部分分数分解と逆変換まとめ
1. 部分分数分解の基本
分母が因数分解できる場合:
$$
\frac{P(s)}{Q(s)} = \frac{A}{s-a} + \frac{B}{s-b} + \cdots
$$
のように展開できる。
例1:
$$
\frac{1}{s(s+1)} = \frac{1}{s} - \frac{1}{s+1}
$$
(通分して確認すると元に戻る)
2. 逆ラプラス変換
ラプラス変換表を使う。
基本公式:
$$
\mathcal{L}^{-1}\left{\frac{1}{s-a}\right} = e^{at}
$$
例2:
$$
F(s) = \frac{1}{s(s+1)}
$$
部分分数分解:
$$
F(s) = \frac{1}{s} - \frac{1}{s+1}
$$
逆ラプラス:
$$
f(t) = 1 - e^{-t}, \quad t\geq 0
$$
例3(制御工学でよく出る):
$$
F(s) = \frac{2s+3}{s^2+3s+2}
$$
分母を因数分解:
$$
s^2+3s+2=(s+1)(s+2)
$$
部分分数分解:
$$
\frac{2s+3}{(s+1)(s+2)} = \frac{1}{s+1} + \frac{1}{s+2}
$$
逆ラプラス:
$$
f(t) = e^{-t} + e^{-2t}
$$
3. 逆Z変換
Z変換では「遅延シフト」が基本。
基本公式:
$$
\mathcal{Z}^{-1}\left{\frac{1}{1-az^{-1}}\right} = a^n u[n]
$$
(ただし $|z|>|a|$,$u[n]$は単位ステップ関数)
例4:
$$
X(z) = \frac{z}{z-a}
$$
→ 部分分数の形に直すと
$$
\frac{z}{z-a} = \frac{1}{1 - a z^{-1}}
$$
逆Z変換:
$$
x[n] = a^n u[n]
$$
例5:
$$
X(z) = \frac{z}{(z-1)(z-2)}
$$
部分分数分解:
$$
X(z) = \frac{A}{z-1} + \frac{B}{z-2}
$$
計算すると $A=-1, B=2$ なので:
$$
X(z) = \frac{-1}{z-1} + \frac{2}{z-2}
$$
それぞれを $z^{-1}$ 形式に変形:
$$
\frac{1}{z-a} = \frac{z^{-1}}{1 - az^{-1}}
$$
→ 逆Z変換:
$$
x[n] = \big( -1 \cdot 1^n + 2 \cdot 2^n \big) u[n]
$$
4. 工学的つながり
-
ラプラス変換
→ 連続時間システムの解析(制御工学・回路解析) -
Z変換
→ 離散時間システムの解析(ディジタル信号処理) -
部分分数分解
→ 両者の「逆変換」を手で解くときの必須テクニック
1. 1の三乗根とその性質
1の三乗根とは、方程式
$$
z^3 = 1
$$
の解。
3つの解は:
$$
1,\quad \omega,\quad \omega^2
$$
ただし
$$
\omega = e^{j \frac{2\pi}{3}} = -\frac{1}{2} + j \frac{\sqrt{3}}{2}, \quad
\omega^2 = e^{j \frac{4\pi}{3}} = -\frac{1}{2} - j \frac{\sqrt{3}}{2}
$$
性質:
$$
1+\omega+\omega^2=0, \quad \omega^3=1, \quad \overline{\omega}=\omega^2
$$
2. 三相交流の表現
三相交流の相電圧を、角周波数 $\omega_e$ で回転する正弦波とすると:
$$
V_a(t) = V_m \cos(\omega_e t)
$$
$$
V_b(t) = V_m \cos\left(\omega_e t - \frac{2\pi}{3}\right)
$$
$$
V_c(t) = V_m \cos\left(\omega_e t - \frac{4\pi}{3}\right)
$$
3. 複素数と 1 の三乗根で書く
オイラーの公式を使って:
$$
e^{j\theta} = \cos\theta + j\sin\theta
$$
基準相を
$$
\underline{V_a} = V_m e^{j\omega_e t}
$$
とすると、他の2相は「1の三乗根」を使って:
$$
\underline{V_b} = V_m \omega^2 e^{j\omega_e t}, \quad
\underline{V_c} = V_m \omega e^{j\omega_e t}
$$
(ここで $\omega = e^{j 2\pi/3}$)
4. 三相の和がゼロになること
三相交流はバランスしているとき、瞬時値を足すとゼロ。
$$
\underline{V_a} + \underline{V_b} + \underline{V_c}
= V_m e^{j\omega_e t} (1 + \omega + \omega^2)
$$
1+ω+ω²=0 より、
$$
\underline{V_a} + \underline{V_b} + \underline{V_c} = 0
$$
→ 三相交流の「中性点電流がゼロ」になる性質をきれいに説明できる。
5. 工学応用
-
三相交流発電機
→ 三つのコイルに 120° 位相差で電圧が発生。 -
電力工学
→ 対称三相電力では中性線電流が流れない。 -
ベクトル制御
→ $\omega$ を使うことで「空間ベクトル表現」が自然に導ける。
(→ dq 変換、パーク変換の前段階)
二進法と十進法の変換方法と計算例
レベル: ★ 入試対策
整数分野
更新 2021/03/07
1. 二進法・十進法とは
-
十進法(基数 = 10)
人間に馴染みのある表記。各桁は $10^n$ の重み。 -
二進法(基数 = 2)
コンピュータが利用する表記。各桁は $2^n$ の重み。$$
(1011.01)2 = 1\cdot 2^3 + 0\cdot 2^2 + 1\cdot 2^1 + 1\cdot 2^0 + 0\cdot 2^{-1} + 1\cdot 2^{-2}
= 11.25{10}
$$
2. 二進法 → 十進法
例1(整数)
$(1101)2 = 1\cdot 2^3 + 1\cdot 2^2 + 0\cdot 2^1 + 1\cdot 2^0 = 13{10}$
例2(小数)
$(0.101)2 = 1\cdot 2^{-1} + 0\cdot 2^{-2} + 1\cdot 2^{-3} = 0.625{10}$
3. 十進法 → 二進法
整数は「2で割って余りを下から読む」
例 13 →
13 ÷ 2 = 6 余1 → 6 ÷ 2 = 3 余0 → 3 ÷ 2 = 1 余1 → 1 ÷ 2 = 0 余1
→ $(1101)_2$
小数は「2を掛けて整数部を上から読む」
例 0.625 →
0.625 × 2 = 1.25 → 整数部 1
0.25 × 2 = 0.5 → 整数部 0
0.5 × 2 = 1.0 → 整数部 1
→ $(0.101)_2$
4. 16進数
- 基数16、桁に $0,1,2,\dots,9,A,B,C,D,E,F$ を用いる。
- 1桁 = 4ビットに対応。
例: $(1110\ 1011)2 = (EB){16} = 235_{10}$
→ CPUやメモリ表現、デバッグで必須。
5. 3進数とAD変換
- **3進法(基数3)**は桁の重みが $3^n$。
例:
$(210)3 = 2\cdot 3^2 + 1\cdot 3^1 + 0 = 21{10}$
-
工学応用:
- 三進符号は AD変換や誤り訂正符号で研究される。
- 特に「バランス三進数」${-1,0,1}$ は信号処理や量子化で便利。
6. 一般の β進数
