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伝わるコードレビュー 第5回:架空の開発現場で学ぶレビュー改善ケース集 Part2-3(全19ケース中の9~12例)

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はじめに

この記事は『伝わるコードレビュー』の学びを整理しながら紹介するシリーズの第5回です
前回はケース5から8を取り上げ、細かすぎるレビューコメントや質問に答えない修正PRなど、レビューにおける典型的なすれ違いを確認しました
今回はさらに続けて、ケース9からケース12を紹介します


ケース9 レビューポイントがわかりにくいPR

開発現場でありがちなのが「どこを見ればよいのか分からないPR」です
インデント修正とロジック修正が同じコミットにまとめられている場合、差分がノイズに埋もれてレビュー効率が大きく落ちてしまう

問題点

  • 目的の異なる変更を1コミットにまとめてしまうことで、意図が伝わらない
  • レビュアーがチェックすべきポイントを見逃す危険性が高まる

解決策

  • 1つの意図につき1つのコミットを作る
  • 後から見返したときに「なぜこの変更をしたのか」が明確になるように、コミット単位を整理する
  • Lint修正のような本質と関係のない変更は分離し、レビュー対象を明確にする

所感

私自身もつい1つのコミットにまとめてしまう癖があります
特にLintエラーを直しているときに、そのままロジック修正をしてしまい、気付けば巨大なコミットになっていることが多い
「Lint修正だけで一度コミット」する習慣を意識するだけで、後のレビュー効率が劇的に改善されます


ケース10 気を遣いすぎたレビューコメント

「すごく細かいところなのですが、もし可能であれば検討いただけると幸いです…」といった過剰に丁寧すぎるコメント、見覚えはないでしょうか
一見丁寧ですが、実際には意図が読み取りづらく、受け手には遠回しすぎて伝わらないこともあります

問題点

  • 信頼関係が不足しているために、レビュアーが萎縮してまわりくどいコメントを書く
  • 結果として「何を伝えたいのか」が不明確になり、場合によってはイヤミにすら感じられる

解決策

  • 間違ったコメントをしても大丈夫という心理的安全性を確立する
  • コメントは率直に伝え、過剰に予防線を張らない
  • 「長文の回りくどいコメント=信頼関係不足のサイン」と捉え、チームの関係性改善を優先する

所感

私も以前は「気を悪くされたらどうしよう」と考えすぎて、曖昧なコメントになってしまったことがあります
今では、多少直接的でも率直に書いた方が建設的な議論につながると実感しています


ケース11 レビューされないPR

どれだけ丁寧にコードを書いても、PR自体が放置されてしまえば意味がありません
よくある原因は「タイトルが雑」「レビュアーが指定されていない」という単純なものです

問題点

  • タイトルが「修正しました」や「ログを見やすくする」程度では、何のためのPRかが分からない
  • レビュアーや期限を指定しないことで、誰にもレビューされず放置される

解決策

  • 一覧で見ただけで目的が伝わるタイトルをつける
  • 緊急度が低くても必ずレビュアーを指定し、期限を設ける
  • PRを作ったらマージまで責任を持ち、進捗確認を怠らない

所感

レビューされないPRは、開発のボトルネックになります
自分がレビュアーでない場合でも「タイトルが明確でレビューしやすい」と感じるPRは思わず目を通してしまうものです
小さな配慮がレビューの回転率を大きく左右することを改めて実感します


ケース12 前提が揃っていないPR

PRのDescriptionに従って動作確認をしても、なぜか動かない…という経験をしたことがある人は多いでしょう
実は「環境変数が必要」「事前にDBマイグレーションが必要」といった前提条件が抜け落ちているのが原因です

問題点

  • レビュアーが必要な情報を持っている前提でPRを作ってしまう
  • 情報不足によりレビューコストが増大する

解決策

  • レビュアーは前提知識ゼロと想定してDescriptionを書く
  • 動作確認の手順や追加の条件を明示する
  • 必要に応じてレビュイーからレビュアーへ事前説明の場を設ける

[IMPORTANT]
PRのDescriptionはレビュー効率を左右する

所感

「このくらい分かるだろう」と思って省略した情報が、実はレビュアーを大きく困らせることがよくあります
特に新しいメンバーがレビューに参加する場合、詳細な説明があるかどうかでチーム全体の速度が大きく変わります


COLUMN: 雑談が質問しやすい雰囲気を作る

レビュー文化を育てる上で軽視できないのが雑談の力です
日常的に雑談できる雰囲気は、心理的ハードルを下げ、質問や相談をしやすくします

アイデア

  • 朝会の冒頭に雑談タイムを設ける
  • ミーティング前にアイスブレイクを行う
  • 出入り自由のオンライン作業会を設ける
  • チャットツールに雑談専用チャンネルを作る

所感

特にリモート環境では、意識的に雑談の場を設けることが重要だと感じます
雑談があるだけで「ちょっと聞いてみようかな」という気持ちになり、レビューの質も自然に高まっていきます


おわりに

今回はケース9からケース12を取り上げました
コミットの分け方やコメントの伝え方、PRの書き方など、一見小さな工夫がレビュー全体の効率と雰囲気に大きく影響することが分かります
次回はケース13から16を紹介し、さらに実践的なレビュー改善のヒントを掘り下げていきます

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