1. なぜ「課題に気づけない」のか?欠けているのはセンサーとログ
優秀なエンジニアは、コードのバグだけでなく、 「自分の行動や思考のバグ」 にも気づけます。上司やチームメイトに課題を指摘されるのは、あなたのシステムに 「自己診断機能」 と 「詳細なログ」 が不足しているからです。
この「気づき」の能力を高めるために、以下の3つのスキルと習慣をあなたの思考プロセスに組み込みましょう。
2. 課題を自力で発見する「3つの自己診断システム」
システム1:【客観視】「第三者の視点」を強制的に導入する
自分の行動は、感情や先入観によって客観視するのが難しいものです。そこで、強制的に 「外部からの視点」 をシミュレーションする習慣をつけます。
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具体的なアクション:
- 「未来の自分レビュー」: 重要なタスクを完了した後、席を立ち、「3ヶ月後の自分」がこの成果物や行動を見たときに、どのような懸念点やツッコミを入れるかを書き出す。
- 「上司の視線シミュレーション」: 報連相の前に、「もし上司がこれを聞いたら、最初に何を質問するか?」を予想し、その回答(または不足している情報)を先に用意する。
- ▶️ 設計思想: 「現在の感情」を排除し、未来の不確実性や外部の期待値というパラメータを導入することで、思考のバイアスを是正します。
システム2:【ログ解析】「感情と事実」を分離する行動ログを記録する
課題発見の鍵は、 「なぜそうなったか」 という感情的な原因ではなく、 「何が起きたか」 という事実の時系列ログにあります。
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具体的なアクション:
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「事実と感情の分離記録」: 失敗や目標未達が起こった際、以下の2つを分けて記録します。
- 事実ログ: いつ、どこで、何を、どうした(例:14時、Slackにて、A氏の依頼を、口頭で了承した)。
- 感情ログ: その時、焦り、優越感、疲労など、どのような感情が行動を支配したか。
- 「気づきのアノテーション(注釈)」: ログを読み返す際、「この時、私は疲労で判断力が低下していた」など、行動の裏にある状態を注釈として記録する。
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「事実と感情の分離記録」: 失敗や目標未達が起こった際、以下の2つを分けて記録します。
- ▶️ 設計思想: 感情ログは課題の根本原因(疲労、プレッシャーなど)を探るための貴重なセンサーデータとなり、事実ログは再発防止のトリガーを特定する手がかりとなります。
システム3:【定義の明確化】「完了」の定義(Definition of Done)を疑う
ジュニア層が気づきにくい課題の一つに、 「完了の基準が甘い」 という問題があります。タスクを始める前に、そのタスクの「真の完了」とは何かを自問する習慣をつけます。
- 悪い完了の定義: 「コードを書くこと」「プルリクエストを出すこと」
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良い完了の定義(自己診断の埋め込み):
- 「関連するドキュメントも更新し、かつ、想定されるユーザーの疑問点に対する回答も追記した状態」
- 「コードレビューで 『なぜこれが必要なのか』 という質問が来ない状態」
- ▶️ 設計思想: 「アウトプットの提出」ではなく、 「アウトプットが顧客(チーム/ユーザー)に与える影響」 までを完了の範囲に含めることで、必然的に品質と網羅性に関する課題に自分で気づけるようになります。
3. 結論:自己診断は最高のセキュリティ機能である
自分自身で課題に気づける能力は、他責思考を排除し、改善を自律的に回すエンジニアの最高のスキルです。あなたの思考プロセスにこれらの「自己診断センサー」を組み込み、常にログを監視し、改善を続けるサイクルを回してください。
📖 学習を継続するための参考文献
課題発見と内省のスキルを高めるための知識を深めましょう。
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客観視・内省の技術:
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『失敗学のすすめ』
- 失敗を感情論ではなく、客観的な事実から学び取る姿勢の重要性。
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『失敗学のすすめ』
- クリティカルシンキング/問題設定:
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実行計画と自己分析:
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『やり抜く力 GRIT グリット』
- 目標達成に向けた粘り強さと情熱の重要性。
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『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』
- 感情ではなく、客観的なデータに基づいて現状を正しく分析する重要性。
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『やり抜く力 GRIT グリット』