はじめに
2026 年 6 月 18 日、個人向けの Gemini CLI と Gemini Code Assist の IDE 拡張がリクエストの受け付けを停止しました。これまで使っていた人にとっては「では、これから何を使えばいいのか」が気になるところです。
その受け皿になるのが Google Antigravity です。単なる後継ツールではなく、「複数の AI エージェントに開発作業を任せる」という考え方を中心に据えた、エージェントファーストの開発基盤として作られています。本記事では、Antigravity とは何か、Gemini CLI / Code Assist から何が変わったのか、どう始めるのかを整理します。
Antigravity は現在パブリックプレビューで、仕様や提供条件が変わる可能性があります。最新の状況は公式サイトと公式ブログで確認してください。
Antigravity とは
Antigravity は、2025 年 11 月に Gemini 3 と同時に発表された、Google のエージェントファースト開発プラットフォームです。従来のように人間が 1 行ずつコードを書くのを支援するのではなく、AI エージェントに「タスクを任せて、結果を確認する」スタイルを前提に設計されています。
Antigravity は次の要素で構成されます。
| 構成要素 | 役割 |
|---|---|
| Editor View(IDE) | AI 支援つきの統合開発環境。タブ補完やインラインコマンドで、人が手を動かす同期的な作業を支える |
| Agent Manager | 複数のエージェントを起動・監視・指揮する司令塔。エージェントに非同期で作業を任せる |
| Antigravity CLI | ターミナルから使う新しい CLI。旧 Gemini CLI の後継 |
| SDK | エージェント機能を自分のアプリやワークフローに組み込むための開発キット |
ポイントは、これらが別々のツールではなく、共通のエージェント基盤(ハーネス)を共有していることです。CLI でもデスクトップアプリでも、同じエージェントの仕組みが動きます。
Gemini CLI / Code Assist から何が変わったのか
Antigravity は、Gemini CLI や Code Assist の単純な置き換えではありません。背景には、開発の進め方そのものの変化があります。
Gemini CLI は「ターミナルがエージェント的な作業の優れた入口になる」ことを示しました。しかし実際の開発では、1 つのエージェントだけでなく、複数のエージェントが連携して作業を分担し、複雑な問題を解く必要が出てきます。そのためには、ターミナル・IDE・バックグラウンド処理が同じバックエンドを共有している必要があります。Antigravity は、この「統合されたマルチエージェント環境」を実現するために作られました。
移行にあたって、旧 Gemini CLI の主要機能は引き継がれています。
- Agent Skills、Hooks、Subagents、Extensions といった仕組みは、Antigravity の「プラグイン」として継続して使えます。
- Antigravity CLI は Go で書き直され、複雑なタスクを非同期にバックグラウンドで進められるようになりました。
なお、停止したのは個人向け(無料の Code Assist for individuals や AI Pro / Ultra 向け)の CLI・IDE 拡張です。Google Cloud の有料製品である Gemini Code Assist の Standard / Enterprise は別系統として位置づけられており、本記事の停止の話とは切り分けて考える必要があります。
主な特徴
エージェントファーストならではの機能が揃っています。
- 複数エージェントの並行実行:複数のエージェントに同時に別々の問題を解かせられます。
- サブエージェントのワークフロー:エージェントが別のエージェントを呼び出す、入れ子の作業フローを設計できます。
- バックグラウンドのスケジュール実行:タスクを登録しておけば、自動で裏側で実行されます。
- ブラウザエージェント:ブラウザ操作を伴う作業をエージェントに任せられます。
- MCP 対応:Model Context Protocol のサーバー(ローカル・リモート)に対応し、Google Cloud サービスと連携する MCP サーバーはワンクリックで導入できます。
人が常に張り付くのではなく、複数のエージェントに作業を割り振り、Agent Manager でその進捗を俯瞰する。これが Antigravity の基本的な使い方です。
対応モデル
Antigravity は Gemini 3 系のモデル(Pro / Flash)を中心に動作します。加えて、Anthropic の Claude Sonnet 4.5 や、オープンな GPT-OSS など、複数のモデルを選べる「モデルの選択肢」が用意されています。用途に応じてモデルを切り替えられるのは、特定モデルに縛られないという点で実務的です。
始め方
- 公式の Antigravity サイトにアクセスする
- 自分の OS 向け(macOS / Windows / Linux に対応)のファイルをダウンロードしてインストールする
- Editor View でコードを書きつつ、まとまった作業は Agent Manager からエージェントに任せてみる
まずは小さなタスクを 1 つエージェントに任せ、Agent Manager で進捗を見るところから始めると、従来のコーディング支援との違いがすぐに体感できます。
利用時の注意点
- パブリックプレビューのため、機能・UI・提供条件が変わる可能性がある。重要な業務に組み込む際は安定性を見極める。
- 料金は将来変わる見込み。無料で使える前提で本格運用の計画を立てない。
- エージェントに作業を任せる以上、生成・実行される内容は必ず人がレビューする。自動実行の範囲は慎重に設定する。
まとめ
| 観点 | ポイント |
|---|---|
| Antigravity とは | エージェントファーストの開発基盤。IDE・Agent Manager・CLI・SDK を統合 |
| 位置づけ | Gemini CLI / Code Assist(個人向け)の後継。共通のエージェント基盤を共有 |
| 何が新しい | 複数エージェントの並行・非同期実行、サブエージェント、ブラウザ操作、MCP 対応 |
| モデル | Gemini 3 系中心+他モデルも選択可。 |
| 始め方 | 公式サイトから OS 別にダウンロード。小さなタスクから試す |
Antigravity は、AI コーディング支援が「補完してくれるツール」から「作業を任せる相手」へと進化したことを示すプロダクトです。Gemini CLI や Code Assist を使っていた人は、この機会にエージェントファーストな開発スタイルへ移行してみてください。



