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Talend入門 (5) ~イテレータ~

Last updated at Posted at 2019-04-15

##全体の目的
Talendの超簡単なサンプルジョブを作成して,ETLジョブ開発に必要なスキルを習得することが目的です。

##対象者
ETL / EAI技術者

##環境

使用環境 バージョン
OS Windows10
Talend 7.1.1

##サンプル一覧
以下の順番で習得していきます

# 内容
1 はじめてのTalend
2 ファイルI/O
3 データベースI/O
4 tMap
5 イテレータ(今回)
6 メタデータ
7 Context変数
8 Global Map
9 tHashInput/tHashOutput
10 エラーハンドリング
11 ロギング
12 子ジョブ(ジョブのネスト)
13-1 設定ファイル読み込みオリジナル版
13-2 設定ファイル読み込みコンポ版
14 tJava

サンプルコード(Talendプロジェクトデータ)

##今回の目的
イテレータを理解する

##サンプルプログラム概要
複数ファイルにわかれた経費伝票を社員毎にまとめる処理を実装してみます。

GS000139.png

##反復処理を理解する
以下の流れで実装します。

  • tFileListでイテレータを理解
    • 複数の入力ファイルの内容を一つのファイルにまとめる
  • ユニークデータを生成
  • ユニークデータ単位でloop
    • ファイルを生成
    • 対象データのみを出力

入力ファイル準備

C:/work/Iteration 配下に次の3ファイルを準備します。(UTF-8,LFで作成)
GS000140.png

exp_20190410.csv
2019/04/10,koda,交際費,20000
exp_20190411.csv
2019/04/11,kubo,宣伝費,100000
2019/04/11,mori,交通費,800
2019/04/11,mori,雑費,3000
exp_20190412.csv
2019/04/12,koda,メモリ,4000
2019/04/12,mori,通信費,5200

tFileList

それではサンプルジョブを作成していきましょう。
リポジトリの[ジョブ]を右クリックし[ジョブの作成]を選択します。
[名前]にiterationと入力し[Finish]ボタンをクリックします。

GS000141.png

[tFileList]コンポーネントを配置しパラメータを設定します。

GS000142.png

項目名 設定内容 説明
ディレクトリ "C:/work/Iteration"
ファイルマスク "*.csv" 拡張子csvだけを読み込む

[tFileInputDelimited]コンポーネントを配置しパラメータを設定します。

GS000145.png

項目名 設定内容 説明
ファイル名 ((String)globalMap.get("tFileList_1_CURRENT_FILEPATH")) Global Mapは第8回で別途説明しますので今回はコピペで。
フィールド区切り ","
エンコーディング UTF-8 詳細設定タブ
スキーマ編集 下記 下記参照

GS000144.png

カラム タイプ
1列目 date Date "yyyy/MM/dd"
2列目 name String
3列目 expense String
3列目 amount BigDecimal

[tFileList]コンポーネントを右クリックし[ロウ]-[反復]を選び[tFileInputDelimited]につなぎます。

GS000145b.png
GS000146.png

ここで[tLogRow]を配置し一度出力を確認してみましょう。すべてのcsvファイル読込みを確認できました。

GS000147.png

マージファイルを作成するために[tFileOutputDelimited]コンポーネントを配置しパラメータを設定します。
GS000148.png

項目名 設定内容 説明
ファイル名 "C:/work/Iteration/merge.dat"
フィールド区切り ","
追加 チェック
エンコーディング UTF-8 詳細設定タブ

[tLogRow]と[tFileOutputDelimited]をロウをつなぎ実行します。
merge.datが作成できました。

GS000150.png

ファイル削除処理

このままだとmerge.datが実行するたびに追記されてしまうので処理前に削除するようにしておきます。
[tFileDelete]コンポーネントを以下パラメータで配置します。

項目名 設定内容 説明
ファイル名 "C:/work/Iteration/merge.dat"
エラーで失敗 チェックを外す

[tFileDelete]コンポーネントを右クリックし[トリガー]-[サブジョブがOKの場合]を選び最初に配置した[tFileList]につなぎます。

GS000150b.png
GS000151.png

毎回削除(初期化)されているか念のため実行確認しておきましょう。

社員毎のユニークデータを生成

[tFileInputDelimited]コンポーネントを配置しパラメータを設定します。
※最初の[tFileInputDelimited_1]をコピペすると楽です。

GS000153.png

項目名 設定内容 説明
ファイル名 "C:/work/Iteration/merge.dat"
フィールド区切り ","
エンコーディング UTF-8 詳細設定タブ
スキーマ編集 上記参照 [tFileInputDelimited]と同じ

