🎬 事象概要(現場シナリオ)
午前10時ごろ。社内チャットツールで次のような報告が相次ぎました。
「勤怠システムにログインできません」
「社内Webツールの画面が開かないです」
「TeamsやSlackは動くのに、自社アプリだけエラーになります」
ネットワーク監視ツールを見ると、
ルーター・スイッチ・社内LANすべて正常稼働(グリーン)。
他の外部サイト(Google・Yahoo)は問題なく閲覧できる状態です。
つまり――
🧩 社内の通信経路は正常なのに、“特定のサービスだけ”使えない。
この時点で疑うべきは、
クラウド(AWS)側での障害 です。
🧭 トラブルシューティングの目的
「社内ネットワークではなく、AWSなど外部サービスが原因かどうかを切り分ける」
を目的として、以下の手順で確認します。
🪜 ステップ①:ネットワーク層の確認(自社側は正常か)
まずは、物理・LAN・インターネット接続を確認します。
ping 8.8.8.8
✅ 応答あり → インターネット接続は正常。
tracert 8.8.8.8 # Windows
traceroute 8.8.8.8 # Mac
最終ホップまで経路到達 → ルーティング問題なし。
👉 この時点で社内LAN・ゲートウェイ・外部回線は正常。
⚙️ ステップ②:社内サービスの通信確認
社内で使っているWebツールのドメインにpingを打ちます。
例:
ping internal-app.company.co.jp
📋 結果:
Ping request could not find host internal-app.company.co.jp.
Please check the name and try again.
➡ 名前解決できない/応答なし。
DNSまたはAWS上のロードバランサーに到達していない可能性。
🧪 ステップ③:経路追跡でAWS側を確認
tracert internal-app.company.co.jp # Windows
traceroute internal-app.company.co.jp # Mac
📋 結果例:
1 <社内ルーター> 192.168.10.1
2 <プロバイダゲートウェイ>
3 <AWSリージョン内IP> 13.115.xxx.xxx
4 要求がタイムアウトしました
➡ AWSリージョン(東京など)までは到達するが、
その先(EC2/ALB)で応答が途絶。
AWS側の障害を疑う状況です。
🔍 ステップ④:ポート・セッション状況を確認
ネットワーク層ではping通るが、アプリ層が反応しない場合、
アプリポート(例:443/TCP, 80/TCP)での疎通を確認します。
🪟 Windows
netstat -an | find "443"
🍎 Mac
netstat -an | grep 443
結果:
- TIME_WAIT/SYN_SENTが大量発生 → サーバー応答がない状態
- ESTABLISHEDが存在しない → コネクション確立不能
💡 つまり、通信経路は生きているが、AWS側サーバーが応答していない。
☁️ ステップ⑤:外部障害情報の確認
AWSやクラウドサービスの障害は、自社ではどうにもできません。
まずは、外部障害情報サイトで最新情報を確認します。
🔗 DownDetector(ダウンディテクター) - AWS障害情報
または
🔗 AWS Service Health Dashboard(公式)
📋 例:
AWS Tokyo Region で EC2/ALB/Route53 の障害が報告されています。
一部のWebサービスで接続不能が発生中。
✅ 自社サービスはAWS上で稼働しており、障害の影響を受けていた。
🧰 ステップ⑥:対応と社内アナウンス
1️⃣ 確認したこと
- 社内ネットワーク・回線:正常
- 他サイト(Google等):正常
- AWSホスト:応答なし
- 外部障害サイトでAWS障害を確認
2️⃣ アナウンス例
現在、AWS東京リージョンの障害により、
社内Webツール・勤怠システム・経費管理などが一時的に利用できません。
復旧までしばらくお待ちください。
社内ネットワークには問題ありません。
3️⃣ 復旧確認
AWS側の障害復旧報告後、再度ping/tracertを実施。
サービス応答を確認して、ユーザーに通知。
🧾 ステップ⑦:社内報告書
【ネットワーク障害対応報告】
- 発生日:2025年10月22日 10:10
- 対象:社内クラウドサービス(AWS上)
- 現象:社内Webツール・勤怠システムが接続不可
- 調査結果:
- 社内LAN・回線:正常
- 外部サイト(Google, Yahoo):正常
- ping/tracert:AWSリージョンで応答停止
- netstat:443/TCPコネクション未確立
- 外部情報:AWS東京リージョン障害発生中(DownDetector確認)
- 原因:AWS側の一時的な障害(EC2/ALB停止)
- 対応:社内アナウンス実施・障害復旧後動作確認済み
- 再発防止:AWSステータス監視・外部通知体制の強化
✅ まとめ(学びと教訓)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 💡 切り分け | 社内LANが正常なら外部(クラウド)障害の可能性を疑う |
| 🌐 コマンド | ping / tracert / netstat を組み合わせて判断 |
| ⚙️ 外部確認 | DownDetector や AWS公式ページで確認 |
| ☁️ 原因 | クラウド事業者側(AWSなど)の一時的障害 |
| 🧾 対応 | 社内通知+監視継続、復旧確認を必ず行う |