1. 赤ペン先生と「書けない私」のコンプレックス!
正直に言うと、私は「文章を書くこと」にものすごいコンプレックスを持っていました。
社会人3年目の頃、月報や週報を出すたびに上司(通称:赤ペン先生)から真っ赤になるまで添削され、「これ、元の文章残ってないじゃん…」と落ち込む日々。
今でもテキストメッセージすら苦手で、短い返信もAIに頼ってしまうほどです。
でも、そんな私が今、業務で3000文字を超える専門的なコンテンツをバリバリ量産していたりします。
「AIがなかったら絶対にこの仕事はしていない」と断言できるほど、この1年で仕事の仕方が劇的に変わりました。
今回は、文章嫌いの私がどうやってAIと協力してアウトプットを出せるようになったのか。試行錯誤の末にたどり着いた「AIへの指示出しの設計図」を共有します。
2. AIは「魔法の杖」ではなく「優秀なチーム」
多くの人が陥る「一発生成」の罠
AIライティングでうまくいかない時って、つい「これについていい感じに書いて」と投げてしまっていませんか?
実は私も最初はそうでした。でも、返ってきた文章を見て「なんか違う…」となってしまうんですよね。
これ、冷静に考えると当たり前なのかもしれません。
プロの編集現場を想像してみてください。企画、リサーチ、執筆、編集、校正…これらをたった一人で完璧にこなすスーパーマンはいませんよね。
なのに、AIに対しては、この「一人五役」をつい求めてしまいがちです。
マインドセットの転換
私が気づいたAI活用の本質は、「どう書くか」ではなく、「何をどう定義するか」にあるということでした。
AIを「命令する対象」ではなく、「マネジメントすべき専門家チーム」として捉えてみる。一人の天才にお願いするのではなく、脳内で「分業」をシミュレーションしてみる。
そう考え方を変えるだけで、アウトプットの質が驚くほど変わったんです。
3. 実践メソッド:「書く」を因数分解する4つのステップ
ここからは、実際に私が複雑なコンテンツを作成する際に行っている「書く工程の因数分解」をご紹介します。
もしよかったら、普段のAI活用に取り入れられそうな部分から試してみてください。
Step 0:企画・定義(建築家の仕事)
いきなり書き始めない(企画の壁打ち)
まず一番大事にしているのが、**「いきなり書き始めない」**ことです。
大工さん(生成AI)にいきなり「家を建てて」と言っても、犬小屋ができるか豪邸ができるかわかりませんよね。まずは建築家(設計AI)として、設計図を引く準備が大切です。
具体的には、書き始める前に以下の項目についてAIと徹底的に「壁打ち」を行います。
- 文章を書く目的は?
- ターゲット読者は誰か?
- どんな要素を盛り込んで、どんな方向性にするか?
多くの人は箇条書きレベルの指示ですませてしまいがちですが、この「企画意図」を最初にしっかりとAIに学習させておくことが、実は一番重要なんです。
既存の構造を分解する(リバースエンジニアリング)
さらに、私が特におすすめしたいのが**「見本になる文章のリバースエンジニアリング(逆設計)」**です。
目標とする「良い文章」や「成功している記事」をAIに読み込ませ、「なぜこの文章が良いのか?」を一緒に分析してみるんです。
- 必要な情報は何か?
- どんな構成で組み立てられているか?
- 文体の特徴やリズムは?
これらを分解して言語化し、これから書く文章の「型」として定義する。この工程を挟むだけで、最終的なアウトプットの質がグッと上がります。
Step 1:情報の収集(リサーチャーの仕事)
ファクトの積み上げ(社内情報の活用)
設計図ができたら、次は「食材」集めです。
インタビュー音源の書き起こしや、Web検索では出てこない社内情報など、書くために必要なファクトを集めます。
特に専門的な記事を書く場合は、社内のドキュメントや資料をテキスト化してAIに読み込ませるのがコツです。
ネット上の一般的な情報だけでなく、その会社や個人にしかない「一次情報」を学習させることで、AIが生成する文章の解像度とオリジナリティが一気に高まります。
嘘を混ぜないための条件定義
ここで一番気をつけたいのが、AIがもっともらしい嘘をつく「ハルシネーション」です。
これを防ぐために、**「正しい情報の定義」**をAIと握っておくことがとても重要になります。具体的には、以下のような工夫を取り入れています。
-
情報の出典を明確にする
「ネット上のどこかにある情報」ではなく、「この資料(読み込ませたドキュメント等)の中に書かれていること」だけを正解とする、といったルールを決めます。 -
リサーチを段階的に行う
いきなり答えを出そうとせず、まずは「関連情報の収集」だけを行わせ、次に「その中から事実に即しているか確認」させるなど、ステップを分けると精度が高まります。 -
「わからない」を許容する
「データがない場合は無理に補完せず『情報なし』と答えてください」と指示することで、勝手な創作を防ぐことができます。
専門的な内容であればあるほど、こうした**「嘘が混ざらないための条件定義」**を丁寧に行うことが、信頼できる記事への近道だと感じています。
Step 2:文章の生成(シェフと翻訳家の仕事)
素材出しと調理の分離
材料が揃ってようやく、文章生成のフェーズです。でも、ここでもまだ一発では書かせません。
1. 素材出し(下ごしらえ)
まずは文章にする前の「キーワード」や「構成要素」だけを箇条書きで抽出してもらいます。
「ポジティブな要素はこれ」「注意点はこれ」といった具合に、食材を並べるイメージです。
2. 翻訳と調理(ライティング)
抽出した素材を、Step 0で定義したトーン(話し言葉、ブログ調など)に合わせて「翻訳」します。
変換ルールの活用
単に「情熱的な文章」などと指示すると、いまいち予想と違うトーンに書いてしまいがちなので、具体的に指示することも時に大事です。
- 「『情熱的』という言葉は禁止」
- 「代わりに『目標に向かって突き進む』『寝食を忘れて没頭する』といった具体的な行動で描写して」
このように**「抽象語→具体描写」の変換ルール**をプロンプトに組み込んでみると、文章の解像度が劇的に上がります
Step 3:仕上げと検品
最後は「編集長」の出番です。誤字脱字やファクトチェック、重複がないか、AI自身に客観的な視点でチェックしてもらいます。
最後クオリティチェックのみを「人間の目」で行うように負荷を減らします
4. 「遊び」から始めてみませんか?
ここまでちょっと固い話をしてしまいましたが、私も最初から業務効率化を目指していたわけではありません。
きっかけは「noteを毎日更新するための実験」や、個人的な「遊び」でした。
「あ、細かく指示すれば意外と書けるじゃん」「AIってこういうのが得意なんだ」という小さな成功体験が、今の業務につながっています。
AIライティングは、使いこなせば「書けないコンプレックス」を武器に変えてくれる、頼もしい相棒になってくれます。
まずは自分の趣味や生活の「遊び」から、AIというチームを動かす練習を始めてみませんか?