- 基数 $\beta > 1$ を整数に限らず考える。
$$
x = \sum_{k=-m}^{n} a_k \beta^k, \quad 0 \leq a_k < \beta
$$
例:黄金比基数 $\beta = \phi = \frac{1+\sqrt{5}}{2}$
→ 「フィボナッチ展開」と関係。
→ 情報圧縮やカオス写像で研究対象。
相加相乗平均の不等式
1. 相加平均・相乗平均の定義
2つの正の実数 $a, b > 0$ に対して:
- 相加平均 (Arithmetic Mean, AM)
$$
A = \frac{a+b}{2}
$$
- 相乗平均 (Geometric Mean, GM)
$$
G = \sqrt{ab}
$$
2. 相加相乗平均の不等式
必ず次が成り立ちます:
$$
\frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}
$$
等号成立は $a = b$ のとき。
3. 証明方法(代表例)
(1) 平方差を利用
$$
\left(\frac{a-b}{2}\right)^2 \geq 0
$$
展開すると:
$$
\frac{a^2 + b^2}{2} \geq ab
$$
両辺を整理すると:
$$
\frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}
$$
(2) 対数凸性を利用
$\log x$ は凸関数なので Jensen の不等式から:
$$
\log \left(\frac{a+b}{2}\right) \geq \frac{\log a + \log b}{2}
$$
両辺に指数をとっても同じ結論。
4. n変数への拡張
正の実数 $a_1, a_2, \dots, a_n$ に対して:
$$
\frac{a_1 + a_2 + \cdots + a_n}{n} \geq (a_1 a_2 \cdots a_n)^{1/n}
$$
等号成立はすべて等しいとき $a_1 = a_2 = \cdots = a_n$。
5. 工学応用:インピーダンスマッチング
高周波回路や伝送線路理論では、電源インピーダンス $R_s$ と負荷インピーダンス $R_L$ の間で電力伝送効率を最大化する問題が出てきます。
(1) 負荷に伝わる電力
電圧源 $V_s$、内部抵抗 $R_s$、負荷抵抗 $R_L$ の回路を考えると、負荷に伝わる電力は:
$$
P = \frac{V_s^2}{(R_s+R_L)^2} R_L
$$
(2) AM–GM を用いた最大化
分母の $(R_s+R_L)^2$ に注目。
AM–GM を使うと:
$$
\frac{R_s+R_L}{2} \geq \sqrt{R_s R_L}
$$
$$
(R_s+R_L)^2 \geq 4 R_s R_L
$$
したがって電力は次で抑えられる:
$$
P \leq \frac{V_s^2}{4 R_s}
$$
(3) 等号成立条件
等号成立は $R_s = R_L$ のとき。
つまり 電源と負荷をインピーダンス整合(マッチング) させると、電力伝送が最大になる。
コーシー–シュワルツの不等式
1. コーシー–シュワルツの不等式
任意の実数列 $a_1,a_2,\dots,a_n$、$b_1,b_2,\dots,b_n$ に対して:
$$
\left(\sum_{i=1}^n a_i^2\right)\left(\sum_{i=1}^n b_i^2\right) \geq \left(\sum_{i=1}^n a_i b_i\right)^2
$$
等号成立は、ベクトル $(a_1,\dots,a_n)$ と $(b_1,\dots,b_n)$ が比例するとき。
2. エレガントな証明(平方完成法)
任意の実数 $t$ に対して:
$$
0 \leq \sum_{i=1}^n (a_i - t b_i)^2
$$
展開すると:
$$
0 \leq \sum a_i^2 - 2t \sum a_i b_i + t^2 \sum b_i^2
$$
これは $t$ に関する二次式。判別式が 0 以下でなければならない:
$$
(\sum a_i b_i)^2 \leq (\sum a_i^2)(\sum b_i^2)
$$
→ これがコーシー–シュワルツ不等式。
3. 幾何学的意味(角度と内積)
ベクトル $\mathbf{a}, \mathbf{b}$ の内積は:
$$
\mathbf{a}\cdot \mathbf{b} = |\mathbf{a}|,|\mathbf{b}|\cos \theta
$$
C–S不等式は
$$
|\mathbf{a}\cdot \mathbf{b}| \leq |\mathbf{a}|,|\mathbf{b}|
$$
すなわち「内積の絶対値 ≤ ノルムの積」。
→ コサインの範囲 $|\cos \theta|\leq 1$ を保証する。
4. データサイエンスへの応用
(1) 散布図と相関係数
データ $(x_i, y_i)$ の標本相関係数 $r$ は:
$$
r = \frac{\sum (x_i - \bar{x})(y_i - \bar{y})}{\sqrt{\sum (x_i - \bar{x})^2 \sum (y_i - \bar{y})^2}}
$$
コーシー–シュワルツ不等式により:
$$
|r| \leq 1
$$
が保証される。
→ 「相関係数は必ず -1~1 の範囲に収まる」理由が C–S にある。
(2) 線形回帰と最小二乗法
単回帰モデル $y \approx ax+b$ の最小二乗解は:
$$
a = \frac{\sum (x_i - \bar{x})(y_i - \bar{y})}{\sum (x_i - \bar{x})^2}
$$
分子は内積 $\langle x-\bar{x}, y-\bar{y}\rangle$、分母はノルム $|x-\bar{x}|^2$。
ここでも C–S により「解が一意に定まり、推定値が暴走しない」ことが保証される。
(3) 説明力(決定係数)
決定係数 $R^2 = r^2$ も C–S の範囲制約により $0 \leq R^2 \leq 1$。
ド・モアブルの定理と交流
1. 複素数と交流の関係
交流電圧や電流は、時間の関数として
$$
v(t) = V_m \cos(\omega t + \phi)
$$
で表されます。
ここで $V_m$ は最大値、$\omega$ は角周波数、$\phi$ は位相。
複素表示(フェーザ表示)を使うと:
$$
V = V_m e^{i(\omega t + \phi)} = V_m (\cos(\omega t + \phi) + i \sin(\omega t + \phi))
$$
と書けます。
2. ド・モアブルの定理の応用
交流解析では、n倍の周波数成分や高調波を考えることがあります。
そのときド・モアブルの定理が役立ちます。
例えば:
$$
(\cos \theta + i \sin \theta)^n = \cos(n\theta) + i \sin(n\theta)
$$
を用いると、位相角がn倍された交流成分を一発で表現できます。
3. 実例:2乗(n=2)の場合
入力波をフェーザ形式で $e^{i\theta}$ と書くと:
$$
(e^{i\theta})^2 = e^{i2\theta} \quad \Rightarrow \quad
(\cos \theta + i \sin \theta)^2 = \cos 2\theta + i \sin 2\theta
$$
これは「基本周波数 $\omega$ の信号を2乗すると、2倍の周波数 $2\omega$ が現れる」という意味になります。
→ 実際に整流器や非線形回路で 高調波(倍音) が発生する現象と一致します。
4. 一般化
- n乗 → n倍の周波数成分
- 実部(cos成分)が電圧・電流の実際の波形に対応
