序論
本稿は 元市役所職員がWEBプログラマに転職するまでのロードマップ の連載記事の一部です。
Docker
-
Docker
- OS・ミドルウェア・ファイルシステム全体を イメージ という単位で取り扱い、まるごとやりとり出来るツール
- オープンソースのコンテナエンジンとしては現状最も有名
特徴
- 仮想環境はコンテナ型と呼ばれるもので、ホストOSを直接アクセスするためオーバーヘッドが少ない
- 環境構築が容易(
Dockerfile
に環境設定を記述するだけで、必要な環境を自動で構築してくれる) - コンテナは移植性(ポータビリティ)が高く、Dockerさえインストールされていれば、全く同じ環境でアプリを動かせる
- ホストOSからはコンテナは1プロセスとして認識される
Dockerの原則
- 1コンテナにつき1プロセス
- 1つのコンテナ内に複数プロセス(例: Rails, Nginx, MySQL)を詰め込むと、コンテナの再起動などが気軽にできない
- コンテナ内で完結させる
- 使用するミドルウェアやツールなどはすべてホスト側ではなくコンテナ上で管理すること
- これにより、バージョンアップやメンテはDockerfile上で管理できる
Docker専用Linuxディストリビューション
あらゆるプログラムをDocker上で動かすことを前提とした、Docker専用Linuxディストリビューションが存在します。
- CoreOS
- systemd, etcd, fleet, Docker等の基本ツールのみをそろえた軽量Linux
- CoreOS社のコンテナエンジンrktも使える
- 基本がLinuxなため学習コストは高めだが、柔軟性も高い
- RancherOS
- カーネル上でシステムDockerが動作し、Docker以外のものが一切ない
- CoreOS以上に軽量&起動速度速い
- Dockerの使い方さえわかれば学習コストは高くない
とは言え、必ずしもこういったDocker専用ディストリビューションを使わなければならない訳ではないので、ディストリビューションは好みで選択してしまってよいのではないかと思います。
実際のところ、本番環境でのDocker導入事例は日本ではまだあまり多くありませんし、本番環境で稼働させるつもりであれば AWS ECS や Google Kubernetes Engine のようなクラウドプラットフォームを使ってしまうのが一番安全であると考えています。
Setup
本稿では WSL2 + Ubuntu 20.04 + Docker 開発環境構築 で構築した WSL2 + Ubuntu 20.04 + Docker 環境を前提として記述しております。
しかし、基本的にはどのようなDocker環境でも同様の動作確認が可能と思われるため、好きな環境を準備すれば良いです。
Dockerチュートリアル
まずは、Docker上に webserver
コンテナを作り、その中に nginx
イメージをインストール&実行してみます。
# WSL2 環境では docker サービスは自動起動しないため、初回起動時に service start する
$ sudo service docker start
# ローカルに保存されているイメージを確認
$ docker images
REPOSITORY TAG IMAGE ID CREATED VIRTUAL SIZE
# => 一つもイメージを保存していないため、現在は何もリストされていない
# nginxイメージを取得する
$ docker pull nginx
Using default tag: latest
latest: Pulling from library/nginx
: (略)
# => docker images コマンドで nginxイメージが保存されていることを確認
# webserver コンテナを nginx イメージから作成し、ローカルポート8080番をコンテナの80番ポートに繋げる
## $ docker run [options] <image>
## -d: daemonモード(バックグラウンドでコンテナを起動)
## -p <ローカルポート:コンテナポート>: ポート接続
## --name <name>: コンテナ名指定
$ docker run -d -p 8080:80 --name webserver nginx
ホストマシンのブラウザで、 http://localhost:8080 にアクセスし、nginxサーバーが稼働していることを確認出来たら成功です。
Dockerコンテナの停止
このままだと Dockerコンテナ(webserver
)が起動したままなので、停止します。
# 起動中のコンテナを一覧表示
$ docker ps
CONTAINER ID IMAGE COMMAND CREATED STATUS PORTS NAMES
d0b48cd50872 nginx "/docker-entrypoint..." 5 minutes ago Up 5 minutes 0.0.0.0:8080->80/tcp webserver
# コンテナIDを指定して停止
$ docker stop d0b48cd50872
# コンテナ名で停止することも可能
# $ docker stop webserver
# 確認
$ docker ps
CONTAINER ID IMAGE COMMAND CREATED STATUS PORTS NAMES
Docker基本操作
ローカルに保存されているイメージの一覧表示
$ docker images
イメージをローカルから削除
$ docker rmi <イメージ名>
コンテナ一覧の確認
$ docker ps
コンテナ内コマンドの実行
$ docker exec -it <コンテナ名> <コマンド>
