ざっくりした要望から始まるプロジェクトはありませんか?
なんとなくのイメージはあるけれど、そもそも業務フローがはっきりしていない、画面や細かい仕様は当然のようにふわっとしている。
たいてい、そんなものかもしれません。
僕が最近担当したシステムも、要望はあっても仕様が曖昧で、手探りの状態でした。
そこからブレストをしてみたり、画面を描いてみたり。
そして、プロトタイプが有効な場合も。
そんな経験をベースにして物語風の記事を書いてみました。
はじまり:仕様がふわっとしていた
「投稿できて、いいねができて、コメントもできるSNSアプリを作りたい」
そう言われて始まったプロジェクト。
機能はなんとなく見えている。
でも、どんな画面が必要?どんな流れ?が曖昧だった。
初期ミーティングでは、こんな会話が飛び交っていた。
プロダクトオーナー「とりあえずタイムラインと投稿画面があればいいよね」
デザイナー「通知ってどこに出すんですか?」
エンジニア「投稿後の遷移先って決まってます?」
みんなの視点はそれぞれ正しい。
でも、話がなかなかかみ合わず空中戦になっている感じ。
ブレーンストーミングを提案した
僕「ブレストしましょう」
ホワイトボードに画面構成を書きながら、機能やフローを整理していく。
僕「投稿って、どこから始めるのが自然ですかね?」
デザイナー「下部メニューに + ボタンとか?」
プロダクトオーナー「いや、プロフィール画面からでもいいかも」
意見が出る、議論も活発、僕らは進み始めた。
でも、やっぱりかみ合わない
ところが、時間が経つにつれて違和感が出てきた。
「それってどういう動き?」「どこで切り替わるの?」と、細部で食い違いが出てくる。
さらに職種ごとの視点の違いも浮き彫りになる。
- エンジニアは技術的な制約を気にする
- デザイナーはユーザー体験を重視する
- プロダクトオーナーはビジネス要件を見ている
それぞれ間違っていることを言っているわけではないが、さらに進むためには、もうワンステップ必要だと感じた。
そこで、とりあえず作ってみた
口頭での議論に限界を感じて、僕は簡単なプロトタイプを作ってみた。
画面遷移と主要な操作だけをざっくり再現したもの。
見た目は雑でも、動くことで「これってこういうこと?」と会話が具体化した。
初めて見せたときの反応は忘れられない。
プロダクトオーナー「おお、こうなるのか。…あれ、投稿後ってタイムラインに戻るんだっけ?」
デザイナー「この通知アイコン、どこに置くか悩んでたけど、これなら右上でいいかも」
エンジニア「この画面、API呼ばなくてもいいですね。静的で済みそう」
そしてプロトタイプにはもう一つ、早く失敗するという目的もあった。
「この設計で本当にいけるのか?」を早い段階で試して、早い段階で検証したかった。
実際、すぐに失敗は見つかった。
プロダクトオーナー「この画面、ステークホルダーに説明しづらいかも」
デザイナー「この投稿フロー、ちょっと迷いそうですね」
僕「なるほど、じゃあ構成を変えてみます」
もしこのまま本格的な実装に入っていたら、もっと大きな手戻りになっていたはず。
プロトタイプは、小さく・早く失敗するための装置でもある。
会話が変わった瞬間
プロトタイプを見ながらの議論は、まるで別物だった。
誰かが指摘すると、すぐに別の視点から反応が返ってくる。
議論が連鎖するようになった。
僕「じゃあ、投稿後はタイムラインに戻すとして、アニメーション入れたほうが自然ですかね?」
デザイナー「うん、フェードインで切り替えたほうがUX的にやさしいかも」
プロダクトオーナー「それなら、投稿完了のトースト通知も入れたいな」
それまで曖昧だった仕様が、どんどん整理されていく。
「この画面、いらないかも」「この機能、優先度低いかも」
そんな判断も、動くものがあるからこそできた。
議論の方向性を揃えられて、認識合わせも早い。
エンジニア「これ、実装の見積もり出せそうです」
プロダクトオーナー「ステークホルダーにも説明しやすくなった。ありがたい」
デザイナー「この流れなら、UIの方向性も決められそう」
その場の空気が、不安から前進に変わったのを、僕ははっきり感じた。
プロトタイプ駆動開発とは?
この経験から感じたのは、プロトタイプは開発手法であり、コミュニケーションツールでもあるということ。
- 要件が曖昧なときこそ、まず作ってみる
- 作ったものを見ながら、チームで話す
- 話しながら、また作り直す
このループこそが、プロトタイプ駆動開発の本質だと思う。
まとめ:動くものが会話を変える
- ブレストだけでは、まだチーム内にズレがあった
- プロトタイプは、方向性や認識を揃えるための道具にもなる
- 早く失敗することで、早く前に進める
- 「作る ⇒ 話す ⇒ 直す」のループが、チームを前に進める
正直、プロトタイプの活用なんて、以前からあるし特別なものではないですよね。
それでも、少し前、ものがない状態で質問しても反応がなく、画面が見えるようになってから業務フローの案が出てきたということがあり、改めてこのような記事をまとめたくなったのでした。
この記事を書いてみて、ループしたり早く失敗するといった点はアジャイルにも通じるところがありそう!
そんな学びもありました。