- 虚部(sin成分)は90°進んだ成分(正交成分)
つまりド・モアブルの定理は、交流の 高調波展開 を直感的に理解するツールになります。
6. 円柱まわりの流れの速度ポテンシャル
(1) 一様流の複素ポテンシャル
無限遠からの一様流(流速 $U$、x方向)は:
$$
w(z) = U z
$$
(2) メビウス変換で円柱を導入
メビウス変換の特別な場合
$$
\zeta = \frac{z-i}{z+i}
$$
は、上半平面(Im(z) > 0) を 単位円(|\zeta| < 1) に対応させます。
ここで、「直線境界」→「円柱境界」への対応が生まれます。
(3) 反転写像による円柱流れ
より直接的に「円柱まわり流れ」を得るには、反転写像:
$$
z \mapsto \zeta = z + \frac{R^2}{z}
$$
を使います。
これは、円柱半径 $R$ の円周上 $|z|=R$ を不変集合として写します。
このとき、複素ポテンシャルは:
$$
w(z) = U \left( z + \frac{R^2}{z} \right)
$$
(4) 流れの特徴
- $z \to \infty$ で $w(z) \sim Uz$ → 一様流に一致
- $|z|=R$ で境界条件(流体が円柱の内部に入らない)が満たされる
- $\psi = \text{const}$ の線は「円柱を回避する流線」になる
7. 解説まとめ
- メビウス変換(一次分数変換)は「直線境界 ⇔ 円境界」の変換に使える
- 円柱流れの式 $w(z) = U \left( z + \frac{R^2}{z} \right)$ は、この変換を応用した典型例
- ポテンシャル流れの基礎:一様流+反転写像=円柱流れ
8. 応用先(流体力学)
一次分数変換やその変種は、実際の流体力学で次のような場面に登場します:
-
円柱・球周りの流れ解析
- 飛行機翼の断面形状(円柱からJoukowski変換で翼型へ)
-
噴流や吹き出しのモデル化
- 半平面にあるスリットを円弧に変換して扱いやすくする
-
境界層理論の簡略化
- 複雑な境界を円や直線に変換して、ポテンシャル流れを解く
-
水路やダム設計
- 水の流線を直感的に把握するために写像を使う
1. 点と平面の距離公式
平面の方程式が
$$
ax + by + cz + d = 0
$$
で、点 $(x_0, y_0, z_0)$ が与えられたとき、点と平面の距離 $D$ は:
$$
D = \frac{|a x_0 + b y_0 + c z_0 + d|}{\sqrt{a^2 + b^2 + c^2}}
$$
例題
平面 $2x - y + 2z - 3 = 0$ と点 $(1,2,3)$ の距離を求めよ。
計算:
$$
a=2, ; b=-1, ; c=2, ; d=-3
$$
分子:
$$
| 2(1) -1(2) + 2(3) -3 | = | 2 -2 +6 -3 | = |3| = 3
$$
分母:
$$
\sqrt{2^2 + (-1)^2 + 2^2} = \sqrt{4+1+4} = \sqrt{9} = 3
$$
よって距離:
$$
D = \frac{3}{3} = 1
$$
2. SVMとの関係
SVM(サポートベクターマシン)では、識別境界(ハイパープレーン)が次のように表されます:
$$
w \cdot x + b = 0
$$
ここで
- $w = (a, b, c, \dots)$ は重みベクトル
- $x$ は入力データ点
- $b$ はバイアス項
つまり、SVMの「境界」はまさに 点と平面の方程式 に対応しています。
点(サンプル)と超平面の距離
点 $x_0$ と超平面 $w \cdot x + b = 0$ の距離は:
$$
D = \frac{| w \cdot x_0 + b |}{| w |}
$$
これは「点と平面の距離公式」と完全に一致します!
3. マージン(Margin)
SVMは「境界とサポートベクトルの距離(マージン)」を最大化する手法。
マージン幅は:
$$
\text{Margin} = \frac{2}{|w|}
$$
となり、点と平面の距離式をベースにしています。
L1距離(マンハッタン距離)の意味と性質
1. 定義
座標平面上の 2点
$$
A(a_1, a_2), \quad B(b_1, b_2)
$$
の間の L1距離(マンハッタン距離) は:
$$
d(A,B) = |a_1 - b_1| + |a_2 - b_2|
$$
と定義されます。
「マンハッタン距離」という名前は、ニューヨークのマンハッタンの街路が格子状になっており、縦横にしか移動できないことに由来します。
2. ユークリッド距離との比較
同じ2点間の**ユークリッド距離(L2距離)**は:
$$
d_2(A,B) = \sqrt{(a_1 - b_1)^2 + (a_2 - b_2)^2}
$$
違い
- L2距離:直線距離(最短距離)。ピタゴラスの定理に対応。
- L1距離:縦横移動の合計距離。グリッド上の距離感に対応。
例えば、
$$
A(0,0), \quad B(3,4)
$$
ならば、
- ユークリッド距離:
$$
d_2(A,B) = \sqrt{3^2 + 4^2} = 5
$$
- マンハッタン距離:
$$
d_1(A,B) = |3-0| + |4-0| = 7
$$
3. L1距離の幾何学的特徴
- 「半径 r の円」を L1距離で定義すると:
$$
|x| + |y| \leq r
$$
→ 45°回転した正方形(ダイヤ型)になります。
- 一方、ユークリッド距離での円は普通の円。
- つまり「距離の定義の仕方」で図形の形が大きく変わる。
4. L1距離の性質
- 非負性
$$
d(A,B) \geq 0
$$
- 同一性
$$
d(A,B) = 0 \iff A = B
$$
- 対称性
$$
d(A,B) = d(B,A)
$$
- 三角不等式
$$
d(A,C) \leq d(A,B) + d(B,C)
$$
これらを満たすので、L1距離は「距離(metric)」として正しい。
5. データサイエンスとの関係
- **ユークリッド距離(L2)**は「平均的なズレ」を評価するのに使われる。
- **マンハッタン距離(L1)**は「ズレの総和」を評価するのに適している。
例
-
L1回帰(Lasso回帰)
→ 誤差の絶対値の和を最小化する。外れ値に強い。 -
L2回帰(リッジ回帰)
→ 誤差の2乗和を最小化する。大きな誤差に敏感。
直感的に:
- L1距離は「堅牢(Robust)な評価」
- L2距離は「外れ値を強くペナルティ」
1. マクローリン展開と不等式
まず、三角関数のマクローリン展開を思い出します。
$$
\sin x = x - \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} - \cdots
$$
$$
\cos x = 1 - \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} - \cdots
$$
これらの項を打ち切ることで、近似式や不等式が得られます。
(i) $\sin x \leq x \quad (x \geq 0)$
- 展開: $\sin x = x - \frac{x^3}{6} + \cdots \leq x$
- 1次近似(線形近似): $\sin x \approx x$
- $x>0$ では高次項が負なので $\sin x \leq x$ が成立。
(ii) $\cos x \geq 1 - \frac{x^2}{2} \quad (x \in \mathbb{R})$
- 展開: $\cos x = 1 - \frac{x^2}{2} + \frac{x^4}{24} - \cdots \geq 1 - \frac{x^2}{2}$
- 2次近似として使える。
- $\cos x$ のグラフは「下に凸」で、放物線近似より上に位置する。