# コンテナ内に入ってコマンドを実行するには bashコマンドを実行すればよい
$ docker exec -it <コンテナ名> bash
# -- root@コンテナ
% # コンテナ内で任意のコマンド実行可能
% exit
コンテナの停止
# コンテナを安全に停止する
## 待ち秒数を指定しない場合は SIGTERM 送信後、10秒後に強制停止
$ docker stop [-f <待ち秒数>] <CONTAINER ID もしくは NAMES>
# コンテナを強制停止する
## コンテナプロセスに対して即座に SIGKILL 送信
$ docker kill <CONTAINER ID もしくは NAMES>
コンテナの起動
# 作成済みのコンテナ(一度 run したコンテナ)のみ start 可能
$ docker start <CONTAINER ID もしくは NAMES>
コンテナの再起動
$ docker restart <CONTAINER ID もしくは NAMES>
コンテナの削除
# コンテナを削除する場合は、先にそのコンテナを停止しておく必要がある
$ docker rm <CONTAINER ID もしくは NAMES>
不要なコンテナ・イメージを一括削除
削除は、コンテナ => イメージ
の順で行う
# 以下のコマンドは全て Docker 1.13 以降のバージョンで使用可能
$ docker container prune # 停止しているコンテナを全て削除
$ docker volume prune # 使われていないボリュームを全て削除
$ docker image prune # コンテナが使っていないイメージを全て削除
コンテナ・イメージの全削除
$ docker rm -f `docker ps -a -q` # 全コンテナ削除
$ docker volume rm `docker volume ls -q` # 全ボリューム削除
$ docker rmi -f `docker images -q` # 全イメージ削除
CentOS on Docker における LAMP 環境構築入門
LAMPとは
LAMPとは、OSである Linux、Webサーバである Apache HTTP Server、データベースである MySQL、スクリプト言語である Perl, PHP, Python を総称した頭文字から成る造語です。
ここでは、CentOS Linux をDockerで再現した仮想環境に LAMP 環境を構築し、WEBサーバとして稼働させる方法を学びます。
なお、使用するOS, ソフトウェアはそれぞれ以下の通りです。
- Linux OS:
CentOS 7
- Webサーバー:
Apache 2.4
- スクリプト言語:
PHP 7.4
- データベース:
MySQL 5.7
環境準備
本来サーバ構築は、CentOS 7 等のサーバマシンをレンタルして行いますが、ここでは Docker で CentOS 7 のコンテナを作成して、この仮想環境をサーバマシンと見立ててLAMP環境を構築していきます。
# -- user@ubuntu-20.04(wsl2)
# WSL2 環境では docker サービスは自動起動しないため、初回起動時に service start する
$ sudo service docker start
# CentOS 7 イメージを取得
$ docker pull centos:7
# Dockerチュートリアル時に作成した webserver コンテナを削除
## 今回 webserver コンテナは centos:7 イメージから作成したいため
## ※ 同名のコンテナを複数作成することはできない
$ docker rm webserver
# webserver コンテナを centos:7 イメージから作成し、ローカルポート80番をコンテナの80番ポートに繋げる
# $ docker run [options] <image> [init_command]
## -d: daemonモード(バックグラウンドでコンテナを起動)
## -i: interactiveモード(コンテナ内でコマンド対話可能にする)
## -t: ttyモード(コンテナで仮想ターミナルを使えるようにする)
## -p <ローカルポート:コンテナポート>: ポート接続
## --privileged: コンテナ内でサービスの起動を許可(Apache 等のサービスを起動するため)
## ※ 起動時コマンドに /sbin/init を指定してサービスを開始するように指定する
## 参考: https://qiita.com/mikene_koko/items/4c71c969f55e3fe24190
## --name <name>: コンテナ名指定
$ docker run -d -it -p 80:80 --privileged --name webserver centos:7 /sbin/init
# 起動中のコンテナを確認
## 起動時の COMMAND が "/sbin/init" になっていることを確認しておく
$ docker ps
CONTAINER ID IMAGE COMMAND CREATED STATUS PORTS NAMES
65aec24d3f63 centos:7 "/sbin/init" 4 seconds ago Up 3 seconds 0.0.0.0:80->80/tcp webserver
CentOS 7 を日本語環境用に調整
# -- user@ubuntu-20.04(wsl2)
# webserver コンテナに接続(コンテナ内に入る)
## 正確には webserver コンテナ内の bash シェルを実行する
## -i: interactiveモード(コンテナ内でコマンド対話可能にする)
## -t: ttyモード(コンテナで仮想ターミナルを使えるようにする)
$ docker exec -it webserver bash
