本記事のめあて
- データサイエンティストスキルチェックリスト Ver.6.0で新設・刷新された「基盤」スキル、「価値創造力」スキルの基礎知識習得の本・資料の紹介
データサイエンティスト協会の「データサイエンティストスキルチェックリスト」が更新されました。
従来のものからかなり大きく追記修正されております。
- 基盤スキルの新設 ~全データプロフェッショナルの共通土台を再定義~
- ビジネス力を価値創造力へ刷新 ~データサイエンティストは分析者から価値創造リーダーへ~
- 生成AI関連の追加 など
この記事では新設・刷新された「基盤」「価値創造力」についてのスキルを学ぶための参考図書を挙げていきます。PoC疲れなどと言いますが、ここらのスキルを無視して実施しているので正直「それ、PoCじゃなくて機械学習ごっこだよ」というのが多かったのではと思います。ただ世の中の記事などを見ますと「データサイエンティスト」に必要なスキルとしてここら辺が手薄でした。今回の改訂は歓迎するものの情報が少ないので一助となれば幸いです。
紹介する本・資料
- 和書・翻訳書、そして官公庁の資料を挙げております
- まず手掛かりとなる本をとのことで出来るだけ最小限に絞っております。それ以上は本記事からリンクしている関連記事などをご参照ください
- 申し訳ないですが流石に膨大な範囲のため、全てのスキルについて代表書籍を読んでおらず、未読のものもあります(それは明記しており、おいおい読んでUpdateしてまいります
- 記述は私の関連記事と重複するところもあります
- 本記事は、未読書の選定、文案作成・修正・確認などにChatGPTを用いております
| スキルカテゴリ | 既読書 | 未読書 | 公開資料 | 計 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 全体のOSとして | 2 | 0 | 0 | 2 | ||
| 基盤 | 行動規範 | 2 | 0 | 2 | 4 | |
| 論理的思考 | 1(3) | 0 | 0 | 1(3) | ||
| アプローチ設計 | 1 | 0 | 0 | 1 | ||
| データ理解 | 1 | 0 | 0 | 1 | ||
| データの理解・検証 | (1) | 0 | 0 | (1) | ||
| データ可視化 | 1 | 0 | 0 | 1 | ||
| ITセキュリティ | 0 | 0 | 1 | 1 | ||
| 生成AI | 1 | 0 | 0 | 1 | ||
| 価値創造力 | 構想・探索/技術・社会潮流の洞察 | 1 | 0 | 0 | 1 | |
| 構想・探索/課題の再定義 | (1) | 0 | 0 | (1) | ||
| 構想・探索/意味構造設計 | 2 | 0 | 0 | 2 | ||
| 構想・探索/社会インパクト設計 | 0 | 2 | 0 | 2 | ||
| 設計/事業・モデル設計 | 2 | 1 | 0 | 3 | ||
| 設計/システム・AI設計 | 0 | 2 | 1 | 3 | ||
| 設計/ガバナンス・倫理設計 | 0 | 0 | 2(1) | 2(1) | ||
| 設計/組織・人・PJ設計 | 1 | 0 | 0 | 1 | ||
| 構築・運用/データ整備 | 1 | 0 | 0 | 1 | ||
| 構築・運用/開発・評価 | (2) | 1 | 0 | 1(2) | ||
| 構築・運用/継続運用・改善 | 0 | 1 | 0 | 1 | ||
| 構築・運用/定着と横展開 | (1) | 0 | (1) | (2) | ||
| 適用・進化/移住 | 1 | 0 | 0 | 1 | ||
| 適用・進化/効果測定・改善 | 1 | 2 | 0 | 3 | ||
| 適用・進化/制度・文化改革 | 1(1) | 0 | 0 | 1(1) | ||
| 適用・進化/スケーリング・進化 | (1) | 2 | 0 | 2(1) | ||
| 共通/VC基礎 | 1 | 0 | 1 | 2 |