(iii) $\sin x \geq x - \frac{x^3}{6} \quad (x \geq 0)$
- 展開: $\sin x = x - \frac{x^3}{6} + \frac{x^5}{120} - \cdots$
- 高次項が正($x \geq 0$ では $+\frac{x^5}{120}$ など)なので不等式成立。
(iv) $\cos x \leq 1 - \frac{x^2}{2} + \frac{x^4}{24} \quad (x \in \mathbb{R})$
- 展開: $\cos x = 1 - \frac{x^2}{2} + \frac{x^4}{24} - \frac{x^6}{720} + \cdots \leq 1 - \frac{x^2}{2} + \frac{x^4}{24}$
- 高次項が負になるので不等式成立。
2. 線形近似と非線形のズレ
テイラー展開は「非線形関数を多項式で近似」する道具。
-
線形近似(1次まで)
$\sin x \approx x, \quad \cos x \approx 1 - \frac{x^2}{2}$
→ 微小角近似。力学・電気回路で頻出。 -
非線形補正(高次項を入れる)
$\sin x \geq x - \frac{x^3}{6}, \quad \cos x \leq 1 - \frac{x^2}{2} + \frac{x^4}{24}$
→ 誤差の符号を利用して不等式を導ける。
3. 応用先
(1) 受験数学
- 三角関数の不等式証明問題
- 極限評価($\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1$ の応用)
- 近似計算問題(例:微小角度での面積や弧の長さ)
(2) 物理学・工学
-
微小角近似
- 振り子の運動方程式:$\sin \theta \approx \theta$
- 電磁波・光学の小角散乱
-
誤差評価
- シミュレーションでの「近似式の上界・下界」
-
安定性解析
- 非線形項の符号が系の安定性に影響
(3) データサイエンス・数値解析
- 数値誤差の見積もり:テイラー展開の余項を利用して誤差を制御
- アルゴリズム高速化:三角関数を多項式近似することで計算負荷を削減
1. 逆三角関数の意味
通常の三角関数は
$$
\sin x, ; \cos x, ; \tan x
$$
ですが、これらは 周期関数 なので単純に逆関数は存在しません。
そこで 定義域を制限 して、逆関数を定義します。
- Arcsin
$$
y = \arcsin x \quad \iff \quad x = \sin y, \quad y \in \left[-\frac{\pi}{2}, \frac{\pi}{2}\right]
$$
- Arccos
$$
y = \arccos x \quad \iff \quad x = \cos y, \quad y \in [0, \pi]
$$
- Arctan
$$
y = \arctan x \quad \iff \quad x = \tan y, \quad y \in \left(-\frac{\pi}{2}, \frac{\pi}{2}\right)
$$
2. 性質(代表的なもの)
(i) 単調性
- $\arcsin x$:単調増加(区間 $[-1,1]$ → $[-π/2, π/2]$)
- $\arccos x$:単調減少(区間 $[-1,1]$ → $[0, π]$)
- $\arctan x$:単調増加(区間 $\mathbb{R}$ → $(-π/2, π/2)$)
(ii) 導関数
テイラー展開や解析で重要です。
$$
\frac{d}{dx} \arcsin x = \frac{1}{\sqrt{1-x^2}}, \quad |x|<1
$$
$$
\frac{d}{dx} \arccos x = -\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}, \quad |x|<1
$$
$$
\frac{d}{dx} \arctan x = \frac{1}{1+x^2}, \quad x \in \mathbb{R}
$$
(iii) テイラー展開(マクローリン展開)
- $\arcsin x$
$$
\arcsin x = x + \frac{x^3}{6} + \frac{3x^5}{40} + \cdots
$$
- $\arctan x$
$$
\arctan x = x - \frac{x^3}{3} + \frac{x^5}{5} - \cdots
$$
(数値計算や近似で使う)
3. 工学応用
(1) 信号処理・通信
-
位相復元
複素数信号 $z = x + iy$ の位相角を求めるとき$$
\theta = \arctan\left(\frac{y}{x}\right)
$$が使われる(ただし象限補正が必要 → atan2 関数)。
(2) 制御工学
-
逆正接関数はロボットの角度制御で必須。
例:逆運動学でリンク角度を求めるとき$$
\theta = \arctan\left(\frac{y}{x}\right)
$$
(3) 電気回路
-
交流回路の位相差
インピーダンス $Z = R + iX$ の位相は$$
\phi = \arctan\left(\frac{X}{R}\right)
$$で求める。
(4) 航空・機械工学
-
迎角・旋回角の計算
速度ベクトル成分から機体の角度を求める際に $\arctan$ が登場。
(5) コンピュータ・CG
-
座標から角度変換
2次元ベクトル $(x,y)$ の方向角は$$
\theta = \arctan\left(\frac{y}{x}\right)
$$→ 画像処理やゲーム開発で広く利用。
4. まとめ
-
逆三角関数は三角関数の逆写像(定義域を制限して導入)。
-
性質:単調性、導関数、展開が重要。
-
工学応用:
- 位相解析(信号処理・電気回路)
- 角度制御(ロボット・航空)
- 座標変換(CG・画像処理)
チェビシェフ多項式まとめ
1. 定義
定理1
$$
T_n(\cos \theta) = \cos(n\theta), \quad n \in \mathbb{N}
$$
- これは「$\cos(n\theta)$ は $\cos \theta$ の n次多項式で表される」ことを意味する。
- その多項式を チェビシェフ多項式 $T_n(x)$ と呼ぶ。
2. 具体的な式
- $T_0(x) = 1$
- $T_1(x) = x$
- $T_2(x) = 2x^2 - 1$
- $T_3(x) = 4x^3 - 3x$
- $T_4(x) = 8x^4 - 8x^2 + 1$
- $T_5(x) = 16x^5 - 20x^3 + 5x$
3. 漸化式
$$
T_{n+1}(x) = 2x T_n(x) - T_{n-1}(x), \quad n \geq 1
$$
初期条件:$T_0(x)=1, ; T_1(x)=x$。
→ これで任意の次数の多項式を構成できる。
4. 三角関数との関係式
-
定義式
$$
T_n(\cos \theta) = \cos(n\theta)
$$ -
多倍角の公式との対応
例:
$\cos 2\theta = 2\cos^2\theta - 1 \implies T_2(x)=2x^2-1$
$\cos 3\theta = 4\cos^3\theta - 3\cos\theta \implies T_3(x)=4x^3-3x$
5. 数学的性質
-
直交性(区間 $[-1,1]$ において)
$$
\int_{-1}^1 \frac{T_m(x)T_n(x)}{\sqrt{1-x^2}} dx =
\begin{cases}
0 & (m \neq n) \
\pi & (m=n=0) \