# -- root@docker://webserver
# yumパッケージのアップデート
## yum: CentOS のパッケージマネージャ
% yum -y update
# 日本語ロケールがあるか確認
% localectl list-locales | grep -i ja
# => 何も表示されない = 日本語ロケールが定義されていない
# 日本語ロケール定義
% localedef -f UTF-8 -i ja_JP ja_JP
# 確認
% localectl list-locales | grep -i ja
ja_JP
ja_JP.utf8
# 日本語ロケールに設定
% localectl set-locale LANG=ja_JP.UTF-8
% localectl set-keymap jp106
# ロケール確認
% localectl status
System Locale: LANG=ja_JP.UTF-8
VC Keymap: jp106
X11 Layout: jp
X11 Model: jp106
X11 Options: terminate:ctrl_alt_bksp
# 環境変数 LANG を日本語環境に設定
% echo 'export LANG=ja_JP.UTF-8' >> ~/.bashrc
% source ~/.bashrc
# ロケール環境変数を確認
% locale
LANG=ja_JP.UTF-8
LC_CTYPE="ja_JP.UTF-8"
LC_NUMERIC="ja_JP.UTF-8"
LC_TIME="ja_JP.UTF-8"
LC_COLLATE="ja_JP.UTF-8"
LC_MONETARY="ja_JP.UTF-8"
LC_MESSAGES="ja_JP.UTF-8"
LC_PAPER="ja_JP.UTF-8"
LC_NAME="ja_JP.UTF-8"
LC_ADDRESS="ja_JP.UTF-8"
LC_TELEPHONE="ja_JP.UTF-8"
LC_MEASUREMENT="ja_JP.UTF-8"
LC_IDENTIFICATION="ja_JP.UTF-8"
LC_ALL=
# TimeZone を日本語環境に設定
% timedatectl set-timezone Asia/Tokyo
# TimeZone確認
% timedatectl status
Local time: Sun 2020-07-26 14:22:02 JST
Universal time: Sun 2020-07-26 05:22:02 UTC
RTC time: Sun 2020-07-26 05:22:02
Time zone: Asia/Tokyo (JST, +0900)
NTP enabled: n/a
NTP synchronized: no
RTC in local TZ: no
DST active: n/a
Apache(httpd)のインストール
Apacheとは
- HTTPサーバーの一種
- ブラウザなどから来るHTTPリクエストを受信し、サーバーからのレスポンスを返す中継ソフトウェア
- 要するに、Webサイト等を表示するためのソフトウェアのこと
- 数年前までは、世界中で使用されているHTTPサーバーだったが、最近では nginx に首位の座を奪われようとしている
- 古くから使われていて情報が多いため、本研修では Apache をHTTPサーバーとして採用する
インストール
# -- root@docker://webserver
# Apache (httpd) インストール
% yum install httpd
# => インストールされる httpd のバージョンを確認して「y」でインストール続行
# Apacheバージョン確認
% httpd -v
Server version: Apache/2.4.6 (CentOS)
# システム起動時 Apache サービスが自動起動するように設定
## これをしておかないとコンピュータ再起動時に Apache が起動せず、WEBサーバが停止してしまう
% systemctl enable httpd.service
# Apache サービスの起動
## これで WEBサーバとして稼働するようになる
% systemctl start httpd.service
# Apache サービスの状態確認
% systemctl status httpd.service
# => Active: active (running) になっていればOK
http://localhost にアクセスして Apache のウェルカムページが表示されればOKです。
※ http のデフォルトポートは80番であるため http://localhost:80 の :80
は省略できます。
PHPのインストール
# -- root@docker://webserver
# リポジトリに登録されているPHPの情報を取得
% yum info php
Loaded plugins: fastestmirror, ovl
Loading mirror speeds from cached hostfile
* base: ftp.iij.ad.jp
* extras: ftp.iij.ad.jp
* updates: ftp.iij.ad.jp
Available Packages
Name : php
Arch : x86_64
Version : 5.4.16
Release : 48.el7
Size : 1.4 M
