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伝わるコードレビュー 第6回:架空の開発現場で学ぶレビュー改善ケース集 Part2-4(全19ケース中の13~16例)

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ChatGPT Image 2025年9月29日 12_10_22.png

はじめに

この記事は『伝わるコードレビュー』の学びを整理しながら紹介するシリーズの第6回です
全11回のうち今回は、架空の開発現場で起きやすい具体的なコミュニケーションの問題と解決法を扱う19のケースの中から、ケース13〜16を紹介します

  • ケース13 コメントへの訂正情報の不足
  • ケース14 放置された議論
  • ケース15 見過ごされた質問コメント
  • ケース16 想像に基づく修正

いずれも「レビューコメントのやり取りにおけるコミュニケーションのすれ違い」が原因で発生する問題です
レビューの精度や効率を高めるためには、コードそのものだけでなく、やり取りの質に目を向ける必要があります


ケース13 コメントへの訂正情報の不足

問題点

レビューコメントで「ここは誤りです」と指摘されたが、実際は正しいコードだった
このとき「正しいです」や「問題ありません」とだけ返すと、レビュアーにはなぜ正しいのかが伝わらない
結果として、誤解の原因や背景が解消されず、同じ指摘が繰り返される可能性がある

解決策

間違った指摘は、実は改善のヒントでもある
なぜレビュアーが誤解したのかを一緒に探ることで、認識の齟齬やコードのわかりにくさを明らかにできる

  • 間違いの理由を掘り下げる
    • レビュアー: どのような思考で誤った結論に至ったか
    • レビュイー: その指摘が誤りだと判断した根拠は何か
  • 認識をすり合わせる
    • なぜ誤解が生じたのか
    • どうすれば誤解が生じにくいコードや設計にできるのか

このやり取りを通じて「理想的な状態」を議論することが、レビューの本質的な価値につながる


ケース14 放置された議論

問題点

PRの中で「外部仕様の確認が必要」といった議題が出たものの、誰も担当を引き受けないまま時間だけが過ぎ、最終的に放置されてしまうケースがある
議論の末にアクションプランが明確にされないことが原因

解決策

議論を終わらせるだけではなく「誰が・いつまでに・何をやるか」を決める必要がある

  • アクションプランを具体化する
    • e.g. 「Aさんが顧客に確認し、金曜までに回答する」
  • フォローを忘れない
    • 「確認進んでいますか?」と声をかける
    • チケットや管理ツールに記録して進捗を可視化する

議論が動かなくなること自体は珍しくない
大事なのは、議論を前進させる仕組みを整えること


ケース15 見過ごされた質問コメント

問題点

PRコメントで「この仕様の場合どうなるのでしょう?」と質問があったのに、PRが承認されてしまい、回答が放置されることがある
質問コメントは軽く見られがちだが、バグの芽を事前に摘む重要な手がかりである

解決策

  • レビュアーは質問の回答を促す責任がある
    • 未回答なら「こちらの質問は確認いただけましたか?」と伝える
    • チャットや口頭で補足してもよい
  • 承認前に必ず質問に答えてもらう
  • コメントの属性を明示する
    • [must], [should], [fyi] などで意図をはっきりさせる

また、レビュイー側も「コメントが全て解決されているか」を確認する習慣を持つことが望ましい
質問が軽視されない環境を作ることが、チーム全体の品質を守る


ケース16 想像に基づく修正

問題点

「このメソッドはオーバーライドしているので修正してください」とコメントされたとき、レビュイーが「オーバーライド」という用語を理解していなかった
その結果、意味を想像して的外れな修正をしてしまい、再度指摘を受けることになった

解決策

レビューコメントは相手の理解度に合わせることが必要

  • レビュアー
    • 専門用語を使う場合、相手の知識を考慮する
    • 意味が伝わらなければ補足説明を追加する
  • レビュイー
    • わからないことを想像で処理せず質問する
    • 「このように理解しましたが、あっていますか?」と確認する

また、安心して質問できる関係性を普段から作っておくことも大切
誤解を恐れて曖昧に対応するよりも、率直に尋ねる方が結果的に効率が良い


おわりに

今回はケース13〜16を紹介しました

  • コメントへの訂正情報の不足
  • 放置された議論
  • 見過ごされた質問コメント
  • 想像に基づく修正

どのケースも「ちょっとしたすれ違い」が原因でありながら、放置すれば大きな問題に発展するものです
レビューの質は、コードそのものよりも「どう伝え合うか」に左右される部分が大きいと感じます

次回はPart2最後として、ケース17〜19を取り上げます


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