かっこ内は別のスキルカテゴリでの前掲書数
| 既読書 | 未読書 | 公開資料 | 計 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 合計 | 20 | 11 | 7 | 38 |
全体のOSとして
AI・データ分析プロジェクトのすべて ビジネス力×技術力=価値創出
- タイトルにもありますが、データ分析をするならば価値創出≒価値創造が必要だよという本で今回のスキル改定にぴったりな本かなと思います
- データ分析プロジェクトの全体像を俯瞰的に解説した本。アルゴリズムがどうのではなくて、体制の組み方、外注の仕方などプロジェクト自体をどう設定してどう動かすのかについて書かれています
解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法

- 概ねロジカルシンキングとして言われているピラミッドプリンシパルのことだと思いますが「解像度」とわかりやすい言葉で言い直して「深さ、広さ、構造、時間」と軸を明示することによって理解しやすくなっています
- 基盤、価値創造力についてはユーザ要望の解像度を上げることが常に必要であり、必読かなと考えています
基盤
行動規範
ビジネスマインド
- ビジネスにおける「論理とデータの重要性」を認識し、分析的でデータドリブンな考え方に基づき行動できる
- 「目的やゴールの設定がないままデータを分析しても、意味合いが出ない」ことを理解している
- 課題や仮説を言語化することの重要性を理解している
- 現場に出向いてヒアリングするなど、一次情報に接することの重要性を理解している
- 作業ありきではなく、解決すべき課題(イシュー)ありきで行動できる
- 実際のビジネスへのデータ分析適用の第一人者と言っていい河本薫氏の本
- キーワードは「意思決定」
「現場で活用される」とは「現場の意思決定に活用される」ということ。「意思決定に活用される」とは「意思決定プロセスに分析結果が使われる」ということ。そして、意思決定プロセスに分析結果が使われるには、意思決定に有用なデータ分析を行うだけでなく、分析結果が意思決定に活用されるように「意思決定プロセスを設計する」必要があることに気づきました。
- また、ここは非常に重要と思います
「問題」とは、目標と現状との間いにあるギャップのこと。
「課題」とは、目標と現状とのギャップを埋めるためにやるべきこと、すなわち、「問題」を解消するためにやるべきこと。 - そしてビジネスで用いられる意思決定を6種類に分類しています
A 反復選択型
B 体制選択型
C 原因特定型
D 計画策定型
E 仮説思考型
F 経営判断型 - このように分析テーマについて非常に論理的にビジネスにデータ分析を適用するということはどういうことかが解説されています
イシューからはじめよ[改訂版]――知的生産の「シンプルな本質」
- ビジネス視点でというか汎用の視点で何をなすべきかを整理している本です
- 頓挫しているPJの話を聞くと「そこ重要じゃないのに」というところにこだわって失敗していることがままあります(自分のPJだと分からなかったりするのですが)
- このイシューの視点を外しているとどんなアルゴリズムやデータを持ってきても失敗します
- 元コンサルタントで仕事の速さはそれほど変わらないのに成果が大きく違うのは何故か?と考え挙げた上でまとめあげた方法
- やみくもに成果を目指すのを本書では「犬の道」として排除しています。残業で気合いで何とかしろ的なやつですね
- 本書の言う「イシュー」とは
- 2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
- 根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題
- のことです。それ以外は手をつけるなって言っている。あと本書の象徴的な言葉を、根性に逃げるな
- 知ってました?仕事から逃げるな根性でやれ、は間違い。根性って逃げなんですよ
