はじめに
現代のソフトウェア開発において、マイクロサービスアーキテクチャという言葉を耳にする機会が増えました。これは単なるバズワードではなく、開発のスピード、スケール、そしてチームの生産性を劇的に向上させるための重要な設計思想です。
しかし、「マイクロサービスって難しそう」「一体何から始めればいいの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
ご安心ください。この記事では、DockerとAWS ECSという強力なツールを使いながら、マイクロサービスアーキテクチャの基本的な考え方を分かりやすく解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたもマイクロサービスの世界への第一歩を踏み出せるはずです。
1. マイクロサービスアーキテクチャとは?
モノリシックアーキテクチャの課題
かつての主流であったモノリシックアーキテクチャは、すべての機能を一つの巨大なアプリケーションとして構築するものです。シンプルなうちは開発が容易ですが、規模が大きくなるにつれて以下のような課題が顕在化します。
開発のスケールが困難:コードベースが巨大になり、複数人での開発が難しくなる。
デプロイの複雑さ:わずかな変更でも、アプリケーション全体を再デプロイする必要がある。
技術の硬直化:一部の機能だけ新しい技術に切り替えるのが難しい。
マイクロサービスアーキテクチャのメリット
マイクロサービスアーキテクチャは、この課題を解決するために考案されました。これは、一つの巨大なアプリケーションを、それぞれが独立した小さなサービス(マイクロサービス)に分割する設計思想です。
このように分割することで、以下のメリットが生まれます。
独立した開発・デプロイ:各チームが担当するサービスを、他のサービスに影響を与えることなく開発・デプロイできる。
技術選択の自由:サービスごとに最適なプログラミング言語やデータベースを選択できる。
耐障害性:特定のサービスに障害が発生しても、他のサービスが影響を受けにくくなる。
2. マイクロサービスとDockerの関係
マイクロサービスを現実のものにする上で、Dockerは欠かせない存在です。Dockerが提供する「コンテナ」という技術は、まさにマイクロサービスのための理想的な**「箱」**だからです。
コンテナは、アプリケーションとその実行に必要なすべての環境(ライブラリ、依存関係など)を一つにまとめて、どこでも同じように動作させることができます。
DockerfileとDocker Compose
Dockerfile:各マイクロサービスごとに、そのコンテナをどう作るかを記述するファイルです。これにより、サービスの環境がコードとして管理され、誰がビルドしても同じコンテナが作られます。
Docker Compose:複数のコンテナ(マイクロサービス)をまとめて定義し、一括で起動・管理するためのツールです。ローカル開発環境で、複数のサービスを連携させて動作確認する際に非常に便利です。
3. ECSでマイクロサービスを動かす
ローカル環境でDockerを使って開発したマイクロサービスを、本番環境で安定して動かすには、コンテナオーケストレーションサービスが必要です。AWSでは、その役割を**ECS(Elastic Container Service)**が担います。
ECSは、大量のコンテナを効率的に配置、管理、スケーリングするためのフルマネージドサービスです。
タスク定義とサービス
ECSにおけるマイクロサービスの最小単位は「タスク」です。タスク定義には、どのDockerコンテナイメージを使うか、メモリやCPUをどれだけ割り当てるか、といった詳細情報が記述されます。
そして、そのタスクを一定数維持・管理するための単位が「サービス」です。ECSサービスは、タスクの起動・停止、ヘルスチェック、ロードバランシングなど、マイクロサービスの運用に必要な機能を自動で提供してくれます。
- マイクロサービスをECSで構築する際のポイント
分離の原則
各マイクロサービスは、独立したビジネスドメイン(例:ユーザー管理、注文処理、支払いなど)を担当するように設計します。これにより、変更の影響範囲を最小限に抑え、開発をスムーズに進められます。
ステートレスな設計
コンテナは、いつ停止・再起動されるか分かりません。そのため、コンテナ自体にユーザーセッションなどの「状態」を持たせないステートレスな設計が重要です。状態を保持する必要があるデータは、Amazon RDSなどの外部データベースに保存するようにしましょう。
APIゲートウェイの役割
外部からのアクセスを直接各サービスに送るのではなく、APIゲートウェイと呼ばれる単一のエントリーポイントを設けます。これにより、認証、トラフィック制御、ルーティングなどを一元的に管理でき、サービスの運用がシンプルになります。
- シンプルなマイクロサービスを構築してみよう(実践編)
ここでは、簡単なマイクロサービス構成の例を紹介します。
構成例:
・frontend:ReactやVue.jsで作られたWebサイト
・api-service:ユーザー情報を提供するAPI
・db-service:データベース(例:Amazon RDS)
この構成をECSで動かす手順は、以下のようになります。
・各サービスのDockerfileを作成:frontend用とapi-service用のDockerfileをそれぞれ作成します。
・EKSにデプロイ:各サービスのコンテナイメージを**ECR(Elastic Container Registry)**にプッシュします。
・ECSサービスを作成:api-serviceとfrontendのタスク定義を作成し、それぞれのサービスとしてECSにデプロイします。
・ロードバランサーを設定:frontendの前に**ALB(Application Load Balancer)**を配置し、ユーザーからのリクエストをfrontendに振り分けます。
・サービス間の連携:api-serviceからdb-service(RDS)に接続するための設定を行います。
6. まとめと次のステップ
この記事では、DockerとECSを使ってマイクロサービスアーキテクチャの基礎を学びました。
マイクロサービスは、小さな独立したサービスに分割することで、開発効率と耐障害性を高める。
Dockerは、サービスを「コンテナ」という形で独立させるために不可欠なツール。
ECSは、本番環境で大量のコンテナを管理・オーケストレーションするためのサービス。
これらのツールを組み合わせることで、複雑なマイクロサービスアーキテクチャも無理なく構築・運用できます。
次のステップとして、CI/CDパイプラインの導入や、Amazon CloudWatchを使ったログ管理・監視について学ぶことをおすすめします。これらは、マイクロサービスを本番環境で安定運用するために不可欠な要素です。
質問や感想があれば、ぜひコメントで教えてください!
安心安全のホワイト高還元SESに転職を考えている方へ
新しい挑戦に踏み出すことは、人生において重要な一歩です。 転職活動は自分自身を知り、成長する貴重な機会でもあり、夢や成長を追求するためには必要な要素の一つ になるかと思います。 どんな選択をされるにせよ、その決断があなたに取って素晴らしい未来を切り開くことを願っています! グラディートと一緒に誇れるエンジニアを目指しましょう!
■『株式会社グラディート』では受託開発・SES・ブランディングデザイン・事業コンサルティングなどを事業として行う都内のIT企業です。現在、不遇な待遇で困っているエンジニアさんは、ぜひ一度グラディートに相談してみてね!(年収査定・SESへの転職相談も承っております!)
株式会社グラディート採用情報はこちら▼
https://en-gage.net/gradito/
株式会社グラディート公式サイトはこちら▼
https://www.gradito.co.jp/

