0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

伝わるコードレビュー 第4回:架空の開発現場で学ぶレビュー改善ケース集 Part2-2(全19ケース中さらに4例)

Posted at

image.png

はじめに

この記事は『伝わるコードレビュー』の学びを整理しながら紹介するシリーズの第4回です
前回まではレビューにおける基本的な姿勢やコミュニケーションの前提について扱いました
今回はさらに具体的な場面に踏み込み、ケース5からケース8までを紹介します

ここでは、実際の開発現場で頻発するレビュー時の行き違いや誤解を「ケース形式」で取り上げます
きっと「あー、これあるあるだな」と思うものが見つかるはずです


ケース5 細かすぎるレビューコメント

ありがちな状況

「変数名の末尾に _id をつけろ」「改行は2行じゃなくて1行」など、
コードの本質ではなく形式に関するコメントでやたらとレビューが埋まる
結果として議論は深まらず、指摘された側も「細かすぎる」と感じて不満を募らせてしまう

問題点

  • ルールが明文化・共有されていない
  • プロジェクトごとに独自のルールがあるのに、口伝でしか共有されていない
  • 既存メンバーすら「なんとなく」で従っていて説明できない

解決策

  • ルールは いつでも誰でも参照できる場所に明文化
    • GitHub の Wiki や README
    • プロジェクトのルートに配置するドキュメント
  • 「完成したルール」を目指さない
    • 最初は最小限に
    • 実運用の中で不足・過剰を見つけたら都度改善
  • 自動化できるチェックはツールに任せる
    • pre-commit hook
    • GitHub Actions など

改善サイクルの例

  1. 最小限のルールを設定
  2. ドキュメントに明文化
  3. 運用で問題点を検討
  4. 必要に応じて更新
  5. チーム文化として定着 → 再び1へ

この流れを回し続けることで「人力で細かく指摘する負担」を減らせます


ケース6 Lint ツールのいいなりの修正

ありがちな状況

Lint ツールが出したエラーを「とりあえず直せばいいんでしょ」と修正する
しかし修正の意味を理解していないため、かえって可読性が下がるケースもある

例:

  • 行数制限を守るためだけに不自然な改行を入れる
  • console.log をすべて消すが、本来は必要なログまで削除してしまう

問題点

  • Lint ツールの警告を「消すこと」が目的化してしまう
  • ルールが現場に合っていないのに、そのまま使い続けている

解決策

  • 警告の背景を理解して対応する
    • 本当に守るべきか
    • コンテキスト上は無効化した方が良いか
  • プロジェクトに合わせてルールを調整する
    • 例: MethodLength の上限値を見直す
  • 無効化する場合は理由をコメントに残す
    • 未来の開発者への説明責任を果たすため

所感

Lint ツールは「万能の正義」ではなく「道具」に過ぎない
盲目的に従うのではなく、チーム文化やプロジェクトの状況に合わせて“育てていく”ことが大切です


ケース7 「あの人が言っているから大丈夫」という思考停止

ありがちな状況

経験豊富な先輩が「ここはこう直した方がいい」と言った
その指摘を鵜呑みにして修正したが、CI で落ちてしまった
結果として「先輩の言うことでも必ずしも正しいとは限らない」と気づく

問題点

  • レビュアーが動作確認をせずに提案している
  • レビュイーが検証せずに受け入れている

解決策(レビュアー側)

  • 動作を確認したうえで提案する
  • もし未検証なら「これは未確認のアイデアです」と明示する

解決策(レビュイー側)

  • コメントをそのまま適用せず、自分で検証する
  • 納得できたうえで修正する
  • 自分のコードの最終的な責任は自分が持つ

ポイント

  • 「あの人が言っているから」ではなく 「自分が確認したから」 を根拠にする
  • レビューは相互の成長のための場であり、思考停止のための仕組みではない

ケース8 質問コメントに答えない修正PR

ありがちな状況

レビュアー: 「この処理をこう書いた意図は何ですか?」
レビュイー: (指摘だと誤解して修正) → 回答はない
結果、レビュアーは本来知りたかった意図を理解できず、コミュニケーションがすれ違う

問題点

  • 質問が「指摘」と誤解されてしまう
  • レビュイーが「議論」よりも「早く直すこと」を優先してしまう

解決策(レビュアー側)

  • コメントの意図を明示する
    • ask: のようなタグをつける
    • 「批判ではなく純粋な質問です」と伝える
  • 背景や理由も書く
    • 「ここのロジックを理解したいです。なぜなら〜」

解決策(レビュイー側)

  • 修正前に質問の意図を確認する
  • 自分の考えを言語化して説明する
  • 聞き返しやすい雰囲気をチームで作る

ポイント

レビューは「バグの指摘」だけでなく「相互理解の場」でもある
質問を無視して修正するだけでは、学びや改善のチャンスを逃してしまう


おわりに

今回はケース5からケース8までを紹介しました
いずれも「レビューをどう運用するか」よりも「どう伝えるか」「どう受け取るか」が肝心であることがわかります

  • 細かすぎるコメントはルールと自動化で解消
  • Lint ツールは盲信せずに“育てる”意識を
  • 権威に頼らず自分で確認する姿勢を
  • 質問には必ず対話で応える

次回は Part2 として、ケース9からケース12を紹介します
より具体的なコミュニケーションの工夫を見ていきましょう


0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?