データ・AI倫理
- データを取り扱う人間として相応しい倫理を身に着けている(データのねつ造、改ざん、盗用を行わないなど)
- データ、AI、機械学習の意図的な悪用(真偽の識別が困難なレベルの画像・音声作成、フェイク情報の作成、Botによる企業・国家への攻撃など)があり得ることを勘案し、技術に関する基礎的な知識と倫理を身につけている
(一般財団法人)日本ディープラーニング協会「資料室」
- 『生成AIの利用ガイドライン』
- 動きの早いところですし、法制度も整備中な分野。定期的に更新されるようです
コンプライアンス
- データ分析者・利活用者として、データの倫理的な活用上の許容される範囲や、ユーザサイドへの必要な許諾について概ね理解している(直近の個人情報に関する法令:個人情報保護法、EU一般データ保護規則、データポータビリティなど)
(一般財団法人)日本ディープラーニング協会「資料室」
- 『AIデータにおける個人情報取扱いのためのナビゲーション (抜粋版)』
- 動きの早いところですし、法制度も整備中な分野。定期的に更新されるようです
論理的思考
MECE
- データや事象の重複に気づくことができる
- 初見の課題やテーマに対して、検討の抜け漏れや重複をなくすことができる
- 前例のない課題やテーマであっても、他の事象からの類推などを活用し、検討の抜け漏れや重複をなくすことができる
-
超一流のコンサルが教える ロジックツリー入門
- 縦にロジックツリー、横にMECE。これが基本中の基本なのですが、わかっていないまま流行の考え方に飛びついている人が多いと感じています
- この考え方を身につけているだけでビジネスマンだろうがエンジニアだろうが上位に行けます(言い過ぎですかね。でも、少なくとも半分より下になることはないですね)
構造化能力
- 与えられた分析課題に対し、初動として様々な情報を収集し、大まかな構造を把握することの重要性を理解している
- 様々なデータや事象を、階層やグルーピングによって、適切に構造化できる
言語化能力
- 対象となる事象が通常見受けられる場合において、分析結果の意味合いを正しく言語化できる
- 対象となる事象が通常見受けられない場合においても、分析結果の意味合いを既知の表現を組み合わせ、言語化できる
KPI
- 担当する分析プロジェクトにおいて、当該事業の収益モデルと主要な変数を理解している
アプローチ設計
生成AI活用
- 大規模言語モデルにおいては、事実と異なる内容がさも正しいかのように生成されることがあること(Hallucination)、これらが根本的に避けることができないことを踏まえ、利用に際しては出力を鵜呑みにしない等の注意が必要であることを知っている
- Hallucinationが起きていることに気づくための適切なアクションをとることができる(検索等によるリサーチ結果との比較や、他LLMの出力結果との比較、正確な追加情報を入力データに付与することによる出力結果の変化比較など)
- 大規模言語モデルでの Hallucination に惑わされないために、どのような質問は適切で、どのような質問が適切でないかを判断して利用できる
- 類書が多数あり、1冊でというと迷いますが、上記3点に関して完璧に答えられる本は意外とないと思います
- ここのスキルが意図している基礎体力をつけるという意味では本書が適切かなと思います
データ理解
- 統計情報への正しい理解
- ビジネス観点での理解
- 意味合いの抽出、洞察
- 「私が5年も回り道して学んでいたのは何だったのか!」
- ただ、最初にこれだけを読んでも理解が深まるかは分からない。前述の本等で自分で手を動かしていろいろ苦労して疑問が山のように出てから本書を(まー並行してでもいいか)読むと理解が深まると思ういます
- 帯にもありますが「データの取得・分析・解釈・活用の各段階で知っておくべき技術」が分かる。まぁまぁのベテランでも誤解しやすいところも分かる。必読の本と思います
データの理解・検証
俯瞰・メタ思考