\pi/2 & (m=n\neq 0)
\end{cases}
$$ -
最大値最小値
$$
|T_n(x)| \leq 1 \quad (-1 \leq x \leq 1)
$$
→ 「誤差を均等に分布」させる性質がある。
6. 工学・応用例
-
信号処理(チェビシェフフィルタ)
$$
|H(j\omega)|^2 = \frac{1}{1+\epsilon^2 T_n^2\left(\frac{\omega}{\omega_c}\right)}
$$→ 通過域リップルを最小にし、遮断域特性を急峻化。
-
数値解析(補間点)
$$
x_k = \cos\left(\frac{(2k-1)\pi}{2n}\right), \quad k=1,\dots,n
$$→ Runge現象を回避する補間点配置。
-
制御工学
$T_n(s/\alpha)$ を特性多項式に用いると、極を区間内に均等配置できる。 -
計算機科学
離散コサイン変換 (DCT) に関連し、画像圧縮(JPEGなど)に応用。
1. 問題設定
次のような和を考える:
$$
S = \sum_{k=0}^n \sin(\theta + k\varphi), \quad
C = \sum_{k=0}^n \cos(\theta + k\varphi)
$$
ここで、位相が等差数列(公差 $\varphi$)になっている。
2. 複素数表示を利用した導出
$$
\sin(\alpha) = \Im(e^{i\alpha}), \quad
\cos(\alpha) = \Re(e^{i\alpha})
$$
を使うと、
$$
S + iC = \sum_{k=0}^n e^{i(\theta + k\varphi)}
$$
これは等比数列の和になる:
$$
S+iC = e^{i\theta}\left(1 + e^{i\varphi} + \cdots + e^{in\varphi}\right)
$$
$$
= e^{i\theta}\cdot \frac{1 - e^{i(n+1)\varphi}}{1 - e^{i\varphi}}
$$
分母分子を整理すると:
$$
S+iC = e^{i\left(\theta + \frac{n\varphi}{2}\right)} \cdot \frac{\sin\left(\frac{(n+1)\varphi}{2}\right)}{\sin\left(\frac{\varphi}{2}\right)}
$$
3. 実部・虚部の分離
虚部が $\sin$、実部が $\cos$ に対応するので:
$$
S = \sum_{k=0}^n \sin(\theta+k\varphi)
= \frac{\sin\left(\frac{(n+1)\varphi}{2}\right)}{\sin\left(\frac{\varphi}{2}\right)} \cdot \sin\left(\theta + \frac{n\varphi}{2}\right)
$$
$$
C = \sum_{k=0}^n \cos(\theta+k\varphi)
= \frac{\sin\left(\frac{(n+1)\varphi}{2}\right)}{\sin\left(\frac{\varphi}{2}\right)} \cdot \cos\left(\theta + \frac{n\varphi}{2}\right)
$$
4. 公式(ラグランジュの三角恒等式)
(1) サインの和
$$
\sum_{k=0}^n \sin(\theta+k\varphi)
= \frac{\sin\left(\frac{(n+1)\varphi}{2}\right)}{\sin\left(\frac{\varphi}{2}\right)} \cdot \sin\left(\theta + \frac{n\varphi}{2}\right)
$$
(2) コサインの和
$$
\sum_{k=0}^n \cos(\theta+k\varphi)
= \frac{\sin\left(\frac{(n+1)\varphi}{2}\right)}{\sin\left(\frac{\varphi}{2}\right)} \cdot \cos\left(\theta + \frac{n\varphi}{2}\right)
$$
5. 数学的背景
-
幾何学的意味
複素平面上で「正多角形の頂点を回転させながら足したベクトル」の合成を表す。 -
特徴
$\sin(\frac{\varphi}{2})$ が分母に現れるため、$\varphi$ が $2\pi$ の倍数に近いときは和が急増する。
1. 基本の式
位相が等差数列の和:
$$
S + iC = \sum_{k=0}^n e^{i(\theta+k\varphi)}
$$
幾何級数の和を使うと:
$$
S+iC = e^{i\theta} \cdot \frac{1-e^{i(n+1)\varphi}}{1-e^{i\varphi}}
$$
分母・分子を整理して:
$$
S+iC = e^{i\left(\theta+\frac{n\varphi}{2}\right)} \cdot
\frac{\sin\left(\tfrac{(n+1)\varphi}{2}\right)}{\sin\left(\tfrac{\varphi}{2}\right)}
$$
2. 実部・虚部
$$
S = \frac{\sin\left(\frac{(n+1)\varphi}{2}\right)}{\sin\left(\frac{\varphi}{2}\right)}
\cdot \sin!\left(\theta + \frac{n\varphi}{2}\right)
$$
$$
C = \frac{\sin\left(\frac{(n+1)\varphi}{2}\right)}{\sin\left(\frac{\varphi}{2}\right)}
\cdot \cos!\left(\theta + \frac{n\varphi}{2}\right)
$$
大きさは:
$$
|S+iC| = \frac{\sin\left(\tfrac{(n+1)\varphi}{2}\right)}{\sin\left(\tfrac{\varphi}{2}\right)}
$$
3. フーリエ級数との対応
有限和のブロックを考えると:
$$
D_N(t) = \sum_{m=-N}^N e^{i m t}
= \frac{\sin!\big((N+\tfrac{1}{2})t\big)}{\sin(t/2)}
$$
これは ディリクレ核 (Dirichlet kernel)。
- ラグランジュ恒等式と全く同じ形。
- 部分和の「ピーク構造」や「サイドローブ」を決める。
4. 高周波成分の解釈
小さい周波数領域では:
$$
|D_N(t)| \approx 2N+1
$$
一方、$t$ が大きいとサイドローブが振動。
- 主ローブ幅 ≈ $ \tfrac{2\pi}{2N+1} $
- サイドローブの大きさは $1/\sin(t/2)$ で決まる。
→ $N$ を大きくすると「急峻なピーク」ができ、これは高周波成分の寄与が増えることを意味。
5. 工学的応用の式
(1) アンテナアレイの指向性
等間隔アンテナのアレイファクタ:
$$
AF(\varphi) = \sum_{k=0}^n e^{i k\varphi}
= \frac{\sin!\left(\tfrac{(n+1)\varphi}{2}\right)}{\sin!\left(\tfrac{\varphi}{2}\right)}
$$
→ 指向性パターンの主ビームとサイドローブを決定。
(2) 矩形窓のスペクトル
フーリエ変換で:
$$
W(\omega) = \frac{\sin!\left(\tfrac{(n+1)\omega}{2}\right)}{\sin!\left(\tfrac{\omega}{2}\right)}