Repo : base/7/x86_64
Summary : PHP scripting language for creating dynamic web sites
URL : http://www.php.net/
License : PHP and Zend and BSD
Description : PHP is an HTML-embedded scripting language. PHP attempts to make it
: easy for developers to write dynamically generated web pages. PHP also
: offers built-in database integration for several commercial and
: non-commercial database management systems, so writing a
: database-enabled webpage with PHP is fairly simple. The most common
: use of PHP coding is probably as a replacement for CGI scripts.
:
: The php package contains the module (often referred to as mod_php)
: which adds support for the PHP language to Apache HTTP Server.
# PHP 7.4 をインストールするため remi-release-7 リポジトリ登録
% yum install -y https://rpms.remirepo.net/enterprise/remi-release-7.rpm
# 登録済みのリポジトリ確認
% ls -l /etc/yum.repos.d/
total 96
-rw-r--r-- 1 root root 1664 Apr 7 22:01 CentOS-Base.repo
-rw-r--r-- 1 root root 1309 Apr 7 22:01 CentOS-CR.repo
-rw-r--r-- 1 root root 649 Apr 7 22:01 CentOS-Debuginfo.repo
-rw-r--r-- 1 root root 630 Apr 7 22:01 CentOS-Media.repo
-rw-r--r-- 1 root root 1331 Apr 7 22:01 CentOS-Sources.repo
-rw-r--r-- 1 root root 7577 Apr 7 22:01 CentOS-Vault.repo
-rw-r--r-- 1 root root 314 Apr 7 22:01 CentOS-fasttrack.repo
-rw-r--r-- 1 root root 616 Apr 7 22:01 CentOS-x86_64-kernel.repo
-rw-r--r-- 1 root root 1050 Oct 2 2017 epel-testing.repo
-rw-r--r-- 1 root root 951 Oct 2 2017 epel.repo
-rw-r--r-- 1 root root 446 Feb 17 16:07 remi-glpi91.repo
-rw-r--r-- 1 root root 446 Feb 17 16:07 remi-glpi92.repo
-rw-r--r-- 1 root root 446 Feb 17 16:07 remi-glpi93.repo
-rw-r--r-- 1 root root 446 Feb 17 16:07 remi-glpi94.repo
-rw-r--r-- 1 root root 855 Feb 17 16:07 remi-modular.repo
-rw-r--r-- 1 root root 456 Feb 17 16:07 remi-php54.repo
-rw-r--r-- 1 root root 1314 Feb 17 16:07 remi-php70.repo
-rw-r--r-- 1 root root 1314 Feb 17 16:07 remi-php71.repo
-rw-r--r-- 1 root root 1314 Feb 17 16:07 remi-php72.repo
-rw-r--r-- 1 root root 1314 Feb 17 16:07 remi-php73.repo
-rw-r--r-- 1 root root 1314 Feb 17 16:07 remi-php74.repo
-rw-r--r-- 1 root root 750 Feb 17 16:07 remi-safe.repo
-rw-r--r-- 1 root root 2605 Feb 17 16:07 remi.repo
# PHP 7.4 のインストール
## remi-php74 リポジトリに含まれている php をインストール
% yum install --enablerepo=remi,remi-php74 php
# => インストールされる php バージョンに問題ないことを確認したら「y」で続行
# PHPバージョン確認
% php -v
PHP 7.4.8 (cli) (built: Jul 9 2020 08:57:23) ( NTS )
# PHPモジュールのインストール
## mbstring: マルチバイト文字を扱えるようにするモジュール
## pdo: データベース接続を可能にするモジュール
## mysqlnd: MySQL関連モジュール
## intl: 国際化対応関連モジュール
% yum install --enablerepo=remi,remi-php74 php-mbstring php-pdo php-mysqlnd php-intl