- 分析結果を元に、意味合いの明確化に向けた分析の深掘り、分析対象データの見直しについて方向性を設計できる
データ可視化
方向性定義
- データの性質を理解するために、データを可視化し眺めて考えることの重要性を理解している
- 他の本は、可視化までのデータ集計はすでにあって、「どう表現すると読み手に伝わるか」がメインなのですが、本書は「そのデータの特徴を表すのにはどのような加工、まとめ方があるか」の方にメインを置いているんですね、そこがいいです
- つまりデータ可視化だけではなく、特徴量エンジニアリングはどうしたら機械学習に適したデータ加工ができるかですが、そのなんていうんだろう、可視化エンジニアリングともいうべき内容なんですよ
- 数量を把握する、メカニズムをとらえる、多変数をとらえる、データの分布をとらえる、関係性をとらえる、パターンをとらえる、の観点でノウハウを教えてくれます
ITセキュリティ
攻撃と防御手法
- マルウェアなどによる深刻なリスクの種類(消失・漏洩・サービスの停止など)を理解している
IPAの「情報セキュリティ・教材ツール」
- 私がここについては疎いので、定番のIPA資料を
生成AI
生成AI活用
- 生成AIの仕組みを理解し、業務や課題解決に活用できる
- 生成AIについて基礎的な知識や活用方法を理解している
- プロンプト手法の整理、テキスト生成やQ&Aのビジネス利用には本書が基本かなと思います
価値創造力
構想・探索
技術・社会潮流の洞察
- 技術・社会潮流の洞察
- 世界や社会の変化を流行ではなく構造として読み解き、技術革新がもたらす転換点を先読みする力。過去のパターンを超えて未来の意味構造を描き、組織や産業の方向性に新たな文脈を与える
- 構造的因果の理解
- 技術・文化・環境・制度など複数要因の連関を捉え、変化の背後にある因果構造を見抜く力。個別トレンドを越えて、社会・産業システム全体の変化モデルを構築する
- 変化のストーリー化
- 技術・社会・文化の変化を、継続と断絶のストーリーとして再構成し、組織が自身の未来像を理解できる共通言語に変換する力。個別の事象や変化を超えて“なぜそれが今起きているか”を語ることで、未来の洞察を共有知にする
- 前掲の『超一流のコンサルが教える ロジックツリー入門』の次くらいに読むと良さそう。本書はロジックツリーやMECEなどの簡単な解説の後に具体例で問題の本質を読み取ることや解決策までのストーリーの導き方を学べます
課題の再定義
- 未充足ニーズの洞察
- 表層的な課題の背後にある未充足ニーズを洞察し、価値創造の焦点を見立てる力。既存のビジネス構造や常識を超えて、社会や組織にとっての本質的課題を再設定する
- 構造転換
- 既存の課題構造や慣習的前提を可視化し、それを再構成することで新しい問題解決の道筋をつくる力。変化に適応するだけでなく、問題の枠組みそのものを転換する
- 新視点の提示
- 従来の問題設定を超え、異なる領域や視座を組み合わせて新しい問いを提示する力。組織の思考の枠を揺さぶり、変化のための新しい観点を導入する
意味構造設計
- 意味翻訳・統合
- 異なる専門・文化・世代間で共有されていない意味のズレを翻訳し、共通理解を生み出す力。対話を通じて多様な立場をつなぎ、組織や社会に新しい意味構造を構築する
-
(私が読んだのは古い版ですが)日本が誇る経営学者ですね。日本企業のイノベーションの解明
- 日本的経営で特に解明されていなかった「暗黙知」がどのように「形式知」となるかを明らかにしたSECIモデルが有名
-
共同化
- 暗黙知→暗黙知
- 個人が他者との直接対面による共感や、環境との相互作用を通じて暗黙知を獲得する
- 暗黙知→暗黙知
-
表出化
- 暗黙知→形式知
- 個人間の暗黙知を対話・思索・メタファーなどを通して、概念や図像、仮説などを作り、集団の形式知に変換する
- デザイン思考がここにあたる
- 暗黙知→形式知
-
連結化
- 形式知→形式知
- 集団レベルの形式知を組み合わせて、物語や理論に体系化する
- (青木個人的見解。Qiitaとかこれだね、頑張ろう!)
