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【Teams】VDI 環境におけるメディア最適化

Last updated at Posted at 2025-06-26

はじめに

Microsoft Teams の VDI 環境における Teams 会議などメディア通信の最適化についてまとめてみました。

メディア最適化とは?

音声や映像の通信は "メディア通信" と呼ばれます。メディア通信が遅延すると音声や映像が途切れたり、切断する問題が発生します。

AVD (Azure Virtual Desktop) などの VDI (Virtual Desktop Insrastructure) 環境で Teams を利用する際は、メディア通信が遅延するのを防ぐため "メディア最適化" を行います。

メディア通信の経路

VDI 環境におけるメディア通信とメディア最適化については、FAT 環境と比較すると分かりやすいです。

FAT 環境

FAT 環境では同一の端末にマイクやカメラが接続され、Teams クライアントが動作しています。メディア通信は Teams クライアントが行います。

image.png

VDI 環境

メディア最適化をしない場合

VDI 環境では、シンクライアント端末からインターネット経由で VDI 環境へリモート接続します。

VDI 環境ではマイクやカメラは接続元のシンクライアント端末に接続されていますが、Teams クライアントは VDI 環境の仮想マシンで動作しています。

FAT 環境と同様にメディア通信を Teams クライアントが行うと、メディア通信のパケットがシンクライアント端末から VDI を経由するため、遅延が発生しやすくなります。

image.png

メディア最適化をする場合

そこで、VDI 環境では VDI 上の Teams クライアントではなく、接続元のシンクライアント端末のコンポーネントがメディア通信を直接行います。

こうすることで VDI 環境でも FAT 環境と同様にメディア通信を行うことができるため、遅延を防ぐことができます。

image.png

VDI 2.0 と VDI 1.0

メディア最適化には VDI 2.0 と VDI 1.0 の 2 つがあります。これらは接続元端末でメディア通信を行うコンポーネントに違いがあります。

既定では VDI 2.0 でメディア最適化が行われます。

VDI バージョン コンポーネント
2.0 SlimCore
1.0 WebRTC リダイレクター

(参考:Teams 用の新しい VDI ソリューション)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoftteams/vdi-2
※ VDI 2.0 の公開情報です。

(参考:Azure Virtual Desktop でMicrosoft Teamsを使用する)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-desktop/teams-on-avd
※ VDI 1.0 の公開情報です。

ブラウザ版 Teams クライアントの注意点

VDI 環境でブラウザから Teams を利用した場合はメディア最適化が行われません。そのため、メディア通信の品質に影響を及ぼす可能性があります。

(参考:VDI の Web 用の新しい Teams)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoftteams/new-teams-vdi-requirements-deploy#new-teams-for-web-in-vdi

新しい Teams for Web は VDI 環境ではサポートされていないため、VDI で使用する場合、パフォーマンスと信頼性に悪影響が及ぶことがあります。

メディア最適化の検証

AVD を使用して実際にメディア最適化を有効にしてみました。

1. AVD の準備

AVD のデプロイについてはこの記事では割愛します。@carol0226 さんの以下の記事で手順について詳細に解説されています。

2. 接続元端末への Windows App のインストール

接続元端末で Microsoft Store から Windows App をダウンロードしてインストールします。

Windows Apps をインストールすると、メディア最適化に必要なコンポーネント (SlimCore) も自動的にインストールされます。

(参考:Windows アプリ とは?)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows-app/overview

3. 仮想マシンへの Teams クライアントのインストール

Windows App で AVD へ接続します。仮想マシン上でダウンロードページ から Teams をダウンロードしてインストールします。

Teams を起動すると、以下のようなダイアログが表示されます。
image.png

右上の […] - [設定] から [Teams について] をクリックします
image.png
image.png

メディア最適化が有効になっている場合、"AVD SlimCore Media は最適化されています" と表示されます。
image.png

"AVD SlimCore Media は最適化されています" は VDI 2.0 で最適化されていることを表しています。

4. メディアパケットの確認

シンクライアント端末側でメディア通信のパケットをキャプチャすると、VDI 環境の Teams クライアントで通話を行った際に、シンクライアント端末側で直接メディア通信が行われていることを確認できます。

image.png
※ VDI 環境の Teams クライアントで通話を行うと (右側)、シンクライアント端末側で開いている Wireshark のみにメディア通信のパケットが表示されています(左側)