$$
→ sinc関数型のスペクトルが得られ、ウィンドウ関数設計やリーケージ解析に直結。
1. 定義と指数関数による表現
双曲線関数は指数関数から定義される:
$$
\cosh x = \frac{e^x + e^{-x}}{2}, \quad
\sinh x = \frac{e^x - e^{-x}}{2}, \quad
\tanh x = \frac{\sinh x}{\cosh x}
$$
→ 三角関数 (cos, sin, tan) と極めて類似。
2. 幾何学的対応
-
三角関数
単位円: $x^2 + y^2 = 1$
$\cos \theta, \sin \theta$ -
双曲線関数
単位双曲線: $x^2 - y^2 = 1$
$\cosh t, \sinh t$
3. 基本恒等式
(1) ピタゴラス型
$$
\cosh^2 x - \sinh^2 x = 1
$$
(2) tanhとの関係
$$
1 - \tanh^2 x = \mathrm{sech}^2 x
$$
(3) 微分公式
$$
\frac{d}{dx}\sinh x = \cosh x, \quad
\frac{d}{dx}\cosh x = \sinh x, \quad
\frac{d}{dx}\tanh x = \mathrm{sech}^2 x
$$
4. 級数展開
指数関数の展開を利用すると:
$$
\cosh x = 1 + \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} + \cdots
$$
$$
\sinh x = x + \frac{x^3}{3!} + \frac{x^5}{5!} + \cdots
$$
→ coshは偶数項、sinhは奇数項のみ。
5. 性質
- $\cosh x$ は偶関数、$\sinh x$ は奇関数
- $\cosh x \geq 1$
- $\tanh x$ は $-1 < \tanh x < 1$ に収束
6. 工学応用
(1) 熱伝導・拡散
偏微分方程式の解に現れる。
例:棒の温度分布
$$
T(x) = A \cosh(kx) + B \sinh(kx)
$$
(2) 懸垂線 (Catenary)
重力下の鎖の形:
$$
y = a \cosh\frac{x}{a}
$$
→ 建築(吊り橋、アーチ)で重要。
(3) 相対性理論
速度 $v$ をラピディティ $\phi$ で表す:
$$
\cosh \phi = \gamma = \frac{1}{\sqrt{1-v^2/c^2}}, \quad
\tanh \phi = \frac{v}{c}
$$
(4) 信号処理・回路
- ニューラルネットワークの活性化関数:$\tanh(x)$
- 伝送線路方程式の解:$\cosh(sT), \sinh(sT)$
ベクトルの内積と外積の意味と応用
1. 内積とは
2つのベクトル $\mathbf{a}, \mathbf{b}$ の内積は:
$$
\mathbf{a} \cdot \mathbf{b} = |\mathbf{a}|,|\mathbf{b}| \cos\theta
$$
($\theta$ は2つのベクトルのなす角)
成分表示(3次元)
$$
\mathbf{a}\cdot \mathbf{b} = a_x b_x + a_y b_y + a_z b_z
$$
2. 内積の「嬉しさ」
-
角度がわかる
$\cos\theta = \dfrac{\mathbf{a}\cdot\mathbf{b}}{|\mathbf{a}||\mathbf{b}|}$ -
直交判定ができる
$\mathbf{a}\cdot\mathbf{b}=0 \iff \theta=90^\circ$ -
射影を計算できる
$\mathbf{a}$ を $\mathbf{b}$ 方向に射影した長さは:$$
\frac{\mathbf{a}\cdot\mathbf{b}}{|\mathbf{b}|}
$$
3. 外積とは
2つのベクトル $\mathbf{a}, \mathbf{b}$ の外積は:
$$
\mathbf{a}\times\mathbf{b} = |\mathbf{a}|,|\mathbf{b}| \sin\theta , \mathbf{n}
$$
($\mathbf{n}$ は $\mathbf{a},\mathbf{b}$ に垂直な単位ベクトル)
成分表示(3次元)
$$
\mathbf{a}\times\mathbf{b} =
\begin{vmatrix}
\mathbf{i} & \mathbf{j} & \mathbf{k} \
a_x & a_y & a_z \
b_x & b_y & b_z
\end{vmatrix}
= (a_y b_z - a_z b_y)\mathbf{i}
- (a_z b_x - a_x b_z)\mathbf{j}
- (a_x b_y - a_y b_x)\mathbf{k}
$$
4. 外積の「嬉しさ」
-
垂直ベクトルを作れる
$\mathbf{a}\times\mathbf{b}$ は $\mathbf{a},\mathbf{b}$ の両方に垂直。 -
平行四辺形の面積
$|\mathbf{a}\times\mathbf{b}| = |\mathbf{a}||\mathbf{b}|\sin\theta$ -
三角形の面積
$\frac{1}{2}|\mathbf{a}\times\mathbf{b}|$
5. 工学的応用例
(1) 力学(モーメント)
位置ベクトル $\mathbf{r}$、力 $\mathbf{F}$ に対して:
$$
\mathbf{M} = \mathbf{r} \times \mathbf{F}
$$
これは力の「回転させる効果(トルク)」を表す。
(2) 電磁気学
ローレンツ力:
$$
\mathbf{F} = q(\mathbf{v} \times \mathbf{B})
$$
速度ベクトル $\mathbf{v}$ と磁場 $\mathbf{B}$ に垂直な方向に力が働く。
(3) コンピュータグラフィックス
外積で「法線ベクトル」を求め、光の反射や陰影処理に利用。
(4) 信号処理・データ解析
- 内積 → 相関係数、信号の類似度を測る。
- 外積 → 3Dデータの回転・法線方向の計算。
6. まとめ
-
内積
- 大きさ×大きさ×cos角度
- 角度・射影・相関を扱える
-
外積
- 大きさ×大きさ×sin角度
- 垂直ベクトル・面積・トルクに直結
→ どちらも「幾何」と「工学的直観」をつなぐ基本操作。
凸関数と二階微分、そしてニューラルネットワークの最適化勾配法
1. 基本定義(数学)
実関数 $f(x)$ が区間で二階微分可能なとき:
-
下に凸 (convex)
$$
f''(x) \geq 0
$$接線の下にグラフがある。谷型。
-
上に凸 (concave)
$$
f''(x) \leq 0
$$接線の上にグラフがある。山型。
2. 性質(高校数学の範囲)
-
下に凸なら「接線が関数を下から支える」:
$$
f(y) \geq f(x) + f'(x)(y-x)
$$ -
上に凸なら逆:
$$
f(y) \leq f(x) + f'(x)(y-x)
$$ -
応用例:不等式の証明(相加相乗平均の不等式など)は、凸性を利用することが多い。
3. ニューラルネットワークとの関係
(1) 勾配法(gradient descent)
ニューラルネットワークの学習は「損失関数 $L(\theta)$ を最小化する問題」になる。
パラメータ $\theta$ を更新する式は:
$$
\theta_{k+1} = \theta_k - \eta \nabla L(\theta_k)
$$
ここで $\eta$ は学習率。
(2) 凸性が重要な理由
-
下に凸(convex)な損失関数
→ 1つの大域的最小値しか存在しない。勾配降下法は必ずそこに収束。 -
