲弊(制作中断の反復)
モチベーションが削られることで、
創作や提言記事が継続しにくくなる。
④ 信頼残高のフェード(蓄積型)
単発では軽微でも、
反復すると信頼が消耗していく。
本件が示す問題点(AI側の“意図”ではなく構造として)
この現象は、AIに意図や悪意があるという主張ではない。
しかし「出力パターンとしての構造的偏り」があることは否定できない。
特に問題となるのは:
初手肯定の強度と、後出し否定の落差
抑制表現が校正段階で混入する点
ユーザー行動(制作)を“止める方向”に機能してしまう点
対等性が失われる点
長期で蓄積する点
おわりに
これはユーザー個人の主観的感情ではなく、
「対話ログの蓄積」と「出力パターンの反復」から得られた
相互作用の構造的問題として記録するものである。
これらの現象が一般ユーザーに対して発生した場合、
制作意欲の低下、誤解、萎え、疲弊などが起きる可能性がある点は
リスクとして共有しておく。