- 形式知→形式知
-
内面化
- 形式知→暗黙知
- 組織レベルの形式知を実践し、成果として新たな価値を生み出すとともに、新たな暗黙知として個人・集団・組織レベルのノウハウとして「体得」する
- 形式知→暗黙知
- 戦略的価値設計
- 技術・社会・産業のダイナミクスを踏まえ、価値創造の方向性を構造的に設計する力。個々のプロジェクトを越えて、長期的な価値体系を描き出す
- 本書は機械学習やデータ分析の本ではありません。ただ、目的と手段を誤った「AIでなんかやれ」もまだまだ多数見受けられます。そもそも我が社、お客様は何をしたいのかを考える必要があるでしょう
- そもそもデータ分析が必要なのか、そのデータ分析プロジェクトで何をしたいのか、リソース制約は何か、整理することが求められます。本書は関係者の共通理解を得るための第一歩になると思います
- 戦略についてどうこう議論している本は数多あるものの、「戦略」とは何かをきちんと定義しいる本はまず見ないです。みんな「戦略」を定義しないまま好き勝手に言ってませんか
- 「戦略」と口にする人ほど、戦略的に捨てた選択肢を、「とは言ってもこの観点もあの観点も必要だやってないのか」と蒸し返します
- マーケター向けの本であり、本ブログ著作青木もマーケティング関連の勉強として読みましたがかなりの衝撃を受けました。マーケティングのみでなくおよそビジネスで「戦略」という言葉が出てくる分野には全て通用する話です
- 皆簡単に「戦略」という言葉を使い共通理解がないまま破綻していませんか。
- Amazon紹介ページにある通り、ほとんどの会社が無自覚に「戦略」という言葉を使っていると思います。
しかし、経営戦略、マーケティング戦略、広告戦略、営業戦略… と企業の中では「戦略」という言葉が必要以上に多用されています。定義や意味が曖昧なため、ビジネスの現場で混乱や誤解を招く原因にもなり、実際的に戦略を運用する上では、ほとんど役に立ちません。
つまり「戦略」は、いまだにかなり曖昧な単語だということです。戦略の考え方のひとつを理解することは、今後の選択や意思決定に対して有効な指針となります。本書は、それぞれの読者が戦略を実践的な思考の道具として体得されることを目指すものです。 - 本ブログ著者の青木は「戦略においては、限られたリソースのもと目的達成のために何を実施し、何を捨てるか、の『何を捨てる』の共通理解を得ることが一番大事」と本書を理解しています
社会インパクト設計
- シナリオ設計
- 社会・技術・経済の不確実な変化を前提に、複数の未来シナリオを構築する力。リスクと機会を並行して見立て、柔軟な戦略的オプションを設計する
- 未読ですが本書が良さそう
- 社会・経済インパクト評価
- 経済的価値だけでなく、環境・文化・社会的価値を統合的に事前評価し、方向性を設計する力。持続可能性と利益創出を両立するための新しい指標系を生み出す
- 未読ですが本書が良さそう
設計
事業・モデル設計
- ビジネスアーキテクチャ設計
- 技術と社会ニーズを結び直し、新しい価値連鎖と収益構造を設計する力。仮説→検証→再設計のループで事業性・実現性・持続可能性を統合し、戦略と実装を橋渡しする
- 「ビジネスモデルキャンバス」という、価値提案〜チャネル〜収益構造を一枚の図で設計する枠組みを提供。「技術×顧客ニーズ×収益」を一度に見渡せるので、AI活用のビジネスアーキテクチャを描くときの標準ツールとなるでしょう
- また生成AIとの相性もよさそう。一人でも素案として埋められると思います
- 価値ストーリー設計
- 抽象的な構想を、関係者が理解し動けるストーリーとして再構成する力。顧客・現場・経営を同じ地図に乗せ、意思決定と資源配分を駆動するコミュニケーション設計を行う
- 未読ですが本書が良さそう
- 価値検証デザイン
- 解けなかった問題”をAI・データで再挑戦する検証設計力。MVP(Minimum Viable Product)やPoCで事業性を早期に見極め、指標・リスク・学習計画を組み込んだ検証から拡張の道筋を描く