非凸(non-convex)な損失関数
→ ニューラルネットワークでよくある。局所解や鞍点が多数。
ただし実務的には「局所解でも十分良い」ことが多い。
(3) 二階微分と最適化
損失関数のヘッセ行列(Hessian, 二階微分行列):
$$
H = \nabla^2 L(\theta)
$$
- $H \succeq 0$(半正定値)なら下に凸 → 大域的最小値。
- Newton法など二階情報を使う最適化アルゴリズムもある。
4. 工学的な直観
-
下に凸の関数 = 「ボウル型のエネルギー関数」
→ 物理で言えば小球は自然に谷底へ転がる。 -
上に凸の関数 = 「山型のエネルギー関数」
→ 小球は安定せず、どこかへ転げ落ちる。
ニューラルネットワーク学習では「損失関数が完全に凸であれば解析が楽」だが、実際は複雑な非凸。そこで 勾配法 + 正則化 + 学習率調整 が重要になる。
合成積(畳み込み)の意味
1. 定義
連続版(畳み込み積分)
二つの関数 $f(x), g(x)$ から新しい関数 $h(x)$ を作る操作:
$$
h(x) = (f * g)(x) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t) g(x-t), dt
$$
離散版(畳み込み和)
数列 ${a_n}, {b_n}$ から:
$$
c_n = (a * b)n = \sum{t=0}^n a_t b_{n-t}
$$
→ 「添字の和が一定になるようにかけて足す」操作。
2. 意味
-
スライドしながら積和を取る操作
ある関数(または数列)を反転・シフトして重ね、積をとって足し合わせる。 -
幾何的には「2つの波形がどれだけ重なり合うか」を測る。
-
信号処理の観点では「入力信号」と「システムの応答」を結びつける演算。
3. 工学応用の代表例(3つ)
(1) 伝達関数とシステム応答
線形時不変システム(LTIシステム)の出力 $y(t)$ は:
$$
y(t) = (x * h)(t)
$$
ここで $x(t)$ は入力、$h(t)$ はインパルス応答。
→ システムの特性は「伝達関数」$H(s)$ や $H(z)$ で表され、畳み込みは 周波数領域での積 に対応:
$$
\mathcal{F}{f * g} = \mathcal{F}{f} \cdot \mathcal{F}{g}
$$
→ アナログ回路(RCフィルタなど)も、デジタル信号処理(FIRフィルタなど)も、この性質で解析可能。
(2) 確率論
確率変数 $X, Y$ の和 $Z = X+Y$ の確率分布は畳み込みで表せる:
- 離散型:
$$
P(Z=k) = \sum_t P(X=t) P(Y=k-t)
$$
- 連続型:
$$
f_Z(z) = \int_{-\infty}^{\infty} f_X(t) f_Y(z-t), dt
$$
→ サイコロの和の分布(二項分布やガウス分布の中心極限定理の背景)に登場。
(3) デジタル画像処理・CNN
2次元の畳み込みは画像処理フィルタに使われる:
$$
I'(x,y) = (I * K)(x,y) = \sum_m \sum_n I(x-m, y-n) K(m,n)
$$
- ぼかしフィルタ(平均化畳み込み)
- エッジ検出(差分カーネル畳み込み)
- **CNN(畳み込みニューラルネットワーク)**で特徴抽出
4. アナログとデジタルの対比
-
アナログ回路
入力電圧と回路のインパルス応答の畳み込みで出力を表す。
フーリエ変換で伝達関数 $H(j\omega)$ を掛け算すれば解析容易。 -
デジタル信号処理
入力シーケンスとFIRフィルタ係数の畳み込みで出力を得る。
高速化のため FFT により「周波数領域での積」に変換して計算する。
テント写像とフーリエ解析
1. テント写像の定義
区間 $[0,1]$ 上の関数:
$$
f(x) =
\begin{cases}
2x & (0 < x \leq \tfrac{1}{2}) \[6pt]
2(1-x) & (\tfrac{1}{2} < x \leq 1)
\end{cases}
$$
- $f(x)$ は「山型(三角形型)」の折れ線関数。
- これを $n$ 回合成すると、ギザギザが指数的に増えて「$2^{n-1}$ 個のテント」を持つグラフになる。
2. 初期値鋭敏性とカオス
- $f^n(x)$ は $n$ に応じて複雑化 → 初期値 $x$ をほんの少し動かすと、結果が大きく変化する。
- これが「カオス力学系」の典型的性質(初期値鋭敏性)。
3. 周期点
$f^n(x)=x$ を満たす点を周期点と呼ぶ。
グラフ $y=f^n(x)$ と $y=x$ の交点として数えられる:
- $n$ 回合成すると交点は $2^n$ 個。
- よって周期点は無限個存在する。
4. フーリエ解析とのつながり
テント写像は「折れ線関数」なので、フーリエ級数展開を考えると特徴がよく見える。
(1) 基本周期関数としての拡張
区間 $[0,1]$ のテント写像を周期 $1$ で延長すると、偶関数的な「三角波」と類似した波形になる。
三角波のフーリエ級数は:
$$
f(x) = \frac{8}{\pi^2} \sum_{k=0}^\infty \frac{\cos((2k+1)\pi x)}{(2k+1)^2}
$$
→ テント写像もこれと同様に「高周波成分が $\tfrac{1}{n^2}$ で減衰するフーリエ級数」で表現できる。
(2) 高周波成分とカオス
- 合成を繰り返すと「ギザギザが細かくなる」=高周波成分が強調される。
- フーリエ変換的に見ると、$n$ 回合成した写像 $f^n(x)$ は高次の周波数を多く含み、スペクトルが広がる。
- これが「初期値の微小な差が指数的に増幅する」現象の解析的な表れ。
(3) ディリクレ核との類似
フーリエ部分和(ディリクレ核)
$$
D_n(x) = \frac{\sin!\left((n+\tfrac{1}{2})x\right)}{\sin(x/2)}
$$
が「細かい振動を増やす」性質を持つのと同様、テント写像の $f^n(x)$ も合成により高調波が次々と加わる。
→ カオスの「複雑な振動」とフーリエ解析の「高調波成分の増加」がリンクしている。
5. 工学的応用
- カオス理論と通信:擬似乱数生成や暗号化。
- フーリエ解析:テント写像を「信号」と見なすと、その合成は「高周波ノイズを含む信号生成」に相当。
- 信号処理:不連続点や折れ線を含む信号のフーリエ級数は減衰が遅く($1/n^2$ 程度)、帯域幅を広く必要とする → 実際の波形伝送の設計に関係。
シグモイド関数の意味・性質
1. 定義とグラフ
シグモイド関数は次の形で定義されます:
$$
f(x) = \frac{1}{1+e^{-ax}}, \quad a > 0
$$
- $a$ が大きいと急峻になり、$a \to \infty$ でステップ関数に近づく。
- $a$ が小さいと緩やかに変化する。
基本値:
$$
f(0) = \tfrac{1}{2}, \quad \lim_{x\to \infty} f(x) = 1, \quad \lim_{x\to -\infty} f(x) = 0
$$
2. 性質
-
単調増加
$f(x)$ は常に増加関数。 -
点対称
$$
f(x) + f(-x) = 1
$$→ $(0, 0.5)$ を中心に点対称。
-
導関数
商の微分より:$$
f'(x) = a f(x)(1 - f(x))
$$→ 元の関数で表せるため計算が簡単。
-
双曲線関数との関係
$$
f(x) = \tfrac{1}{2}{1 + \tanh(\tfrac{a}{2}x)}
$$→ $\tanh$ と密接に関係。
3. 不連続関数の連続近似
-
ステップ関数
$u(x) = \begin{cases} 0 & (x<0) \ 1 & (x \geq 0) \end{cases}$