[tFileList_1]コンポーネントを右クリックし[トリガー][サブジョブがOKの場合]を選び[tFileInputDelimited_2]につなぎます。

[tUniqRow]を配置し、[tFileInputDelimited_2]とロウでつなぎます。
そのうえでパラメータを設定します。

GS000154.png

項目名 設定内容 説明
ユニークなキー nameのキー属性にチェック

ここで[tLogRow]を配置し[tUniqRow]とつないだうえで一度出力を確認してみましょう。nameでユニークなデータを作れたことが確認できます。

GS000155.png

ロウ毎にイテレート

本日2回目のイテレートの登場です。
[tFlowToIterate]コンポーネントを配置し[tLogRow_2]とロウでつなぎます。
これでname毎のloop処理ができます。

GS000156.png

再度merge.datを読み込みます。
[tFileInputDelimited_3]は[tFileInputDelimited_2]と同じ内容なのでコピペでOKです。
GS000157.png

[tFlowToIterate_1]コンポーネントを右クリックし[ロウ]-[反復]を選び[tFileInputDelimited_3]につなぎます。

name単位の処理をするために[tMap]コンポーネント配置し[tFileInputDelimited_3]とロウをつなぎます。

GS000158.png

[tMap]をダブルクリックし、マッピング設定画面を開きます。
row6の式フィルターボタンをクリックし式を記入します。

GS000159.png

項目名 設定内容 説明
row6の式フィルタ row6.name.equals( ((String)globalMap.get("row5.name")) ) イテレート処理中のnameとマッチさせる

出力用のロウout1を作成します。

GS000160.png

ここで[tLogRow]を配置し[tMap]のout1ロウとつないだうえで実行して出力を確認してみましょう。
name単位で経費明細を抽出できたことをログ出力で確認できます。

GS000161.png

.----------+----+-------+------.
|          tLogRow_3           |
|=---------+----+-------+-----=|
|date      |name|expense|amount|
|=---------+----+-------+-----=|
|2019/04/10|koda|交際費    |20000 |
|2019/04/12|koda|メモリ    |4000  |
'----------+----+-------+------'
.----------+----+-------+------.
|          tLogRow_3           |
|=---------+----+-------+-----=|
|date      |name|expense|amount|
|=---------+----+-------+-----=|
|2019/04/11|kubo|宣伝費    |100000|
'----------+----+-------+------'
.----------+----+-------+------.
|          tLogRow_3           |
|=---------+----+-------+-----=|
|date      |name|expense|amount|
|=---------+----+-------+-----=|
|2019/04/11|mori|交通費    |800   |
|2019/04/11|mori|雑費     |3000  |
|2019/04/12|mori|通信費    |5200  |
'----------+----+-------+------'

ここまで来たらあとは実際のファイルに出力するだけです。
[tFileOutputDelimited_2]コンポーネントを配置しパラメータを設定します。
※[tFileOutputDelimited_1]をコピペすると楽です。

GS000162.png

項目名 設定内容 説明
ファイル名 "C:/work/Iteration/out_"+ ((String)globalMap.get("row5.name"))+".dat"
フィールド区切り ","
エンコーディング UTF-8 詳細設定タブ
スキーマ編集 上記参照

それでは実行してみましょう。
name(従業員名)毎のファイルを作成できました。

GS000163.png

out_koda.dat
2019/04/10,koda,交際費,20000
2019/04/12,koda,メモリ,4000
out_kubo.dat
2019/04/11,kubo,宣伝費,100000
out_mori.dat
2019/04/11,mori,交通費,800
2019/04/11,mori,雑費,3000
2019/04/12,mori,通信費,5200

仕上げ

同じジョブを複数回実行してもファイルの都度上書きが起こらないよう対応しましょう。
出力ファイルの初期化処理を設定します。

[tFileDelete]コンポーネントを配置しパラメータを設定します。

GS000165.png

項目名 設定内容 説明
ファイル名 "C:/work/Iteration/out_"+ ((String)globalMap.get("row5.name"))+".dat"
エラーで失敗 チェックを外す

[tFlowToIterate_1]と[tFileInputDelimited_3]の間に割り込ませます。
[tFileDelete_2]と[tFileInputDelimited_3]は[トリガー][コンポーネントがOKの場合]の線でつなぎます。

最後に[tLogRow]の出力も不要なので止めてしまいましょう。
[tLogRow]で右クリックし[無効化]を選択します。

GS000165b.png

GS000166.png

##まとめ
今回はイテレータの使い方を確認しました。
ロウとイテレータの使い分けで様々なデータ生成ができることをわかってもらえたと思います。
あらたに利用したコンポーネントと用途をおさらいしておきます。

  • tFileList
    • ファイル一覧取得
  • tFileDelete
    • ファイル削除
  • tUniqRow
    • キーを指定してユニークロウを作る
  • tFlowToIterate
    • 文字通りなんですが、ロウデータをイテレータに変換すると覚えておけばOK

毎度のことですが、ほんのさわりの部分だけを解説していますのでぜひここから深掘りしてみてください。

##次回以降
次回はメタデータをやっていきます。

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