# PHPオリジナル設定ファイルをバックアップ
% cd /etc/php.ini /etc/php.ini.bak
# PHPデフォルトTimeZoneを Asia/Tokyo に設定
## sed で「date.timezone =」から始まる行(もしくはそのコメント行)を「date.timezone = "Asia/Tokyo"」に置換
### -i: ファイルを直接置換する
### -r: 拡張正規表現を使う
% sed -i -r 's/^;?[ \t]*date\.timezone[ \t]*=/date.timezone = "Asia\/Tokyo"/' /etc/php.ini
# Apache再起動
## - PHP を Apache の拡張機能として利用することができるようになる
## - php.ini の設定が反映される
% systemctl restart httpd.service
# PHPの動作確認
## Apacheのルートディレクトリ /var/www/html/ に index.php を作成する
## ファイルの中身は <?php phpinfo() ?> と記述
% echo '<?php phpinfo() ?>' | tee /var/www/html/index.php
http://localhost にアクセスして、PHPバージョン情報等が表示されればOKです。
MySQLのインストール
データベースサーバとしてMySQLをインストールします。
# -- root@docker://webserver
# MySQL 5.7 をインストールするためのリポジトリ登録
% yum install -y http://dev.mysql.com/get/mysql57-community-release-el7-11.noarch.rpm
# MySQL 5.7 インストール
% yum install mysql-community-server
# => インストールされる mysql-community-server のバージョンに問題ないことを確認したら「y」で続行
# MySQLのバージョン確認
% mysqld --version
mysqld Ver 5.7.31 for Linux on x86_64 (MySQL Community Server (GPL))
# MySQLサーバーをスタートアップ登録しサービス稼働開始
% systemctl enable mysqld.service && systemctl start mysqld.service
# MySQLサーバーの状態確認
% systemctl status mysqld.service
# => Active: active (running) になっていればOK
# MySQLの初期パスワード確認
% cat /var/log/mysqld.log | grep 'temporary password'
[Note] A temporary password is generated for root@localhost: <初期パスワード>
# MySQLのパスワードを変更
% mysql_secure_installation
Enter password for user root: # <= 先に確認した初期パスワード入力
New password: # <= 新規パスワード入力(アルファベット大文字小文字、数字、記号をすべて含むこと)
## ここでは PWD!iam@123 とする
Re-enter new password: # <= 新規パスワードを再入力: PWD!iam@123
Change the password for root ? # <= 「n」でOK
# => 以降は基本的に全て「y」
# MySQLオリジナル設定ファイルをバックアップ
% cp /etc/my.cnf /etc/my.cnf.bak
# MySQL基本設定
## MySQL通信ポート: 3306
## デフォルト文字エンコーディング: utf8mb4
% tee /etc/my.cnf << EOS
[mysqld]
port = 3306
server-id = 1
character-set-server = utf8mb4
datadir = /var/lib/mysql
socket = /var/lib/mysql/mysql.sock
symbolic-links = 0
log-error = /var/log/mysqld.log
pid-file = /var/run/mysqld/mysqld.pid
[client]
port = 3306
socket = /var/lib/mysql/mysql.sock
default-character-set = utf8mb4
EOS
# 設定反映のためMySQLサーバ再起動
% systemctl restart mysqld.service
MySQLデータベース作成
# MySQLにログイン
% mysql -u root -p
Enter password: # <= 設定したパスワード入力
# 動作確認用データベース: test_db 作成
## 文字コード: utf8mb4
## 照合順序: utf8mb4_general_ci
> CREATE DATABASE test_db CHARACTER SET utf8mb4 COLLATE utf8mb4_general_ci;
# データベースを一覧表示
> SHOW DATABASES;