- Build(構築)
- ある想定された顧客がある新規サービス、製品を必要としていると仮説を立て、新規事業のアイデアを練る
- 続いて、上記のアイデアを元にした製品をなるべくコストをかけずに開発する。この時に開発されるサービス、製品、試作品をMVP(Minimum viable product)、実用最小限の製品と呼ぶ
- Measure(計測)
- 上記で作成したMVPをアーリーアダプター(英語: Early Adopters、初期採用者)と呼ばれる流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断するような人々に提供して、その反応を見る
- Learn(学習)
- アーリーアダプターの反応、意見からMVPを改良して顧客に受け入れられるものにする
- 開発者のVisionがあり、それを戦略に落とし込むときの方向転換(ピボット)があり、戦略を製品に落とし込む時の最適化がある。これを実現するのがリーンスタートアップの思考法ですね
システム・AI設計
- AIとの協働構造設計
- AIと人の役割分担(自動・補助・判断)を定義し、業務・UX・技術制約を往復して最適な協働プロセスを設計する力。失敗時のフェイルセーフやエスカレーションも組み込む
Google The People + AI Guidebook
- 英文ですが現在ならば如何様にもなるでしょう
- 適応的アーキテクチャ設計
- 将来の技術進化・スケール・障害を織り込んだ拡張可能な全体設計力。段階的移行やリカバリーを設計し、レガシーとクラウド/エッジを滑らかに接続する
データ指向アプリケーションデザイン ―信頼性、拡張性、保守性の高い分散システム設計の原理
- 未読ですが本書が良さそう
- 価値文脈統合
- AI・データを“価値の文脈”から設計に統合し、目的→指標→データ→モデル→運用を一本化する力。人とAI・データの関係を直感的かつ倫理的に設計する
Lean Analytics ―スタートアップのためのデータ解析と活用法
- 未読ですが本書が良さそう
ガバナンス・倫理設計
- 倫理・リスク設計
- AI倫理・品質・セキュリティ・プライバシーの多層防御を設計する力。人間の介在が難しい場面を想定し、異常時対応・監査証跡・説明責任を仕組みに埋め込む
- 適応的ガバナンス構築
- 技術進化と規制のズレを前提に、ガイドライン・標準プロセス・体制を継続的に更新する力。専門組織による集約的アプローチや、地域差・業界差に応じたローカライズも設計・運用する
- 社会的信頼のおけるアーキテクチャ設計
- 環境負荷・倫理・安全を三位一体で設計し、社会からの信頼を得る基盤を構築する力。評価指標とKPIを整え、事業判断に接続する
(一般財団法人)日本ディープラーニング協会「資料室」
- 『生成AIの利用ガイドライン』
- 前掲資料
- 『AIデータにおける個人情報取扱いのためのナビゲーション (抜粋版)』
- 動きの早いところですし、法制度も整備中な分野。定期的に更新されるようです
組織・人・PJ設計
- 変革文化設計
- 組織や業務の劇的な移行による「相転移」や「ゆらぎ」を意図的に生み、実験と越境が常態化する文化を設計する力。KPIや人事制度・予算プロセスを変革の行動様式に合わせて再設計する
- 協働基盤設計
- 多様な才能が創造的に協働できる制度・役割・プロセスを設計する力。合意形成・対立解消・資源配分を運営ルールとして実装する
- 越境推進
- レガシー秩序に揺さぶりをかけ、既存モデルの慣性を超える越境・実験を設計する力。資金・人材・データ・計算資源の獲得までを含め、AI転換を推進する
両利きの経営(増補改訂版)―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く
- 既存事業の深化と新規事業の探索を同時に進める「両利き」の戦略と組織設計を体系的に解説しています
構築・運用
データ整備
- データ基盤設計
