「これをやらないとリリースが遅れると伝えているのに、なぜ採用を進めてくれないんだろう」
以前、クライアントワークでtoC向けの美容サロン系WebアプリのPMをしていたとき、私はこう思っていました。最終的には、クライアントの決裁者に直接説明させてもらったところ、翌日には提案が動き出しました。この記事では、そのとき何を考えてどう動いたのかを書きます。
1. デザイン不足で、手戻りとリリース遅延が起きていた
当時のプロジェクトでは、デザインに手が回らず、クオリティが下がっていました。その影響で、次の3つが起きていました。
- リリースが遅れる
- 開発者側のタスクが増える
- 実装してから「このデザインだと良くないのでは」となり、手戻りが増える
私はFigmaでデザインを起こせません。既存のデザイナーも工数がほとんど取れず、デザインがボトルネックになっていました。
2. 担当者に相談しても、深刻さが決裁者まで届かなかった
クライアント側の担当者は、PMで現場のリーダーでもある方でした。協力的で、リリースを早くしたいとも思っていて、やる気がないとか、理解していないという人ではありませんでした。
それでも、提案は1ヶ月ほど止まったままでした。お互いにリリースを早くしたいと思っていただけに、進まない状況へのもどかしさはかなりありました。
振り返ると、動かなかった理由は、決裁者から承認がもらえていなかったことです。つまり、決裁者にその重要性を認識してもらえていませんでした。
決裁者まで事実が明確に届かず、「まだ現場でやれることがあるのでは」「そこまで深刻ではないのでは」と受け取られてしまい、「もうやれることは採用しかない」という認識がうまく共有できていなかったのかもしれません。
3. 視点を切り替えて、決裁者に直接説明させてもらった
うまくいった一番の理由は、課題解決のために視点を切り替えたことです。
このまま同じ伝え方を続けても、状況は変わりそうにない。変えられないものを変えようとするのはやめよう。じゃあ、どうすればいいのか。そう考えて、担当者に「申し訳ないのですが、マネージャーの方のお時間をいただけないでしょうか。ぜひ自分から説明させてください」とお願いしました。
4. 「採用か、リリース延期か」を選んでもらった
決裁者には、説得するというよりも、事実を伝えました。今の体制のままでは開発スピードが落ちることは、私の中で確定していたからです。
伝えた事実はシンプルです。デザイン業務をやれる人がいないので、Figmaでデザインを起こせる人材が必要だ、ということです。
Webデザイナーを入れなければ、リリースを遅らせるしかありません。
言い方はもちろん柔らかく、「こういう状況で、なかなか厳しいです」というトーンです。ただ中身としては、「採用するか、リリースを遅らせるか」を選んでもらうお願いでした。リリースの遅れを許容するなら、こちらとしてもそれで問題はありません。
私には、採用して開発スピードを上げるほうが決裁者の求めていることではないか、という仮説がありました。採用費よりも、リリースが遅れることのほうがビジネスインパクトは大きいと判断してもらえたことが、決め手だったと思います。
5. 翌日から提案が動き、手戻りが減った
決裁者と話した翌日から、Webデザイナーの採用に向けて動き出しました。Webデザイナーが入ってからの変化は大きかったです。
- エンジニアがデザイン業務を気にしなくてよくなった
- デザインによる手戻りが圧倒的に減った
- 担当者とデザイナーのやり取りが増え、アイデアを揉んで改善することで、デザインのクオリティが上がった
6. 提案は、決裁者が何を一番優先しているかから考える
視点を切り替えて決裁者と話すとき、大事にしていることが2つあります。1つ目は、決裁者の気持ちになって、何が最もプライオリティが高いのかを考えることです。
2つ目は、「あなたのためにやっている」というスタンスです。今回も、自分たちが楽になるためではなく、クライアントの会社のためにやったほうがいいと心から思っていました。だからこそ、「開発が楽をしたいだけでは」と思われないような話し方をしていたと思います。