+--------------------+
| Database |
+--------------------+
| information_schema |
| mysql |
| performance_schema |
| sys |
| test_db | # 新規作成
+--------------------+
# 新規ユーザ: test_usr 作成
## 基本的に root ユーザでMySQLサーバにログインするのはセキュリティ的によろしくない
## データベースごとに専用のユーザを作成するのが運用上望ましい
## > CREATE USER 'ユーザ名'@'接続先DBホスト' IDENTIFIED BY '接続パスワード';
### ※ データベースサーバは別建てして専用のエンドポイントホスト名を設定することが多いため、その場合は localhost ではなくそのエンドポイント名を指定すること
### ※ 接続ホスト名を省略した場合(CREATE USER 'ユーザ名' IDENTIFIED BY ...)はワイルドカード指定と同じ意味(CREATE USER 'ユーザ名'@'%' IDENTIFIED BY ...)
> CREATE USER 'test_usr'@'localhost' IDENTIFIED BY 'PWD!tE_sT@456';
# test_usr ユーザにデータベース操作権限を与える
## test_db のみに全権限を与える場合は GRANT ALL ON test_db.* だが
## PROCESS 権限がないと mysqldump --single-transaction が上手く実行できないため *.* に対する全権限を与える
> GRANT ALL ON *.* TO 'test_usr'@'localhost';
# MySQL操作終了
> exit;
# test_usr ユーザで MySQLデータベース: test_db に接続
% mysql -u test_usr -p test_db
Enter password: # <= test_usr に設定したパスワード入力
# test_db に新規テーブル: users 作成
## id: integer (auto_increment, not null, primary): ID
## name: varchar(255) (not null): ユーザ名
## password: varchar(255) (not null): パスワード(bcryptハッシュ値)
## created: datetime: 作成日時
## updated: datetime: 更新日時
> CREATE TABLE users (
id INTEGER AUTO_INCREMENT NOT NULL PRIMARY KEY,
name VARCHAR(255) NOT NULL,
password VARCHAR(255) NOT NULL,
created DATETIME,
updated DATETIME
);
# テーブル一覧確認
> SHOW TABLES;
+-------------------+
| Tables_in_test_db |
+-------------------+
| users |
+-------------------+
1 row in set (0.00 sec)
# users テーブルの構造確認
> DESC users;
+----------+--------------+------+-----+---------+----------------+
| Field | Type | Null | Key | Default | Extra |
+----------+--------------+------+-----+---------+----------------+
| id | int(11) | NO | PRI | NULL | auto_increment |
| name | varchar(255) | NO | | NULL | |
| password | varchar(255) | NO | | NULL | |
| created | datetime | YES | | NULL | |
| updated | datetime | YES | | NULL | |
+----------+--------------+------+-----+---------+----------------+
5 rows in set (0.00 sec)
# MySQL操作終了
> exit
PHPからMySQLサーバへの接続
/var/www/html/index.php
を編集して、PHPからMySQLサーバに接続・データ操作を行ってみます。
# -- root@docker://webserver
# bash ヒアドキュメントのマーク文字列を「\EOS」や「'EOS'」のようにすると
# 内部テキスト内で変数展開を行わないようにすることができる
## 通常のヒアドキュメントを使うとPHP変数($変数名)が bash 変数として展開されてしまうため注意
% tee /var/www/html/index.php << \EOS
<?php
// MySQLサーバ接続設定
$db = [
'host' => '127.0.0.1', // localhost IP = 127.0.0.1
'database' => 'test_db', // 接続先データベース
'user' => 'test_usr', // 接続ユーザ
'password' => 'PWD!tE_sT@456', // 接続パスワード
];
// MySQLサーバ接続
try {
$dbh = new PDO("mysql:dbname={$db['database']};host={$db['host']}", $db['user'], $db['password']);
echo '<p>データベースに接続しました</p>';
} catch (PDOException $e) {