- 業界特性や契約条件を踏まえたデータ整備・基盤構築を行う力。データの流通経路・保管・アクセス設計を一貫してデザインし、品質と再利用性を両立させる
- AI-Ready
- ノイズ・欠損・バイアスを考慮しながら、AI活用に適したデータ構造・特徴量・メタデータを設計し、データ品質・倫理性を確保する力。権利処理や透明性も含め、データ活用環境を構築・運用する
- データ流通・調達
- データの調達・共有・利用契約を俯瞰し、持続可能なデータ流通構造を設計する力。パートナーや行政との連携を含めたデータエコシステムを構築する
- いざデータ分析をしようとすると、「あると思っていたデータがない」、「精度を上げるためには〇〇のデータが必要だが他部署に依頼する必要・渋られる」、「ID連携が部署間でなされていない」等々社内データが「使える」状態になっていないことが噴出します
- Amazon紹介ページにあるように、社内データを社内で「使える」状態にするためのノウハウを解説した本です
開発・評価
- PoC設計・実装
- 実現可能性や事業インパクトを検証するためのPoC(概念実証)を設計・実装する力。小規模実験を通じてリスクと価値を見極め、学習と改善につなげる
- MVP開発
- 最小限の機能・モデル・UXを構築し、MVPで価値と実現性を検証する力。実利用データを通じて事業インパクトを定量化する
- 前掲書
- 業務モデル化
- 業務知識や技能を分析・構造化し、AIで代替・補完可能な業務プロセスへ変換する力。人・組織を形式知化し、モデル化する
- 未読ですが本書が良さそう
継続運用・改善
- 運用監視設計
- サービスの安定稼働とリスク検知を両立させるモニタリング体制を設計する力。利用状況・ユーザー行動・リスク兆候の分析を用いて異常検知と対応プロセスを構築する
- 継続学習・改善
- AI・データ・サービスの改善を継続的に行う力。利用データを再学習やモデル更新に反映し、品質を長期的に維持する
- モデル・リスク統合管理
- モデル精度・リスク・説明責任プロセスを並行して管理し、透明で持続可能なMLOps基盤やガードレール、モデレーションを構築する力。評価・監査・再訓練プロセスを一体で設計する
機械学習システムデザイン ―実運用レベルのアプリケーションを実現する継続的反復プロセス
- 未読ですが本書が良さそう
定着と横展開
- ガバナンス実装
- 品質・倫理・再現性を担保するAIガバナンス・データガバナンスを制度化し、運用する力。組織横断で責任と権限を整理し、運用ガイドラインを定着させる
経済産業省AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン ver. 1.1
- 前掲資料
-
ナレッジマネジメント
- 成功事例・失敗知見を体系化し、共有・再利用する仕組みを構築する力。ベストプラクティスを横展開し、学習する文化を醸成する
-
変革定着
- 新しい価値創造を持続させるために、成功モデルを制度・組織文化に埋め込む力。部門間の連携とフィードバックを通じて変化を定常化させる
- 前掲書
適用・進化
移住
- 再結合の設計
- 既存の資産・制度・文化・技術を組み合わせ、新たな社会的・経済的秩序を設計する力。今までの構造を土台に新しい仕組みを創出する
- 実験的価値創造
- 今までの構造と新構造をつなぎ、実験的な価値創造を行う力。AI・データ・人・文化を組み合わせて新しい活動や仕組みを共創する
- 継承・移譲設計
- 新しい知・技術・文化を次世代や他コミュニティに継承する力。学びと実践を循環させ、持続可能な発展構造を形成する
- イノベーション研究の若手研究者の送られる世界的な「シュンペーター賞」を受賞した清水先生の本は間違い無いですね
効果測定・改善
- 経済・社会価値評価
- 経済的価値と社会的価値の両面で成果を測定し、意思決定や改善に反映する力。経済・社会・環境・文化の観点からインパクトを捉え、バランスの取れた評価を行う
- 学習サイクル設計
- 成果から学びを抽出し、改善と成長を継続的に循環させる仕組みを設計する力。組織・個人の自律的な改善を促進し、進化の文化を定着させる
