🏗️ はじめに:2025年、建築業界に「激震」が走る
【2026/01/08 追記】最新作(第4弾)を書きました!
社員に開発を丸投げしたら、私のツールが全否定された話です(泣)
👉 【建築士×ChatGPT】教育コスト0円! 「メモ帳」で、社員が勝手に業務ツールを量産し始めた話
はじめまして。東海地区で建築設計事務所を経営している建築士です。
いきなりですが、私はプログラミングの知識はゼロです。Pythonは「ヘビの種類?」だと思っていました。
そんな私が、生成AI(ChatGPT / Claude)とペアプログラミングすることで、「構造計算ソフトが吐き出す"野良DXF"を解析し、負担面積を全自動計算するツール」をHTMLファイル1枚で作り上げました。
この記事では、**「ドメイン知識(建築)× AI」**が生み出した、泥臭くも画期的な技術の裏側を共有します。
🌪️ 背景:なぜ作ったのか?
建築業界の方ならご存じでしょうが、**2025年4月の法改正(4号特例の縮小)により、木造住宅の申請業務が激変します。
平たく言うと、「今まで不要だった計算書類を、山ほど出さなきゃいけなくなる」**のです。
市販の構造計算ソフトはもちろん導入していますが、今回の法改正で求められる細かな**「柱負担面積」**の算出には、既存ソフトが微妙に対応しきれていませんでした。
- 既存ソフトから出るのは、ただのDXF図面データ。
- そこから面積を出すのは、結局手作業…。
- 「これ、一件ずつ手で計算してたら会社が潰れるぞ?」
この危機感から、**「構造計算ソフトから出たDXFを食わせて、3秒で面積計算書を作るツール」**を自作することにしました。
📦 戦略:なぜ「HTML 1ファイル」なのか?
開発にあたって、私がAIにお願いした絶対条件。
それは**「HTMLファイル1枚だけで動くようにして」**ということでした。
エンジニアの方なら「Pythonで環境構築して…」「Dockerで…」となる場面かもしれません。しかし、私たちのような一般企業(非テック企業)の現実は違います。
- 社員のPCに勝手にソフトをインストールできない(知識とセキュリティの壁)
- 黒い画面(コマンドプロンプト)は、一般社員には「怖い」
- **「ファイルをチャットで送るだけ」**で共有・更新したい
この**「配布のしやすさ(ポータビリティ)」こそが、社内でツールを定着させる最大の鍵だと考えたからです。
結果として、「メールに添付されたファイルをクリックするだけ」**という最強のUXが実現しました。
⚡ 成果物:HTMLファイル1枚の「魔改造」ツール
完成品をご覧ください。
実装された機能
- 完全ローカル動作: インストール不要、HTMLファイルをダブルクリックするだけ。
- 野良DXF解析: レイヤー名に依存せず「形状」から柱を特定。
- 自動面積計算: ボロノイ分割アルゴリズムによる負担面積算出とヒートマップ化。
- 爆速動作: 数万マスのグリッド計算を一瞬で処理。
🛠️ 開発秘話:AIとたどり着いた「3つの技術的特異点」
このツールの真価は、「実務を知る人間」と「コードが書けるAI」が喧嘩しながら(?)たどり着いた独自のロジックにあります。
もしエンジニアが教科書通りに作っていたら、このツールは使い物にならなかったでしょう。なぜなら、現場のデータは「汚い」からです。
1. 人間と同じ「目」を持つアルゴリズム
~レイヤー名なんて信じるな、「形」を見ろ~
通常のCADプログラミングでは「"Column"レイヤーにあるオブジェクトを取得」といった処理をします。
しかし実務の現場では、レイヤー名がデフォルトの「0画層」のままだったり、壁と柱がごちゃ混ぜだったりします。いわゆる**「野良DXF」**です。
そこで私はAIにこう指示しました。
「データ上の名前なんてどうでもいい。人間が見て『柱(×印)』に見えるなら、それは柱だ!」
このツールは、数万本の線分データの中から、以下の幾何学的特徴を持つものを「柱」として認識します。
- 長さがほぼ同じ2本の線分がある
- その2本が交差している
- 交点が、それぞれの線分の中点付近にある
- サイズが100mm〜150mm(建築的に妥当な柱サイズ)
この findPillarsStrict 関数により、どんなに整理されていない荒ぶった図面データでも、**「お前は柱だ!」**と正確にロックオンできるようになりました。
2. 「ドット絵職人」のアプローチ
~ベクター解析の限界をラスターで突破する~
柱の位置がわかったら、建物の外形(外周線)を繋ぐ必要があります。
しかし、単純に「近い点をつなぐ」ような計算(ベクター解析)だと、L字型の建物の「凹み」をショートカットしてしまったり、中庭を勝手に埋めてしまったりします。
ここで私は、AIに行き詰まりを訴え、ある**「発想の転換」**を実装させました。
「図面を一旦、クソデカい『方眼紙(ドット絵)』だと思えばいいんじゃないか?」
- 世界をドット絵にする: 高精度の座標を捨て、仮想的なグリッド(方眼紙)を用意する。
- インクを滲ませる: 柱がある場所にインクを落とす。さらに柱と柱の間にもインクを流す。
- 輪郭をなぞる: 黒く塗りつぶされた領域のフチを、マンハッタン距離(カクカクした線)でなぞる。
- 清書: 最後に元の座標にスナップさせて直線に戻す。
「正確さ(ベクター)」を入口と出口に置き、中間の処理を「曖昧さ(ラスター)」で行う。
この「いいとこ取り」こそが、AIだけでもたどり着けなかった、実務家としての最適解でした。
3. 読み方もわからない「謎の技術」で爆速化
~Uint8Arrayって何? おいしいの?~
グリッド計算を実装した当初、処理が重くなる場面がありました。
そこでAIに「もっと速くして!」と無茶振りをしました。
🤖 AI: 「では、通常の配列をやめて『Uint8Array』を使いましょう」
正直、私はその読み方すら分かりません。(ウイント…?)
D3.js や Turf.js といった便利なライブラリもあるそうですが、AIいわく「読み込みが遅くなるから使わない」とのこと。
しかし、「速くなるならそれで頼む!」とGOサインを出したところ、**「TypedArray(型付き配列)」**によるバイナリレベルの計算が実装され、数万マスの処理が一瞬で終わる爆速ツールに生まれ変わりました。
「中身の技術は知らなくても、意思決定(GOサイン)さえすれば、AIが勝手に最高の実装をしてくれる」
これぞまさに、社長(発注者)と優秀なエンジニア(AI)の関係そのものでした。
🚀 結論:日本の生産性は「現場」から上がる
このツールを作って痛感したのは、**「プログラミング知識ゼロでも、ドメイン知識(業務への深い理解)があれば、AIを相棒にして『最強の道具』を作れる」**という事実です。
- エンジニアは、技術はあっても「現場のDXFがどれほど汚いか」を知りません。
- 建築士は、現場は知っていても「それを解決するコード」が書けません。
この両者の間にある**「巨大な溝」**を、AIが埋めてくれました。
2025年の法改正はピンチですが、こうやって自ら武器を作れば、逆にチャンスに変えられます。
「市販ソフトが対応してくれない…」と嘆く前に、**「AI、ちょっとこれ作って!」**と言ってみる。
そんな**「市民開発者」**が建設業界に増えれば、日本の生産性はもっと上がるはずです。
もし同業者の方で「そのツール気になる!」という方がいれば、反応いただけると嬉しいです。
(反響があれば、コードの一部解説記事も書くかもしれません!)
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