Teams がメディア通信で使用するポートは UDP 3478 - 3481 です。

(参考:Microsoft 365 の URL と IP アドレスの範囲)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/enterprise/urls-and-ip-address-ranges?view=o365-worldwide#microsoft-teams

11 最適化
必須 はい 52.112.0.0/14, 52.122.0.0/15, 2603:1063::/38 UDP: 3478、3479、3480、3481

ブラウザ版 Teams クライアントの場合

VDI 環境でブラウザ版 Teams クライアントを使用した場合にはメディア最適化が行われないため、シンクライアント端末と VDI 環境の両方でメディア通信のトラフィックが発生していることが確認できます。

image.png

画面共有

メディア最適化が有効な場合には、画面共有の通信もシンクライアント端末のコンポーネントによって行われます。

共有された画面は VDI 環境の仮想マシンで Teams クライアントが表示しているように見えます。しかし、実際には仮想マシン上の Teams クライアントのウィンドウの場所に応じて、シンクライアント端末が画面を表示しています。

image.png

そのため、仮想マシン上でスクリーンショットを取得しても、共有された画面は表示されません。

■ VDI 環境の仮想マシン上で取得したスクリーンショット

image.png

メディア最適化が有効化されない場合

メディア最適化が有効になっていない場合、Teams クライアントに以下のようなメッセージが表示されます。
image.png

この場合、以下のような原因が考えられます。

原因 1. Teams クライアント / Windows App の再起動

仮想マシン上の Teams クライアントや接続元端末の Windows App を一度終了して、再起動してください。

この記事のために検証した際も、Teams をインストールして初めて起動した際はメディア最適化が有効になりませんでした。一度接続元端末の Windows App も再起動すると、メディア最適化が有効になりました。

原因 2. ポリシーで許可されていない

Teams PowerShell の Get-CsTeamsVdiPolicy コマンドで "VDI2Optimization""Enabled" となっているかどうかを確認してください。

Get-CsTeamsVdiPolicy
Identity                            : Global
...
VDI2Optimization                    : Enabled

原因 3. 接続元端末に SlimCore パッケージがインストールされていない

接続元端末で PowerShell から以下のコマンドを実行して、結果が表示されることを確認してください。

Get-AppxPackage Microsoft.Teams.SlimCore*

接続元端末にメディア最適化を行うコンポーネント (SlimCore) のパッケージがインストールされていれば、以下のような結果が表示されます。

※ 実行結果の例

Name              : Microsoft.Teams.SlimCoreVdi.win-x64.2025.20
Publisher         : CN=Microsoft Corporation, O=Microsoft Corporation, L=Redmond, S=Washington, C=US
Architecture      : X64
ResourceId        :
Version           : 2025.20.1.17
PackageFullName   : Microsoft.Teams.SlimCoreVdi.win-x64.2025.20_2025.20.1.17_x64__8wekyb3d8bbwe
InstallLocation   : C:\Program Files\WindowsApps\Microsoft.Teams.SlimCoreVdi.win-x64.2025.20_2025.20.1.17_x64__8wekyb3d
                    8bbwe
IsFramework       : False
PackageFamilyName : Microsoft.Teams.SlimCoreVdi.win-x64.2025.20_8wekyb3d8bbwe
PublisherId       : 8wekyb3d8bbwe
IsResourcePackage : False
IsBundle          : False
IsDevelopmentMode : False
NonRemovable      : False
IsPartiallyStaged : False
SignatureKind     : Developer
Status            : Ok

結果が表示されない場合、接続元端末のレジストリによって SlimCore パッケージのインストールがブロックされている可能性があります。

(参考:手順 3: エンドポイントでの SlimCore MSIX のステージングと登録)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoftteams/vdi-2#step-3-slimcore-msix-staging-and-registration-on-the-endpoint

次のレジストリ キーは、新しいメディア エンジン MSIX パッケージのインストールをブロックする可能性があります。

  • BlockNonAdminUserInstall
  • AllowAllTrustedApps
  • AllowDevelopmentWithoutDevLicense
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