→ シグモイドで滑らかに近似できる。 -
符号関数
$\text{sgn}(x) = \pm 1$ を$$
\tanh(x) \approx \text{sgn}(x)
$$と近似可能。
4. 工学応用
(1) ニューラルネットワークの活性化関数
- シグモイドは「入力を非線形に変換して出力を 0~1 に正規化」する。
- 出力が確率的な意味を持つ(確率 0~1 にマップ)。
- 微分が $f'(x) = f(x)(1-f(x))$ で簡単 → 勾配降下法に便利。
(2) ロジスティック回帰
- 分類モデルで、入力 $x$ に対して確率 $p$ を出力する:
$$
p(y=1|x) = \frac{1}{1+e^{-(w^Tx+b)}}
$$
- 「$y=1$ である確率」を出力する。
- 出力範囲が (0,1) なので自然に確率解釈できる。
(3) CMOS NOT回路(インバータ)の伝達特性
-
理想的には ステップ関数で表される:
- 入力 $V_{in} < V_{th}$ → 出力 $V_{out} = V_{DD}$
- 入力 $V_{in} > V_{th}$ → 出力 $V_{out} = 0$
-
実際には遷移がなめらかなので、シグモイドで近似できる:
$$
V_{out}(V_{in}) \approx \frac{V_{DD}}{1 + e^{a(V_{in}-V_{th})}}
$$
- $a$ が大きいほど「急峻なスイッチング」に近づく。
減衰曲線
1. 定義
減衰曲線とは次の形の関数:
$$
y = e^{-ax}\sin(bx), \quad
y = e^{-ax}\cos(bx), \quad (a,b>0)
$$
- $e^{-ax}$ が 減衰包絡線
- $\sin(bx), \cos(bx)$ が 振動成分
2. 数学的性質
(1) 極限
$$
\lim_{x\to\infty} e^{-ax}\sin(bx) = 0
$$
→ 指数減衰により、振動は消滅する。
(2) グラフの概形
- 上下の包絡線 $y = \pm e^{-ax}$ の間で振動。
- 極大点・極小点は黒丸($\sin(bx)=\pm 1$)より少しずれる。
(3) 積分
部分積分を2回用いれば閉じた式を得られる。
複素指数関数を使うとより簡潔に表現できる:
$$
\int e^{-ax}\sin(bx), dx = \frac{e^{-ax}}{a^2+b^2}(-a\sin(bx) - b\cos(bx)) + C
$$
(4) 面積(等比数列構造)
区間 $\left[\frac{(n-1)\pi}{b}, \frac{n\pi}{b}\right]$ での積分 $S_n$ は:
$$
S_{n+1} = -e^{-\tfrac{a\pi}{b}} S_n
$$
→ 公比が $-e^{-a\pi/b}$ の等比数列。
3. 制御工学での意味
(1) 二階系の応答
減衰曲線は 二階線形常微分方程式の解として現れる。
標準形:
$$
\ddot{y} + 2\zeta \omega_n \dot{y} + \omega_n^2 y = 0
$$
解:
$$
y(t) = e^{-\zeta\omega_n t} \left( A\cos(\omega_d t) + B\sin(\omega_d t)\right)
$$
ここで:
- $\omega_n$: 自然角周波数
- $\zeta$: 減衰比
- $\omega_d = \omega_n \sqrt{1-\zeta^2}$: 減衰固有角周波数
→ $a = \zeta\omega_n$, $b = \omega_d$ に対応。
(2) 過渡応答と安定性
- $e^{-ax}$ → 系が安定かどうかを決定($a>0$なら漸近安定)。
- $\sin(bx), \cos(bx)$ → 振動の周期や周波数を決定。
- 減衰比 $\zeta$ が大きいと「オーバーダンピング」で振動せず速やかに収束。
小さいと「アンダーダンピング」で振動しながら収束。
(3) 電気回路(RLC回路)
RLC直列回路の電流応答も減衰曲線になる:
$$
i(t) = \frac{V_0}{L\omega_d} e^{-\tfrac{R}{2L}t} \sin(\omega_d t)
$$
ここで:
- $R$: 抵抗 → 減衰率 $a = R/2L$
- $L$: インダクタンス
- $C$: キャパシタンス
- $\omega_d = \sqrt{\tfrac{1}{LC} - \left(\tfrac{R}{2L}\right)^2}$
(4) 制御系の評価指標
- 減衰曲線の「山の高さ」から オーバーシュート量を評価。
- 零点・極の位置が $-a \pm jb$ に対応。
- 応答速度(立ち上がり時間、整定時間)は $a$ に依存。
- 振動周期は $b$ に依存。
sinc関数と信号処理での役割
1. sinc関数の定義
sinc関数には「工学系」と「数学系」の2種類の定義があります。
- 数学系の定義
$$
\sinc(x) = \frac{\sin x}{x}, \quad (x\neq 0), \quad \sinc(0)=1
$$
- 工学系の定義(ディジタル信号処理でよく使う)
$$
\sinc(t) = \frac{\sin(\pi t)}{\pi t}, \quad (t\neq 0), \quad \sinc(0)=1
$$
→ 違いは「$\pi$」があるかどうか。
2. 基本的性質
-
極限
$$
\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1
$$ -
ゼロ点
$$
\sinc(n) = 0, \quad n \in \mathbb{Z}\setminus{0}
$$→ 整数の位置で0になる。
-
偶関数
$$
\sinc(-x) = \sinc(x)
$$ -
積分
$$
\int_{-\infty}^{\infty} \sinc(x) , dx = \pi
$$(工学系定義なら $=1$)
3. フーリエ変換との関係
(1) 矩形関数とsinc関数はフーリエ変換ペア
矩形パルス $rect(t)$ をフーリエ変換すると sinc関数になる。
$$
\mathcal{F}{rect(t)} = \sinc(f)
$$
逆に:
$$
\mathcal{F}{\sinc(t)} = rect(f)
$$
つまり:
- 時間領域の矩形波 ↔ 周波数領域のsinc
- 時間領域のsinc ↔ 周波数領域の矩形波
4. サンプリング定理とsinc補間
シャノンのサンプリング定理:
$$
x(t) = \sum_{n=-\infty}^{\infty} x(nT) , \sinc!\left(\frac{t}{T} - n\right)
$$
- $T$: サンプリング周期
- $x(nT)$: サンプル値
- sinc関数が「理想補間関数」になる。
つまり:
- サンプル値を「sinc波」で足し合わせると元信号を完全に復元できる(帯域制限がある場合)。
5. 信号処理での応用
(1) 理想ローパスフィルタのインパルス応答
カットオフ周波数 $f_c$ の理想LPFのインパルス応答 $h(t)$ は sincになる。
$$
h(t) = 2 f_c \sinc(2 f_c t)
$$
→ 実際のFIRフィルタ設計でも「窓関数法」で sincを使う。
(2) アナログ回路との関係
- RCローパスは sinc ではなく指数応答だが、理想的には sincが「完全な帯域制限」を実現。
- 実際には sincは無限長なので実装できない → 近似フィルタを使う。
(3) ディジタル通信
- 基本波形として sincパルス を送れば、帯域制限の中で完全復元可能。
- ただし sidelobe(横の小さな振動)が干渉(ISI: inter-symbol interference)を起こすので、現実には修正(Raised Cosineなど)を使う。