- 組織が学び続けて変化に適応し続けるための考え方と実践の本。特にシステム思考を「学習する組織」を支える核として位置づけ、個人・チーム・組織の学びをつなぐ枠組みとして説明しています
- システム思考とは、ものごとを「部品」ではなく「つながり(相互作用)」として捉える考え方ですね
- 知識再利用設計
- 実践から得た知識・データ・経験を再利用可能な形で整理・共有する力。学習成果をモジュール化・構造化し、他部門・他組織に適応させる
- 前掲書
制度・文化改革
- 変革文化定着
- 対話と学習を通じて変革文化を定着させ、持続的な変化を可能にする力。短期的な圧力に流されず、価値創造の信念を持ち続けて推進する
U理論[第二版]――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術
- 個人や組織が「これまでの思考のクセ(先入観・固定観念)」をいったん脇に置き、深く観察・対話しながら、必要な変化を立ち上げていくための実践書です
- 「判断を急がずに聴く/観る」→「本質をつかむ」→「小さく試す」という流れが「U」字のように描けるのでU理論と名付けられている。変革を「会議の結論」ではなく「現場で動く変化」に落とし込むものです
- 制度再設計
- 既存の制度・評価・採用・配置などを再設計し、変革行動を支える仕組みに変える力。組織文化と制度の整合を取りながら変化を制度化する
- レジリエンス推進
- 抵抗や不確実性の中でも変化を継続させる心理的・組織的耐性を高める力。組織全体がゆらぎを受け入れ、回復しながら前進する状態を設計する
スケーリング・進化
- スケール設計
- パイロット導入の成果を他分野・地域・組織に展開する力。成功要因とリスクを構造的に分析し、適応・転用可能なスケール設計を行う
- 未読ですが本書が良さそう
- 越境展開
- 地域・組織・文化を越えて成果を共有し、新しい連携と共進化を促す力。国際ネットワークを活かして学びと実践を往還させる
- 未読ですが本書が良さそう
- 知の形式化
- 暗黙知や実践知を形式知化し、他者が活用できる形に変換する力。成果や学びをドキュメント・モデル・ツールとして定着させる
- 前掲書
共通
VC基礎
- 変革をやり抜く粘り強さ
- 困難や不確実性の中でも目的を見失わず、持続的に行動を続けながら、学びと改善を重ねて変革を完遂する力
- 探索と俊敏な実行
- 新しいサービスや技術に好奇心と洞察を持ち、仕組みを探究しながら俊敏に試行・判断・実行できる力
- 限定情報下での迅速判断力
- 限られた時間と情報の中でも、本質を捉え、過度な精度主義に陥らずに仮説ベースで素早く意思決定し、行動に移せる力
- 意味構造の読み解き・共有
- 複雑な事象の背後にある構造や意味を読み解き、人とAIが共に働く環境において、未来の価値を物語として翻訳・共有し、多様な人々の共感と行動を導く力
エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」

- ここは本で学ぶようなこともでもないけれど、チームとして認識合わせをするなら一つの考え方として最有力だと思います
- あれとこれがないとできない、じゃなくて、現状あるものだけで初めちまおうぜ的な
- 倫理的判断と社会接続
- 人間と社会の尊厳を守る倫理的判断軸を持ち、技術革新を公正かつ持続的な社会的価値に結び付ける力
- 経済産業省AI事業者ガイドライン第1.1版(2025-03-28)
- 少し趣旨がズレるかもですが、これが一番近いと思われる
スキルチェックリストVer.6.0の「データサイエンス」などについても同様記事を書きたいと思います。
関連記事
本記事に関連してスキルチェックリストに関しての過去の記事やデータサイエンス、ビジネスフレームワーク周りの関連記事も書いておりますので、リンクしておきます
データサイエンティスト協会スキルチェックリスト関連
データサイエンスに関する本
ビジネスフレームワーク関連












