はじめに
こんにちは。AXLBIT株式会社の事業戦略室で新サービスの開発をしている@ax-tabu です。
私は2022年4月にAXLBITに入社し、2024年2月までは開発部のメンバーとして、サブスクリプション管理サービスのAXLGEARの開発を担当していました。その後事業戦略室に異動し、SaaSを軸とした新規事業の立ち上げに携わるようになりました。
もともと開発者としてコードを書く日々を送っていた私にとって、SaaSという言葉は「Software as a Serviceの略でしょ」程度の理解でした。しかし、新しい事業の立ち上げに携わる者として、この程度の理解ではダメだと考え「SaaSとは一体なんなのか?」を改めて学ぶ必要が出てきました。
改めて「SaaSとは何か」を学び直し、その内容を社内勉強会「AXLLAB」で発表しました。この記事はその内容をまとめたものです。
ソフトウェア利用形態の変遷 〜所有から利用へ〜
SaaS(Software as a Service)とは、 ソフトウェアを「購入して所有する」から「サービスとして利用する」 へとシフトした形態です。SaaSとは対照的なものとして、オンプレミスのソフトウェアがあります。
SaaSはソフトウェアを利用することへ対価を支払い、オンプレミスのソフトウェアはそれ自体を購入することに対価を支払っています。
自動車を例に取ると、
- オンプレソフトウェア = 自動車の所有
- SaaS = カーシェアリングサービスの利用
となります。つまり、自動車を所有することに対価を支払うのか、利用することに対価を支払うのかの違いとなります。
従来のソフトウェア(オンプレミス)
- ソフトウェアを購入してPCやサーバーにインストール
- インフラや運用も自社で対応
- 管理コスト・初期費用が高い
SaaS
- ブラウザ上で即利用可能
- 運用や保守はベンダー側が担う
- 月額や従量課金など、支払いも柔軟
SaaSとIaaS、PaaSの違い
SaaSと似たような考え方で、IaaSやPaaSといった概念が存在します。こちらもSaaS同様に、所有から利用への形をとるサービスの提供形態で、インフラやプラットフォームをサービスとして利用するものです。
これらのXaaSはレイヤーで見るととてもわかりやすく、どのレイヤー以下をサービスとして利用するか(=サービスベンダーに管理を任せるか)といった概念です。
Redhat1の図を日本語に改変
SaaSの分類(ホリゾンタルとバーチカル)
SaaSは、そのサービスが提供する価値の切り口により、次の2つに分類されます。
ホリゾンタルSaaS(業界横断)
- あらゆる業界で共通の課題を解決
- 例:契約管理、営業支援、CRM
バーチカルSaaS(業界特化)
- 特定業界の専門的な課題を解決
- 例:医療業界向けSaaS、物流業向けSaaS
テナントとは?SaaS利用者の単位
B2BのSaaSにおけるサービスの利用単位を テナント と呼び、顧客企業 = テナント となることが多いです。企業の中の部署が1テナントとなるケースもあります。
SaaSの実行環境をあるテナント専用に提供するか、複数のテナントで共有するかによって、名前がついています。それぞれのメリットやデメリットは、お互いを逆にしたものとなっています。
シングルテナントSaaS:1社ごとに専用の環境
- ユーザーごとにカスタマイズしやすい
- 環境を占有しているので、他のユーザーがかけた負荷の影響を受けない
- 環境の保守・運用がテナントごとに発生するので、スケールが難しい
マルチテナントSaaS:1つの環境を複数社で共有
- ユーザーごとのカスタマイズが難しい
- 環境を共有するので、他のユーザーがかけた負荷の影響を受ける(ノイジーネイバー問題)
- 複数ユーザーで環境を共有するので、コスト効率が良く、スケールしやすい
SaaSの強みは「継続性」にあり
SaaSはサブスクリプション形式の課金体系と相性のよいサービスであるため、買い切りのソフトウェアとは違い、「売って終わり」ではなく「使い続けてもらう」ことが重要です。
継続的な売り上げが立つため、SaaSには以下のようなKPIで評価されることが多いです。
成長性のKPI
- MRR(月次売上)
- ARR(年間売上)
効率性のKPI
- LTV(顧客生涯価値)
- CAC(顧客獲得コスト)
- ユニットエコノミクス = LTV ÷ CAC
継続性のKPI
- チャーンレート(解約率)
カスタマーサクセスの重要性
先で述べたように、SaaSとは継続的な売り上げが立つことが特徴です。安定した継続利益を上げるためには、お客様にSaaSを使い続けてもらう必要があります。つまり、いかにお客様の解約を防ぐか 鍵となります。
お客様がSaaSを解約するのは、そのサービスに価値を感じなくなった時です。どれだけリッチな機能を開発しても、正しい使い方がわからないことには、お客様はその機能で得られる価値を最大限感じることはできません。
お客様に機能を正しい方法でご利用いただき、価値を最大限感じてもらうために、カスタマーサクセス 部門が重要になってきます。
お客様に正しい使い方を指南したり、操作方法で困っていないか、SaaSを利用するお客様の 成功体験 をサポートする重要な役割です。
SaaS立ち上げのステップ
実際にSaaSを立ち上げるには、以下のステップを踏みます。この章だけで1つ記事が書けるくらい深い話なので、今回はステップのみご紹介します。
- 事前調査:仮説立て・市場調査・競合分析
- 深掘り調査(ヒアリング):ユーザー課題の検証
- プロトタイピング:Figma等で動きを見せる
- 開発投資判断:ROIや事業性の検討
- 開発・リリース・GTM戦略
おわりに
開発部からビジネス側に異動して約1年、これまで「サービスとしてのソフトウェア」としか思っていなかったSaaSに対する見方が大きく変わりました。
SaaSは単なる「形態」ではなく、「ユーザーに価値を届け、継続して使ってもらう仕組み」そのものです。これから立ち上げるSaaSでも襟を正して、お客様に価値を届けられるように事業作りに取り組もうと感じました。
「SaaSって、結局どういうこと?」と少しでも思った方のヒントになれば嬉しいです。