echo '<p>接続失敗: ' . $e->getMessage() . '</p>';
exit();
}
// usersテーブルからデータ取得
$rows = $dbh->query('SELECT * FROM users')->fetchAll(PDO::FETCH_ASSOC);
// usersテーブルに一つもデータがない場合は新規データ挿入
if (count($rows) === 0) {
$sql = $dbh->prepare('INSERT INTO users (name, password, created, updated) VALUES (:name, :password, :created, :updated)');
// 各カラムの値を指定して挿入実行
// ※ password は BCRYPT ハッシュ化して保存する
if ($sql->execute([
':name' => 'admin',
':password' => password_hash('pa$$word', PASSWORD_BCRYPT),
':created' => date('Y-m-d H:i:s'),
':updated' => date('Y-m-d H:i:s'),
])) {
echo '<p>新規データを挿入しました</p>';
} else {
exit('<p>データの挿入に失敗しました</p>');
}
// 改めてusersテーブルからデータ取得
$rows = $dbh->query('SELECT * FROM users')->fetchAll(PDO::FETCH_ASSOC);
}
?>
<table border="1">
<thead>
<tr>
<th>id</th>
<th>name</th>
<th>password</th>
<th>created</th>
<th>updated</th>
</tr>
</thead>
<tbody>
<?php foreach ($rows as $row) : ?>
<tr>
<td><?= $row['id'] ?></td>
<td><?= $row['name'] ?></td>
<td><?= $row['password'] ?></td>
<td><?= $row['created'] ?></td>
<td><?= $row['updated'] ?></td>
</tr>
<?php endforeach ?>
</tbody>
</table>
EOS
http://localhost にアクセスして以下のような画面になれば動作確認OKです。
ドメイン名前解決
ここまで、WEBサーバへのアクセスは http://localhost
というURLで行ってきました。
本演習の締めくくりとして、このURLを http://webserver.local.com
というドメイン名に変更し、名前解決を行います。
なお、ドメインの名前解決については よく分からなくてもなんとかなるけど、分かっていないといざというとき困るWEB基礎知識 で触れております。
localhostについて
localhostとは、自分自身のIPアドレスを表す特殊な名前(ホスト名)で ループバックアドレス とも呼ばれます。
IPv4では、単独のアドレスではなく、127.0.0.0
という特殊なネットワーク全てがlocalhostで、慣例的に 127.0.0.1
を自分自身のIPアドレスの数値表現として使います。(※ ただし 127.0.0.0
に属するIPアドレスは全て自分自身を表します)
基本的にどのようなシステムでも、localhostという名前は、DNSサーバなどの外部の名前解決プロトコルを使わずに 127.0.0.1
に解決できます。
また、IPv6では ::1
(下位1ビットのみが「1」で後は「0」のアドレス)が単独でlocalhostとして指定されています。
localhostへのドメイン紐づけ
本演習ではドメイン紐づけを、昔ながらの hosts ファイルによって行います。
※ 実際に CentOS コンピュータをレンタルしてWEBサーバとしてグローバルネットワークに公開する場合は、レンタルしたコンピュータのグローバルIPアドレスとドメイン名の紐づけ設定を、レジストラ等に申請して DNS データベースに登録することになります。
WSL2 環境で本演習を行っている場合、hosts ファイルに記述するべき内容は以下の2つです。
- IPv4
127.0.0.1
とドメイン名の紐づけ - IPv6
::1
とドメイン名の紐づけ
Win + X
|> A
=> 管理者権限 PowerShell 起動
# hosts ファイルをメモ帳で開いて編集
> notepad C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts
### <hosts>
# 以下の2行を追加
127.0.0.1 webserver.local.com
::1 webserver.local.com
### </hosts>
# hosts ファイルの内容を反映(ローカルDNSのキャッシュクリア)
> ipconfig /flushdns
http://webserver.local.com にアクセスし、今まで http://localhost で表示されていた画面と同じものが表示されればOKです。
後片付け
演習が完了したら Docker コンテナは停止 => 削除してしまいます。
# -- user@ubutnu-20.04(wsl2)
# webserver コンテナを停止
$ docker stop webserver
# webserver コンテナを削除
$ docker rm webserver
ついでに C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts
に記述していた localhost
<=> webserver.local.com
の紐づけ設定も削除してしまって良いです。
本稿は以上になります。
ありがとうございました。